著者
辻本 元 長谷川 篤彦 宮沢 孝幸 亘 敏広
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

日本全国各地における猫免疫不全ウイルス(FIV)env遺伝子の塩基配列を解析した結果、東日本ではサブタイプBが、西日本ではサブタイプDが主要なサブタイプであり、散発的にサブタイプAおよびCが存在することが明らかとなった。ヒトのHIVにおいて、ウイルスのco-receptorとして同定されているケモカインレセプターのリガンドであるCC-ケモカインおよびCXC-ケモカインについて、猫の遺伝子クローニングを行った。これらケモカインのうち、SDF-1βは、猫のTリンパ球におけるFIVの増殖を濃度依存的に抑制することが明らかとなった。さらに、CXC-ケモカインリプターと結合する物質として同定されたT22についてもFIV増殖抑制効果が確認された。一方、FIVによって誘導されるアポトーシスは免疫不全症の発症に重要な役割を果たしていることが明らかとなっている。そこで、抗酸化剤であるN-アセチルシステインおよびアスコルビン酸をFIVによるアポトーシス誘導系に添加して培養したところ、それらによるアポトーシス抑制効果が認められた。さらに、同様のFIVによるアポトーシス誘導系にIL-12およびIL-10を加えて培養したところ、IL-12はアポトーシスおよびFIV増殖を抑制する効果が確認され、その効果はIFN-γの発現を介していることが明らかとなった。IL-10にはそれら抑制効果は認められなかった。さらに、これらFIV増殖抑制剤およびアポトーシス抑制剤の生体内投与における効果を判定するため、FIV感染猫における血漿中ウイルスRNA量をQC-PCR法によって定量した。その結果、非症候性キャリアー期の猫では10^5コピー/ml以下の低いウイルス量を有する個体が多かったが、エイズ期の猫では10^7コピー/ml以上の高いウイルス量を有する個体が多かった。現在、このFIV感染猫におけるウイルスRNA定量系を用いて、ウイルス動態の解析および抗ウイルス薬の治療効果の判定を行っている。
著者
伊原 学 長谷川 馨
出版者
東京工業大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2018-06-29

本研究では、「カーボン空気二次電池」という新しい概念の実現性や優位性を、固体酸化物型電気化学デバイス、二次電池双方のアプローチから検討し、さらにシステム全体を設計しその実現性、優位性を検討する
著者
相良 正樹 長谷川 博
出版者
日経BP社
雑誌
日経ニューメディア (ISSN:02885026)
巻号頁・発行日
no.1565, pp.11-12, 2017-06-19

スカパーJSATホールディングスは2017年5月19日の「2016年度 通期決算説明会」で、スカパーJSATが12月にハイブリッドキャスト技術を活用したスマートテレビ向け放送・通信融合サービスを開始すると発表した。リモコンのdボタンを押すと、放送中の番組に加えて、イ…
著者
前田 裕二 村上 恵理子 秋山 一男 長谷川 眞紀 早川 哲夫 金子 富志人 宮本 昭正
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.43, no.10, pp.1248-1255, 1994

ネコに感作されている40例の成人喘息患者を対象としてネコの喘息における臨床的な意義を検討するために吸入誘発試験を行った. 即時型 (IAR) および遅発型 (LAR) いずれかの反応は40例中29例にみられた. IARのみがみられた例は12例 (30%), LARのみは7例 (17.5%), ニ相性反応 (DAR)は 10例 (25%), 反応がみられなかった例は11例 (27.5%)であった. 各反応群における年齢, 吸入前 FEV_<1.0>%,%MMF, ネコ上皮へのRASTスコアおよびアセチルコリンによる気道過敏性の閾値の常用対数値はいずれの2群間においても統計学的には有意差はみられなかった. ネコとの接触歴がLAR群ではl4%と他の2群 (DARでは78%, 無反応群では70%)よりも有意に低い率であった. ラストスコアが高くかつ気道過敏性が亢進している例は他の二群よりもDAR群に多くみられた. 喘息反応はネコとの接触歴がある患者では15/22 (68.2%)に, 接触歴のない例では10/16 (62.5%)にみられ出現率は同じであった. 以上の成績から小児のみではなく成人においてもネコアレルゲンは重要であると考えた.
著者
長谷川 晃 伊藤 義徳 矢澤 美香子 根建 金男
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.68-71, 2010

The present study was conducted to revise the Japanese version of the Depressive States Checklist (JDSC), and to evaluate the construct validity of the revised version. Undergraduate students participated in two questionnaire studies. In Study 1, items with sufficient face validity and factorial validity representing the self-devaluative view and affective components were selected for the revised version of the J-DSC (JDSC-R). In Study 2, each factor of the J-DSC-R showed adequate construct validity because the correlation coefficients among the factors of the J-DSC-R, depressive symptoms, and depressive rumination generally supported the hypothesis. The J-DSC-R can be used to contribute to the understanding of vulnerability to depression.
著者
長谷川 清三郎 伊藤 敬一
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.315-316, 1956-07-01

Experimental researches were performed on the growth and yields of kidney bean plants as affected by the treatment of pinching-off one or two of the three leaflets of every leaf at its very young stage. 1) The growth in the stem length was retarded, while the numbers of leaves and flowers were increased by the treatment. 2) The leaflets left on the treated leaves developed generally larger than those of the corresponding positions on the untouched control plants. While the areal ratio among the three leaflets on every normal leaf was nearly 1 : 1:, the ratio between the two leaflets left on every treated leaf was still found to be 1 : 1, not disturbed by the treatment, though they developed respectively larger in their absolute areas. The central leaflet however proved itself somewhat peculiar in areal growth, differing from the side leaflets. 3) There were obseved a tendency that pinching one of the leaflets of every leaf favoured the yield, while to pinch two of them reduced the yield.
著者
佐藤 義和 長谷川 三喜
出版者
The Society of Agricultural Structures, Japan
雑誌
農業施設 (ISSN:03888517)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.167-174, 1991-03-30 (Released:2011-09-05)
参考文献数
11

係留式ストールの居住性を検討するために乳用牛の起立・横臥動作に関する運動力学的分析を行った。動作中にスタンチョンに与えられる引張力の最大値は上下支点型チェーンタイの場合の2~4倍程度であることを明らかにし, スタンチョンの拘束力の大きさを定量化した。両動作に共通して, 前肢に関しては前膝による接地時間が長く, 1前膝で体重の40%程度の荷重を支えていることを明らかにした。後肢に関しては蹄尖付近の小面積による接地相があり, 接地圧は数十kgf/cm2になるものと推定した。横臥動作時には前肢は後方に最もすべりやすいため, ストールの前半部分に関しては勾配を小さく抑えるべきであると考察した。
著者
原 正美 長谷川 俊史 松原 知代 山口 公一 百瀬 希美 古川 漸
出版者
一般社団法人 日本食育学会
雑誌
日本食育学会誌 (ISSN:18824773)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.155-160, 2013-04-25 (Released:2016-01-29)
参考文献数
3

Regardless of the consumption of the same amount of allergen-related foods, allergens were detected in some breast milk samples while not in the others. Breast milk is a secretory fluid. Therefore, concentrations of secretory fluid could potentially be linked with the concentration of allergens in the breast milk. Thus, the total protein and the levels of one particular protein, lactoferrin, in the breast milk were measured.The concentration of ovalbumin in breast milk was measured using an enzyme-linked immunosorbent assay (ELISA) kit, previously reported by us. The limit of ovalbumin level in breast milk is 312ng/ml. The Lowry method was used for measuring the total protein. A Lactoferrin Human ELISA Kit was used to measure the lactoferrin levels.Therefore, we investigated cases wherein the level of ovalbumin was below or above 312ng/ml. We found no significant difference when we compared the total protein level between breast milk with ovalbumin below 312 ng/ml and that above 312ng/ml.When we compared the lactoferrin level between breast milk with ovalbumin below 312ng/ml and that above 312ng/ml, a significant difference was observed.Consequently, if the ovalbumin level in breast milk is >312ng/ml, the lactoferrin level is high, while if the ovalbumin level is <312 ng/ml, the lactoferrin level is low (P<0.01).When evaluating the concentrations of ovalbumin in breast milk, the lactoferrin levels might be used as the point of reference.
著者
川端 輝江 古 息珠 柴田 茂男 長谷川 恭子 澤井 廣量 李 寧遠 劉 麗雲 村上 秀親 小川 久恵 矢ヶ崎 信子 松田 康子 岩間 範子
出版者
社団法人 日本循環器管理研究協議会
雑誌
日本循環器管理研究協議会雑誌 (ISSN:09147284)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.109-117, 1993

循環器疾患死亡率に各々特徴を持つ日本の2地区 (山梨県および沖縄県) と沖縄県に隣接している中華民国 (台湾) における計3地区に在住する中高年齢者を対象とし, 健康診断を行った。そこで, 我々はこれらの地区において, 循環器疾患の指標となりうる肥満度, 血圧, 血清脂質の諸検査結果を主成分分析法により検討した。<BR>主成分分析の結果, 得られた2次元図の各象限の特徴を表現すると, 1.高血圧型, 2.肥満, 血清中性脂肪高値, HDL-コレステロール低値型, 3.低血圧, 血清HDL-コレステロール低値型, 4.やせ, 血清中性脂肪低値, HDL-コレステロール高値型となった。<BR>男性では, 山梨県対象者は血清中性脂肪高値および肥満の者が約2割いた。沖縄県対象者では全体の3割強が高血圧型であった。台湾対象者では軽度の肥満および中性脂肪高値型と低血圧および血清HDL-コレステロール低値型が, あわせて約3割以上であった。<BR>女性では, 山梨県対象者に対して, 沖縄県対象者では血清総コレステロール, HDL-コレステロールの平均値が従来の成績同様高かったが, その他の項目においては, 極端に正常値からはずれた検査値を持つ者は少なく, 特徴的な分布はみられなかった。台湾対象者では, 肥満, 血清中性脂肪高値およびHDL-コレステロール低値型に属する人は約4割であり, 循環器疾患のリスクが高い集団と推察される。