著者
原 謙治 前田 篤彦 稲垣 博人 高嶋 洋一 小林 稔 阿部 匡伸
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.5, pp.85-92, 2009-01-19
被引用文献数
4

ユーザが他人に見せる自分の顔映像を見せたい印象に変換する手法の研究を行った.近年,写真/動画共有サービス、テレビ電話、デジタルフォトフレーム等のサービスが利用可能となり、ネットワークを通して顔画像/映像を見せる機会が増加している。しかし,自分の映像の印象が見せたい印象と異なることがあるという問題がある.そこで本研究ではテレビ電話映像の印象向上のために専門家が行う色変換法の調査,調査結果に基づいた色変換技術の開発,開発した色変換技術の評価を行い,既存手法と比較した印象の向上とユーザ毎の色変換の好みの違いを確認した.また,提案手法を用いることでテレビ電話利用への意欲が高まることも確認した.We propose a facial color beautification method for video communication. The video-captured face often disappoints us, especially the subjects themselves, because the impression of the face is not as good as we expect. We solve this problem by retouching the captured video. We studied how the experts change the color of the video to improve the facial impression in video-phone, and developed a color transformation method based on the result. We also conduct a user study to evaluate our method. The result shows the effectiveness of our method and the diversity of user preferences.
著者
織田 弥生 髙野 ルリ子 阿部 恒之 菊地 賢一
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.85, no.6, pp.579-589, 2015
被引用文献数
3

We developed the 33-item Emotion and Arousal Checklist (EACL), which consisted of five subscales to assess emotions (Fear, Anger, Sadness, Disgust, and Happiness) and four subscales to assess arousal (Energetic arousal +, Energetic arousal −, Tense arousal +, and Tense arousal −). This checklist was developed to assess psychological state, both at a given moment and during the past week. In Study 1, confirmatory factor analyses identified nine subscales, whose internal consistency was indicated by their reliability. In Study 2, the EACL's validity was demonstrated by its correlation with the State-Trait Anxiety Inventory, Multiple Mood Scale, General Arousal Checklist, Japanese UWIST Mood Adjective Checklist, and Profile of Mood States. In Study 3, changes caused by tasks that involved either reading emotion-inducing articles or performing a calculation indicated the validity of the EACL for measuring psychological state at a given moment. Further, the test-retest reliability of the EACL for assessing psychological state during the past week was confirmed. These studies confirmed the reliability and the validity of the EACL.
著者
似鳥 啓吾 牧野 淳一郎 阿部 譲司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌コンピューティングシステム(ACS) (ISSN:18827829)
巻号頁・発行日
vol.48, no.8, pp.54-61, 2007-05-15

本論文では,400個のデュアルコアOpteronプロセッサを用いたCray XD1システム上での高性能な N体シミュレーションコードの実装と,64k粒子の星団のシミュレーションでの性能について述べる.これまでにも多くの天体物理学的 $N$ 体計算の並列化が報告されているが.その中でも数十プロセッサ以上を用いた実装の性能評価には,大きな粒子数が使われる傾向がある.たとえば,これまでのゴードン・ベル賞へのエントリでは,少なくとも70万粒子が用いられている.この傾向の理由は,並列化効率にある.というのも,大規模並列機で小さな粒子数で性能を出すのは非常に困難であるからである.しかしながら,多くの科学的に重要な問題では計算コストは O(N^3.3) に比例するため,比較的小さな粒子数の計算に大規模並列計算機を用いることが非常に重要である.我々は,64k粒子のO(N^2)直接計算独立時間刻み法の計算で2.03Tflops(対ピーク57.7%)の性能を実現した.これまでの64k粒子での同様の計算における最大の効率は,128プロセッサのCray T3E-900での7.8%(9Gflops)である.今回の実装では従来の方法より高スケーラブルな2次元並列アルゴリズムを用いている.さらに今回のような高性能を達成するためにはCray XD1の低レイテンシネットワークが本質的に重要であった.In this paper, we describe the implimentation and performance of N-body simulation code for a star cluster with 64k stars on a Cray XD1 system with 400 dual-core Opteron processors. There have been many reports on the parallelization of astrophysical N-body simulations. For parallel implementations on more than a few tens of processors, performance was usually measured for very large number of particles. For example, all previous entries for the Gordon-Bell prizes used at least 700\,k particles. The reason for this preference of large numbers of particles is the parallel efficiency. It is very difficult to achieve high performance on large parallel machines, if the number of particles is small. However, for many scientifically important problems the calculation cost scales as O(N^3.3), and it is very important to use large machines for relatively small number of particles. We achieved 2.03Tflops, or 57.7% of the theoretical peak performance, using a direct O(N^2) calculation with the individual timestep algorithm, on 64k particles. The best efficiency previously reported on similar calculation with 64K or smaller number of particles is 7.8% (9Gflops) on Cray T3E-900 with 128 processors. Our implementation is based on highly scalable two-dimensional parallelization scheme, and low-latency communication network of Cray XD1 turned out to be essential to achieve this level of performance.
著者
松田 忠久 斉藤 雅人 阿部 昌弘 橋本 哲也 小林 裕之 渡辺 泱
出版者
社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.78, no.8, pp.1417-1422, 1987-08-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
12
被引用文献数
2

1982年6月から1985年10月までに, 京都府立医科大学泌尿器科学教室を受診した腎腫瘤症例で, 腹部CT, 腎超音波検査, 腎血管造影などにて診断が確定し得なかった10例に対して, 選択的腎生検を施行した.選択的腎生検にて得られた組織診断は, 腎細胞癌6例, 乳頭状腎細胞癌1例, 移行上皮癌1例, 血管筋脂肪腫1例, 膜性増殖性糸球体腎炎1例で, それにより各々の症例の治療のために極めて重要な情報が得られた. また生検を契機とした腫瘍細胞の播種をはじめとした合併症は, 認められなかった.よって腎腫瘍に対する選択的腎生検は, 従来の諸検査では診断できなかった腎腫瘍の診断に非常に有用であると思われた.
著者
阿部 秀助
出版者
慶應義塾理財学会
雑誌
三田学会雑誌 (ISSN:00266760)
巻号頁・発行日
vol.13, no.11, 1919-11

新刊紹介
著者
阿部 晋吾 太田 仁
出版者
The Japanese Association of Educational Psychology
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp.294-304, 2014
被引用文献数
1

本研究では中学生を対象に, 自己愛傾向の程度によって, 教師からの叱りの動機推測が援助要請態度に及ぼす影響に差異がみられるかどうかを検討する質問紙調査を行った。その結果, 教師からの叱りに対して向社会的動機を推測するほど, 援助適合性認知は高くなる一方, 自己中心的動機を推測するほど, 援助適合性認知は低くなることが示された。自己中心的動機の推測はスティグマ認知にも影響を及ぼしていた。また, 自己愛傾向の高い生徒は, 向社会的動機の推測の影響が弱く, 自己中心的動機の推測の影響が強いことも明らかとなった。
著者
横田 和章 阿部 賢司 藤崎 博也
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.1-2, 1995-09-20

近年、計算機のハードウェアの進歩に伴い、ワープロのかな漢字変換や構文チェック機能など、自然言語の解析処理が実用化されつつある。しかし、これらの機能は構文+浅い意味情報に基づいており、人間による修正無しでは満足な結果が得られない。一方、より良い結果を得るため、文の深い意味を調べる方法も報告されているが、この方法では、解析に使う知識をあらかじめ明示的に組み込んでおかなければならない。このため、処理対象となる話題を限定しないと、組み込むべき知識が膨大になって統一がとれなくなり、実現困難となる欠点を持つ。そこで、コーパスから言語的知識を獲得する方法が最近注目されている。この方法では知識をあらかじめ書き込んでおかなくても、獲得により性能を向上できる特徴を持つ。また、新しい話題に対しても、獲得により対応できる。本稿では、この様な見地から、コーパスに基づいて日本語文法を自動獲得する方法について報告する。
著者
岩崎 安希子 下斗米 貴之 阿部 香澄 中村 友昭 長井 隆行 大森 隆司
出版者
Japan Society of Kansei Engineering
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18840833)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.219-227, 2013
被引用文献数
2

Various robots had been developed lately, not only for industrial use but for home use too. In our previous study, we had developed a playmate robot system that is designed to play with children. Child personality observation is important during play situations for smooth interaction, in order to sustain the child's interest. Therefore, we considered that the robot system should be able to distinguish children's personality types or tendencies. As a result, the relationship between the child's personality test score and head movement observed during the robot play interaction was found to be significant. This suggests the possibility of an adaptive robot system that plays with children in accordance to each child personality.
著者
阿部 智和
出版者
北海道大学大学院経済学研究科地域経済経営ネットワーク研究センター
雑誌
地域経済経営ネットワーク研究センター年報 (ISSN:21869359)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.87-101, 2014-03

本論文の目的は,わが国で積み重ねられてきたオフィス空間のデザインに関する研究知見のうち,とりわけ2000年以降の研究の到達地点を明らかにすることにある。本論文で2000年以降の研究蓄積に注目を向ける理由は,経営学者たちもオフィス空間のデザインを重要視し始めたことにある。より具体的には,この時期を契機として,知的創造や知識創造を促すオフィス空間のデザインを志向した研究が創始されているのである。 1990年代までのオフィス空間内の快適性の向上を志向した研究とは異なり,建築学者や実務家たちだけではなく,一部の経営学者たちからもオフィス空間のデザインに対して注目が向け始められたのである。 本論文で明らかにする先行研究が辿り着いた研究知見は,以下の3点に集約することができる。より具体的には,①実務家や一部の経営学者たちによって知的生産性を向上させるオフィス空間のデザインへの注目が向けられ,実際にオフィス空間の設計が行なわれてきたこと,②建築学者を中心として知的生産性を計量的に把握する試みが積み重ねられ,定量的なデータにもとづいたオフィス空間のデザインが志向されてきたこと,③経営学者たちがコミュニケーションを鍵概念にして,オフィス空間のデザインについて考察を加えてきたこと,の3点である。最後にこれらの研究の貢献と残された問題を明らかにし,今後の研究課題を提示する。
著者
阿部 秀樹
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.53-57, 1997-03-31

本研究は一自閉症幼児の2年間に渡る療育から、ひらがなが獲得され、概念形成が行われた経過について考察を行った。療育経過はI期、II期の2つの期に分けた。I期では、ひらがなの読みが獲得されたが、その要因として弁別課題や構成課題の大きな進歩があげられた。また、II期では、なぞなぞやルール活動などの概念学習課題の中に、I期で獲得された文字を活用したことが、概念の達成の手がかりとなっていた。さらに、集団療育場面においても、概念が形成されたことが、場面・状況の把握の向上や、集団への積極的な参加につながっていたことが示唆された。
著者
井川 克彦 長谷部 弘 阿部 勇 奥村 栄邦 西川 武臣 小林 延人 高橋 未沙 土金 師子
出版者
日本女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

江戸後期において上田小県地方は生糸主産地の一つであり、その生糸は前橋の生糸市に集荷され、桐生などの絹織物の原料となった。横浜開港後にその生糸生産はさらに拡大して明治を迎えたが、この地方では器械製糸業がなかなか勃興しなかった。上田商人や生糸流通構造の実態を明らかにすることに努めた結果、養蚕と結合した農家小商品生産の部厚い存在、買い集める上田生糸商人の資本基盤の小ささを見通すことができた。
著者
森脇 喜一 船木 實 平川 一臣 時枝 克安 阿部 博 東 正剛 宮脇 博巳
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.293-319, 1989-07

第30次南極地域観測隊(JARE-30)夏隊のセールロンダーネ山地地学・生物学調査は, 1988年12月29日から1989年2月1日にかけて山地西部で, 2月2日から9日にかけてあすか観測拠点をベースに付近の小山塊で実施された。2月になってからの調査活動は, ブリザード等の強風と地吹雪で効率的でなかった。JARE-26-29の地学調査に生物班が初めて加わったが, 調査計画の立案や行動形態に特に従来と変わったところはない。ここでは, 設営面を含む行動の概要と調査の概略, 調査期間の山地近辺の気象と雪氷状況を報告する。調査の成果については別途, 各分野で詳しく報告される。
著者
森脇 喜一 船木 實 平川 一臣 時枝 克安 阿部 博 東 正剛 宮脇 博巳 Kiichi Moriwaki Minoru Funaki Kazuomi Hirakawa Katsuyasu Tokieda Hiroshi Abe Seigo Higashi Hiromi Miyawaki
雑誌
南極資料 = Antarctic Record (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.293-319, 1989-07

第30次南極地域観測隊(JARE-30)夏隊のセールロンダーネ山地地学・生物学調査は, 1988年12月29日から1989年2月1日にかけて山地西部で, 2月2日から9日にかけてあすか観測拠点をベースに付近の小山塊で実施された。2月になってからの調査活動は, ブリザード等の強風と地吹雪で効率的でなかった。JARE-26-29の地学調査に生物班が初めて加わったが, 調査計画の立案や行動形態に特に従来と変わったところはない。ここでは, 設営面を含む行動の概要と調査の概略, 調査期間の山地近辺の気象と雪氷状況を報告する。調査の成果については別途, 各分野で詳しく報告される。The summer party of the 30th Japanese Antarctic Research Expedition (JARE-30) carried out the geomorphological, paleomagnetic, geodetic, zoological and botanical field work in the western part of the Sφr Rondane Mountains for 35 days from December 29,1988 to February 1,1989,and around Asuka Station for 8 days from February 2 to 9,1989. The field work in February was largely hampered by bad weather including blizzard. In addition to earth scientists who have been in charge of the field operation of the Sφr Rondane Mountains since JARE-26 (1985), biologists joined the field party for the first time this season under the similar planning and operating scheme formerly adopted. This is the report describing the results of field operations including logistics, a summary of the field work, and some information on weather and surface conditions of snow and ice around the Mountains during this period.