著者
富澤 浩樹 阿部 昭博
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. 情報システムと社会環境研究報告
巻号頁・発行日
vol.2014, no.3, pp.1-8, 2014-09-03

東日本大震災関連資料を対象とした震災関連デジタルアーカイブは,震災で得た教訓を後世に伝えることを目的に各所で構築されている.しかし,取り扱っている資料は,報告書,計画書,フリーペーパーやチラシ,活動記録,広報誌,写真といったものがほとんどであるため,研究者や調査者といった強い関心と目的意識がなければ利用することが難しい状況にある.震災の記憶の風化が懸念されてもきており,一般利用者への資料の利活用を継続的に促すための包括的な取り組みが今後に向けて必要となっている.そこで本研究では,資料の利用活性化を目指し,デジタル資料と,それらを用いて作成された成果物である新資料の双方を利活用するシステムについて検討する.具体的には岩手県立図書館の震災関連資料コーナーを対象に,図書館職員との議論を踏まえた情報システム視点による分析を中心とする.
著者
川口 衞 千葉 義尚 阿部 優 吉田 長行 立道 郁生
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2000

本研究業績をまとめると以下の通りである。A.並進振り子原理に基づく免震システムの有効性を検証した(1)振り子免震の免震効果は上下動の影響をほとんど受けない。上下動と水平動を分離して設計できるのは,免震システムとして大きなメリットがある(2)振り子によって実現される長周期免震システムに必要とされる減衰は,軽微なもので充分である(3)「並進振り子型免震装置」を応用した免震床の実施例の挙動を実験的に明らかにした(4)並進振り子の支点間距離を利用した,免震周期のコントロールに関する知見を得た。また,この性質を利用し,かつ支持構造物の回転運動を生じない「対称2点吊り振り子型免震構造」を考案した(5)地震時に質量偏心がもたらすねじれ振動め影響を明らかにしたB.転動振り子の原理に基づく免震システム(パドル免震)の有効性を検証した(1)「パドル免震」を提案した。「パドル免震」は免震層の高さを長周期免震の場合でも可変にできることが極めて有利な点である。(2)パドル免震の模型実験を行ない,所定の免震効果が得られることを確認した(3)パドル免震装置の実用化検討の基礎として発生する応力分布を解析により把握できた(4)パドル柱自身の質量が免震効果に及ぼす影響を振動実験などにより明らかにした(5)この時,パドル免震装置自体の形状を工夫することによって,目的とする固有周期を得られることを確認したC.振り子免震の適用による空間構造の長周期免震の効果を検証した(1)球殻の薄肉ドームの支持部に,振り子免震を設けた場合について効果を検討した。この結果,屋根の応答を下部構造の剛性に関らず,地表入力波形の応答スペクトルで推定することが可能であること,トラス材軸力など多くの部材で長期応力を支配応力とできる可能性を示した。(2)さらに,パドル免震の原理の効果的な応用として,円形ドームの円周方向のみに復元力を有し,半径方向には拘束のない一方向免震の有効性が確認できた。
著者
堀口祐耶 市川尚 窪田諭 阿部昭博
雑誌
第75回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.715-717, 2013-03-06

近年地震などの災害により, 被災地だけでなく被災地周辺の観光地においても風評被害を受けている. 東日本大震災では,多くの観光地において風評被害の影響を受けた. しかし, 風評被害に対する活動を報告するするサイトは多く見られたが, これらの活動についてまとめているサイトや風評被害に関する研究は少ない.そこで, 筆者らは観光提供側を対象に過去に発生した観光への風評被害の事例を紹介し, 風評被害の理解を深めてもらうことを目的としたポータルサイトの研究を行ってきた. 本稿では, 新聞データベースの分析を通して, 観光風評被害事例データの分類・収集方法およびメタデータの再構築について考察を行う.
著者
堀口 祐耶 市川 尚 阿部 昭博
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告情報システムと社会環境(IS)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.7, pp.1-5, 2013-11-25

近年,地震などの災害によって,被災地周辺の観光地における風評被害が大きな問題となっているが,観光風評被害に関する状況・経過や対策に関する情報提供の研究や取り組みは遅れている.本研究の目的は,Web 上の散在する風評被害に関する事例を収集し,観光に関わる行政職員や事業者に情報提供を行うシステムの在り方を明らかにすることにある.本稿では,東日本大震災での風評被害事例の特徴分析と,その結果に基づく情報提供システムの開発について述べる.システム開発においては,事例分析結果等を踏まえ,これまで試作したシステムのメタデータ,提供機能,対象ユーザと公開方法について見直しを図った.また,有識者によるシステムの一次評価を実施し,提供情報を拡充した.By disasters such as earthquake in recent years, the harmful rumor in the tourist destinations around disaster areas has become a major problem. However, study of providing information in regard to various situation and measures of the harmful rumors in tourism is tardy. The purpose of our study is to clarify features of information system for gathering and providing of the harmful rumor cases in tourism on the Web. This paper describes characteristics analysis of harmful rumor cases caused by the Tohoku earthquake and tsunami in 2011, and development of information providing system based on the analysis results. In the system development, we reviewed previous specifications of prototype: meta-data, functions, operation policies and target users. Also through primary evaluation by tourism experts, we expanded content of the system.
著者
阿部 真紀 小針 清子 秋田 修
出版者
実践女子大学
雑誌
実践女子大学生活科学部紀要 (ISSN:13413244)
巻号頁・発行日
no.50, pp.171-176, 2013-03

Many kinds of salted-koji( rice-koji soaked in salted water) for pickle preparation have cometo be sold in market recently. We assayed salt and alcohol concentrations of five commercialsalted-koji. Salt concentrations were 10.2% to 13.2% and alcohol concentrations distributedfrom 2.2% to 5.7%.In addition we assayed germination ability of koji-mold (Aspergillus oryzae) and enzymeactivities remaining in five commercial salted-koji and homemade salted-koji. Homemadesalted-koji maintained the germination ability, but no commercial salted-koji showed thegermination ability.Most of the saccharifying enzyme activities of commercial salted-koji were lower than theactivities of homemade salted-koji. On the other hand, commercial salted-koji E and D had thehighest acid protease and neutral protease activities respectively in all samples. We examinedthe effect of pasteurization and ethanol on enzyme activities by using homemade salted-koji.Many kinds of salted-koji( rice-koji soaked in salted water) for pickle preparation have cometo be sold in market recently. We assayed salt and alcohol concentrations of five commercialsalted-koji. Salt concentrations were 10.2% to 13.2% and alcohol concentrations distributedfrom 2.2% to 5.7%.In addition we assayed germination ability of koji-mold (Aspergillus oryzae) and enzymeactivities remaining in five commercial salted-koji and homemade salted-koji. Homemadesalted-koji maintained the germination ability, but no commercial salted-koji showed thegermination ability.Most of the saccharifying enzyme activities of commercial salted-koji were lower than theactivities of homemade salted-koji. On the other hand, commercial salted-koji E and D had thehighest acid protease and neutral protease activities respectively in all samples. We examinedthe effect of pasteurization and ethanol on enzyme activities by using homemade salted-koji.
著者
塩村 耕 阿部 泰郎
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

日本を代表する古典籍専門図書館である西尾市岩瀬文庫について、全所蔵資料の約95%について調査を終了し、書誌データベースを作成し、公開運用した。このような詳細な書誌データベースは日本でこれまで例がなく、その新たな学術基盤としての有効性を実証した。同時にデータベースより得られた知見を活用して、重要資料を選定し、全文テキストデータを作成して、データベースにリンクさせた。また、名家自筆本を選定し、筆蹟サンプル画像データを作成して、データベースにリンクさせた。このような統合型データベースを実験的に公開運用し、日本の人文学の新たな学術基盤のあり方として世の中に提案した。
著者
桂 良太郎 安斎 育郎 池尾 靖志 阿部 敦
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は世界の平和博物館同士のネットワーク構築にむけた基盤整備その活用(応用)に主たる目的がある。第6回国際平和博物館会議(2009年)で21世紀にふさわしい平和博物館のあり方を検討することとし、「世界の平和博物館情報ネット」を立ち上げることを試みた。立命館大学国際平和ミュージアムの協力のもとで、ウェブサイト情報に基づき、各国の平和博物館の動向を検索できるCD-ROMの作成に取り組んでいる。目下、235件の入力が終わった。2011年5月にはバルセロナ(スペイン)で「第7回国際平和博物館会議」、2011年5月「IPRA」にて本研究の成果を発表し、さらに2012年11月の「IPRA」(於:三重大学)においては、ほぼ完成したCD-ROMを参加した内外の研究者や実戦者から高い評価を得ることができた。さらに充実した情報ネットワーク構築のために努力したいと考えているところである。この世界の平和博物館情報を検索できるウェブサイトを、立命館大学国際平和ミュージアムのホームページ上に立ち上げるべくその調整を図っている。本年度の目標であったアジア太平洋の平和博物館会議(ベトナム)は本国の都合により延期となるが、2012年8月の「韓国ノグンリ平和セミナー」およびベトナム平和博物館関係者との2014年開催予定の「第8階国際平和博物館会議」にむけた、アジア地域の平和博物館ネットワーキングに関する「研究会議」を無事ホーチミン市にて行うことができた。韓国、ベトナム以外に中国ロシアの平和博物館関係者及び、東南アジア諸国、インドやパキスタンなどの南アジアの平和博物館関係者も招聘し、本研究成果の発表とさらなるネットワーク構築のための準備を行っているところである。
著者
井上 義崇 川崎 貴士 阿部 謙一 緒方 政則 蒲地 正幸 佐多 竹良
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.196-201, 2001-05-15 (Released:2008-12-11)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1 1

術中出血量が4,000ml以上であった成人16症例について,血漿イオン化カルシウム(iCa)濃度および血漿イオン化マグネシウム(iMg)濃度の変動とその補正のあり方を検討した.iCa濃度(mmol・l-1)は術中補正が行われたにもかかわらず,0.71±0.13まで低下し,手術終了時にほぼ正常値に復帰した.iMg濃度(mmol・l±)は0.46±0.06から0.19±0.07まで下がり,手術終了直後は0.27±0.07,術後1日目には0.38±0.06まで回復した.これらの血清電解質濃度の低下には,血液成分の希釈による影響が大きいことが示唆された,大量出血時には循環血液量の補充に用いた製剤の種類と量に応じたCa2+およびMg2+の補充を考える必要があり,電解質維持を考慮した製剤の検討が望まれる.
著者
阿部 正和
出版者
中国中世文学会
雑誌
中国中世文学研究 (ISSN:05780942)
巻号頁・発行日
no.30, pp.1-18, 1996-07-30
著者
諫早 勇一 望月 哲男 望月 恒子 鈴木 淳一 中村 唯史 大平 陽一 阿部 賢一
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011

19世紀ロシア文学はドストエフスキイやトルストイの文学にみるように、プロットの面から「移動」と密接につながっているばかりでなく、時空間感覚を含めたその表現においても「移動」と切っても切れない関係にあった。本研究では、19世紀ロシア文学だけでなく、20世紀ロシアの文学・芸術、さらには中東欧の20世紀文学も視野に収め、「移動」の果たした役割を再検討して、「移動」は文学表現において重要な位置を占めるだけでなく、視点という問題を介して、文学とそれ以外の芸術とを結びつける重要な要素であること、亡命・越境のような20世紀の大きな文化現象を表象するためのキーワードであることを確認した。
著者
阿部 永
出版者
The Mammal Society of Japan
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.1, pp.51-65, 2003-06-30
被引用文献数
5

本州,九州,四国および隠岐島(島後)のほぼ全域にわたる63水系,191箇所において大型はじきワナ(幅 8.5cm,長さ 14cm)によるカワネズミ Chimarrogale platycephala の捕獲を行い,本州と九州の調査地177箇所中86箇所から139個体を捕獲した.四国と隠岐島(島後)では良好な環境でも全く捕獲できなかったことから,従来の予測通り生息しないものと考えられた.河床沿いの線状ワナかけによるワナ数と捕獲結果の関係から,カワネズミは個体ごとの縄張りをもつことが示唆された.生息地の標高分布の下限は北方で低く,南方で高い傾向があり,その上限は川の源流の標高に依存した.昼間の活動個体目撃例や捕獲例が比較的多いことから,カワネズミは1日複数回の活動周期を持つことが示唆された.相対的に遮蔽物の少ない河床環境において昼間も活動するカワネズミにとっては,下側に空隙や陰を作る岩や倒木などが数m から 10m 程度の間隔で存在するような河床環境が生息場所としての重要な条件であることが分かった.また,川岸が水流によって削られた河岸洗掘洞も同様の働きを持つ環境要素であった.これらの環境要素を備えたところでもカワネズミの採集されない川が多く見られたが,その場合には,濁流の発生をもたらし,水生昆虫相を壊滅させる各種土木工事等が上流側で行われているか,あるいは過去に行われたと思われる例が多く見られた.そのことから,カワネズミは環境の人為的改変に対して大変脆弱な動物であることが示唆された.