著者
小野寺 博義 鵜飼 克明 岩崎 隆雄 渋谷 大助 松井 昭義 小野 博美 町田 紀子 阿部 寿恵
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
健康医学 (ISSN:09140328)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.211-214, 2000

1991年度から1998年度までの宮城県対がん協会の腹部超音波検査を併用した成人病健診(現在はがん・生活習慣病検診)受診者を対象として,脂肪肝の頻度およびBMIと血液生化学検査結果の変化を検討した。脂肪肝の頻度は16.6%から32.6%と7年間で2倍となった。総コレステロール,中性脂肪も有意に上昇しているのが確認された。生活習慣指導に役立つ事後指導システムの開発が急務である。
著者
阿部 史佳
出版者
大分大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

性差による口腔扁平上皮癌の病態の違いをみるため、まず40歳未満の若年口腔癌患者を26人(男性15人、女性11人)対象に、生活歴、ヒトパピローマウイルス(HPV)感染率、エストロゲン受容体α(ERα)とエストロゲン受容体β(ERβ)の発現に差があるか否かを検索した。喫煙者は男性77%、女性患者18%と圧倒的に男性患者に多く、HPV感染率は男性 53.3%、女性63.6%(全体は57.7%)とやや女性に多かった。ERαは癌細胞の細胞質と一部の細胞核に、ERβは癌細胞の細胞核に陽性を示し、両者の発現パターンに男女間での違いを認めなかった。若年口腔癌では性差による差を捉えることができなかったため、次に口腔多発癌患者に対象を変え、口腔潜在的悪性疾患OPMDの有無を検討した。この結果、OPMDを73.3%の症例に認め、その内訳は口腔扁平苔癬OLPが最も多く(46.7%)、次いで口腔白板症(20%)であった。またOLPを併発した口腔多発癌患者の71.4%が女性であったことから、OLPが女性の口腔多発癌の発症と関連することが示唆された。そこで女性の口腔多発癌と男性の単発口腔癌では口腔発癌過程の違いがあるものと仮説をたて、まず早期癌18例(男性12例、女性6例)を対象に癌周囲粘膜における異型上皮の有無を検索したところ、女性では4例(66.7%)、男性では1例(8.3%)で口腔癌から離れた部位にスキップした異型上皮を認めた。このことは女性では多中心的に口腔発癌が生じやすい傾向を示しており、OLPを前駆疾患とする口腔多発癌が女性に多いことと合わせて注目すべき所見と考える。現在、口腔発癌の初期に高頻度に生じることが報告されている遺伝子変異(9p21と3p14領域のヘテロ欠失)に注目してさらに検索を進めている。
著者
武藤 昌太郎 宮田 貞一 阿部 武
出版者
The Japan Society of Naval Architects and Ocean Engineers
雑誌
造船協會論文集 (ISSN:18842062)
巻号頁・発行日
vol.1964, no.116, pp.169-183, 1964 (Released:2009-07-23)
参考文献数
4
被引用文献数
1

In recent years, the productivity in shipbuilding has greatly been increased by means of “block” or subassembly method with aid of advanced welding technique and more fruitful results may well be expected through “three dimensional block” method in lieu of conventional flat block method.However, when composing the massive, three dimedsional block is thought of, various problems must be solved such as the accuracy in dimension & shape of block, the area of assembly yard, crane capacity, and lifting pads etc.The present paper is concerned with the three dimensional block method which has been established and placed successfully in use of cargo ship construction in this yard as the first attempt in the ordinary shipyard except the newly built, special shipyard in Denmark.
著者
八島 建樹 高木 敏行 出江 紳 一 永富 良一 浅尾 章彦 森 仁 阿部 利彦
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.103-109, 2016 (Released:2017-01-15)
参考文献数
24
被引用文献数
4 5

著者らが開発した末梢神経を刺激することを目的とした磁気刺激装置を用いて,健常者の橈側手根伸筋を刺激し,これ によって誘発される手関節の背屈運動と刺激条件との関係を調べた.磁気刺激の条件として,磁場強度を3 段階,刺激周波数を10 ~ 50 Hz の5 段階,刺激時間を0.5 ~ 2.0 s の4 段階に変化させ,前腕を刺激した.この時に誘発される手関節の運動角度を電子角度計を用いて計測した.刺激条件に応じて,手関節の背屈角度はごくわずかな動きから100 度を超える大きな動きまで誘発できることが明らかになった.
著者
高橋 聡明 新谷 結衣 村山 陵子 野口 博史 阿部 麻里 Koudounas Sofoklis 仲上 豪二朗 森 武俊 真田 弘美
出版者
Japanese Society of Wound, Ostomy and Continense Management
雑誌
日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌 (ISSN:1884233X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.576-584, 2021 (Released:2021-11-10)
参考文献数
28

背景:末梢静脈点滴の合併症は、時には潰瘍化にいたる重要な問題である。血流の多い血管を使用することにより、合併症予防の可能性が示されてきたが、末梢静脈の血流測定方法は確立されていない。そこで本研究では健常者における超音波検査装置による上肢静脈血流量測定の信頼性妥当性検証を行い、血流量測定を行うこととした。 方法:対象は健常成人8人、上肢12本とした。上肢主要静脈である上腕尺側静脈、前腕橈側皮静脈、前腕尺側皮静脈、前腕正中皮静脈を測定部位とし、訓練を受けた看護師が測定を行った。並存妥当性の検証を行うため、従来手技である手動による測定とAuto Volume Flow(AVF)機能を用いて測定を行い、ピアソンの相関係数を計算した。評価者内信頼性検証として級内相関係数(ICC)を、既知集団妥当性として豊富な血流量が予測される上腕尺側静脈と前腕に位置する静脈を比較した。 結果:測定者内信頼性について、従来手技では、すべての測定の平均は25.5 ml/minで、ICC(1,1)(1,3)はそれぞれ0.91 (p<0.01)、0.97(p<0.01)であった。並存妥当性については、従来手技、AVF による測定との相関はr = 0.96(p<0.01)であった。既知集団妥当性として、前腕の主要静脈の血流量はいずれも上腕尺側静脈と有意な差を示した(p<0.01)。 結論:上肢末梢静脈の超音波検査装置による血流測定の信頼性および妥当性が示された。
著者
阿部 美穂子 吉田 彩子 山川 俊幸 森 光康
出版者
富山大学人間発達科学部発達教育学科発達福祉コース
雑誌
とやま発達福祉学年報 (ISSN:21850801)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.3-13, 2014-05

本研究では、児童福祉施設併設特別支援学校に在籍する知的障害のある中学部生徒のキャリア力を育てることを目的に、生徒らが働く喜びを知り、自らの果たすべき役割の理解と働くことの意義を知るための授業実践に取り組んだ。役割を継続的に実行できれば、周囲から認められる機会が増え、働く喜びにつながると考え、このような経験の積み重ねで、キャリア力の裏付けとなる自己有用感を高めることを目指した。実践にあたっては、①「成果のイメージつくり→役割の実践→実践に対する自己評価→役割の価値理解」を「学習サイクル」として組み入れること、②グループでの活動を基本とすること、③自作「自己評価シート」を活用すること、さらに、④「グループの仲間のため」「見える他者のため」、「見えない他者のため」の3つの相手を設定して活動を設定することの4点から、授業を組み立てた。実践の結果、対象児らにグループの成員として質の高い仕事を成し遂げるため、自ら役割を果たそうとする行動が見られるようになり、併せて対象児らの自己評価から、その自己有用感が高まったことが確認された。
著者
阿部 隆一
出版者
慶應義塾大学附属研究所斯道文庫
雑誌
斯道文庫論集 (ISSN:05597927)
巻号頁・発行日
no.5, pp.345-379, 1967-07

沿革と現状法宝蔵善本略解題
著者
阿部 幸紀
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.61, no.9, pp.448-451, 2013-09-20 (Released:2017-06-30)

本編では,全世界的なリチウムの資源とその採掘法,および炭酸リチウムへの変換法とその需要について述べる。リチウムの埋蔵量(リチウム金属換算,以下同)はおおよそ1,300万tから3,472万t,そのうち鉱石とかん水の比率は3:7程度と見積もられている。鉱石を用いる場合,製品化までの期間が1ヵ月程度と短いものの,採鉱・選鉱等でコストがかかる。一方,かん水からは自然界の天日濃縮などで製品化まで1年ほどかかるものの,生産コストは安い。国内で生産ないし消費されるリチウム金属とリチウム化合物は,出発原料,製品の全量を輸入に依存している。輸入品の主体は炭酸リチウムで,そのままで使われるほかに,臭化リチウム,酸化リチウム,塩化リチウムなどの二次加工製品の原料としても用いられる。近年,リチウムイオン二次電池の正極材および電解液中の電解質材料として急速に需要が拡大しているほか,添加剤としてさまざまな用途に使用されている。
著者
岡田 浩 鈴木 渉太 西村 亜佐子 池田 裕美枝 阿部 圭子 中山 健夫
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.141, no.11, pp.1275-1279, 2021-11-01 (Released:2021-11-01)
参考文献数
13
被引用文献数
1

Emergency contraceptive (EC) pills are used to prevent pregnancy after unprotected sexual intercourse. Levonorgestrel is an EC pill, which has been only approved in Japan; it is more effective the sooner it is used after intercourse and safe without serious side effects. EC pills are already available at accessible community pharmacies in more than 90 countries around the world. In Japan, citizens have signed a petition calling for the sale of emergency contraceptives at community pharmacies. However, little is known about the thoughts of pharmacists who engage with patients and sell medicines at pharmacies. Therefore, we conducted a web-based cross-sectional survey to determine the level of preparation in community pharmacies and the awareness of pharmacists regarding the sale of EC pills. A total of 1338 pharmacists responded to the survey from November 7, 2020, to December 16, 2020. In terms of the level of preparation for selling EC pills at pharmacies, 1067 (83.9%) respondents cited “lack of preparation of medical questionnaires and explanatory materials”, and 975 (76.7%) respondents cited “lack of knowledge of pharmacists” as the most common reasons that were “barriers to EC pill sales at pharmacies”. In terms of confidence level, only 289 (22.7%) respondents were confident about conducting the necessary checks while administering medicine. On the other hand, 944 (74.3%) respondents agreed to be able to sell EC pills at their pharmacies. The survey revealed that most of the pharmacists who participated in the survey believe that it is possible to sell EC pills in pharmacies.
著者
阿部 憲一 大橋 晶良 山口 隆司 徳富 孝明
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
環境工学研究論文集 (ISSN:13415115)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.195-200, 2007-11-16 (Released:2011-06-27)
参考文献数
25
被引用文献数
2

塩分濃度は亜硝酸型硝化に影響を及ぼす主要な環境因子の一つであるが, その効果については賛否両論がある. 本研究においては, 担体を充填したエアリフト型リアクターに人工廃水中のNaCl濃度を段階的に上げて供給したところ, NaCl濃度が16gCl・L-1に達してもNO2蓄積は確認されなかった. 同NaCl濃度条件下でNH4+濃度を上げたところ部分的なNO2蓄積が起こり, 本リアクターは亜硝酸型硝化のポテンシャルを持つことが示された. 以上のことから, 塩分濃度に亜硝酸型硝化の誘導効果は無いことが判明した. NaCl添加の前後でも, リアクター内のアンモニア酸化細菌 (Nitrosomonas europaea) および亜硝酸酸化細菌 (Nitrobacter spp., Nitrospira spp.) の種類は大きく変化しなかった.
著者
阿部 二郎 レティホンヴァン
出版者
北海道教育大学
雑誌
北海道教育大学紀要. 人文科学・社会科学編 (ISSN:13442562)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.1-16, 2021-02

本稿は日本語とベトナム語に見られる謝罪表現及び謝罪言語行動を対照し,その特徴を明らかにすること,およびその応用としてベトナム人日本語学習者に対する謝罪の指導法を考案することを目的とする。日本人とベトナム人を対象とした調査から,日本人は相手によらず謝罪表現を使用する傾向があるのに対し,ベトナム人は相手によって謝罪表現の使用率やストラテジーが大きく異なるという結果が得られた。この結果に対しポライトネス理論の枠組みから,日本人が相手のフェイスを優先するのに対し,ベトナム人は相手との関係に応じて自分と相手いずれのフェイスを優先するかが変化するという説明をおこなった。さらに,このような両言語の特徴を学習者が意識化できるような日本語の授業案を作成した。