著者
阿部琥珀 宇山心海 三村風音
雑誌
サイエンスキャッスル2015
巻号頁・発行日
2015-12-04

タンパク質が耐熱性で化学的に安定なタンパク質をもち、高温条件で生息可能な「好熱菌」は、研究のツールや産業応用としても有用である。日本列島には様々な水質の熱水性温泉が存在し、多種多様な好熱菌が生息していることが考えられる。これまでの研究成果から、有馬温泉の天神泉源(金泉)より、75℃以上で増殖する4種の好熱菌の単離に成功した。16S rRNA遺伝子による系統解析を行ったところ、すべてThermus thermophilusの近縁種であることが明らかになった。また、生育条件を調べたところ、90℃でも生育が可能であり、さらにプレート上でのコロニーの形や色に違いが生まれることを発見した。
著者
大澤 啓亮 白井 克佳 阿部 篤志
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.70, pp.196_3, 2019

<p> 選手の過去から現在までの競技成績の推移は、その後における国際競技力の進捗のモニタリングや設定目標の検討を行う際に有用な情報である。本研究では女子テニス選手のWTAシングルスランキングに着目し、競技成績の評価指標を構築することを目的とする。対象はWTAシングルスランキングにおいて最高順位が上位16位内に入った実績のある選手(85名)とした。上位4位に入った実績のある選手のグループ(Top4)、上位5~8位に入った実績のある選手のグループ(Top8)、上位9~16位に入った実績のある選手のグループ(Top16)の3つに分類し、各年齢においてランキング上位100位までに入った選手数の割合について分析を行った。その結果、各グループにおいて18歳時点で上位100位までに入った選手数の割合が相対的に高く、特にTop4のグループでの構成比率が高かった。この結果は18歳未満の選手が年間に出場できる大会数が制限されていることが1つの要因と考えられるが、18歳時点で上位100以内に入ることが将来的に上位4位に入るための一つの指標となりうることも示唆された。</p>
著者
堀口 恵子 神戸 美恵子 永井 由美子 阿部 雅子 高橋 雅子 渡邊 静 綾部 園子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.32, 2021

<p>【目的】日本調理科学会平成24〜26年度特別研究で、群馬県各地域の家庭料理について、次世代へ伝え継ぐ資料として聞き書き調査を行い報告した。その後の追加調査や刊行資料調査も含め、群馬県の家庭料理 行事食の特徴について報告する。</p><p>【方法】平成 25 年 10 月〜27 年 2 月に群馬県内の8地域において,特別研究の方法に従い,各地域 2 名以上の調査対象者に対して同意を得た上で,調査票に沿って対話したものを記録し,その後の追加調査の結果も加えた。</p><p>【結果】群馬の行事食では、赤飯ときんぴらの組み合わせやけんちん汁の頻度が高い。赤飯にはもち米だけでなくキビやアワ加えることもあり、豆は小豆、ささげ、いんげん豆、花豆などを用いて色をつける。小麦の産地なので、日常食として手打ちうどんやそばを食するが、行事食としても供される。また、蒸かし饅頭も行事の折(田植え、農休み、七夕、釜の口開けなど)に作る。焼き饅頭は、初詣、初市、地域の祭りなどでは必ず屋台がたつ。代表的な年中行事の行事食は、正月(雑煮、きんぴら、なます、煮物、煮豆)、七草(七草がゆ)、小正月(小豆粥)、どんど焼き(まゆ飾り、餅花)、節分(しもつかれ、ざく煮、福豆、いわし)、ひな祭り(ちらしずし、菱餅、草餅、きんぴら)、お彼岸(ぼたもち、おはぎ、天ぷら)、端午の節句(柏餅、鯛の塩焼き、赤飯)、田植え(おにぎり、田植えにしん)、お盆(煮しめ、うどん、天ぷら、きんぴら)、十日夜(けんちん汁、もつ煮、だんご)、えびす講(ざく煮)、屋敷祭り(けんちん汁、いわし)、冬至(かぼちゃの煮物、おっきりこみ)、年越し(晦日そば、きんぴら、年越しそば)など,通過儀礼では初誕生(一升餅),結婚式(太巻き、ざく煮)などがある。</p>
著者
星 直弥 龍原 哲 阿部 信行
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.83, no.4, pp.315-321, 2001-11-16
被引用文献数
3

本研究ではLandsat-5 TMデータを用いて落葉広葉樹天然林における葉面積指数(LAI)の推定を試みた。新潟県滝首湿原流域, 日尊の倉山流域で落葉広葉樹天然林のLAIをリタートラップ法により測定した。LAIの実測値とLandsat-5 TMデータから得られる各バンドの輝度値, タッセルドキャップの概念のBrightness, Wetness, Greenness, 正規化植生指数(NDVI), 比植生指数(RVI)との関係を調べた結果, NDVIと最も高い相関を示した。指数式でLAIとNDVIとの関係を示した結果, 標準誤差率は6.6%であった。さらに, LAIと葉乾重量の一次回帰式を求めた。二つの式を用いてNDVIから推定した葉乾重量と実測値との相関係数は0.576,有意水準1%で有意であった。LAI-NDVI関係式を適用して, 研究対象地におけるLAI分布図を作成した。LAIの平均値は滝首湿原流域で4.15,日尊の倉山流域で5.00であった。
著者
鈴木 樹里 三輪 宣勝 熊崎 清則 阿部 政光 釜中 慶朗 松林 伸子 後藤 俊二 松林 清明
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.361-366, 2001-04
参考文献数
17
被引用文献数
1 5

飼育下においてニホンザルの身体成長がどのようにまたどこの部位が変化するのかを明らかにするために,放飼場とケージという異なる飼育様式で1歳齢から7歳齢までの,雄77例,雌92例を対象に身体の各部36項目の生体計測を行った.ケージ飼育個体の計測値は多くの項目で放飼場飼育個体の値より小さかった.雌雄ともに初期発達期に成長率が大きい項目で育成空間の大きさの影響を受けやすいことが明らかになった.多くの項目は性成熟期の成長によって初期成長の遅れを回復するが,移動運動に関連する前腕最少周囲径,手長,下腿最少周囲径および足長では発達初期の影響を大きく受け,ケージ飼育個体の成長の遅延したままであった.雌の方が雄よりも飼育スペースの大きさの影響を受けやすいことも明らかになった.これらのことからニホンザルの持っている本来の成長を保証するためには,面積が広く且つ垂直方向に自由に運動できる飼育環境が必要であることが示唆された.
著者
阿部 進
出版者
日本土壌動物研究会
巻号頁・発行日
no.93, pp.29-37, 2014 (Released:2014-06-10)

ミミズ(Oligochaeta) やシロアリ(Isoptera)のような土壌無脊椎動物は土壌生態系改変者と呼ばれ,土壌物理環境を改変・撹乱することによって他の生物への資源の有効性に影響を及ぼしている。土壌生成過程における物理学的,化学的,生物学的な影響に対する関心が高いのに対して,生態系改変者が土壌鉱物の風化において直接的および間接的に重要な影響を及ぼしていることはあまり認識されていない。その直接的な影響は鉱物粒子の物理的破壊であり,分泌物質による化学的変質である。一方,土壌無脊椎動物の共生微生物によって生成される有機酸やキレート成分による鉱物の溶解など間接的な影響もある。本稿では,土壌生態系改変者が土壌鉱物の風化に及ぼす影響に関する既往の文献を総括し,このトピックにおける研究課題と将来の展望について議論する。
著者
水本 裕士 阿部 駿佑 稲垣 裕之 浅岡 龍徳
出版者
公益社団法人 日本冷凍空調学会
雑誌
日本冷凍空調学会論文集 (ISSN:13444905)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.327, 2019-12-31 (Released:2020-12-31)
参考文献数
13

工場排熱や太陽熱等の中低温(200°C 以下)の熱利用を対象としたスラリー熱媒体として,エリスリトール水溶液の固液共存状態であるエリスリトールスラリーを提案する.熱媒体として使用するために,熱伝達特性について把握することを目的とする.実験は周囲から一様の熱流束で加熱されたステンレス管にエリスリトールスラリーを流し,固相率とレイノルズ数をパラメータとして局所熱伝達係数を測定する.層流では,管断面の局所熱伝達係数に関して,管側部と管下部の局所熱伝達係数が高くなることがわかった.乱流では,管断面で熱伝達係数の差は小さく,固相率の影響も少ないことがわかった.結果より,層流域において固相率と流動様相の変化が局所熱伝達係数に大きな影響を及ぼすことを確認し,システムの設計においては流動様相を考慮する必要があることを示した.
著者
古川 清治 内保 顕 内田 敏仁 伊藤 一郎 吉田 恒行 上林 史朗 阿部 清一 古角 雅行
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.10, no.5, pp.276-283, 1999-09-30 (Released:2010-05-31)
参考文献数
11
被引用文献数
2 1

ごみ焼却残渣の溶融施設から排出されるばいじん (溶融飛灰) 中の重金属の安定化手法として, リン酸処理方法について検討した。溶融飛灰原灰および, これにリン酸を添加, 混練りしたリン酸処理灰について, 各種溶出試験によりPbなどの重金属の溶出挙動を調べるとともに, 処理灰の化学形態を調べた。各種溶出試験の結果から, pHや液/固比によらず, リン酸処理灰は原灰と比較してPb, Cd, Zn, CuおよびCaの溶出が抑制されることが明らかとなった。また, リン酸処理灰の形態調査の結果から, 処理灰中には, 化学的に安定な鉱物であるPb5 (PO4) 3Cl (クロロピロモルファイト) が検出された。
著者
阿部 哲久
出版者
広島大学附属中・高等学校
雑誌
中等教育研究紀要 (ISSN:13497782)
巻号頁・発行日
no.62, pp.3-10, 2016-03-31

政治的教養の育成をめざした授業の開発と実践研究を行った。授業はジョシュア・グリーンの理論に基づいて構成した。「トロッコ問題」などの思考実験によって実感を持って考えさせること,活動に加えて人間の道徳的判断や道徳的価値観についての知識を学ぶことで自分自身の道徳的判断を客観的にとらえさせることを意図した。実践の結果を分析したところ,政治的教養の基盤として目標に設定した「一つの見解が絶対的に正しく,他のものは誤りであると断定することは困難である」という見方を育成する上で効果があることが示唆された。
著者
武井祥 徳永幸生 杉山精 阿部匡伸
雑誌
第73回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.251-252, 2011-03-02

日常生活環境の中に存在している様々な環境音を組み合わせて創った音楽がある。<br />この音楽は、楽器音ではなく環境音を用いることで、音楽に付加価値を与えることができる。<br />しかし、多くの環境音は音楽を生成するのに必要な音高が認知しにくく、<br />そのような環境音のみで音楽を生成すると、音楽として認知しにくくなってしまう。<br />また、音高を認知しやすい音ばかりを用いてしまうと、付加価値が減少してしまう。<br />そこで、音高が認知しにくい環境音を用いてもどの程度なら音楽として認知しやすいかを検討した。<br />まずは、環境音を組み合わせて創られた音楽の例であるHondaのCM「Music」篇に着目し、検討した結果を報告する。
著者
江頭 和道 阿部 和彦
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.97-109, 1988-08-01 (Released:2010-12-10)
参考文献数
40
被引用文献数
1

自殺の季節変動は, 古い年代では多くの国においてピークが初夏 (6月) にみられた.日本では1900-09~1920-29には, 自殺のピークは5月と7月 (7月が高値) で, 6月の陥凹は, 梅雨と関係していると思われる.一般に年代とともに季節変動の大きさが減少し, ピーク月は早い方 (4月) へ移動していた.日本では, 寒冷期 (11-2月) の自殺率の増加に対応して, 自殺の季節変動量が低下していた.自殺の季節変動量 (S) と寒冷期の自殺が年間全自殺に占める割合 (△) との間には, 直線的な関係が観測され, ある仮定の自殺の季節変動 (ピークが5-6月, 谷が12-1月, その間は直線的に変化) に基づいて導出されるSと△との直線関係式によってよく説明された.多くの国の自殺の季節変動量は, このモデル直線に沿って年代とともに減少し, 生活水準が高い国ほど, 季節変動量は小さい.各国の自殺の季節変動は, ナーストラリアを除き同じ過程を経て年代的変化をしていたが, その変化の速度は国によって異なった.
著者
山岸 稔 三原 武彦 河西 紀昭 大山 宜秀 小島 邦彦 後呂 みゑ 渡辺 登 小口 弘毅 阿部 由紀子 朝倉 昭雄 塙 勇至 薄井 晶子
出版者
北里大学
雑誌
北里医学 (ISSN:03855449)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.p371-380, 1981-08

adenosine triphosphate (ATP)の諸作用のうち,これが赤血球膜の電解質調節機構(ポンプ機能)のエネルギー源となることは従来より知られている一方,最近はプリン代謝系酵素に対する作用としてadenylate deaminase (AMPDA)を刺激し5'-nucleotidase (5 Nase)を阻害することが報告された。そこで血清電解質異常の例として高カリウム(K)血症を伴う腎尿細管性アシドーシス(renal tubular acidosis, RTA)遠位K排泄障害型,また赤血球プリン代謝酵素異常の例として赤血球adenosine deaminase (ADA)高値を伴う遺伝性球状赤血球症(hereditary spherocytosis, HS)を選び,各症例の赤血球内外のK値, Na値,およびADA値, nucleoside phosphorylase (NP)値などを中心に測定して検討を加えた。RTA症例では,高K血症のときは赤血球内K値も上昇し,またその値は血清K値とほぼ平行的に変動することがKC1負荷テストで示された。しかしその赤血球膜のポンプ機能は, HSクリーゼ症例のようには増強されていないことがADA, NP測定値より示された。さらにATPのプリン代謝系酵素に対する作用として,これがADAを刺激し, NPを阻害することが推測された。
著者
水野 英彰 阿部 展次
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.1115-1120, 2018 (Released:2018-12-20)
参考文献数
30

経腸栄養管理は経口摂取が不可能または不十分な場合や、消化管の安静が必要な場合に活用され、静脈栄養管理に比べて生理的であることから多くの疾患・病態で適応となり、アウトカム比率向上に重要な代替栄養法である。経腸栄養を必要とする患者は、腸内環境の乱れ(以下、dysbiosisと略)を有している可能性が高く、これに伴う合併症も考慮される。プロバイオティクス・プレバイオティクスは、dysbiosisの是正を目的として進化を続けており、併用したシンバイオティクスも踏まえて消化器疾患のみならず周術期、2型糖尿病、アレルギー疾患など多くの領域で臨床での有用性が報告されている。経腸栄養管理の領域でも以前からプレバイオティクスやプロバイオティクスの有用性が評価されているがメタゲノム解析などの新たなモニタリングを活用した、さらなるエビデンスの構築が今後期待される。
著者
轡田 竜蔵 永田 夏来 阿部 真大 松村 淳
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

この共同研究のねらいは、拠点都市圏から離れた地域(=30万人以上の規模の都市雇用圏の圏外)に創出されている新しいライフスタイルや公共性について、これをオンラインや移動の広域化によって、都市を超えた社会が形成されているという観点を軸にして、社会学的に考察することである。京都府北部地域の20-40代を対象とし、当該課題に関する参与観察・インタビュー・質問紙調査を行う。