著者
津田 敏秀 馬場園 明 三野 善央 山本 英二 宮井 正彌 茂見 潤
出版者
The Japanese Society for Hygiene
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.462-473, 2000-07-15 (Released:2009-02-17)
参考文献数
49

As a condition to achieving an agreement of recognition on the causal relationship in medicine, we firstly explained Hume's problem and counterfactual model. We, however, emphasized that we believe in the existence of causality on medical issues in our daily lives. Therefore, we illustrated conditions when we usually believe in causality. On the other hand, we criticized two well-known key phrases, “lack of mechanism in epidemiology” and “black box in epidemiology”, which have often been used in Japan for skeptic viewpoints against epidemiologic methods even if epidemiology is often used to elucidate a causal effect in medicine in the world. We emphasized that a priori determinations of levels for inference of mechanism is necessary. And, the level and feature of mechanism should be defined in concrete expressions. After explanation of these basic concepts, we mentioned a classic view on specific diseases and non-specific diseases which have not been sufficiently discussed enough yet in Japan. As an example, we used the statements in the Japanese Compensation Law for the Health Effect by Environmental Pollution. In Japan, the classification of these diseases has been confused with that between manifestational criteria of diseases and causal criteria of them. We described the basic concepts to illustrate the causal relationship between non-specific disease and its exposure by using attached figures. Actually, we cannot recognize disease occurrence as a specific disease for several reasons. We indicated that we can recognize the magnitude of effect by causal relationships in medicine as a quantitative continuous variable.
著者
世古口 真吾 池上 和範 安藤 肇 吉武 英隆 馬場 宏佳 石垣 陽 盛武 敬 明星 敏彦 大神 明
出版者
The University of Occupational and Environmental Health, Japan
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.1-13, 2022-03-01 (Released:2022-03-07)
参考文献数
36

We manufactured a wearable particle monitor (WPM), which is a simple and low-cost dust monitor. We aimed to evaluate the usefulness of the device by using it and location information of a Global Navigation Satellite System (GNSS) to measure dust generation in outdoor workplaces. We used nine WPMs and a particle counter KC-52 to measure in parallel the dust concentration diffusing standard particles in a dust exposure apparatus to evaluate the measurability of the WPM, and visualized dust generation in outdoor workplaces to evaluate its usability. We obtained location information using a GNSS in parallel with measuring with the WPM. The measured values of the WPM followed the measured values of the KC-52, with a strong correlation of the values between the KC-52 and each WPM. The discrepancy among devices tended to increase, however, because the measured values of the WPMs increased. For outdoor measurements, we could create a heat map of the relative values of dust generation by combining two data of the WPM and the GNSS. The methods of using the WPM could overview the conditions needed to produce dust emissions in dust-generating workplaces.
著者
馬場 幸栄
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

緯度観測所(岩手県奥州市水沢)の歴史を再構築するため、国立天文台や個人が所蔵する資料群を調査し、関係者への聴取調査を行った。ガラス乾板から復元した写真、簿冊『国有財産関係書類』から発見した図面、所員の証言から、眼視天頂儀室や歴代本館等の外観・構造および所員らの姿・担当業務を明らかにした。また、紙焼き写真、地域資料、所員の証言から、初代所長・木村栄が水沢宝生会を通して交流していた地域の名士を特定したほか、同観測所が大正時代から女性を積極的に雇用していたことも発見した。さらに、葉書、絵画、ビデオテープなど新たに発見した資料から、第2代・第3代所長や工作係長の人物像・業績も詳らかにした。
著者
馬場 章
出版者
一般社団法人日本計量史学会
雑誌
計量史研究 (ISSN:02867214)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.25-32, 1997-12-31
被引用文献数
1
著者
馬場 紘彦 江端 正直
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.425-436, 1995-06-01
被引用文献数
2

本研究は、救急車の警告音について住民意識調査を行い、多重分析法を用いて因果分析を行い検討したものである。調査は、久留米市の救急病院周辺と住宅地の4地域を、メッシュ統計で区分けして、留め置き法で行い、1,183人の有効な回答を得た。分析結果を以下に述べる。警告音は、住民に交通騒音と同程度に邪魔に感じられており、不快感や睡眠の妨害等、心理的にかなりの影響を及ぼしている。次に、「気になる」ことに着目すると、その時間帯がほとんど夜間であり、昼間と答えた人は1.3%にすぎない。そして、すべての地域で「聞こえる回数」が強く影響を及ぼしている。また、「住居地と主要道路との間の距離」、「年齢」、「世帯」による差は、地区により異なる。
著者
馬場 志郎 大東 貴志 橘 政昭 出口 修宏 実川 正道 畠 亮 田崎 寛
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.82, no.12, pp.1916-1923, 1991-12-20
被引用文献数
10 2

経尿道式前立腺温熱治療器"ブロスタトロン"を用いて31例の前立腺肥大症症例に高温度治療法を試み,自覚的症状,他覚的所見の変化を検討しその効果を判定した。経尿道的に尿道前立腺部に挿入する22Fの治療用バルーンカテーテルはマイクロウエーブアンテナと冷却潅流回路を備えており,高出力で前立腺内部を安全に加熱できる。尿道内最高治療温度は43.3〜45.5℃(44.7±0.96℃:mean±S.D.)で平均出力は27.4Wattであった。治療時間は単回,1時 間ですべて外来通院で行った。1例には治療後尿閉が改善せずTURPを行い切除標本を組織学的に観察した。尿道粘膜はよく保存されているわりに前立腺組織内には,間質の壊死性変化のみならず腺管腔内に脱落した萎縮腺上皮細胞も観察され,プロスタトロンによる温熱効果が組織学的に証明された。のこりの30例の効果判定は自覚的症状,残尿量ならびに最大尿流量率を点数で表し治療後8週目で治療前の点数と比較した。自覚的症状,他覚的所見の両方とも点数の改善が認められたのは13例(43.3%),他覚的所見に改善がみられず自覚的症状のみが改善されたものが14例,自覚的症状scoreが不変で他覚的所見scoreが改善されたもの2例,これらの症例を合計すると29例(96.7%)になんらかの改善が認められた。総合scoreで,25%以上scoreが減少したものを『有効』,24%未満10%以上を『やや有効』とすると有効率は各々53.3%,37%であった。
著者
馬場 香里
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.207-218, 2015 (Released:2016-02-24)
参考文献数
66
被引用文献数
1

目 的 児童虐待防止への介入の必要性の判断や介入の評価指標とする児童虐待の本質を捉えた尺度の開発につなげ,さらに将来的な周産期における児童虐待防止への支援の発展と,児童虐待予防活動の基盤づくりへの示唆を得ることを目的とした。方 法 Rodgers(2000)の提唱する概念分析のアプローチ法を用いた。9つのデータベースとして,医中誌Web,CiNii,MEDLINE,CINHAL,PsycINFO,SocINDEX,Minds,National Guideline clearing-house,trip databaseを使用し,検索用語は「児童虐待(child abuse),妊娠(pregnant women),産後(postnatal),育児(child care)」とした。最終的に,英語文献26件,日本語文献32件の計58件と,日本小児科学会の発行している「子ども虐待診療手引き(2014)」を分析対象とした。結 果 5つの属性【養育者から子どもへの一方的な支配関係】【養育者の自覚の有無に関係しない行為】【子どものwell-beingを害する行為】【子どものwell-beingを保つ行為の欠如】【子どもの状況】,5つの先行要件【養育者の要因】【子どもの要因】【社会環境の要因】【複数要因の重なり】【適切な介入の不足】,5つの帰結【子どもの保護】【養育者の否認と孤独】【サバイバーの健康への影響】【母になったサバイバーの苦悩】【世代間伝播】が抽出された。代用語に「child maltreatment」が抽出され,関連概念に「しつけ」「shaken baby syndrome(揺さぶられっこ症候群)」「Munchhausen Syndrome by proxy(代理ミュンヒハウゼン症候群)」が抽出された。分析の結果,本概念を「養育者から子どもへの一方的な支配関係から成る,養育者の自覚の有無に関係しない行為による子どもの状況を基盤とした,子どものwell-beingを害する行為,及び子どものwell-beingを保つ行為の欠如である」と再定義した。結 論 本概念分析の結果は,児童虐待の本質を捉えることにつながり,今後の研究において児童虐待を測る尺度を開発する基盤となりうる。また本概念分析により,児童虐待による子どもへの長期的な健康への影響や,次世代への児童虐待の繰り返しの可能性が示され,児童虐待発生前の妊娠期からの予防の必要性,特に周産期で主な支援対象となる母がサバイバーであった場合の母に対する介入の必要性が示唆された。さらに周産期における児童虐待防止への支援については,妊婦のみならず,そのパートナーや子ども,社会環境も含めて支援対象であると認識し,それらの要因に対する適切な介入が必要である。
著者
小林 弘尚 最上 晴太 高橋 希実 馬場 長 近藤 英治 小西 郁生
出版者
近畿産科婦人科学会
雑誌
産婦人科の進歩 (ISSN:03708446)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.405-409, 2015 (Released:2015-11-27)
参考文献数
13

リステリア感染症は主にグラム陽性桿菌のListeria monocytogenesにより引き起こされる.この比較的まれな感染症は,周産期では時に流産,早産,子宮内胎児死亡を生じ,予後不良の疾患である.症例は35歳の初産婦,妊娠5週ごろに生ハムとチーズを海外で摂取した既往がある.妊娠9週で39.5℃の発熱を認め受診した.血液培養ではListeria monocytogenesが検出され,直ちに抗生剤による治療を開始した.母体はしばらく弛張熱が続いたが徐々に症状は改善された.しかし稽留流産となった.子宮内容物の病理診断では,多数の好中球浸潤と絨毛の壊死が著明であった.グラム染色では菌体を検出できなかった.妊婦が高熱を発症したときはリステリア感染症を鑑別に入れ,血液培養がその診断に必須である.ペニシリン系の抗生剤を迅速に使用することで母体の予後を改善することができる.〔産婦の進歩67(4):405-409,2015(平成27年10月)〕
著者
江島 晶子 戸波 江二 建石 真公子 北村 泰三 小畑 郁 本 秀紀 薬師寺 公夫 阿部 浩己 村上 正直 齊藤 正彰 鈴木 秀美 大藤 紀子 戸田 五郎 門田 孝 申 惠ボン 山元 一 中井 伊都子 馬場 里美 西方 聡哉 須網 隆夫 愛敬 浩二 徳川 信治 前田 直子 河合 正雄 菅原 真 辻村 みよ子 根岸 陽太 村上 玲
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究は、グローバル化する世界における法のありようとして、「憲法の国際化」と「国際法の憲法化」という現象における両者の接合面に注目し、人権実施における問題点を明らかにしながら、より実効的な人権保障システムに関する理論構築を目指した。その結果、「憲法の国際化」と「国際法の憲法化」の接合面において比較憲法と国際人権法の積極的接合関係を観察することができ、人権保障の実効性を高める新たな人権保障システムを構築することは可能であり、そこでのキー概念は多元性、循環性、非階層性であることが析出できた。
著者
馬場 英朗
出版者
日本NPO学会
雑誌
ノンプロフィット・レビュー (ISSN:13464116)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.83-95, 2007 (Released:2008-04-04)
参考文献数
34
被引用文献数
1

NPOと行政の協働が叫ばれる状況下,NPOへの委託事業が増加しているが,十分な対価が確保されず,NPOが安価な下請先とされる懸念もある.この点,NPOと行政の協働が進むイギリスでは,フルコスト・リカバリーの考え方を示し,直接費だけでなく,間接費も含めた全てのコストをNPOが回収するように提言している.本稿では,イギリス及び「NPOと行政の協働に関する実務者会議」(愛知県)の議論を参考に,NPOが回収すべきフルコストの範囲を検討し,愛知県下3例の協働事業についてフルコストの試算を行った.その結果,行政による積算はフルコストの5割から7割しかカバーしておらず,事業内容に見合った人件費単価が設定されていない,事業に必要な経費が漏れなく計上されていない,団体を維持するために不可欠な間接費が見込まれていない,という問題点が明らかになった.ただし,NPO側にも,本当に必要な人件費や間接費の水準を示すことができていないという問題がある.
著者
馬場 重樹 佐々木 雅也 安藤 朗
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.1099-1104, 2018 (Released:2018-12-20)
参考文献数
84

ヒトは腸内細菌叢と共生している。腸内細菌叢は宿主であるヒトの栄養代謝、防御機構、免疫機構の発達に大きく寄与している。ヒトの腸内細菌叢の異常はdysbiosisと呼ばれ、炎症性腸疾患や過敏性腸症候群、メタボリック症候群、喘息、心血管疾患など種々の疾患との関連性が示唆されている。また、dysbiosisの原因として、抗菌薬やプロトンポンプ阻害薬などの薬剤だけでなく、欧米型の食事、環境因子など種々の要因が考えられている。日本人の腸内細菌叢は他の国と比較し生体に有益な機能を有していると報告されているが、ここ数十年で炎症性腸疾患の患者数が爆発的に増加しており、欧米型の食事パターンとの密接な関連性が示唆されている。腸内細菌叢は食事内容の影響を大きく受けるためdysbiosisの原因となるライフスタイルを避ける必要がある。本稿では腸内細菌叢の機能やdysbiosisがどのような要因で生じるのかについて解説を行う。
著者
馬場 靖雄
雑誌
社会学研究所紀要 (ISSN:24353833)
巻号頁・発行日
no.1, pp.1-16, 2020-03-31

マスメディアの現状に照らしつつ,「機能分化し閉じられた(オートポイエティックな)システムとしてのマスメディア」というルーマンの議論の射程と有効性を検討する.ルーマンはマスメディアを,機能分化し,「情報/非情報」のコードによって自律化し閉じられたオートポイエティック・システムであると見なす.ルーマンのこの議論は,マスメディアの自律性を過度に強調し,マスメディアと社会(全体社会Gesellschaft)とのつながりを無視して前者の社会的責任を免除するものだとして,しばしば批判されてきた.またマスメディアが社会の諸領域に浸透・融合し影響力を拡大しつつある現状にそぐわないとの指摘も為されている.しかしこの種の批判では,「コードによる自律性」が常に無限遡行の可能性と決定不能性を孕んでいること,あるいは自律性とはこの決定不能性に他ならないことが見逃されている.ルーマンのマスメディア論は,ITの進展・普及によって明らかになりつつある,マスメディア・システムに内在する偶発性・不確定性を理論的に指摘しているという点で,むしろ「先進的」なのである.
著者
馬場 悠男
出版者
バイオメカニズム学会
雑誌
バイオメカニズム学会誌 (ISSN:02850885)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.158-162, 1995-08-01 (Released:2016-10-31)
参考文献数
5
著者
岡 大祐 関根 芳岳 大津 晃 青木 雅典 林 拓磨 馬場 恭子 中山 紘史 栗原 聰太 宮尾 武士 大木 亮 宮澤 慶行 柴田 康博 鈴木 和浩
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.155-158, 2021 (Released:2021-03-28)
参考文献数
9

自己血管による内シャント(arteriovenous fistula: AVF)は本邦における慢性透析用バスキュラーアクセスの中で最も多い.AVF造設術は一定の割合で不成功例を認めるが,本邦において大規模RCTは行われておらず,AVFの初期開存に影響を与える因子の詳細な解析は行われていない.今回AVF造設術を施行した症例群をレトロスペクティブに解析し,初期開存に影響を及ぼす因子を解析した.対象とした119例の内,シャント閉塞をきたした症例は15例(12.6%)であり,初期開存に影響を与える因子として有意差を認めた項目は深部静脈血栓症(deep vein thrombosis: DVT)の既往のみであった.過去の論文にて開存率に影響を与える因子とされている,性別,年齢,糖尿病の既往などの因子よりも,血栓素因の有無がAVF初期開存に重要な影響を与える可能性が示唆された.