著者
高木 泰士 Luc HENRY 水落 拓海
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.1-9, 2019 (Released:2019-02-20)
参考文献数
21

倉敷市真備町では西日本豪雨で堤防が決壊し,約2100世帯が全壊した.被害拡大の一因として本支川合流部の背水による水位上昇が指摘されている.一方,高梁川河口は河川改修や臨海開発で川幅が著しく広がっており,瀬戸内海でも日潮差が特に大きい場所に位置するため,潮汐が河川水位に影響した可能性も無視できない.本研究では,洪水時に感潮域が潮止堰の上流側に延伸する可能性や,2018年豪雨で河川水位上昇と上げ潮の時間帯が一致していたことなど,潮汐の影響を各種解析で示した.また,高梁川沿いに現地調査を行い,上流では10m以上も水位上昇したにも関わらず,河口では満潮位程度の水位であったことを明らかにした.以上より,潮汐と河川水位の関係性を考察し,洪水に及ぼす海からの影響について指摘した.
著者
高木 久史
出版者
社会経済史学会
雑誌
社会経済史学 (ISSN:00380113)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.469-485, 2009-01-25 (Released:2017-07-22)

日本中世における債権・債務・信用一般に関する実証分析は少ない。本稿では信用の中でも商業上の信用の問題,具体的には掛取引について論じる。方法としては,非経済的側面との関係(例えば政治史)に触れながら,中世後期とくに15世紀から17世紀初頭にかけての掛取引の事例検出,とくに16世紀前半を中心とした事例検出を行い,時代的特徴を示す。とくに中世後期については徳政に関する事例とそれ以外とに分けて論じる。結果,徳政にかかる売掛金の扱いに関する商人慣習法の存在と幕府徳政令によるその追認,一方での各徳政令における売掛債権破棄志向(戦争等を契機とする債務者救済の特別措置によるもの)等を示す。実態面では,高額・長距離掛取引の実施,支払期日観念ならびに期日超過に伴う利子支払特約の存在,売掛債権の文書化,年市的性格をもつ京都馬市での掛取引の実施,当事者相互の売掛金の持ち合い,国質・所質名目での売掛金取立の実施(とそれを拒否する動向),等について示す。全体としては,概して遅くとも15世紀後半以後における掛取引の広範な実施,ならびに近世初頭までの継続的な実施を示す。
著者
井上 剛志 高木 賢太郎 竹崎 勇輝 石川 昌義
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集C編 (ISSN:18848354)
巻号頁・発行日
vol.78, no.789, pp.1680-1690, 2012 (Released:2012-05-25)
参考文献数
7

The gyroscopic exercise tool which utilizes the gyroscopic effect caused by the whirling motion of the high speed rotating body to train the hand muscle is considered. This tool utilizes the contact phenomenon between the rotor and the case. When the input motion with 3-5 Hz is added to the case, the rotor spins in thousands rpm whirling with the precession motion which is synchronous to the input case motion. Conventional studies on this tool have assumed the continuous rolling motion of the rotor to the case. This paper does not set this assumption, and investigates the dynamical modeling of this tool considering the contact/non-contact conditions and the slip between the rotor and the case. Two kinds of motions are observed in the numerical simulation, one is the uniform precession which was observed in the conventional studies and the other is the periodically reverse precession. These two motions are physically explained, and are also observed in the experiment.
著者
家田 仁 赤松 隆 高木 淳 畠中 秀人
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木計画学研究・論文集 (ISSN:09134034)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.177-184, 1988-11-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
14
被引用文献数
9 10

Evaluation of train scheduling is an important step for efficient use of restricted transportation facilities to improve the severe congestion in metropolitan area. This paper proposes a method for evaluating train scheduling from the view point of user's benefit. First, we formulate the model which represents a train diagram as a time-space network and explains user's behavior on the diagram network. Next, the criteria for evaluation of train scheduling is presented. This model is applied to a railway in Tokyo metropolitan area, and the applicability is validated. Finally, some train schedulings in Tokyo metropolitan area are evaluated by the method.
著者
高木 尚哉
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.58, no.7, pp.525-533, 2015-10-01 (Released:2015-10-01)

特許庁と独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)は,「特許電子図書館」(IPDL)を刷新し,新たな特許情報提供サービス「特許情報プラットフォーム」(Japan Platform for Patent Information: J-PlatPat)を2015(平成27)年3月23日より提供している。本稿では,「ぷらっと」寄って,情報を「ぱっと」見つけられるユーザーフレンドリーなサービスであるJ-PlatPatのコンセプトや主なサービス,機能を紹介する。
著者
芳賀 高洋 大谷 卓史 佐藤 匡 高木 秀明 豊福 晋平
雑誌
情報教育シンポジウム2015論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.149-156, 2015-08-10

我々は,大学におけるソーシャルネットワークキングサービス(SNS)の利用ガイドラインに関して情報倫理学的観点か ら検討してきた.本稿では,この観点に加えて,教育学的観点から大学の SNS 利用ガイドラインを考察する.具体的には, まず 2015 年 4 月時点で国内の大学が公式に規定する SNS 利用ガイドラインを 93 大学(98 例)ほど収集し,質的・量的 に分析する.この分析から国内の大学が SNS に対してどのようなスタンスをとっているかを明らかにした上で,教育学 的観点から考察し, 学術研究機関であり高等教育機関でもある大学として適切なSNS利用ガイドラインとはどのよう なものかについて検討する.
著者
高木 修 戸口 愛泰
出版者
関西大学
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.3-28, 2006-03-25

本研究では,近年増加する社会問題(e.g.,未成年による犯罪,いじめ,虐待)の原因究明と解決への手がかりを得るために,人と人との「絆」に着目した。まず,「絆」現象を深く理解するために,「絆」についてのイメージや態度に関するステートメントを自由記述法で収集し,それらの内容分析を通じて,5つのカテゴリーを確認した。つぎに,それらのカテゴリーに基づいて母子間の絆尺度を作成し,194名の母子(ペア)を対象に「絆」意識を測定し,その回答を因子分析にかけた結果,4つの「絆」因子が抽出された。これらの意識と関係満足度との関係から,肯定的な情緒的先行要因と自然発生的な安定性認識が母子関係の満足度を向上させることが明らかになった。
著者
武尾 実 大湊 隆雄 前野 深 篠原 雅尚 馬場 聖至 渡邉 篤志 市原 美恵 西田 究 金子 隆之 安田 敦 杉岡 裕子 浜野 洋三 多田 訓子 中野 俊 吉本 充宏 高木 朗充 長岡 優
出版者
海洋理工学会
雑誌
海洋理工学会誌 (ISSN:13412752)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.45-56, 2018 (Released:2018-08-30)
参考文献数
12

Nishinoshima is an andesitic stratovolcano located in Ogasawara Islands, Japan. In November 2013, island-forming eruption started. Before the eruption, Nishinoshima was a small island of the area of 0.29 km2 and elevation of 25 m but it had a huge edifice rising 3,000 m from the sea floor. By March 2016, area and elevation reached 2.7 km2 and 140 m, respectively. We conducted various types of geophysical observations at this “difficult-to-access island” (950 km from Tokyo taking 90 min by Jet plane, or 24 h by ship). In June 2016, we conducted airborne observations using unmanned helicopter, collecting 250 grams of scoria and detailed 4K images of lava flows. OBSs (Ocean Bottom Seismometers) were deployed around Nishinoshima in four periods. From February 2015 to May 2017, characteristic waveforms dominated at 4–8 Hz band were frequently observed. Comparisons with infrasonic records and video images revealed that the 4–8 Hz seismic signals were associated with eruptions at pyroclastic cone. The number of seismic signals of this type declined from July 2015, and disappeared in November 2015, suggesting that the eruptive activity started declining in July 2015 and ceased in the middle of November 2015. In October 2016, we landed and deployed a broadband seismometer and an infrasonic sensor in the old Nishinoshima, collecting a lot of new lava, deposits, and ash samples. We demonstrated a capacity of remote-island volcano monitoring system for one day test navigation circling around Nishinoshima. After one and a half year quiescence, a new eruptive phase started in April, 2017. Our on-land seismic sensor detected precursory signals as early as April 17. The seismometer also recorded characteristic waveforms during the very early stage of the new eruption phase before data transmission was terminated on April 21.
著者
小林 正人 岩佐 豪 高 敏 高木 牧人 前田 理 武次 徹也
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

金属ナノクラスター触媒の反応性は、構成元素だけでなく、サイズや環境、構造など様々なファクターに依存するため、触媒活性の決定的因子の解明は困難であった。本研究では、銅クラスター触媒によるNO解離反応を例に、反応経路自動探索法を用いた系統的量子化学計算とスパースモデリングの手法を併用した触媒活性因子の抽出を試みた。具体的には、LASSO推定、SCAD推定、MC+推定の3つの手法を使い、軌道エネルギーや局所的な指標などの説明変数を用いて、Cu13クラスター上でのNO解離の遷移状態エネルギーを回帰した。その結果、遷移状態のエネルギーはLUMOの軌道エネルギーと負の相関があること、SCAD推定やMC+推定ではLASSO推定よりもコンパクトで相関係数の高いモデルが得られることがわかった。
著者
岩橋 大希 高木 直行
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.289, 2010

全元素を対象とした天然存在量や核変換効率についてのサーベイを行い、核変換技術を用い豊富で低価値な物質から希少で高価値な物質を生成する有用元素生成の実現可能性を検討した。
著者
高木 博史
出版者
沖縄大学
雑誌
沖縄大学マルチメディア教育研究センター紀要 (ISSN:13464264)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.17-25, 2009-03-31

2008年、沖縄大学において教育研究上の効果をより促進するために学内SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス、以下SNSと略)の運用が試験的に開始された。一方で、沖縄大学人文学部福祉文化学科では、社会福祉士国家資格の合格を目指す学生たち同士が、あるいは、卒業生と在学生などの積極的な交流により国家試験対策等に有益な情報を得る場が求められてきている。そうした意味では、社会福祉士国家試験対策においてこの学内SNSの活用がなされることは、情報交換をする上で有効な一つのツールとしてとらえられるが、学生たちの参加者数の問題など様々な諸課題を抱えている。本稿は、社会福祉士国家試験におけるSNSの活用の可能性と課題を明らかにし、さらなる学内SNSの発展が、社会福祉士国家試験合格のための情報交換、仲間づくりの場として機能していくことに寄与することを目的としている。