著者
小林 翔太 宮川 将士 武政 奨 高橋 直希 渡邉 好夫 加納 学
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第35回 (2021)
巻号頁・発行日
pp.4F1GS10l03, 2021 (Released:2021-06-14)

ケミカルトナー製造プラントでは,収集されるプロセスデータを活用し,機械学習を用いた品質自動制御を実施している.精度の高い機械学習モデルを構築する際に,入力変数と出力変数を対とする多くのデータを必要とするが,トナー製造プラントでは,毎日1ロットという生産量であるため,長期間データを収集しなければならない.一方,製造現場ではしばしば工法や材料の改良が行われており,データの再収集と予測モデルの再構築の間は,手動操作による多大な工数が必要となる.そのため,少数ロットのデータを用いて精度の高い予測モデルを構築することが求められている.本稿では工法の改良後の少量データと改良前のデータに対して転移学習を活用した品質予測手法について提案する.提案手法では,簡単な特徴空間の拡張で実装が可能なFrustratingly Easy Domain Adaptionを転移学習に用い,予測手法にはガウス過程回帰(GPR)とバギングを組み合わせる手法を用いた.提案手法をトナー製造プラントに活用した結果,品質管理者の工数75%低減を達成した.
著者
前田 恵理 鍋谷 圭宏 河津 絢子 金塚 浩子 實方 由美 高橋 直樹 若松 貞子
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.62-69, 2021-04-15 (Released:2021-05-15)
参考文献数
35
被引用文献数
1

外科とくに消化器外科周術期栄養管理の重要性は論を待たないが, その一環として給食の意義が論じられることは少ない. わが国ではかつて, 流動食から全粥までの段階食で外科医ごとに異なる術後管理が一般的であった. その後, 施設・術式ごとのクリニカルパスが普及し, 主に段階食で画一化された術後管理が行われるようになった. 最近は, 術後早期回復プログラムに則り術後早期経口摂取再開と早期退院を目指すクリニカルパス管理が増えているが, 実際の給食摂取状況や栄養状態などアウトカムの評価は少ない. 一方で, 患者の希望も考慮した術後食の個別化管理で, 栄養摂取増加や体重減少抑制などの有効性が報告されている. 今後は, 食事再開日, 段階食の必要性, 食形態, 提供量を患者ごとに考慮したアウトカム指向の個別化給食管理を念頭におき, 「栄養源として食べてもらえる」給食の考案と環境整備が望まれる. 適切な患者給食からの栄養摂取は患者の満足感や回復意欲の励起にも繋がると思われるが, 一方で栄養源としての限界も理解する必要があり, 癌患者の予後に影響するような栄養状態の低下を招かないように適時適切な経腸栄養・静脈栄養の併用を忘れてはならない.
著者
門馬 綱一 池田 卓史 長瀬 敏郎 栗林 貴弘 本間 千舟 西久保 勝己 高橋 直樹 高田 雅介 松下 能孝 宮脇 律郎 松原 聰
出版者
一般社団法人日本鉱物科学会
雑誌
日本鉱物科学会年会講演要旨集 日本鉱物科学会 2014年年会
巻号頁・発行日
pp.36, 2014 (Released:2019-03-20)

千葉県南房総市荒川から、千葉石と共生して産出した未命名シリカ鉱物について、新鉱物bosoite「房総石」として国際鉱物学連合新鉱物命名分類委員会の承認を受けた。房総石はケージ状骨格構造中にメタンやエタンなどのガス分子を含み、構造H型のガスハイドレートと同形構造である。
著者
高橋 直子 布川 雅雄 今村 健太郎 細井 温 須藤 憲一 増田 裕 森永 圭吾 藤岡 保範
出版者
特定非営利活動法人 日本血管外科学会
雑誌
日本血管外科学会雑誌 (ISSN:09186778)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.487-493, 2010-04-25 (Released:2010-04-26)
参考文献数
27
被引用文献数
11

【目的】腹部内臓動脈瘤は稀な疾患であるが,破裂した際には死に至ることも多い極めて重篤な疾患である.そのため早期発見と確実な診断が必要であり,今回われわれは,当該病変に対する治療方針を検討した.【対象・方法】2005年3月から2008年10月に当院で内臓動脈瘤と診断された30例(男性21例,女性9例)30瘤を対象とし,発生部位や治療方法,経過についてまとめた.【結果】内訳は脾動脈瘤13例,膵十二指腸動脈瘤5例,腹腔動脈瘤5例,上腸間膜動脈瘤4例,肝動脈瘤3例であった.治療は経過観察17例,塞栓術10例,開腹手術3例であった.当科での侵襲的治療の適応基準は瘤径が2 cm以上,破裂,仮性瘤,拡大傾向,腹痛等の有症状,膵十二指腸動脈瘤,胃十二指腸動脈瘤,上腸間膜動脈分枝の瘤とし,末梢の動脈瘤では血管内治療を第一選択とした.経過観察症例では観察期間は約2カ月から3年9カ月であったが,経過不明1例,他疾患での死亡1例を認めたが,その他15例では瘤の拡大を認めることなく経過した.塞栓術,開腹手術症例では術後観察期間は約1カ月から4年で,破裂症例の2例で一過性の十二指腸狭窄を認めたが,その他では重篤な合併症や手術死は認められなかった.【結論】低侵襲な血管内治療を第一選択とし,瘤の占拠部位や大きさ,再建の必要性に応じて開腹手術を考慮すべきである.われわれの治療成績は緊急症例も含め良好であり,経過観察症例でも治療に移行した症例はなく,当科の腹部内臓動脈瘤に対する侵襲的治療の適応基準は妥当と考えられた.
著者
一杉 裕志 高橋 直人

大脳皮質の言語野における、構文解析・意味解析機構のモデルを提案する。このモデルは、計算論的神経科学における大脳皮質ベイジアンネット仮説と、形式言語学における組み合わせ範疇文法(CCG)の理論を融合している。文の意味を階層アドレス表現と呼ぶ方法で表現することで、従来の CCG で用いられてきたラムダ計算を不要にし、ベイジアンネットでの実現を容易にする。モデルの一部を破壊することでブローカー失語とウェルニッケ失語に似た振る舞いを再現できる。
著者
石村 大輔 岩佐 佳哉 高橋 直也 田所 龍二 小田 龍平 梶井 宇宙 松風 潤 石澤 尭史 堤 浩之
雑誌
JpGU-AGU Joint Meeting 2020
巻号頁・発行日
2020-03-13

2016年熊本地震以後に、布田川断層帯および日奈久断層帯において精力的に古地震調査が行われてきた。我々の研究グループでは、2016年熊本地震で出現した副次的な地表地震断層の過去の活動について明らかにするために、2017年には阿蘇カルデラ内の宮地トレンチ、2018年には出ノ口断層上の小森牧野トレンチを実施してきた。その結果、2-3千年という短い間隔で2016年に活動した断層が繰り返し活動していることが明らかとなった(石村ほか,2018,2019)。これは2016年熊本地震同様に、過去にも布田川断層の活動に際して、周辺の広い範囲に断層が出現したことを示唆する。一方、布田川断層の活動履歴については、多くのトレンチ調査が行われているが(熊原ほか,2017;岩佐ほか,2018;白濱ほか,2018;堤ほか,2018;上田ほか,2018,遠田ほか,2019,など)、それらの多くは鬼界―アカホヤ火山灰(7.3 ka;町田・新井,2003)以降に複数回活動したことを示すのみで、個々のイベントの年代が十分に制約できていない。また、トレンチ調査場所も、阿蘇カルデラ内や益城町に向かって分岐する断層上といった地点に偏っており、最も変位量の大きかった布田川断層の中央部に位置する布田周辺での活動履歴はよくわかっていない。そこで本研究では、布田川断層中央部に位置する布田地区でトレンチ調査を行なった。 掘削地点は、布田川断層と布田川が交わる西原村布田地区である。布田川断層と布田川が交わる地点では、2016年熊本地震で出現した大露頭の記載を石村(2019)が行なっており、高遊原溶岩を数10 m上下変位させる布田川断層の主断層と10 m前後上下変位させる副次的な断層が確認されている。そこから約50 mほど東の林内で5つのトレンチを掘削した。トレンチ掘削地点では、2条の地表地震断層が確認されており、南側のものは約10 cmの南落ちを伴う左ステップする開口亀裂、北側のものは30-40 cmの南落ちを示す断層崖であった。地表地震断層の変位様式と布田川の露頭で認められた断層との位置関係から、南側が主たる右横ずれ断層で、北側が副次的な正断層であると考えられる。トレンチは、南側で2箇所、北側で3箇所の掘削を行なった。 トレンチ調査の結果、すべての壁面で2016年の断層活動に加えて、過去の活動が認められた。特にK-Ah以降には少なくとも3回の断層活動(2016年イベント含む)が認められ、高い活動度を示した。現在、放射性炭素年代測定を実施中であり、発表ではそれらを加えて、より詳細な断層活動の議論とその時期について示す。
著者
鍋谷 圭宏 永田 松夫 齋藤 洋茂 滝口 伸浩 池田 篤 貝沼 修 早田 浩明 趙 明浩 外岡 亨 有光 秀仁 栁橋 浩男 河津 絢子 實方 由美 掛巣 孝則 羽田 真理子 福原 麻后 近藤 忠 佐々木 良枝 前田 恵理 吉澤 直樹 内山 友貴 上野 浩明 高橋 直樹 山本 宏
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.1299-1305, 2014 (Released:2014-12-20)
参考文献数
12
被引用文献数
2

食道がん外科治療は「高リスク患者に対する高度侵襲手術」であり、特に高齢者では、日本外科代謝栄養学会ESSENSEプロジェクトの基本理念である「侵襲反応の軽減」、「身体活動の早期自立」、「栄養摂取の早期自立」、「周術期不安軽減と回復意欲の励起」を心掛けた手技と管理が必要である。近年、高齢食道がん患者に対する根治切除術も低侵襲化され、「身体に優しい」治療になりつつある。しかし、70歳以上の高齢者では、術後合併症が多い傾向で、食事開始後退院まで時間を要し、経腸栄養継続の意義が高いことが示唆された。高齢者では、oncological(がん治療としての有効性を踏まえた手術選択)、physical(肉体的)、mental(精神的)、social(社会的)な援助が適切に行われ、全人的支援があってこそ、「心にも優しい」術後早期回復が可能になると思われる。そのためには、NST・精神科医や医療ソーシャルワーカーなどを含めた多職種連携が必須である。
著者
高橋 直矢 岡田 雅次 内藤 祐子
出版者
国士舘大学体育・スポーツ科学学会
雑誌
体育・スポーツ科学研究 = Kokushikan society of sport science (ISSN:18809316)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.31-37, 2015-03-01

The present study used the Diagnostic Inventory of Psychological Competitive Ability for Athletes(DIPCA.3)to compare and investigate the psychological competitiveness of college track and field athletes. The investigation focused on differences in national competition experience and total number of years of experience, and whether athletes had a warm-up routine.The following points were discovered as a result:1) High-level athletes who had participated in national competitions exhibited a significantly higher score than other players on two items(confidence and decisiveness).Athletes with long experience(10 years or more)exhibited significantly higher scores in terms of patience, self control, predictive ability, judgment, mental stability, and strategic ability than other athletes who had less experience.2) No difference was found in psychological competitiveness between athletes based on whether they had a routine.These results suggest that routine does not have the effect of improving competitive ability.
著者
高橋 直美
出版者
東洋大学ライフデザイン学部
雑誌
ライフデザイン学研究 (ISSN:18810276)
巻号頁・発行日
no.10, pp.109-124, 2014

童話「気のいい火山弾」は宮沢賢治が法華文学を志した初期の作品である。この作品の主人公であるベゴ石の特徴を多面的に考察するには、当時の賢治が日蓮の説く『法華経』の文底秘沈である「事の一念三千」(賢治は作品や書簡でこの「事の一念三千」を「妙法蓮華経」と記しているため、以下では「妙法蓮華経」と記し、経典である『法華経』と区別する)をいかに感得したのかとともに、賢治の仏教に対する見識の広さや科学に対する見方も知る必要がある。 火山弾であるベゴ石は火山の産物であり、永遠の生命を象徴する「石」である。その性格のよさは仏教の修行者の姿勢として重要なものであり、また火山信仰の対象である岩手山や、花巻・盛岡の巨石の文化等からも、ベゴ石の重要性を推察することができる。 一方で、ベゴ石は悪口罵詈されることを修行としている点から「クニサレモセズ」を理想とするデクノボーとは異なり、また、化他行である折伏行を行じていない点から、悪口罵詈・杖木瓦石の難を被りながらなお『法華経』を説いた常不軽菩薩とも異なっている。 ベゴ石の「みなさん。ながながお世話でした。苔さん。さよなら。さっきの歌を、あとで一ぺんでも、うたって下さい」というわかれのことばは、「393 昭和6年9月21日 宮沢政次郎・イチあて書簡」に記された「どうかご信仰といふのではなくてもお題目で私をお呼びだしください」に近い「摂受」と考えられる。また、日蓮は「攝受・折伏時によるべし」(「佐渡御書」)と説いているが、賢治も「摂折御文 僧俗御判」に「佐渡御書」の同文をのせ、「開目抄」の「無智悪人ノ国土ニ充満ノ時ハ摂受ヲ前トス。安楽行品ノ如シ。邪智謗法ノ者多キ時ハ折伏ヲ前キトス。常不軽品ノ如シ」等を羅列している。 以上のことからベゴ石の言動は、当時の賢治が考えた摂受と折伏の一つの形であるといえよう。
著者
高橋 直
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.200-209, 1992
被引用文献数
3

It is generally known that littering can not be controlled by merely physical technology but by controlling the littering behavior of individuals. This would seem to be the most important factor of control. As one effective technique for controlling littering behavior, a behavior modification technique has recently been discovered. This study evaluates the effectiveness of such a behavior modification technique to induce littering behavior in a naturalistic settings: the baseball stadium. The procedures used were as follows; (1) an operant contingency in the form of positive reinforcement procedures, (2) a positive prompting strategy, (3) a negative prompting strategy, (4) a litter bag only condition. The findings revealed a highly significant effect of treatment. There were significant differential effects between the different treatment strategies.
著者
高橋 直人
出版者
法制史学会
雑誌
法制史研究 (ISSN:04412508)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.171-210,en11, 2012

<p>本稿は、主に二〇〇〇年以降のドイツにおける近代刑法史研究の動向を取り上げつつ、そこから日本におけるドイツ近代刑法史研究のいっそうの深化への手がかりを得ることを課題とするものである。近年のドイツの学界には、以下の注目すべき動向が見いだされる。①「近代刑法史」に特化した通史という従来みられなかったタイプの著書が、フォルンバウム氏によって公にされ、なおかつ同書は近代刑法史研究の本格的な方法論の提示を含んでいる。②ドイツ近代刑法史の基本的な部分(例:フォイエルバッハの刑法理論や「学派の争い」)を批判的に再検討しようとする動きが徐々に高まっている。③学説史や立法史のみならず、いわゆる「学問史(Wissenschaftsgeschichte)」の手法や、刑法(学)の担い手およびその活動の実態にも注目する社会史的な手法など、研究上のアプローチの多様化が進んでいる。④ドイツの近代刑法史を、他のヨーロッパ諸国(特にフランスやイタリア)との関係の中で扱おうとする作品が増えつつある。⑤関連史料の公刊が大幅に進展している。これらの動向を参考に日本の現状を見直すと、以下のような示唆が得られる。まず日本においては、権力批判・現状批判という問題意識のもと、ドイツの先行研究における以上に啓蒙期の刑法(学)の輝かしい功績が強調され、とりわけフォイエルバッハの刑法理論については「近代刑法」の理想のモデルとしてその歴史的意義が浮き彫りにされてきた。このような取り組みそのものは現在も重要である。ただし、近年のドイツの研究成果をふまえていえば、現状批判のための理想像であるはずの初期の「近代刑法」それ自体が、まさにその批判されるべき現状をいずれ生み出すことにつながる側面を同時に胚胎しているのではないか、という悩ましい問題にもわが国の研究はいっそう向き合っていかねばならない。また、「近代刑法」の実像をより多面的・重層的・動態的に理解していくため、学説史や立法史にとどまらない多様な切り口(学問史や社会史の手法等)を取り入れていくことも有効である。そして、一方でドイツの研究動向を参考にしつつも、他方で特に「近代化」との関わりにおいて明治以降、さらに戦中から戦後への日本の歴史的経緯の中で、わが国の先行研究が育んできた独自の問題意識や方法論をふまえつつ、その理解と省察の上にたって今後の研究のあり方を模索していく必要がある。</p>
著者
高橋 直紀
出版者
新潟大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

歯肉上皮細胞は、物理的なバリアとして機能するだけではなく、細菌に対して免疫応答を誘導することで生体防御の最前線として重要な役割を果たす。近年同定された新規イオンチャネルであるTRPチャネルタンパクは炎症性疾患への関与も報告されている。本研究において、歯肉上皮細胞にTRPV1が遺伝子レベル・タンパクレベルで発現していることが確認され、TRPV1を介したシグナリングが細胞増殖能に関与していることが明らかとなった。これらのことより、歯周炎の病態形成におけるこれらのタンパクの関与が示唆された。