著者
高橋 直美
出版者
東洋大学ライフデザイン学部
雑誌
ライフデザイン学研究 (ISSN:18810276)
巻号頁・発行日
no.8, pp.177-195, 2012

宮沢賢治の『注文の多い料理店』に収録されている「烏の北斗七星」について、主人公が烏である意義、そして同書の広告にある「戦うものの内的感情」について考察した。 烏は山の神の使者であるとともに田の神(農耕神)の使者であるため、烏勧請のような儀礼が盛んになったようである。しかし、その一方で、烏が死をイメージさせるものであることから、「烏の北斗七星」の登場人物が烏である理由は、生と死の世界と表象させるのにふさわしい存在、そして、山烏が殺されることで山の神から田の神への春秋去来を、大尉(少佐)の生還から来るべき春(烏が夫婦で生活する期間)への喜びを表すことで、「田圃」の鳥としての烏を表しているのではないかと考えられる。群れを守るための烏の戦いは回避が不可能であり、自然界の掟は弱肉強食である。しかし、一切衆生悉皆成仏を考えると、敵も味方も自利利他の区別もなく、そこにはただ仏法の法則、すなわち〈妙法蓮華経〉が存在するのみとなる。ゆえに、殺生という悪業を犯さなければ生きていけない烏は、転重軽受の功徳を受けるために日蓮の法華経(北辰)を信仰する(妙見信仰)。烏の大尉の祈りは『妙法蓮華経 化城喩品第七』の「願意此功徳 普及於一切 我等與衆生 皆共成佛道」であり、賢治の信仰姿勢と通じているのである。烏が妙見信仰である理由は、マジエルの由来が北斗七星を含む星座である大熊座の〈Ursa Major〉の〈Major〉に由来することから理解できる。なぜなら北斗七星=北辰は妙見信仰として日蓮と深く関係しているからである。また、北斗七星の一つである破軍星は、この星の方向に向かって戦いを挑めば必ず負け、この星を背にして戦えば必ず勝つとされているため武士の信仰が篤かったこともあり、軍人である烏たちも信仰したものと考えられる。 ところで、私見ではあるが、賢治の烏を観察する態度や視点は、A.T. シートンの『シートン動物記』に収録されている「シルバースポット」とよく似ている。烏を軍隊にたとえ、鳴き声を区別し、烏の生態のよき観察者としてのその才能をいかんなく発揮しているからである。I considered on a 'significance that a hero is a crow and inner feeling of a fighting one' in its advertisement in in 'the Grate Bear of a Crow', which was recorded in a novel of Kenji Miyazawa's 'a restaurant taking many food order'. A crow is a messenger of mountain god and of the god of a rice field (an agricultural god), so courtesy such as 「烏勧請」is very popular, while a crow is ominous existence which makes death image, too. So some reasons why 'the Great Bear of Crow' is a crow are considered as a symbol of fertility of a rice Field in spring because of existence matching with the image of the world of the life and death or of a country crow's winning at the struggle for existence. Crow's battle which the struggle for existence for their survival means cannot avoid because it is the world of the law of the jungle. But if one thinks of「 一切衆生皆悉成仏」, Distinction between one's friends and foes disappears and one only preaches 'the Lotus Sutra', the teaching that one will change the law of fate and evil deeds and make one turn in one's grave. Therefore, a crow which must commit a crime for his survival has faith in the Grate Bear because it is concerned with Nichiren Shu (日蓮宗). Also, Kenji's attitude and his point of view which watch a crow looks like 'Silver Spot' recorded in Seton's "Wild animal I have known". He compares a crow to an army, distinguishes tearful voices and gives full scope to his ability as a good observer in the ecology of a crow.
著者
井上 聡 村松 昭夫 高橋 直樹 小池 万里
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.225-228, 2016

<p>クオリティライフ21城北地区は「保健・医療・福祉の総合的エリア」として名古屋市が推進するプロジェクトである。現在、名古屋市立西部医療センター、陽子線治療センター、重症心身障害児者施設(ティンクルなごや)が開設され、平成23年より順次運用を開始している。 本報では、施設使用の初期段階から5年間の熱需要の状況、冷水製造の効率および省エネルギー運転の効果について報告する。</p>
著者
小倉 毅 川野 哲生 清水 健司 丸山 充 高橋 直久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 = The transactions of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers. B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.86, no.8, pp.1533-1543, 2003-08-01
参考文献数
21

本論文では,筆者らが提案するリンクレイヤプロトコルMAPOSに準拠した高速スイッチ COREswitchについて述べる.COREswitchは,OC-3c (155 Mbps),OC-12c (622 Mbps),OC-48c (2.4 Gbps)の3種類の回線を最大16回線まで混在して収容でき,87.04 Gbpsの内部転送容量をもつ.高速ストリーム処理向きのデータパスや高効率の可変長フレーム転送アービタ等により,ハードウェアの簡略化による開発期間の短縮と高速性を両立した.想定する主なアプリケーションとして,広帯域映像IP転送システム及びインターネットバックボーンスイッチを取り上げ,それぞれの性能評価を行った.その結果,広帯域映像IP転送システムとして約1.5 Gbpsの映像業界向け非圧縮HDTV映像をスイッチングするのに十分な性能をもつことを明らかにした.また,インターネットバックボーンスイッチの構成の一例として,14本のOC-12c回線,2本のOC-48c回線の構成を用いて,同時競合転送試験を行った結果,フレームサイズが512 byte以上であればワイヤレートのスイッチングが達成できることを明らかにした.
著者
高橋 直紀 佐々木 博康 和田 雄二
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.389-393, 1998-03-05 (Released:2009-06-30)
参考文献数
3
被引用文献数
2 2

Head alignment equipment for floppy disk drive (FDD) was developed to elevate the quality of FDD. The equipment adjusts the position of upper magnetic head to lower magnetic head relatively with micro meter order accuracy. Prior to the development, the structure of FDD head assembly was improved. To prevent the slip out of upper head in time of screwing, gate shaped plate spring called “hold spring” was added between screws and the fixed part. Size parameters of “hold spring” was decided by combination of finite element method analysis with experiment, and the slip out of the head was decreased to 1/5. The feature of the equipment is a precision movement stage. To avoid the backlash, the stage, is made of 3 axis flexure pivoted levers with displacement reduction mechanism in one body. Owing to these technical settlements, automatic precision alignment of head position was established.
著者
佐藤 暢 谷口 英嗣 高橋 直樹 MOHIUDDIN Mia Mohammad 平野 直人 小川 勇二郎
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地學雜誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.108, no.3, pp.203-215, 1999-06-25
参考文献数
63
被引用文献数
1 10

Geological, petrological, and biostratigraphical studies of Mineoka ophiolite and related rocks, Hayama and Mineoka Belts, central Japan, were reviewed, and the origin of ophiolite is summarized as follows. 1) Pelagic to hemipelagic sedimentary rocks occur from late Paleocene to middle Miocene. 2) Basaltic rocks in the Hayama Belt are mostly alkali basalts of hotspot origin, whereas those in the Mineoka Belt are mostly tholeiite of mid-ocean ridge origin. 3) Chemical compositions of gabbros and diorites indicate island arc origin. 4) Peridotites are residues after a medium degree of partial melting. These facts arenot consistent with previous ideas that the ophiolite is island arc or back arc originonly. &ldquo;It is concluded that ophiolite is part of the Mineoka plate&rdquo; in the Pacific Ocean side, not in the Philippine Sea as previously proposed. Reconstruction of plate motions of the Mineoka plate is proposed, as it was formed at mid-ocean ridge, was subducted by the Pacific plate, and obducted to the Honshu arc during Miocene age after the eastward motion of the triple junction.
著者
本木 実 冨浦洋一 高橋 直人
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.8, pp.2779-2791, 2006-08-15

本論文では,記号列を入力し記号列を出力する階層型ニューラルネットの学習法を提案する.本論文で考察するモデルは,結合荷重だけでなく,各記号に対応する記号表現ベクトルも学習パラメータとする.この方式により,学習データの性質を反映した記号表現ベクトル(類似の使われ方をする記号の記号表現ベクトルが互いに近いベクトル)を学習することができ,予測能力の向上が期待できる.しかし,目的関数を平均二乗誤差とする通常のモデルでは,目的関数の値を最小にするタスクにとって無意味な解が存在し,出力ベクトルから記号の同定を行うと正解率がきわめて低いという問題がある.そこで本論文では,記号の同定を考慮した目的関数による学習法を提案する.実験により,提案モデルは,学習データの性質を反映した記号表現ベクトルの学習が可能であり,かつ高い正解率を持つことを示す.
著者
佐藤 暢 谷口 英嗣 高橋 直樹 Mia Mohammad MOHIUDDIN 平野 直人 小川 勇二郎
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.108, no.3, pp.203-215, 1999-06-25 (Released:2010-10-13)
参考文献数
65
被引用文献数
5 10

Geological, petrological, and biostratigraphical studies of Mineoka ophiolite and related rocks, Hayama and Mineoka Belts, central Japan, were reviewed, and the origin of ophiolite is summarized as follows. 1) Pelagic to hemipelagic sedimentary rocks occur from late Paleocene to middle Miocene. 2) Basaltic rocks in the Hayama Belt are mostly alkali basalts of hotspot origin, whereas those in the Mineoka Belt are mostly tholeiite of mid-ocean ridge origin. 3) Chemical compositions of gabbros and diorites indicate island arc origin. 4) Peridotites are residues after a medium degree of partial melting. These facts arenot consistent with previous ideas that the ophiolite is island arc or back arc originonly. “It is concluded that ophiolite is part of the Mineoka plate” in the Pacific Ocean side, not in the Philippine Sea as previously proposed. Reconstruction of plate motions of the Mineoka plate is proposed, as it was formed at mid-ocean ridge, was subducted by the Pacific plate, and obducted to the Honshu arc during Miocene age after the eastward motion of the triple junction.
著者
高橋 直樹 満岡 孝 加藤 新 横山 一己
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.111, no.7, pp.371-388, 2005-07-15
参考文献数
37
被引用文献数
1 16

房総半島中部上総層群黄和田層中に挟在する第三紀/第四紀境界指標テフラである鍵層Kd38は, 南関東地域の上総層群相当層では房総半島南部の千倉層群が唯一未確認であったが, 本研究において初めて確認することができた.千倉層群中でこれまでの微化石および古地磁気の研究により, 第三紀/第四紀境界付近に挟在することが知られている畑層中の鍵層KOを基準として4つのルートを選定し, そのうち1ルート(林道畑2号線)において, 層序, 岩相, 重鉱物組成, 斜方輝石の化学組成から, HT08Bテフラがテフラ鍵層Kd38に, HT07テフラがテフラ鍵層Kd39に対比された.林道山倉線では, テフラ鍵層Kd38は確定できなかったものの, 候補は挙げられた(YK04C).また, YK03テフラがテフラ鍵層Kd39に対比できた.また, 同様な手法で三浦半島横浜地域(磯子区氷取沢)の大船層中に新たにテフラ鍵層Kd39を見出し(YH02テフラ), テフラ鍵層Kd38(YH10テフラ)との層序関係も確認した.本研究により, 南関東のほぼ全域でテフラ鍵層Kd38が確認され, 今後の南関東地域の地質構造発達史の研究がさらに進展することが期待される.
著者
上田 泰史 鈴木 則彦 古川 徹也 竹垣 友香子 高橋 直樹 宮城 和文 野田 孝治 廣瀬 英昭 橋本 智 宮本 彦四郎 矢野 周作 宮田 義人 田口 真澄 石橋 正憲 本田 武司
出版者
The Japanese Association for Infectious Diseases
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.110-121, 1999
被引用文献数
8

1994年9月4日の開港から1996年12月まで, 2年4カ月の調査期間における関西空港の検疫人員は11, 44a534名であり, 検疫時に下痢を申告したものは22, 187名であった。そのうち9, 299名について下痢原因菌の検索を行い, 以下の成績を得た.<BR>1) 下痢原因菌が検出されたのは3,096名 (33.3%) であった.これらの症例から検出された病原菌は<I>Plesiomonas shigelloids</I>が最も多く2,066名 (66.7%), 次いで<I>Aeromonas spp.</I>484名 (156%), <I>Vibrio parahaemolyticus</I>358名 (11.6%), <I>Shigella spp.</I>291名 (9.4%), Salmonella spp.183名 (59%), <I>Vibrio choleraenon</I>-O1 121名 (39%) の順で検出された.下痢原因菌検出例のうち, この6種類の病原菌が検出されなかった症例はわずか2.8%であり, 上記の6種類が海外旅行者下痢症の主原因菌であると考えられた.なお, <I>enterotoxigenic Escherichia coli</I>については検査対象としなかった.<BR>2) 2種類以上の下痢原因菌が同時に検出された症例 (混合感染) が502例みられ, 下痢原因菌検出例の16.2%を占めた.<BR>3) 1995年2月~3月に, インドネシア (バリ島) 旅行者に集中してコレラ患者 (13例) が発見されたその他は, 各菌種とも検出頻度に季節的な大きな偏りは認められなかった。<BR>4) <I>Vibrio spp</I>.の推定感染地はアジア地域に限定され, <I>Shigella spp., Salmonella</I> spp.および<I>P.shigelloides</I>の感染地は広範囲にわたっていたが, <I>Shigella spp</I>. ではとくにインドおよびインドネシアに集中していた.<BR>5)<I>Shigella spp</I>.のうちわけは, <I>S.sonnei</I>が最も多く, 次いで<I>S. flexneri, S. boydii, S.dysmteriae</I>の順に検出された.また, インド・ネパール旅行者から<I>S.boydii</I> provisional serovar E16553が検出された.<BR>6) <I>Salmonella</I> spp.の血清型では, <I>S.</I>Enteritidisが最も多く検出され, 49例 (25.7%) を占めていた.<BR>7) 薬剤耐性株の頻度は<I>Shigella</I> spp.89.2%, <I>Salmonella</I> spp.27.2%, <I>V.cholerae</I>O195.0%であった.<BR>8) <I>V.cholerae</I>01はすべてEI Tor Ogawa型コレラ毒素産生株であった.<BR>9) <I>V.parahaemolyticus</I>の血清型は03: K6が最多数を占めた.耐熱性溶血毒遺伝子 (tdh), 易熱性溶血毒遺伝子 (trh) 保有株がそれぞれ89.8%と14.6%に確認された.
著者
高橋 直哉
出版者
中央大学
雑誌
法學新報 (ISSN:00096296)
巻号頁・発行日
vol.121, no.11, pp.1-27, 2015-03

本稿は、犯罪化の正当化条件の総体を体系的に示す「犯罪化論」の構築を試みるものである。犯罪化は、国家が刑罰という峻厳な制裁を用いてある行為を規制するものであるから、それが正当化されるためには、そのような行為を規制することが国家の果たすべき役割に含まれるといえ、かつ、そのように強制的に規制するだけの特別な理由がなければならない、という認識を出発点として、犯罪化の正当化条件を、「国家の介入の正当性」「犯罪化の必要性」「全体的な利益衡量」「刑罰法規施行後の検証」の四段階に分けて、それぞれの意義・内容、および、それらの相互関係について考察を加えている。従来、わが国ではあまり理論的分析が加えられていなかった刑事立法のあり方について、道徳哲学・政治哲学の知見も交えながら一試論を展開するものである。
著者
宮嵜 武 高橋 直也
出版者
日本流体力学会
雑誌
ながれ : 日本流体力学会誌 (ISSN:02863154)
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, pp.503-504, 2002-12-25
被引用文献数
5
著者
上出 寛子 大坊 郁夫 趙 〓珍 高橋 直樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.385, pp.33-38, 2005-10-27
被引用文献数
10

社会的スキルが, 顔面表情時の顔形態特徴に与える影響について, 韓国人の大学生を用いて検討を行った.84名の大学生(男性37名, 女性47名)が真顔・幸福・怒りの表情を表出し, 各表情を3次元計測器を用いて撮影した.各表情の顔形態特徴と社会的スキルとの関連を調べた結果, スキル得点が高いと, 口や顎周辺と, 目や眉毛周辺という顔の上下部位の表情が豊かであるということが示された.男女別の検討では, スキル得点の高い男性は, 口や顎周辺の表情が豊かであり, スキル得点の高い女性は, 目の表情が豊かであることが示された.また, 社会的スキルの判別分析では, 男性の方が女性よりも表現力の識別には多くの顔形態部位が必要であり, また, 男女共に目の周辺や顎, 口の周辺の表情が重要であることが明らかとなった.さらに, 目の周辺や鼻, 眉の動かし方が豊かであると, 基本的なスキルが高いことも明らかとなった.
著者
八木 哲 高橋 直久
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.3, pp.17-24, 2002-01-21
被引用文献数
1

本稿では,広域分散した地点で観測される頻繁に変化する情報を,リアルタイムに広域で共有するためのシステムであるWISE(Wide-area Information Sharing Engine)について述べる.例えば,道路交通情報,地域情報,気象環境情報,ネットワーク情報,計算機リソース情報が対象となる.これらの情報を,端末の種別や場所を問わずにシームレスに利用可能にすることで,計画からドアtoドアまでのナビゲーションサービス,ネットワークの可用性情報サービス,グローバルコンピューティング向けの計算機リソース情報サービスなど,多様な情報ナビゲーションのための基盤を実現する.WISEはRM(Resource Manager)と呼ぶ自律型モジュールの集合体であり,`抽象化した情報'を利用して,情報に対する参照と更新の負荷を共に各RMに分散,局所化,あるいは抑制する.本稿ではWISEの構成を示し,WISEを構成するデータベース系と情報交換系のうち,データベース系の設計を示すとともに,例題にてらして有効性を考察する.This paper presents the WISE (Wide-area Information Sharing Engine) which is the real-time sharing system for dynamic and globally distributed information. For instance, dynamic and globally distributed information is road traffic information, network traffic information, meteorology information, environmental information or load information of distributed computing resources. WISE supplies these information to any device at everywhere seamlessly for any navigation service. For the purpose, WISE is constructed with a group of autonomous elements named the RM (Resource Manager) and uses the abstracted information to distribute and localize the load of reference and update to each RM. This paper describes a design and a case study.