著者
高橋 珠州彦
出版者
日本都市地理学会
雑誌
都市地理学 (ISSN:18809499)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.1-15, 2012-03-15 (Released:2021-02-19)
参考文献数
26

本研究は東京都武蔵野市吉祥寺地区を事例に,近郊地域における近代の市街化と地域内に居住する根生いの人々の転業過程との関係を検討した.考察にあたり,明治後期から高度経済成長期頃を対象時期とし,土地台帳による経年的な地籍復原と農家に由来する根生いの人々への聞き取り調査を行なった. また幕末期の農間渡世や,昭和初期までに鉄道駅や都市公園,学園,工場などが立地したことを当該地区における市街化の特徴と捉え,これらが根生いの人々の意思決定やその後の市街化の進展に影響を与えていたことに注目した.個別事例のK家は,宅地として農地を放出しつつ小規模工場を創業し第二次産業化を図っていた.また A家は,駅開設直後の駅前休憩所開業以来,積極的に業態を変化させつつ今日のテナントビル経営へと事業を展開していた.これら個のレベルから市街化を検討した結果,根生いの人々は市街化を受容するばかりではなく,起業家としての性格を持ち,市街化に対して積極的に関わっていた姿が明確になった.
著者
奥川 郁 土屋 邦之 石原 陽介 中野 且敬 秋岡 清一 大坂 芳夫 高橋 滋 迫 裕孝
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.44, no.7, pp.861-867, 2011-07-01 (Released:2011-07-23)
参考文献数
7

ポリカルボフィルカルシウム製剤服用後にイレウスにて開腹術を行った67歳の女性の症例について報告する.右卵巣嚢腫で手術既往があった.下痢のため近医よりポリカルボフィルカルシウム製剤を7日分処方された.服用12日目に腹部膨満と嘔吐が出現し,当院救急受診,入院となった.CTにて小腸の拡張と,小腸内に結腸内便様の内容物を認めた.イレウス管を挿入し保存的に経過を見たが,症状の増悪を見たため入院4日後に開腹した.癒着解除だけでは,腸内容を送り出せなかったため,小腸壁を切開し内容物を排出した.腹腔内の癒着のために腸管内容排出遅延が生じ,そのために服用していたポリカルボフィルカルシウム製剤が過度に膨潤,硬化した.このことによって,開腹術が必要となったと考えられた.この症例について,文献的考察を加えて報告する.
著者
畠山 直一郎 伊豆 肇 高橋 修二 与斎 和博 鈴木 敏規
出版者
日本家畜臨床学会
雑誌
東北家畜臨床研究会誌 (ISSN:09167579)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.7-9, 1997-07-15 (Released:2009-04-22)
参考文献数
8

サルファ剤を過剰投与された子牛の腎臓にサルファ剤結晶を認めた。このようなことから、下痢などによる脱水や乏尿を呈する子牛の症例に対して、サルファ剤を投与する場合には投与量を遵守するとともに脱水を改善した後に投与すべきと考えられた。
著者
高橋 有里
雑誌
岩手県立大学看護学部紀要 = Journal of the Faculty of Nursing, Iwate Prefectural University (ISSN:13449745)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.29-36, 2014-03-01

本研究の目的は,皮下注射および筋肉内注射の副反応に関する書籍・研究論文における記載内容について概観し,本邦において皮下注射・筋肉内注射の副反応としての硬結がどのように捉えられているのか,また,硬結に関する研究の動向を明らかにすることである.医学辞典,看護学辞典,病理学および皮膚科学の専門書,治療指針等の専門書,医学中央雑誌web 版で「硬結」「注射部位」をkeyword として検索した研究論文を対象とした.その結果,辞典では「硬結」がどの組織のどのような具体的変化なのか記載が曖昧なものが多く,注射後の硬結については,皮膚科学書の1冊に「注射後脂肪組織炎」と紹介されているのみで,病理学書にも病理学的な説明はなかった.研究論文は2005 年以降に増えているが,硬結の定義がされていたものはなかった.症例報告にあった硬結は,薬剤の使用開始直後から数年経過後など発生時期は様々であった.硬結発生部位への注射回数は記載のなかったものが多く,詳細は明らかでない.また,硬結は,大きいものでは10cm大にもなり,疼痛,潰瘍の形成など,重症化していた.
著者
荒井 研介 高橋 由雅
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第26回全国大会(2012)
巻号頁・発行日
pp.3D2R133, 2012 (Released:2018-07-30)

本研究室では、分子構造情報の表現手段の一つとして、分子グラフを符号化し、符号列から楽譜を生成し、MIDI音源を利用して演奏する「分子ミュージック」の研究を進めている。従来手法では、構造が類似しているにもかかわらず、生成される楽譜に大きな違いが生じる場合があり、音楽的にも不安定なものとなっていた。そこで、分子グラフの骨格毎に明確な違いを表現し、音楽理論を反映した楽譜生成アルゴリズムを提案する。
著者
高橋 弘隆
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会誌 (ISSN:13405551)
巻号頁・発行日
vol.137, no.3, pp.153-156, 2017-03-01 (Released:2017-03-01)
参考文献数
2

1.はじめに近年日本および海外鉄道事業者において,回生電力の有効利用として,地上電力貯蔵システム(Stationary Energy Storage System:SESS)の導入が加速している状況である。この動きは,地球温室効果ガス削減の一環として導入促
著者
高橋 則英
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.83, no.1, pp.23-26, 2020 (Released:2021-03-30)
参考文献数
3

歴史的に貴重な価値をもつ写真ネガ原板にはプリントが現存していないものも少なくない.ここではネガ原板からの同時代技法によるプリントを前提として,国内外における写真原板活用の事例を紹介するとともに,写真保存における意義や今後の課題について述べる.
著者
大井 将徳 高橋 修 中村 嘉隆
雑誌
第77回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, no.1, pp.909-910, 2015-03-17

近年,自転車が関与する事故が問題視されており,交通事故に遭った自転車運転者の多くが違反運転中に事故に遭っている.本研究ではモーションセンサを用いた自転車違反運転検知システムを提案する.モーションセンサはKinectを用い,スケルトン・トラッキングと深度情報によって違反運転の検出及び違反運転の種類の判別を行う.検出する違反運転の種類は二人乗り,自転車スマホ,傘さし運転,手放し運転,路側帯での右側走行とする.本研究は基礎実験として,屋内かつ障害物のない環境下で Kinect が検出可能な自転車の速度の調査と Kinect の配置場所による違反運転検出精度の評価を行い,それらから得られたKinectの最適な配置場所でシステム評価を行う.
著者
佐藤 純 中村 利廣 菅原 伸一 高橋 春男 佐藤 和郎
出版者
特定非営利活動法人 日本火山学会
雑誌
火山.第2集 (ISSN:24330590)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.19-39, 1989-04-10 (Released:2018-01-15)

Chemical analysis for major and minor elements was performed on the pumice fall deposit, essential blocks from the two pyroclastic flow deposits and the lava flow, erupted in succession during the 1783 (Temmei) volcanic activity on Mt. Asama. The pumice samples representing a vertical column exhibit no remarkable trend of chemical variation with time. The analytical results for the lava flow show small spatial variation in K, Mg, Sr and some other elements. Further inspection of the data for all the samples indicates that Fe, Na, Ti, Sr, Cu, Co and Ni tend to increase with time throughout the whole eruptive sequence. A plot of Sr/(SiO2 + K2O) vs. (Fe2O*3+K2O)/(SiO2+K2O) illustrates that the erupting magma became progressively more mafic and more enriched in Sr during the activity. This type of plot, combined with the spatial distribution of certain elements superimposed on the distribution pattern of the lava flow, reveals that, during the lava eruption, the composition of erupting magma still shifted to slightly mafic.
著者
谷川 直昭 石川 大樹 露木 敦志 前田 慎太郎 高橋 奏衣 小宮山 幸子
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.C1023, 2004

【目的】<BR>近年、関節鏡視下手術の進歩は目覚しく、半月板損傷の手術療法は鏡視下縫合術や部分切除術が広く行われている。また、円板状半月板障害に対しても鏡視下半月板形成的切除術が主流となっている。半月板損傷に対する縫合術や部分切除術後のリハビリテーションに関する文献は多いが、円板状半月板形成的切除術後のものは散見する程度であり、さらにスポーツ選手の術後スポーツ復帰に関するまとまった報告は、我々の知り得た範囲では存在しなかった。そこで今回我々は、スポーツ選手における円板状半月板形成的切除術後のスポーツ復帰の実際を報告する。<BR>【対象および方法】<BR>当院において1997年5月~2003年10月までに膝円板状半月板障害に対し、鏡視下半月板形成的切除術を行ったスポーツ選手26例34膝{男性18例24膝、女性8例10膝、手術時年齢は11歳~51歳(平均23.8歳)}を対象とした。これらの症例に対し、スポーツ種目、スポーツ復帰時期および術前後のスポーツレベル、術後合併症の有無とその対処方法について調査した。なおスポーツレベルについてはTegner activity scoreを用いて評価した。<BR>【結果】<BR>スポーツ種目は、サッカーが14例(53.8%)で最も多く、次にテニス3例(11.5%)、ダンス2例(7.7%)と続いた。スポーツ復帰時期は術後7週~18週(平均11.1週)であった。スポーツレベルは、術前のTegner activity score 7.6±1.6点が術後Tegner activity score 7.6±1.6点であり全例、元のスポーツに復帰していた。術後合併症は、疼痛、関節水腫がスポーツ復帰前1例、復帰後(術後3~6ヵ月)5例に見られた。<BR>【考察】<BR>スポーツ種目でサッカーが53.8%と半数以上を占めていたが、これは当院が横浜の某Jリーグチームの指定病院となっているため患者数におけるサッカー選手の割合が多かったことが要因であると考えられる。スポーツ復帰時期にはばらつきがあるが、両側同時手術例や中高年による変形性関節症性変化(以下OA)を合併しているケースの場合は復帰に時間のかかる傾向にあった。しかし、術後のスポーツレベルは全例で元のレベルまで戻っており、OAを合併していても慎重な後療法を行うことによってスポーツ復帰は可能であることがわかった。またスポーツ復帰を果たしても術後3~6ヵ月で関節水腫を合併する症例が見られたが、ヒアルロン酸の関節内注入と2~3週間の運動制限によって症状は消失した。<BR>【まとめ】<BR>1.スポーツ種目、年齢に関わらず、術後平均11.1週でスポーツ復帰が可能であった。2.全例、元のスポーツレベルに復帰可能であった。3.術後、関節水腫に対しては、ヒアルロン酸の関節内注入と運動制限が有効であった。
著者
藤本 徹 岸本 好弘 西村 圭一 高橋 薫 高橋 淳 谷内 正裕 山内 祐平
出版者
日本デジタルゲーム学会
雑誌
デジタルゲーム学研究 (ISSN:18820913)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.13-21, 2015 (Released:2019-10-01)

本研究では、数学的思考力を高める学習ゲーム開発のための履歴データ記録APIと、ゲームを公 開して一般ユーザーからのプレイデータを収集、閲覧できる機能を持ったオンラインプラットフォー ムの仕組みを開発した。そして、実際に開発したゲームをプレイしたユーザーへの調査結果をもとに 評価を行った。その結果、このようなプラットフォームを通して、従来は評価を得ることが難しかっ た外部のユーザーや開発者からのフィードバックを得る機会を提供でき、開発者教育に寄与する仕組 みとして機能する可能性が示唆された。