著者
坂本 祐一 柳井 武志 高橋 賢一郎 中野 正基 福永 博俊 小笠原 宏 掛橋 英典
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会 全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.43, pp.14, 2010

無電極放電ランプは,長寿命,高効率,比較的高い演色性,などの特徴を有しており次世代の光源として期待されている.無電極ランプの発光状態は,プラズマの状態に依存するため,プラズマ状態を把握することは,効率改善を検討する上で有効であると考えられる.本稿では,プラズマへの伝達電力に着目し,パナソニック電工社製の球状無電極放電ランプ(150 Wタイプ)内のパワーカプラに関する設計指針を検討した.プラズマ電力,Cu管およびAl土台で消費される電力に対するフェライトコアの位置依存性を検討したところ,フェライトコアの位置を市販のランプのコアの位置よりも上昇させることで,プラズマ電力が増加することがわかった.この原因は,フェライトコアを上昇させることにより,コア下端とアルミ土台の上端の距離が離れ,アルミ土台を流れるうず電流が減少するためであることがわかった.次に,パワーカプラ(コア+Cu管+Al土台)全体の位置を変化させて解析を行ったところ,パワーカプラの上昇に伴ってプラズマ電力が増加することが確認された.同様の実験を実機にて行い,光量を測定したところ,プラズマ電力と同様,パワーカプラの上昇に伴って光量が増加し,光束とプラズマ電力の増加の傾向は比較的良い一致を示した. 以上の結果より,パワーカプラの構造はプラズマ電力に影響を与え,プラズマ電力が増加すると光量が増加する傾向にあることがわかった.
著者
徳山 尚吾 高橋 正克
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.117, no.3, pp.195-201, 2001 (Released:2002-09-27)
参考文献数
42
被引用文献数
4 5

モルヒネをはじめとするオピオイドおよびメタンフェタミンなどの精神賦活薬によって誘発される種々の効果に対する薬用人参の薬理学的·生理学的作用について概説する.薬用人参は, モルヒネ, μオピオイド受容体アゴニストやU-50, 488H, κオピオイド受容体アゴニストの鎮痛効果に対して, オピオイド系を介さない様式で拮抗作用を示す.さらに, モルヒネの鎮痛効果に対する耐性形成および身体的·精神的依存に対しても, 薬用人参は抑制作用を有するとの知見が多いが, その種類, 用量, 投与スケジュール等の違いによって成績が異なる報告もなされている.また, 薬用人参は, メタンフェタミンやコカインなどの反復投与による運動量の経時的な増強作用, すなわち行動感作(逆耐性現象)の形成も阻止する.興味深いことに, メタンフェタミンおよびコカインの反復投与終了後30日間休薬してから, 再びこれらの薬物を投与することによって誘発される再燃現象(フラッシュバック)に対しても, 薬用人参による抑制作用が見出されている.さらに, メタンフェタミンおよびコカインは精神的依存能の評価法の一つとされる条件付け位置嗜好性を示すが, その効果も薬用人参は消失させる.これらの知見は, オピオイドや精神賦活薬による乱用および依存に対して, 薬用人参が有効な治療薬に成りうる可能性を示唆するものである.
著者
高橋 典史 Takahashi Norihito タカハシ ノリヒト
出版者
「宗教と社会貢献」研究会
雑誌
宗教と社会貢献 (ISSN:21856869)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.1-25, 2014-04

ベトナム戦争の終結後、ボート・ピープルなどの多くの難民がインドシナ半島から流出した。西側諸国の一員として難民受け入れを進めた日本において、民間組織のなかで主としてそれに協力したのが宗教系組織であった。本稿では、立正佼成会という新宗教教団による活動の実態を明らかにしただけでなく、教団が当該の事業に着手し、20 年近く活動を持続しえた要因として、その開始時期が教団の積極的な社会参加の展開期と重なっており、さらには事業のキーパーソンが継続的に活動に関与していたといった点を指摘した。こうした難民支援事業は、現代日本の移民(ニューカマー)と宗教との関わりについての研究において それほど注目されてこなかった対象であるため、本稿は研究の間隙を埋める意義も有している。
著者
有川 一 田下 智栄子 中村 浩二 高橋 哲平 三川 浩太郎 寺田 知新 渡邉 孝士郎 今井 一 惠良 聖一
出版者
日本教育医学会
雑誌
教育医学 (ISSN:02850990)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.192-201, 2020 (Released:2020-03-01)
参考文献数
11

In our previous study, we found that FetCO2 (PaCO2) increased during kendo with vocalization. Cerebral blood flow may increase during kendo exercises because PaCO2 has cerebral vasodilator effects. In this study, we measured the blood flow of the common carotid artery during intermittent bicycle ergometer exercise with vocalization as a basic study to elucidate the physiological characteristics of kendo. As a result, at the 80% V・O2peak with vocalization (same load as “kakari-keiko”), we observed a significant increase in FetCO2 (P = 0.022) and blood flow in the common carotid artery (P = 0.040). At the 60%V・O2peak with vocalization (same load as “kirikaeshi”), there was no significant increase in FetCO2; however, we observed a significant increase in blood flow in the common carotid artery (P = 0.035). In addition, in an ultrasonic image of the common jugular vein during exercise with vocalization, we observed the over-swelling of an internal jugular vein with partial blood regurgitation. This indicated that blood flow was temporarily stagnant. These results suggest that the increase in common carotid arteryblood flow was induced during exercise with vocalization. The increase in FetCO2 caused by vocalization, however, was not considered to be the main factor. One of the factors causing the increased common carotid artery blood flow was revealed to be related to an increasing-canceling of intrathoracic pressure due to vocalization-no-vocalization.
著者
吉田 雄大 板谷 厚 高橋 信二 木塚 朝博
出版者
日本体育測定評価学会
雑誌
体育測定評価研究 (ISSN:13471309)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.25-32, 2016-03-31 (Released:2016-10-08)
参考文献数
13

This study aimed to examine the turn characteristics in the multistage 20-m shuttle running test and to investigate method of define to turn characteristics by individual differences among rugby players. Fifteen university rugby players and 4 university long distance runners underwent the multistage 20-m shuttle running test. The head of each subject was digitized and its two-dimensional coordinate data was reconstructed by using the direct linear transformation method. The running locus and acceleration during the turns in the shuttle were calculated from the two-dimensional data. The turning locus of the rugby players was different from that of the long distance runners. Almost all the rugby players turned with a linear locus, whereas all long distance runners, in contrast, turned with an ellipsoidal locus. However, there were no individual differences among the rugby players. Therefore, using mixed models assessed difference in increases of acceleration among individuals. The results of model comparison suggest that the turn characteristics during shuttle running were determined by increases of acceleration during the turn because individual differences have an effect on this particular characteristic. Thus, in the multistage 20-m shuttle running test, an account of the turn characteristics was important, with the exception of the number of shuttles.
著者
柴山 真琴 ビアルケ(當山) 千咲 高橋 登 池上 摩希子
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.357-367, 2016 (Released:2018-12-20)
参考文献数
30

本稿では,国際結婚家族の子どもが二言語で同時に読み書き力を習得するという事態を,個人の国境を越えた移動に伴う国際結婚の増加というグローバル化時代の一側面として捉え,こうした時代性と子どもの言語習得とのインターフェースでどのような家族内実践が行われているのかを,ドイツ居住の独日国際家族の事例に基づいて紹介した。特に子どもの日本語の読み書き力形成にかかわる家族内実践にみられる特徴として,(1)現地の学校制度的・言語環境的要因に規定されつつも,利用可能な資源を活用しながら,親による環境構成と学習支援が継続的に行われていること,(2)家族が直面する危機的状態は,子どもの加齢とともに家庭の内側から生じているだけでなく,家庭と現地校・補習校との関係の軋みからも生じているが,家族間協働により危機が乗り越えられていること,が挙げられた。ここから,今後の言語発達研究に対する示唆として,(1)日本語学習児の広がりと多様性を視野に入れること,(2)子どもの日本語習得過程を読み書きスキルの獲得に限局せずに長期的・包括的に捉えること,(3)子どもが日本語の読み書きに習熟していく過程を日常実践に埋め込まれた協働的過程として捉え直すこと,の3点が引き出された。
著者
前田 恵理 鍋谷 圭宏 河津 絢子 金塚 浩子 實方 由美 高橋 直樹 若松 貞子
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.62-69, 2021-04-15 (Released:2021-05-15)
参考文献数
35
被引用文献数
1

外科とくに消化器外科周術期栄養管理の重要性は論を待たないが, その一環として給食の意義が論じられることは少ない. わが国ではかつて, 流動食から全粥までの段階食で外科医ごとに異なる術後管理が一般的であった. その後, 施設・術式ごとのクリニカルパスが普及し, 主に段階食で画一化された術後管理が行われるようになった. 最近は, 術後早期回復プログラムに則り術後早期経口摂取再開と早期退院を目指すクリニカルパス管理が増えているが, 実際の給食摂取状況や栄養状態などアウトカムの評価は少ない. 一方で, 患者の希望も考慮した術後食の個別化管理で, 栄養摂取増加や体重減少抑制などの有効性が報告されている. 今後は, 食事再開日, 段階食の必要性, 食形態, 提供量を患者ごとに考慮したアウトカム指向の個別化給食管理を念頭におき, 「栄養源として食べてもらえる」給食の考案と環境整備が望まれる. 適切な患者給食からの栄養摂取は患者の満足感や回復意欲の励起にも繋がると思われるが, 一方で栄養源としての限界も理解する必要があり, 癌患者の予後に影響するような栄養状態の低下を招かないように適時適切な経腸栄養・静脈栄養の併用を忘れてはならない.
著者
鈴村 暁男 山崎 敬久 高橋 邦夫 恩澤 忠男
出版者
一般社団法人 溶接学会
雑誌
溶接学会論文集 (ISSN:02884771)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.39-45, 1995 (Released:2009-06-12)
参考文献数
3
被引用文献数
1 1

In the brazed joint of natural diamond to Fe-42 Ni alloy made with Ag-Cu eutectic filler including 4.5 wt% Ti, the behavior of titanium segregation changes according to the brazing thermal cycles, which causes the change in joint strength and the fracture mode. The chemical reaction products of diamond and the filler were identified by ESCA and EDS analyses on the fractured surfaces at the brazed interface, where the analyzed surfaces were made using a developed tensile shear test method, in order to propose the model of formation mechanism of the joint structure.The analytical results revealed that such a structure as consists of TiC nucleation surrounded by Ag and/or Cu is preferred as the joint structure. It was also indicated that the segregation of Ti at the joint interface reduces the bonding strength, where the fracture is liable to occur at the interfaces of diamond-Ti and/or TiC-Ti.The relation between the joint structure and the strength was also discussed using the disregistry values calculated in the previous report. The structure formation models of the interface between diamond and brazing filler metals were proposed to explain the change in the structure and strength of the joint made by different cooling rates.
著者
高橋 孝
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.72-75, 2013

災害時高齢者医療の初期対応と救急搬送基準に関するガイドライン作成に関する研究班が確立し,災害時高齢者医療マニュアルとして医療従事者用と一般救護者用が準備された.避難者&hArr;救護者&hArr;巡回医療従事者&hArr;医療避難所へと連携した対応を行うために,一般救護者用の重要性を想定した.同マニュアルは(1)避難所での高齢者の重要な疾患の特徴と予防法・(2)高齢者急性疾患の症候・(3)高齢者で注意を要する症状で構成され,救護者が理解できるよう記載されている.東日本大震災後,試作版の両マニュアルが日本老年医学会のサイトより得られるよう同研究班は手配した.一般救護者用マニュアルは冊子体としても作成し,同学会員や日本医師会より派遣された医師を通じて被災地へ配布された.この活動状況や一般救護者用マニュアルを英文論文として海外へ発信し,次なる災害へ向けた資料として国際的に活用して頂きたい.<br>
著者
梅野 貴裕 細川 忍 森田 絢子 中村 尚季 塩尻 正明 佐久川 亮 小倉 里奈 林 栄子 斎藤 利江子 増田 雅史 林 敦志 高橋 友香 田村 麻衣子 別所 昭宏
出版者
岡山赤十字病院
雑誌
岡山赤十字病院医学雑誌 (ISSN:09158073)
巻号頁・発行日
no.30, pp.14-19, 2019-11

肺クリプトコッカス症は髄膜炎発症例では重症化の恐れもあり,早期診断・治療が重要である.本疾患における早期診断や診断精度の向上に対する気管支鏡検査時のrapid on-site evaluation(ROSE)の有用性について後方視的に検討を行った.2015年4 月から2019年6 月の間に当院において,気管支鏡検査時にROSE を併用して診断した肺クリプトコッカス症の 8 例を対象とし,臨床像や臨床経過とともに気管支鏡検査時のROSE 結果と病理学的・真菌学的所見との比較を検討した.ROSE の所見は8 例全ての症例で莢膜を有する菌体と多核巨細胞を確認できており,組織診の所見と一致していた.1 例を除く7 例で培養陽性であった.また,基礎疾患を有する症例では気管支鏡検査後1 ~14日(中央値3 日)で治療導入を行っていた.本疾患において,ROSE の併用は診断精度の向上のみならず,早期の診断や治療に対しても有用である可能性が示唆された.
著者
高橋 正明 相澤 正樹 山村 真弓
出版者
宮城県農業・園芸総合研究所
巻号頁・発行日
no.82, pp.1-6, 2014 (Released:2016-04-13)

水田転作野菜として,作付面積拡大に向けた取組みが求められているタマネギは,加工用を中心として需要が高い。しかし,作業の機械化が進む一方で,収穫期が梅雨時期で安定的な作業体系を組めない,腐敗球の発生が問題となること,乾燥場所が確保出来ないこと等が原因で,本県の生産量は伸び悩んでいる。そこで,植物の病原抵抗性を高める紫外線と簡易な乾燥処理を組み合わせた新たな乾燥処理技術の開発を行った。その結果,収穫後のタマネギに紫外線照射をした場合,腐敗球の発生率が低下した。また,畑で地干しする必要がないため,天候の影響を受けにくく,収穫作業可能日数率が高まった。これらのことから,紫外線を利用したタマネギの乾燥処理技術は,腐敗球発生率の抑制と安定的な収穫作業体系の確立の一助となると考えられる。
著者
高橋 三男 大谷 龍二 大谷 龍二
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.252-255, 2006

このたび,早稲田大学の松本和子教授が,日本人として2人目,女性化学者としては初めてIUPAC(International union of Pure and Applied Chemistry : 国際純正・応用化学連合)次期会長に就任が決定しました。本誌編集員が松本教授室を訪ね,IUPACの組織内容,具体的な活動内容について説明いただき,会長の仕事や今後の抱負を伺った。
著者
上坂 晃一 高橋 応明
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J89-B, no.9, pp.1548-1557, 2006-09-01

近年の非接触ICカード/RFIDタグ等の急速な普及には目覚ましいものがあるが,使用されているアンテナは,システム全体の中で最も設計が難しいといっても過言ではない.これはアンテナの設計パラメータが,形状,材質,ICとのインピーダンス整合,通信エリアや各種規制等の遵守等々と非常に多岐にわたるためである.まず,このRFIDシステムには使用する周波数帯がいくつか用意されている.この中で13.56 MHz帯を用いるシステムでは,アンテナが波長に対して非常に小形となることから微小アンテナの設計技術を必要とする.またUHF帯(860~960 MHz)やISM帯(2.45 GHz帯)等では13.56 MHz帯の場合とは異なり,通信エリアが電磁界の近傍界から遠方界にまで及ぶことから,その全域で動作させる必要があり,設計が困難となる.更に,RFIDを貼り付ける物質(金属や高誘電体等)によっても,アンテナ特性が大きく変化する.本論文では,これらの事例について,無線ICタグの設計法を述べる.
著者
高橋 裕介
出版者
北海道大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化)
巻号頁・発行日
2018

大気再突入時に高温プラズマに包まれた宇宙機が、地上局やデータ中継衛星との通信途絶現象(通信ブラックアウト)に陥ることは大きな問題である。その一方で、再突入機近傍のプラズマ諸量分布や電磁波挙動の正確な予測が難しく、通信ブラックアウト低減に繋がる知見の探索が困難な状況である。したがって、この問題を回避・緩和するために通信ブラックアウト低減化技術は必要である。いま表面触媒性を用いた宇宙機後流プラズマ密度低下を利用することによる通信ブラックアウト低減が提案されている。本研究では表面効果による通信ブラックアウト低減化メカニズムおよび低減化技術の指針を見出すことを目的とする。本年度では、ドイツ航空宇宙センター(DLR)に滞在し通信ブラックアウト低減化の研究を実施した。DLR研究者との議論の中で、これまで取り組んできた表面触媒性とは別のメカニズムを利用した新しい通信ブラックアウト低減化手法を提案した。これは冷却ガスを再突入機表面から噴出して空力加熱低減する技術(フィルムクーリング)を応用したものである。とくにここではフィルムクーリングによる低減化の実現可能性を数値解析的手法によって調べた。本課題の基課題となる研究課題 (若手研究B17K14871)では表面触媒性による通信ブラックアウト低減化の実験的実証を行った。このメカニズムを本研究課題では数値解析的手法によって次の通り明らかにした:(1)表面触媒によって生じる分子が再突入機後流に流出する。(2)後流において分子の増加が原子種の不足を招く。(3)原子種を補う方向に電子の再結合反応が促進することで、電子が低減する。(4)電子の低減によって通信電波の伝播が緩和される。
著者
高橋 任美 杉田 直 山田 由季子 鴨居 功樹 高瀬 博 望月 學 丸山 和一 木下 茂
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1281-1283, 2009-08-15

要約 目的:ぶどう膜炎の発症と経過などに及ぼす月経の影響の報告。対象と方法:ぶどう膜炎で通院中の女性54名に,月経周期とぶどう膜炎の自覚症状について問診を行った。年齢は12~51歳(平均31歳)で,内訳はサルコイドーシス8名,原田病8名,Behçet病7名,特発性ぶどう膜炎26名,その他5名である。結果:9名(17%)が月経がぶどう膜炎の自覚症状に関係すると答えた。うち8名では月経直前から月経期間中に症状が悪化した。54名中8名にぶどう膜炎の発症後に妊娠した経験があり,うち出産した5名全例で出産後にぶどう膜炎が一時的に悪化した。結論:ぶどう膜炎がある女性では,月経周期により女性ホルモン動態が変化し,ぶどう膜炎の発症または経過に影響する可能性がある。