著者
黒田 勇
出版者
日本スポーツ社会学会
雑誌
スポーツ社会学研究 (ISSN:09192751)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.22-32,148, 2003
被引用文献数
1

1. 本学会の研究プロジェクト「日韓ワールドカップとメディア」のもとで、日韓にかかわる言説に注目し、今回のワードカップがどのようにメディアで意味づけられたのかを、研究プロジェクトのメンバーである黄盛彬と森津千尋の研究を中心に中間報告としてまとめる。それは、主に日韓のアイデンティティをめぐるポリティクスがワールドカップを通していかに現象したかを明らかにするものである。2. テレビビジネスのグローバル化の中で、サッカーがキラーコンテンツとしてビジネスの中心となり、ワールドカップもスポーツの「祭典/祝祭」という意味合いからメディアビジネスのメガ・イベントとなり、日本のメディアも大きな利益を上げた。3. 日本のメディアは、日本のナショナルとしての熱狂を自明化する一方で、ステレオタイプイメージに従って韓国の熱狂を特殊化し、また、主要メディアの「韓国応援」に対し、インターネット上では「反韓」メッセージが溢れ、その中で欧州サッカーの「よき」消費者である日本のサッカーファンも、アイデンティティをめぐるポリティクスに巻き込まれていった。4. 韓国においてもワールドカップを韓国社会の「世界化」の契機とする戦略とそれへの市民の動員を目指すメディアの動きがあったが、「韓国代表躍進」の結果、そうした戦略の目標とは異なる韓国市民へのインパクトの兆しがある。
著者
ゼラート ウルテ 黒田 忠史
出版者
同志社大学
雑誌
同志社法學 (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.335-366, 2006-05

ドイツの連邦憲法裁判所は、1987年7月14日の決定でもって従来の判決を完全にくつがえし、弁護士の職業上の自由への介入は、弁護士会が定めた「身分倫理指針」のようなものではなく、憲法に従った民主的な決定手続をへて制定された法的規定(法律または規則)に基づいて行われるべきであるとの判断を示した。その後、1994年9月20日に連邦弁護士法の改正法、すなわち「職業法(BRAO)の新規定に関する法律」が、そして1996年12月に「弁護士職務法」(BORA)と「専門弁護士法」(1997年3月発効)が制定された。従って今日では、弁護士の職業上の義務と身分[倫理]上の義務との間には区別がなく、弁護士の職業上の義務の多くは後者BORAの中に含まれている。ドイツの弁護士が遵守すべき職業上の義務としては、職業上の独立性、守秘義務、ザッハリヒカイト、双方代理の禁止、預った財産の注意深い管理、継続研修義務、広告制限、相手方弁護士迂回の禁止、民事事件の訴訟代理受任義務、相談支援・刑事弁護受任義務、欠席判決請求の事前通知義務、代理人変更の迅速通知義務、成功報酬および紹介料の受領禁止、弁護士活動記録書類の引渡し義務、職業賠償保険加入義務、法服着用義務、他の法律職従事者として同一事件の扱うことの禁止などが重要である。近年ドイツの弁護士のこのような職務上の義務は、欧州統合やグローバル化の進展、弁護数の急増と競争激化のなかで、絶えず見直されなければならなかったのである。In völliger Abkehr seiner bisherigen Rechtsprechung entschied das Bundesverfassungsgericht mit den Beschlüssen vom 14.7.1987, dass Eingriffe in die Berufsfreiheit eines Rechtsanwalts Regelungen voraussetze, die durch demokratische Entscheidungen entsprechend der Verfassung zustande gekommen sind, nicht aber durch Standesrichtlinien. In der Folgezeit kam es zur Novellierung der Bundesrechtsanwaltsordnung, nähmlich zum Gesetz über die Neuordnung des Berufsrechts(BRAO) vom 2.9.1994 und auch zur Berufsordnung für Rechtsanwälte(BORA). Daher wird heute nicht mehr zwischen den Berufs- und den Standespflichten eines Rechtsanwalts unterschieden und die Mehrzahl anwaltlicher Berufspflichten ist in BORA enthalten. Unter den Berufspflichten der deutschen Rechtanwälten sind berufliche Unabhängigkeit, Verschwiegenheitspflicht, Sachlichkeit, Verbot der Vertretung der widerstreitenden Interessen, sorgfältige Behandlung der ihm anvertrauten Vermögenswerte, Fortbildungspflicht, begrenzte Werbung, Pflicht zur Übernahme der Prozessvertretung in Zivilsachen, Pflicht zur Beratungshilfe und zur Strafverteidigung, begrenzte Werbung, Verbot der Umgehung des Gegenanwalts, zuvor angekündigter Versäumnisurteil, unverzügliche Mitteilung des Mandatswechsel, Verbot des Erfolgshonorars wie der Provision, Herausgabe der Handakten, Berufshaftpflichtversicherung, Berufstracht, Versagen jeglicher Berufstätigkeit u.s.w. vor allem wichtig. Diese Berufspflicten der deutschen Rechtsanwälten sollten in den letzten Jahren sowohl durch EG-Integration und Globalisierun wie auch durch Steigerung der Anzahl der Rechtsanwälte und die größere Konkurrenz immer wieder geprüft werden.訳:黒田忠史
著者
黒田 敏史
出版者
東京経済大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究では寄付市場のデータベースを構築し、生産性推定、並びに寄付市場における広告競争の構造推定モデルを構築し、寄付市場における広告競争の経済的効率性の改善に向けた提言を行うことを目標としている。29年度は構築した寄付市場のデータベース構築に基づいて生産関数の推定を行い、生産性の推移について分析を行う予定であった。しかし、データ収集が遅れており、引き続きデータの整備を継続している段階である。寄付市場のデータとして当初は開発途上国援助を行っているNGO等の財務データを利用する予定であったが、十分な情報が得られない組織が多く、他のデータを用いた分析を検討中である。他の候補として、地方自治体によるふるさと納税について、広告費とその他の費用、寄付額を十分な数だけ収集する事ができるのではないかと検討中である。また、構造推定を行う上で必要となる数値計算を行うためのツールとして、Rによる並列計算とRcppの利用について学習した。複数のハードウェアでPython、Juliaとベンチマークテストを行って、需要関数推定にかかる実計算時間についての評価を行ったところ、RではIntelCorei76950Xプロセッサの方が計算時間が短いが、PythonとJuliaではAMDRyzen1950Xプロセッサの方が計算時間が短い事を確認した。Rでの数値計算はハードウェア性能を利用し切れていない可能性があるため、引き続き数値計算手法についての技術向上を行う予定である。学会報告、論文執筆等はまだ行っていない。
著者
黒田 亘
出版者
熊本大学
雑誌
法文論叢. 文科篇 (ISSN:04410173)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.14-28, 1959-06-30
著者
黒田 昌克 森山 潤
出版者
日本教育メディア学会
雑誌
教育メディア研究 (ISSN:13409352)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.43-54, 2018 (Released:2018-04-14)
参考文献数
14

本研究では,全国の小学校教員を対象にプログラミング教育の意義の感じ方や育成を目指す資質・能力,背景となる社会観に対する意識などを調査した(n=522)。その結果,「プログラミング的思考」,「さまざまな現実的な問題をコンピュータで解決できるような形式の問題に変換する力」,「モデル化やシミュレーションができるように,データを変数として扱えるようにする力」等の資質・能力(思考力等),「コンピュータの働きをより良い人生や社会づくりに生かそうとする態度」等の資質・能力(態度),「今後の社会において,コンピュータを作業の効率化を図るために使うより,創造的な活動に使うことの方が重要になる」等の社会観がそれぞれ小学校教員のプログラミング教育に対する意義形成に寄与していることが明らかになった。
著者
多田 敦士 玉本 拓郎 黒田 浩一郎
出版者
日本保健医療社会学会
雑誌
保健医療社会学論集 (ISSN:13430203)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.115-126, 2005-03-31 (Released:2016-11-16)

医療社会学では、我が国における健康ブームを健康至上主義の表れとしてとらえている。健康至上主義とは、健康を何らかの手段としてではなく、それ自体価値あることとして追求する態度とその表れである。この意味での健康至上主義は、日本において1970年代半ばあるいは後半から高まり、現在までその高水準が維持されているといわれている。本稿の目的は、この仮説を既存調査を資料として検証することである。資料としては、1960年代から現在まで継続的・定期的に行われ、健康をいちばん大切と考えるかと、健康に注意しているかについての質問を含んだ2つの既存のサーベイ調査を用いる。分析の結果、健康至上主義は、健康を価値あることとすること、健康が自己目的化することにかぎっていえば、1970年代半ばあるいは後半に高まり、その水準が現在まで維持されているといった変化のパターンをみいだすことはできなかった。むしろ、健康至上主義は1960年代後半に高まり、1970年代には低下する、というパターンがみいだされた。
著者
升田 隆雄 坂口 啓二 竹内 光治 鈴木 啓仁 山田 博史 黒田 智枝 野口 紀子 小菅 邦義
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.263-268, 1994-04-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
18

当院の医師92名, 看護婦380名, 看護助手24名, 看護学生30名を対象としてMRSAの鼻腔内保菌の調査を行った. 陽性率は各4.4%, 11.6%, 8.3%, 3.3%であった. 看護婦の保菌は救命センター(37.0%), 脳外科神経内科病棟(30.4%)で高率であり, 病棟でのMRSA検出患者数と平行していた. 除菌処置としてポビドンヨードゲルを1日2回1週間鼻腔内塗布し61%が陰性化した. 除菌困難例にはバシトラシン・フラジオマイシン軟膏を使用し54%が陰性化した. 耐性の誘導を考慮するとこれら抗生剤の局所使用は合理的であると考えられる.同一病棟同一時期での職員由来株と患者由来株のコアグラーゼ型は一致傾向はみられなかった. また除菌処置の励行により職員のMRSA保菌は激減したが, その後もMRSA検出患者は増加している. これらから職員の鼻腔内MRSA保菌に起因する患者への伝播の可能性は低いと推測される.

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著者
樂善堂黒田齊清 著
巻号頁・発行日
vol.[1], 1800
著者
三巻 祥浩 神本 敏弘 黒田 明平 指田 豊 西野 敦子 里見 佳子 西野 輔翼
出版者
The Pharmaceutical Society of Japan
雑誌
Chemical and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:00092363)
巻号頁・発行日
vol.43, no.7, pp.1190-1196, 1995-07-15 (Released:2008-03-31)
参考文献数
25
被引用文献数
17 31

Phytochemical study on the underground parts of Hosta longipes gave six new steroidal saponins together with a known one. The structures of the new compounds were determined by detailed analysis of their 1H-and 13C-NMR spectra including two-dimensional NMR spectroscopy, acid-catalyzed hydrolysis followed by chemical correlation, and by comparison with spectral data of known compounds. The isolated saponins and their aglycones were examined for inhibitory activity on 12-O-tetradecanoylphorbol-13-acetate (TPA)-stimulated 32P-incorporation into phospholipids of HeLa cells to identify new antitumor-promoter compounds.