著者
黒田 公美
出版者
Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.11, pp.745-753, 2013

人間を含め,哺乳類の子は幼弱に生まれるため,哺乳をはじめとして身体をきれいに保つ,保温する,外敵から守るといったさまざまな親からの養育(子育て)を受けなければ成長することができない.そのため親の脳には養育行動に必要な神経回路が生得的に備わっている.一方,子の側も受動的に世話をされるだけの存在ではなく,親を覚え,後を追い,声や表情でシグナルを送るなどの愛着行動を積極的に行って親との絆を維持している.親の養育が不適切な場合でも通常子から親を拒否することはなく,親をなだめ,しがみつき,何とか良い関係を取り戻そうと努力する.社会や自然界でごく当たり前に営まれている親子関係は,実はこのように親子双方の日々の活動によって支えられているのである.親子関係はすべての哺乳類の存続に必須であるため,子の愛着・親の養育本能を司る脳内メカニズムも基本的な部分は進化的に保存されていると考えられる.したがってマウスモデルを用いた愛着・養育行動研究が,将来的にヒトの親子関係とその問題の解明に役立つことは十分期待できる.本稿では,マウスを用いた最近の研究を中心に,養育行動の概要とそれを制御する分子神経機構についてご紹介する.
著者
黒田 寿郎
出版者
慶應義塾大学
雑誌
史学 (ISSN:03869334)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.283-304, 1975

論文
著者
黒田 登志雄 横山 悦郎
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.45, no.8, pp.541-548, 1990-08-05
被引用文献数
4

雲の中の過冷却水滴の凍結によって球形の氷単結晶がまずつくられ, そこから雪の形態形成が開始される. その後の成長にともなって, 球から六角プリズムへ, さらには複雑な樹枝状形態へと時々刻々と新しい形がつくりだされるしくみをシミュレーションを交えて考察する. また, 氷結晶の表面融解が雪の晶癖変化や気相成長機構にどのように関連しているかを示す. さらに, 土の凍結によって地面が数10cmも隆起する凍上現象に土粒子と氷結晶の間に存在する擬似液体層が重要な役割を果たしていることにも言及する. これらの問題は, 非線形非平衡な系における形態形成の動力学の観点から, あるいは表面・界面物理の新しい問題として重要である.
著者
黒田 勇 森津 千尋 福井 栄一
出版者
関西大学
雑誌
関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.39-59, 2007-12

本研究ノートは、関西の地域テレビ文化において、多チャンネル化が放送の多様性に貢献しているのかどうかに焦点をあてる。まず第一に、関西の文化的アイデンティティを生み出してきた関西の放送文化について簡単に触れる。次に、CS京都チャンネルで放送された大阪弁のテキスト番組「でんねん」の内容について、その監修者の立場から検証し、さらに、その内容についての「読解」について学生対象の調査結果を明らかにする。結果は、学生たちはかつて寄りも大阪のステレオタイプイメージを受け入れる傾向とともに、複雑な読解をしていることが明らかになった。
著者
黒田 松雄
出版者
日本昆虫学会
雑誌
昆蟲 (ISSN:09155805)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.23-27, 1954-07-31

Adult female of the Agromyzid flies makes pores by her cerci in the mesophyll of the leaf of the food plants and sucks plant juice from the pores. Thus she can live for a long time without any other food. The quantity of feeding was estimated by the number of pores. Pores made on the leaf of Ranunculus acris L. by Phytomyza ranunculi Schrank which was reared in the glass cylinder in the laboratory was measured by day and by 2 hours in a day. Egg is laid in a pore which is made by the cerci. Feeding and oviposition do not occur at night. Daily quantity of feeding changes in waves, and one wave consists of 2-4 days. The waves have no relation to the mean daily air temperatures. The number of eggs laid changes irregularly and shows no rhythms. In the feeding, amplitudes of the waves change even in the same individuals. The quantity of feeding decreases as the mean daily air temperature goes down. When the mean daily air temperature goes down to 5℃, sometimes feeding does not occur, and under 3℃ days of no feeding outnumber days of feeding, but even in 0℃ there appears a few days of feeding. At -1℃ there is no feeding nor oviposition. In a day time quantity of feeding changes in waves. On hot days (maximum air temperatures over about 24℃) in early morning and in late evening there appears one peak in each time and between two peaks we find one wide valley. On cold days (minimum air temperatures under about 11℃) there appears a low peak in the warm time. On days of moderate temperatures there appears two or three waves. Oviposition occurs in any time of the day.
著者
黒田 俊郎
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会中国支部研究集録
巻号頁・発行日
no.40, pp.30-31, 1999-07-29

東北タイとラオスはおおむね熱帯モンスーンの地帯にある。したがって雨の降る雨期と雨の降らない乾期とが季節的に巡って来る。そしてたいていの稲作は雨の降る雨期に行わる。灌漑設備があれば乾期にイネを作ることは可能であるが、残念ながら人工的な灌漑設備のある水田は多くない。人工的な灌漑設備をもたない水田-天水田-では、村人は豊作を祈って年々の雨の降り具合に一喜一憂することになる(第1・2表)。
著者
古里 公彦 鶴 正人 黒田 英夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.111, pp.79-83, 1997-11-21
被引用文献数
1

ネットワークサービスの障害を切り分けるのは,様々な要因があって難しい。そこでWWWブラウザでチェック用ページにアクセスするだけで簡単に障害切り分けや管理者への通知ができるようなネットワークサービス障害チェックツールを提案する。これはネットワークの知識がない一般のユーザでも簡単に使え、またJAVAアプレット/アプリケーションの共同で実現されているのでユーザやサーバの機種を選ばず、柔軟性に富んでいる。It's difficult to trace reasons of network service faults. We introduce a network service health check tool that can automatically trace the reasons of faults and send an indication to the network manager when you access the check page on WWW server. It's so easy that a network beginner can use it, and also it is platform free and flexible because of using JAVA applet/application.
著者
黒田 慶子 山田 利博 峰尾 一彦 田村 弘忠
出版者
日本植物病理學會
雑誌
日本植物病理学会報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.p606-615, 1988-12
被引用文献数
9

11年生クロマツにマツノザイセンチュウを接種し, 1週間ごとの伐倒の前日に根元から染色剤を吸収させて, その上昇パターンから木部の通水異常を検出した。木部含水率を測定し, 通水異常との関係を明らかにすると同時に, マツ組織の変化, 線虫の増殖との関係を調べた。接種2週後に水分の上昇に乱れが観察され, 含水率が低下し始めた。樹幹の木口断面では, 放射方向に長く白色の線状ないし紡錘形の部分が, 染色部と明確に区分されて出現した。この部分では仮道管は水を失い, 気体が入っていた。この現象は「キャビテーション(空洞化)」と呼ばれる。健全な樹木では, 木部の水はらせん状に上昇するが, 線虫接種木ではキャビテーション部位で流れが妨げられて通水パターンが乱れる。キャビテーションの範囲はしだいに拡大し, 4週後には木口断面のほぼ全面を覆った。マツ組織の変化と線虫の増殖は4週後, 木部の含水率が健全木の30%に低下してからであった。これらの事実から, 形成層や師部の壊死はキャビテーション部位に接した後に水不足により起こったものと判断した。仮道管のキャビテーションがマツの枯死の直接的原因である可能性が高い。他方, 漏出した樹脂による仮道管通水の機械的阻害は, 非常に小さな範囲に留まるため, 枯死の主因とは考えにくい。染色の阻止状況から, 疎水性の物質がキャビテーション部位の仮道管内に存在することが示唆された。マツノザイセンチュウがなぜマツを枯らすのかを明らかにするためには, まずキャビテーションの原因を解明する必要がある。
著者
宮澤 由妃 深野 義人 見越 大樹 井上 寿男 丸岡 秀一郎 黒田 和道 権 寧博 橋本 修 山岸 賢司
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.13, no.6, pp.310-311, 2014 (Released:2014-12-31)
参考文献数
4

Next-generation sequencers (NGS) have made it possible to analyze entire genome sequence. NGS can be used for the identification of genes associated with a wide variety of diseases. We investigate RNAs encoded by intergenic regions to identify novel genes that are involved in respiratory diseases. The respiratory tracts of mice were exposed to lipopolysaccharide to establish a model of respiratory disease. RNA expression levels in the mouse exosome were analyzed by NGS to identify genes involved in the development of respiratory diseases. Several disease-related regions exhibited altered expression levels of intergenic RNAs.
著者
黒田 長禮
出版者
社団法人日本動物学会
雑誌
動物学雑誌 (ISSN:00445118)
巻号頁・発行日
vol.37, no.435, pp.1-16, 1925-01-15
被引用文献数
1

余は曩に動物學彙報第九巻(一九二〇年)に日本及び臺灣産哺乳類に就て記述せしが其後余の標本館に集りたる臺灣産哺乳動物廿一種類に達したるを以て本編に於て聊か記述する處あらんとす。其内稀種ケアシモヽンガのみは臺北師範學校の所藏品なり。其他のものの内大部分は同校の堀川安市氏より寄贈せられしものなり。茲に記して氏の御好意を感謝す。
著者
坂本 浩樹 平島 俊弘 遊佐 隆 黒田 重史 森石 丈二
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.20, no.6, pp.407-410, 1993-11-01
被引用文献数
1

腱板断裂の手術後の固定肢位として stockinette-Velpeau固定を用い, 理学療法をおこなった30例31肩に対し術前, 術後の成績を日本整形外科学会肩関節疾患治療成績判定基準に基づいて比較検討した。総合点は術前平均68.3点から術後平均95.4点と良好な成績が得られた。術前に高度な痛みを訴えていた者, 長時間上肢挙上作業に従事している者, 筋力の回復が遅い者に術後痛みが残存する傾向を認めた。術後患側を下にして寝る事のみ不能なものが 5肩に認められた。術後自動挙上はすべて15点, 自動外旋は平均 7.8点と良好な成績を示した。
著者
宮崎 雅仁 西條 隆彦 森 健治 田山 正伸 内藤 悦雄 橋本 俊顕 黒田 泰弘 埜中 征哉
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.65-70, 1991-01-01 (Released:2011-08-10)
参考文献数
20

Epilepsia partialis continuaを呈したmitochondrial myopathy, encephalopathy, lactic acidosis, and strokelike episodes (MELAS) の14歳1カ月男児例を報告した.本症例は8歳時に自家中毒様の反復する腹痛および嘔吐で発症し, 10歳7カ月, 10歳9カ月, 14歳1カ月の3回にわたりミオクロニー発作, 一過性の片麻痺などの脳卒中様症状を認めた.14歳1カ月時はepilepsia partialis continuaを呈し, 10日間にわたり, 脳波上, 右中心部に出現する棘波に同期する左前腕のミオクロニー発作が持続した.血液および髄液中の乳酸・ピルビン酸の上昇, 頭部CTでの両側側頭部の低吸収域, 生検筋ではragged-red fiberが認められた.
著者
黒田 吉益 黒川 勝己 宇留野 勝敏 衣川 友康 加納 博 山田 哲雄
出版者
地学団体研究会
雑誌
地球科學 (ISSN:03666611)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.331-335, 1976-11-20
被引用文献数
3

舞鶴帯の北側に分布する大江山超塩基性岩体は主としてダンかんらん岩からなるが,その北部にかなり大きな単斜輝石岩の岩体がある(Fig. 1).それは一部,角閃石にとんだ,緑れん石一角閃石岩(部分的に斜長石をもち,角閃岩状になる)になっている.以前,川砂の研究から,この単斜輝岩岩体中より十字石,藍晶石が発見される可能性を指摘したが(宇留野・黒田, 1972), 1975年,黒川が藍晶石を発見し(黒川, 1975),つづいて衣川・黒田が十字石を発見した(衣川, 1975).それらは緑れん石角閃岩中に残晶として産するものである(Fig. 2).そのEPMAによる化学分析を行なった(Table 2).このようなことから,われわれはこの岩石が特殊な岩石であったことを確認し,今後共同して研究をすすめる予定にしたが,今のところ次のような作業仮説を考えているので報告した.かつて,藍晶石+十字石+単斜輝石という組合わせにあったものが,大江山岩体北方の宮津花崗岩体の接触変成作用により,緑れん石一角閃岩相程度の再結晶作用をうけ,緑れん石+角閃石(±緑泥石)のに組み合わせになった.
著者
平野 貢 山崎 和也 TRUONG Tac Hop 黒田 栄喜 村田 孝雄
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物學會紀事 (ISSN:00111848)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.551-558, 1997-12-05
参考文献数
16
被引用文献数
12

水稲品種あきたこまちとひとめぼれを供試して, 基肥窒素無施用一8葉期以降追肥の施肥体系と疎植の組合わせ栽培が慣行栽培に比べて低収である原因と改善の可能性について検討した. 基肥窒素無施用-疎植栽培区では葉面積や分げつなどの栄養生長が緩慢で最大葉面積指数も4程度と小さかった. また有効茎歩合が慣行区に比べてやや大きかったにもかかわらず, 登熟期におけるm^2当たり穂数はかなり小さく, m^2当たり籾数は3万粒を下回った. 登熟歩合は慣行区よりも明らかに大きかったが, 収量は慣行区より5-10%低かった. 穂揃期の有効茎数を株あたりで見ると, 1次分げつは慣行区と基肥窒素無施用-疎植栽培区で大差がなかったが, 2次分げつでは後者で多く, 全有効茎数も多くなった. 有効茎となった1次分げつおよび2次分げつの発生部位は慣行区では下位節に, 基肥窒素無施用-疎植栽培区では上位節に偏る傾向があった. しかし, 基肥窒素無施用-疎植栽培区の2次分げつ穂は1穂重, 穂長および1穂当たり生葉重が大きかった. 穂ばらみ期および登熟期の個体群内部の相対光強度は基肥窒素無施用-疎植栽培区で明らかに大きかった.
著者
田口 晴邦 黒田 貴子 塚田 吉昭 宝谷 英貴 原口 富博 沢田 博史
出版者
国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

Wave Groupも含めた任意波中における船舶の挙動を推定するために必要な船体運動時系列計算コードを開発し、模型船を用いた水槽実験結果と比較した。その結果、開発した船体運動計算コードで、定傾斜が付いた状態の運動特性や減揺装置の効果等を精度よく推定できることが確認された。また、開発した船体運動時系列計算コードを用いて、Wave Groupを含む実際の波浪中を航行する船舶の危険性を実用的な観点から評価する手法を検討した。
著者
黒田 勉
出版者
白鴎大学
雑誌
白鴎大学論集 (ISSN:09137661)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.21-80, 2013-09