著者
黒田 英一
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.443-458, 1996-03-30 (Released:2010-01-29)
参考文献数
11

ピオリ, セーブルは『第二の産業分水嶺』において, 大量生産システムにかわる生産方式として「柔軟な専門化」を提唱してきた。本稿は, 日本の有名な精密機器メーカーのひとつであるキャノンをとりあげ, 同社の生産ネットワークの事例調査により, 「柔軟な専門化」の日本への敷衍化を試みている。キャノンの生産ネットワークには2つのタイプがみられる。まず, 試作品の生産ネットワークでは, 専門技術を持つ協力企業が, 大田, 品川に立地し, 試作品専業の企業を中心にゆるやかに結びつき, 新製品開発という共通の目標に向かって, キャノンの製品開発を支えている。次が, 量産品の生産ネットワークである。量産品を支える企業は, 地方に立地し, 高品質, 廉価, 短納期の部品を製造している。今回の事例調査から, 試作品の生産ネットワークにおいて, 「柔軟な専門化」の特徴が見いだせる結果となっている。しかも, 試作品を担う企業は量産品も製造しており, 現実には複雑で多面的な生産ネットワークを構成しているといえる。
著者
黒田 未来 東 敦子 津田 望
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.25-32, 2002-03-31

無発話の重度知的発達障害児に対し、表出手段として、サイン言語に加えて写真や絵、図形シンボルなど複数のAAC手段を指導した事例の経過を述べた。本症例は、対人関係が比較的よく、手指模倣が可能で、自発的なサイン表出がみられたことから、指導初期にサイン言語によるコミュニケーション指導を行った。その結果、サイン言語を表出手段として用いるようになったが、その後表出サインの増加に伴い、手指の巧緻性や記銘力の低さなどからコミュニケーションが取りにくくなったため、写真、パッケージ(「P&P」)などを用いたコミュニケーション指導を行った。最終的にサイン言語だけでなく、「P&P」や図形シンボルなど複数の手段を表出手段として併用することが可能となり、コミュニケーションの伝達性や、視覚的弁別力が高まるなどの変化がみられた。本事例を通して、重度の知的障害児にサイン言語を指導することの効果、手指の巧緻性や視覚的弁別力が比較的低い場合に、サイン言語や「P&P」など複数のAAC手段を併用することの効果、また、他者との円滑な「やりとり」を促すために、家庭や学校など諸機関と連携することの重要性について考察した。
著者
黒田泰三著
出版者
中央公論美術出版
巻号頁・発行日
2007
著者
藤沢 寛 高田 政幸 黒田 徹
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会年次大会講演予稿集 (ISSN:13431846)
巻号頁・発行日
no.1999, pp.35-36, 1999-08-23
被引用文献数
1

Practical field experiments for digital terrestrial television broadcasting were carried ARIB from November 1998 to March 1999. This paper describes the results of practical field experiments for stationary reception. The results show that required minimum field strength for 99% of correct reception location rate is about 57dBμV/m in the case of 64QAM with coding rate of 7/8.
著者
上田 しのぶ 黒田 雅彦 高梨 正勝 大野 慎一郎 土田 明彦
出版者
東京医科大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

microRNA(miRNA)はがんの発生や抑制に関与しており、血中ではエキソソームによって運ばれている。また、がん幹細胞は現在の治療法では残存し再発や転移を起こす可能性がある。我々はがん幹細胞に結合する分子をエキソソーム膜上に発現させ、がん幹細胞の増殖を抑制するmiRNAをエキソソーム中に取り込ませて血中に投与することで、がん幹細胞を標的とした治療法を確立できると考えた。乳がん細胞のEGFRに結合するペプチド(GE11)を発現させたエキソソームにlet-7aを内包させ (let-7a/GE11エキソソーム)、担がんマウスに尾静脈接種すると効率よくがん細胞へ到達し増殖抑制効果を示した。

1 0 0 0 OA 新撰箏曲全集

著者
黒田米太郎, 菊田歌雄 著
出版者
大阪開成館
巻号頁・発行日
vol.第1集, 1910
著者
浦野 雄貴 松原 岳志 林 勇 ジョハリ アブル・ハサン 小平 薫 徐 照男 黒田 忠広 石黒 仁揮
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.170, pp.127-132, 2012-07-26

本研究では高速近接無線通信のための適応パルス幅制御を用いたパルスベース磁界結合通信機を提案する.適応パルス幅制御器はデジタル制御の多位相アレイ発振器で生成した20位相のクロックを用いて,極低電圧下におけるPVTばらつきによるパルス幅の変動を防ぐ.パルス生成とパルス幅検出を同一の多位相発振器で行うことによって回路面積を削減した. 65nmCMOSを用いて作成したテストチップは電源電圧0.7Vにおいてデータレート850Mb/s/ch,消費電力4.1mWを達成した.

1 0 0 0 OA 速記独学

著者
黒田恵一郎 著
出版者
誠文社
巻号頁・発行日
1890
著者
楫 靖 杉村 和朗 藤井 正彦 守殿 貞夫 黒田 輝
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

平成15年度は未治療前立腺癌患者5名で協力の同意が得られた.超高磁場MR装置(Signa VH/I3.0T)を用いて,前立腺MRI撮像とMR spectroscopy(MRS)測定を行った.4名で前立腺生検後血腫が残存しており,ヘモジデリンによる磁場不均一化で,MRSでは雑音の多いスペクトルとなった.MRIでも血腫の影響が強かったが,血腫の無い前立腺健常部については導管構造が詳細に描出されており,通常の1.5テスラMR装置の画像よりも細かい構造評価が可能と考えられた.平成16年度は血腫の影響を避けるため生検前患者51名にMR検査を行った.血腫は同定できなかったが,腸管ガス貯留により磁場が乱れ,良質のスペクトルを得られないことがあった.これには検査前夜に下剤を投与することで対応した.スペクトルを解析すると非常に高品質なスペクトルと雑音の多いものが混在していた.対象となった患者の前立腺の体積は大きく全領域を均一に励起できないことが理由と考えられ,現装置の限界であった.質の高いスペクトルが得られたのは,25症例の辺縁域40領域,移行域40領域であった.生検結果と対比させると,MRSで得られた(コリン+クレアチン)/クエン酸比(CC/C)は,辺縁域癌(5領域)で1.94,移行域癌(3領域)で1.84を呈し,健常な辺縁域(0.46)や移行域(1.03)と比べて有意に高かった.CC/Cと病理学的悪性度を表すGleason scoreを対比させると,関連性が示唆されたが有意ではなかった.期間内の研究では,MRSの情報を加味した新たな侵襲性を予測する指標を作成することはできなかった.しかし,均一に励起されている領域のスペクトルの質は,一般の1.5テスラMR装置を使用した場合よりも格段に信号雑音比,スペクトル分解能に優れており,MR装置の改善により前立腺癌の診療に有用な情報をもたらす可能性があると考えられた.

1 0 0 0 OA 名家歴訪録

著者
黒田譲 著
出版者
黒田譲
巻号頁・発行日
vol.中編, 1901
著者
加藤 貴彦 松尾 佳奈 黒田 庄一郎 盧 渓 小田 政子 大場 隆
出版者
日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.211-214, 2014 (Released:2014-09-24)
参考文献数
3

In a long-term large cohort study, we introduced an electronic money system for remuneration of research participants. In comparison with the delivery of cash vouchers, the operation and mailing cost, and the processing time were significantly reduced. The workers were also able to save the time and effort they spent on the inventory management of cash vouchers. In addition, risk management was improved, as demonstrated by the reduction of complaints and associated problems such as nonarrival or content differences of cash vouchers. This is because only card points as additional money need to be added once the electronic money card has been distributed to the recipients. Furthermore, the psychological stress of workers associated with inventory management and ensuring cash voucher enclosure was also reduced.
著者
黒田 達夫
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.35-38, 2009-01-31 (Released:2009-03-03)
参考文献数
9

本稿では自験例の検討を交えて小児急性腹症診察のポイントをまとめた。当科で入院した小児腹部救急疾患症例の内訳では,急性虫垂炎が全体の半数を占め,さらに腸重積症,イレウス,胆道拡張症の4疾患で全体の95%以上を占めた。小児の急性腹症ではこれらの頻度の高い疾患が多様な症状,経過を呈していることが多く,これらの疾患は必ず念頭に置かなければならないものと考えられた。一方で外科の立場からは,急性腹症のprimary surveyとして,原因疾患の鑑別診断よりも,手術を要する緊急性の高い腹痛を見分ける病態診断が最優先されるべきであると考える。このため小児の急性腹症においては,初療段階より小児救急医,小児内科医,小児外科医の緊密な連携が必須であり,こうした連携を勘案した地域の小児救急医療体制を整備してゆく必要があるものと思われる。
著者
中村 昌彦 梶原 宏之 稲田 勝 原 正一 星野 邦弘 黒田 貴子
出版者
社団法人 日本船舶海洋工学会
雑誌
日本船舶海洋工学会論文集 (ISSN:18803717)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.95-105, 2006 (Released:2007-04-06)
参考文献数
6
被引用文献数
2

Recently, in domestic shipping, a shortage of crew members resulting from the severe labor environment and the aging of members are serious problems, and there is concern about stable transportation becoming difficult because of this. The hiring of younger crew members by improving the labor environment and reducing the labor load is therefore an important target. The automatic mooring is one means of mitigating the labor load of standby operations. If the shift of the mooring tension induced by tide level change and the draft change while loading can be prevented, and moreover, if the hull position can be kept automatic within the allowable limit, the labor load can be reduced. In this research, a simulator which calculates mooring tensions and ship motions was built first, and calculation accuracy was checked by model experiments. The controller was then designed using the simulator and the performance was verified by tank tests. Successful results are shown.
著者
黒田 健太
出版者
広島大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

昨年度、スピン角度分解光電子分光を用いてトポロジカル絶縁体におけるディラック表面電子状態の磁場に依存した(時間反転対称性の破れた)スピン電子構造を解明するために、高効率スピン偏極検出器を用いた放射光スピン角度分解光電子分光装置の開発を広島大学放射光科学研究センターで行った。そこで本年度では、開発したその装置を用いてトポロジカル絶縁体ビスマスセレナイドにおける時間反転対称性の破れたデラック表面電子状態のスピン電子構造の完全決定を行った。まず、円偏光の励起光を試料に照射する事で時間反転対称性の破れたスピン偏極度に注目した。この場合、円偏光のヘリシティを外部磁場とみなす事ができる。また、放射光の最大の利点であるエネルギー可変性を十二分に活用する事により、光電効果における終状態効果まで詳細に測定を行った。直線偏光を用いた測定では、ディラック電子状態から放出された光電子のスピン偏極度は時間反転対称性を持った始状態のスピン電子構造を大きく反映する事がわかった。それに対して、円偏光を用いた場合、観測されるスピン偏極度は明らかに時間反転対称性を破っており、直線偏光の結果と大きく異なる。この偏光依存性は光電子のスピン偏極度が円偏光のヘリシティにより励起された事に起因している。また、この円偏光依存性は励起光のエネルギーに強く依存する事がわかった。これらの結果から、円偏光照射により表面にスピン偏極した光電流を創出できる事、さらに選択的にその電子スピンを励起できる事を示している。これらの点で本研究は、光により、電流、スピンを同時に制御したオプトスピントロニクスの実現に向けて重要な知見を与える。
著者
島田 隆 松井 嶺迪 西村 正史 石田 安弘 森 行秀 黒田 一彦
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会和文論文誌 (ISSN:13472879)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.310-322, 2011 (Released:2011-11-30)
参考文献数
6

This paper discusses the reprocessing plant concept suitable for the transition period from the Light Water Reactors (LWRs) to the Fast Breeder Reactors (FBRs). This transition requires the reprocessing of spent fuels in order to supply an adequate volume of fissile plutonium (Pu-fissile) for the FBRs. The transition period would continue for more than 60 years, and the reprocessing plant should match with the change in the power generation plan during the transition period. The ability to supply Pu-fissile has been evaluated for two plant concepts. One is the independent-type concept, which contains two processes for reprocessing either LWR or FBR fuels. The other is the modularized-type concept, which contains only one process for reprocessing both the LWR and FBR fuels. The result showed the superiority of the modularized-type concept over the independent-type concept, because the former can enhance the ability to supply Pu-fissile with less reprocessing capacity. Therefore, the reprocessing plant suitable for the transition period is that based on the modularized-type concept.