著者
堀口 逸子 筒井 昭仁 中村 譲治 西方 寿和 神崎 昌二
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.60-68, 1998-01-30
被引用文献数
24

1980年代産業保健の現場においてワークサイトヘルスプロモーション(WHP)が北米を中心に普及した。WHPは健康的な公共政策づくりや健康を支援する環境づくりなどをも含みヘルスプロモーションの概念に則していると考えられる。われわれはWHPの考え方を参考に一企業において歯科保健プログラムをデザインすることにした。前段階として現状把握および環境整備と健康教育プログラム策定を目的とした質問紙調査を行った。質問紙調査は社員の歯科保健の現状と歯周病に起因して生じる事柄を会社全体の問題として診断し現状分析を行うものであり,プリシードプロシードモデルに基づき開発された。対象は某製造業の本社勤務事務系社員170名である。その結果,以下の知見が得られた。1.歯科疾患によって会社に不利益が生じ,社員のQOL(Quality of Life)が阻害されていた。2.多くの社員に歯周病の自覚症状が認められ,口腔内状況は良好ではないと推察された。3.好ましい口腔保健行動は未だ不十分な状況であった。4.保健行動に影響を与える要因では準備因子に比べ,強化・実現因子の不十分さが明らかとなった。5.健康学習教室参加のニーズは高かった。プリシードプロシードモデルを応用して開発したこの質問紙により,歯科保健プログラムの企画立案および環境整備のための有用な情報を得ることができた。
著者
埴岡 隆 高谷 桂子 田中 宗雄 岸本 美香子 雫石 聰
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.693-702, 1997-10-30
被引用文献数
10

わが国における口腔保健医療従事者による喫煙対策の推進を図るため,歯科医師の喫煙習慣,喫煙に関する知識,患者の禁煙支援の活動実態およびその障壁について調査を行い,日常診療への禁煙プログラムの導入について検討した。某大学同窓会会員歯科医師における調査(回答者545名,回収率70.6%)では,喫煙率は男性28.7%,女性1.6%であり,男性の29.8%は元喫煙者であった。喫煙関連疾患の知識は全体的に低い水準であったが,口腔癌は約65%,歯周病は約42%の歯科医師が喫煙と関連があると答えた。喫煙習慣の問診は約65%,喫煙の害の助言も約40%の歯科医師が行っており,この割合は,口腔癌と比べて,歯周病の知識を有する者が高かった。喫煙問題に関心が高い日本禁煙推進医師歯科医師連盟の歯科医師会員を対象とした調査(回答者67名,回収率78.8%)では,禁煙支援活動のうち喫煙者に共通な行為は約80%の者が行っていたが,個々人の内容に踏み込んだ支援行為は少なく,また,「紹介機関がない」,「患者の抵抗や不満」,「患者教育のための教材がない」,「時間がない」ことなどが障壁と認識されていた。しかし,禁煙支援のトレーニングを受けた歯科医師では,禁煙支援の日常化の程度が高かった。以上のことから,歯科診療の場において禁煙支援を日常的に行うためには,喫煙と歯周病との関連等の啓発および禁煙支援のトレーニングが重要であることが示唆された。
著者
金 永鏑 古賀 寛 松久保 隆 高江洲 義矩
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.8-19, 1998-01-30
被引用文献数
2

本研究は多様な無機成分を含有している竹塩を配合したNa_2PO_3F/竹塩配合歯磨剤のenamelへのフッ化物取り込み,酸抵抗性に与える影響を検討したものである。ウシの前歯enamelに実験群歯磨剤として,研磨剤のみを含む歯磨剤(対照群),MFP配合歯磨剤(F群),MFP/竹塩配合歯磨剤(FB群),MFP/竹塩/VE(vitamin-E)配合歯磨剤(FBV群),MFP/食塩/VE(vitamin-E)配合歯磨剤(FSV群)を反応させ,フッ化物取り込み,酸抵抗性,SEM観察,XMAとX線回折分析による歯の表面分析を行った。その結果,フッ化物取り込み量は対照群と比較して,F群とFSV群では第1層で有意差が認められたが,竹塩配合歯磨剤のFB群とFBV群は第3層まで有意に高かった(p<0.05)。酸抵抗性実験では,F群では6時間まで,FB群およびFBV群では12時間までCa溶出抑制効果が認められた(p<0.05)。乳酸緩衝液で3時間作用後のenamel表面のSEM観察では対照群,F群およびFSV群ではenamel prismのheadに脱灰像が観察されたが,FB群とFBV群にはenamel prismの脱灰がみられず,微細な粒子の沈着による比較的滑沢な表面が観察された。歯の表面全体の広範な沈着物はHApおよびその前駆物質であると確認されたが,さらにFBとFBV群では,その他にK_5P_3O_10,KCa(PO_3)3,Ca_4O(PO_4)_2などの化合物が検出された。以上のことからMFP/竹塩配合歯磨剤とMFP/竹塩/VE配合歯磨剤は,MFP配合歯磨剤およびMFP/食塩/VE配合歯磨剤と比較して,in vitroでのフッ化物取り込み量と酸抵抗性試験成績において有意に高いことが認められた。
著者
小野 幸絵 田中 彰 末高 武彦 澤 秀一郎
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.208-213, 2007
参考文献数
11
被引用文献数
6

2004年10月23日夕方に新潟県中越地方で最大震度7の地震が発生した.著者は,地震直後に村ぐるみで避難しその後も仮設住宅で生活しているY村住民を対象として,地震前,地震直後,仮設住宅入居以降(地震から約50日)における歯磨きの状況などについて,2005年4月にY村診療所患者のうち協力が得られた388名に調査を行った.その結果は以下のようである.1歯磨き回数は,地震前に比べて直後では減少したが,仮設住宅入居後では地震前よりわずかに増加した.また,歯磨きの仕方について地震前と入居後で比較すると,地震前と同じ者が半数以上で,雑になった者は10%あまりであった.2地震直後は,うがい液でうがいをした者あるいは口をすすいだ者が多かった.歯ブラシは80%以上が3日以内に入手した.3地震直後に必要としたものは,歯ブラシ,うがい用のコップ,うがい液の順で多かった.今回の調査参加者は一地域のみで年齢的にも偏りがあるが,被災時そして被災前後の歯磨き状況についての実態と需要を把握することができた.
著者
田村 文誉 水上 美樹 綾野 理加 大塚 義顕 岡野 哲子 高橋 昌人 向井 美惠
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.182-188, 2000-04-30
参考文献数
18
被引用文献数
15

都内某特別養護老人ホームに入居中の要介護高齢者73名を対象とし,「全身状態」「生活環境」「介護状況」の聞き取り調査と,「口腔内診査」「RSST]および「フードテスト」による摂食・嚥下機能評価を行った。それらのうち,上下対合歯による安定した顎位の保持が摂食・嚥下機能に及ぼす影響を明らかにする目的で,「安定した顎位」とRSSTおよびフードテストの結果との関連について検討した結果,以下の知見を得た。1.RSSTの30秒以内の嚥下回数が3回未満の者は,57名中17名(29.8%)であり,安定した顎位との関連では,安定した顎位のとれる者ではとれない者と比較して,1%の危険率で30秒以内の嚥下回数が3回未満の者が有意に少なかった。2.RSSTの初回嚥下までの時間が5秒以上かかった者は,57名中16名(28.1%)であり,安定した顎位との関連では,安定した顎位がとれる者ではとれない者と比較して,初回嚥下までの時間が5秒以上の者がやや少なかったものの,統計学的に有意な差は認められなかった。3.フードテストの口腔内残留がみられた者は,69名中40名(58.0%)であり,安定した顎位との関連では,安定した顎位がとれる者ではとれない者と比較して,1%の危険率で有意に口腔内残留が少なかった。
著者
樋出 守世 中村 秀男 井上 一彦 今井 奨
出版者
一般社団法人 日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.244-250, 1990-04-30 (Released:2010-10-27)
参考文献数
34

1) Strontium-90 level was determined in May 1989 in 40 sample groups of Japanese teeth, for a total of 1022 third molars, obtained from donors born in 1900-1970.2) The teeth from donors born in 1925-1931, and which were extracted in the donors' twenties did not contain detectable strontium-90.3) Strontium-90 level of the teeth from donors born in and after 1942 suddenly increased, and reached peak value of 62.8 to 72.8mBq/g Ca in 1953. It abruptly decreased after 1954 and reached approximately 20mBq/g Ca by 1970.4) In the teeth obtained from donors born in 1900-1924, and which were extracted at the age of 30 to 69, a small amount of strontium-90 was detected.
著者
木村 恵子 長田 斉 矢澤 正人 小松崎 理香 青山 旬 和田 聖一 伊谷 公男
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.204-212, 1997-04-30
参考文献数
19
被引用文献数
9

東京都における1歳6ヵ月児歯科健康診査の乳歯齲蝕罹患分類におけるO_1,O_2型(以下,O_1,O_2型)の判定基準について区市町村に対し質問紙による実態調査を行った。また,各区市町村のO_1,O_2型の判定状況,1歳6ヵ月児歯科健康診査の乳歯齲蝕罹患分類におけるO_2,型(以下O_2型)者率と1歳6ヵ月児歯科健康診査(以下,1歳6ヵ月児健診)および3歳児歯科健康診査(以下,3歳児健診)の齲蝕有病者率の差との関係について検討した。次いで,1歳6ヵ月見健診でO_1,O_2型と判定された東京都S区N保健所・北海道I保健所の平成7年度3歳児健診受診者を資料とし,新たなO_1,O_2型の判定基準を1歳6ヵ月から3歳までの齲蝕罹患に関与するリスク要因によって判定することを目的に「就寝時の授乳の習慣」・「甘味の摂取頻度]・「歯みがき状況」を要因と選定して相対危険度による検討を加えた。その結果, 1. 44区市町村(80.0%)から回答を得,そのうち19区市町村(43.2%)が国の示す1歳6ヵ月児歯科健康診査要領以外の独自の判定基準を持っていた。2. 平成5年度O_2型者率が80%以上の区市町村数は22(40.0%)であった。 3. O_2型者率と1歳6ヵ月児健診および3歳児健診の齲蝕有病者率の差との関係には有意な相関は認められなかった。 4. 齲蝕罹患に関与するリスク要因の相対危険度による検討では『甘いお菓子をほぼ毎日食べる習慣』・『就寝時の授乳の習慣』についてはN・I両保健所とも3歳時点での齲蝕有病状況に統計学的に有意な差が認められた。 5. 『甘い飲み物をほぼ毎日飲む習慣』もほぼこれに準じる成績であった。 6. 「歯みがき状況」を示す『保護者による歯みかき習慣』と『プラークスコア』はリスクとして認められなかった。以上の検討から,新たなO_1O_2型の判定基準としては「甘味の摂取頻度」・「就寝時の授乳の習慣」を要因としてとらえ,『甘いお菓子をほぼ毎日食べる習慣がある』・『甘い飲み物をほぼ毎日飲む習慣がある』・『就寝時の授乳の習慣がある』の3項目に1項目以上該当する者をO_2型と判定するのが適当ではないかと考えられた。
著者
葭原 明弘 佐久間 汐子 小林 清吾 宮崎 秀夫
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.46, no.5, pp.729-733, 1996-10-30
参考文献数
20
被引用文献数
5

よりう蝕リスクが高いと思われる歯牙に実施したシーラントの保持状況および脱落要因について評価した。対象者は,保育園の4歳児から施設ベースのフッ化物洗口法を経験している小学校の1〜3年生,計356名である。Sticky Fissureに咬合面の歯垢付着状況,歯牙の咬合状態,年齢の3指標を組み合わせシーラントの適応を決定した。分析には,シーラント処置を行った第一大臼歯の小窩裂溝,156ケ所を用いた。調査期間は最短で半年間,最長で3年間である。シーラントの保持率は,半年間経過したもので75.9%〜100%,2年間経過したもので69.0%〜96.8%,3年間経過したもので58.6%であった。う蝕は小窩裂溝156ケ所のうち4ケ所にのみ発生した。また,重回帰分析の結果から,処置時の防湿不良がシーラントの脱落に有意に関わっていることが示された。Sticky Fissureを適応条件としたシーラントプログラムの場合,シーラントを処置する際の充分な清掃および唾液からの防湿がシーラントの保持率を高める上で重要な要因と考えた。
著者
栗田 啓子
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.541-562, 1983
被引用文献数
5 18

幼児齲歯の多発, 発症の原因を解明する目的で, 北海道辺地の幼児について, 2541名を対象として, 生活習慣6項鼠を設定し, 齲蝕罹患に及ぼす影響を偏相関係数を用いて分析した。併せて, コーホートを用いた経年的研究および細菌学的検索をも実施して, 次のような結果を得た。<BR>1. 牛乳摂取によって乳前歯および乳臼歯の齲歯多発は抑制傾向を有意に示していた。<BR>2. 清涼飲料摂取によって乳前歯, 乳臼歯とも齲歯多発傾向が強くみられ, 乳臼歯齲蝕の重症化にも影響を及ぼすことが明らかにされた。<BR>3. 甘味菓子類の摂取は, とくに乳前歯の齲歯多発および, 乳臼歯齲蝕の重症化に対して強い影響がみられた。<BR>4. 齲蝕罹患に対する影響を清涼飲料と甘味菓子類とを比較して検討したが, 全歯および乳前歯の齲歯多発には清涼飲料が有意に関与し, 乳臼歯齲蝕の重症化には甘味菓子類のほうがより強い影響を示していた。<BR>5. 間食摂取については, 齲歯を多発させる傾向は有意に認められなかった。<BR>6. 子供自身による刷掃の齲蝕抑制効果は極めて少なかうた。<BR>7. 母親による刷掃については, 指標に用いた各齲歯数および乳臼歯顔蝕の重症化に対して, 偏相関係数による分析では有意な抑制傾向を認めた。<BR>8. コーホート分析の結果は, 偏相関係数を用いた分析結果を支持し, 生活習慣の改善によって齲歯の多発および重症化を抑制し得ることを明示した。<BR>9. 幼児の歯垢中の総レンサ球菌数, Str. mutans菌数について検索した結果, 生活習慣と齲蝕罹患との相関関係を微生物学的検査からも明らかにした。また, 歯垢を材料とした齲蝕活動性試験 (カリオスタット) 48時間値と幼児の生活習慣との関係について検索したが, その結果は各生活習慣の要因の齲歯多発または抑制傾向を明示した。
著者
後藤田 宏也 田口 千恵子 内山 敏一 有川 量崇 山内 里央 小林 清吾 佐久間 汐子 上江洲 香實
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.159-164, 2005-07-30

半導体レーザーを用いたう蝕診断器: DIAGNOdent^[○!R]は非破壊的に微細なう蝕病変を検出できるため, 初期う蝕または前臨床う蝕の診断に使用できることが期待される.臨床診断におけるDIAGNOdent^[○!R]の有用性はいくつか報告されているが, 小窩裂溝部におけるSticky感の有無との対応を検討したものはない.Sticky感の有無はシーラントなど積極的予防処置適応歯の条件として有用とされてきたが, この判定に歯科用探針を用いることに問題があった.そこで今回われわれは, Sticky感の有無とDIAGNOdent^[○!R]測定値の関係について, 臨床評価や使用基準を評価する目的で小学校児童を対象に臨床疫学的な検討を行った.その結果, DIAGNOdent^[○!R]値のCut-off pointを設定し, 敏感度と特異度を検討した結果, Cut-off pointを15, 20, 25, 30としたときのSticky(+), Sticky(-)のそれぞれの敏感度は0.89, 0.78, 0.63, 0.48, 特異度は0.61, 0.74, 0.80, 0.84となった.またDIAGNOdent^[○!R]値20でのCut-off pointにおけるkappa値は0.49と最大で, 陽性反応適中率は60%, 陰性反応適中率は87%となった.Sticky感のない健全歯の検出に比較的高い有効性が認められた.
著者
安藤 雄一 八木 稔 佐々木 健 小林 秀人 小林 清吾 堀井 欣一
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.440-447, 1995-07-30
被引用文献数
11

新潟県内のフッ化物洗口(以下,F洗口)の実施地域(36市町村)と未実施地域(37市町村)における12歳児DMFTの経年的な推移について検討した。評価期間は1982〜1993年度とした。分析対象はF洗口を管内のすべての小学校で6年以上継続実施している市町村と未実施の市町村とした。F洗口を実施している料については,開始時期別に,1970年代開始群,1982〜1985年度開始群,1986年度開始群の3群に分類して分析を行った。未実施群のう蝕は漸減傾向にあり,全国平均に極めて近い傾向を示した。評価期間以前にF洗口の効果が現われていたと考えられる1970年代開始料は,未実施群と同様,漸減傾向を示したが,う蝕は一貫して少なかった。1993年度における未実施料と比較した1970年代開始群のDMFTの差は43.2%であった。一方,評価期間中に注目を開始した群では,F洗ロ開始以後のう蝕の減少量が未実施料よりも大きく,その減少傾向は統計的に有意であった。未実施料のう蝕減少量を考慮して1993年度時点のF洗口の補正減少率を算出した結果,82〜85年度開始群が45.1‰86年度開始群が31.1%であった。以上より,F洗口によるう蝕の予防効果は,F洗口以外の要因の影響によるのう蝕の減少を除外しても高いことが確認された。
著者
柘植 紳平
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.348-364, 1999-07-30
被引用文献数
2

COの基準作成の基礎的研究として,児童の第一大臼歯599歯の咬合面を撮影した。その写真より,小窩裂溝部を白濁の有無,着色の有無,着色の範囲,歯垢付着の有無の4つの基準で分類し,年齢的推移を追跡した。その結果と結論は次のようであった。1.白濁は6歳で80%以上に認められ,8歳まで横ばいで推移し,9歳より減少した。2.着色は6歳で26.0〜42.0%に認められ,年齢とともに増加した。3.着色は,上下顎とも6歳では薄茶色が大部分を占めたが,8歳以降,黒褐色,黒色の割合が増加し,11歳では黒色の割合が最も多くなった。4.着色の範囲は,11歳で上顎では三分の一着色,下顎では三分の二着色の割合が最も多くなった。5.歯垢付着は,6歳で最も高率であったが,9歳までに急減した。6.歯垢付着の有無と白濁の有無とでは,上下顎いずれの年齢においても関係が認められなかった。以上から,第一大臼歯の咬合面では,小学校低学年(6〜8歳)で高頻度にみられる白濁と歯垢付着が,小学校高学年(9〜11歳)では黒い着色の増加へと変化する。う蝕の進行ではなく,再石灰化の結果であろうと考えられ,この時期においては修復を急がず,予防管理を重視することが大切であると結論される。
著者
田辺 文枝
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.328-337, 1960

For the purpose to find the exact position of neonatal line in Japanese, ground sections of 475 human deciduous teeth were examined histologically. Obtained results are as follows.<BR>1. The position of neonatal line was not characteristic and showed considerable variation in each tooth type, especially on the anterior teeth.<BR>2. The variation of position would be mainly owing to the change of physiologic condion of new- erine period or of the gravity at birth. The considerable variation on the anterior teeth would be ow ng to the constitutional feature of their enamel.<BR>3. The position of neonatal line in Japanese had a trend to appear at incisal or cuspal portion of the tooth crown than the position in American or European people.<BR>4. Toot development in female showed a tendency more earlier than in male at birth-time.<BR>5. The tooth development of the children born after 1950 at birth was thought more fast than of the born at The War-Time and the soon after, but the further investigation about this result will be done.
著者
田辺 文枝
出版者
一般社団法人 日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.328-337, 1960 (Released:2010-10-27)
参考文献数
23

For the purpose to find the exact position of neonatal line in Japanese, ground sections of 475 human deciduous teeth were examined histologically. Obtained results are as follows.1. The position of neonatal line was not characteristic and showed considerable variation in each tooth type, especially on the anterior teeth.2. The variation of position would be mainly owing to the change of physiologic condion of new- erine period or of the gravity at birth. The considerable variation on the anterior teeth would be ow ng to the constitutional feature of their enamel.3. The position of neonatal line in Japanese had a trend to appear at incisal or cuspal portion of the tooth crown than the position in American or European people.4. Toot development in female showed a tendency more earlier than in male at birth-time.5. The tooth development of the children born after 1950 at birth was thought more fast than of the born at The War-Time and the soon after, but the further investigation about this result will be done.
著者
佐藤 豊 安井 利一
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.751-757, 2000-10-30
被引用文献数
5

摂食機能を身体機能の1つとして捉え,全身の機能発達のなかでの摂食機能獲得時期を明らかにする目的で,0〜5歳児89名を調査,検討した。原始反射,体位保持機能,口腔周囲の運動機能/食事形式,全身の運動機能,言語機能,歯の萌出についてそれぞれ機能獲得時期(発達時期)について,以下の結果を得た。1.咀嚼回数は月齢とともに増加した。2.原始反射の消失時期は,吸啜反射が最も早く,咬反射が最も遅かった。3.体位保持機能の50%通過率は,首のすわりが生後6.5ヵ月,歩行は12.8ヵ月であった。4.歯の萌出前の押しつよし嚥下から萌出後の咀嚼まではほぼ2ヵ月かかっていた。5.1歳前後より手づかみ食べが認められ,その後4〜5ヵ月でスプーンやコップを使用できるようになっていた。6.運動機能発達に関する50%通過率では,「走ることができる」が生後22.5ヵ月,跳躍は30.8ヵ月であった。7.言語機能獲得に関する50%通過率では,喃語を話し,「数語からなる文を話すようになる」のは生後29.2カ月,その後2ヵ月で発音がはっきりとし,3歳頃までに主従文,疑問詞を用いた高度な言語構成力を獲得する状況であった。8.生後9〜10ヵ月で前歯が,また13.9ヵ月で臼歯の萌出が認められた。
著者
森岡 俊夫 森田 恵美子 神宮 純江 南部 由美子 新谷 早苗
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.197-202, 1981
被引用文献数
2

福岡市博多保健所において昭和50年度から同54年度までの間に実施された3歳児歯科健診時の各種資料を基に, 同期間における3歳児健診受診状況ならびにう蝕罹患状況の推移, さらには, 保育環境および保健所の実施した母子保健活動とう蝕罹患状況との関連を検討した。健診受診率およびf歯率ほこの期間毎年有意に増加し, う蝕罹患者率および一人平均df歯数は有意に減少した。なお, う蝕罹患型別罹患者率については有意な増減は認められなかった。<BR>昭和54年度においては, 被健診児が第1子である方が第2子以下よりう蝕罹患者率が有意に低率であり, また, f歯串は保育園非就園児が就園児より, そして祖父母と同居している方が核家族より有意に高率であった。<BR>また, 同保健所管内で保健所が行なう母子保健活動の度合は異なった地区別のう蝕罹患状況の変化を昭和50年と54年について比較すると, う蝕罹患者率および一人平均df歯数はそれぞれ母子保健が推進された地区においてより高い改善傾向がみられた。
著者
網元 愛子 岡本 浩 玉沢 修 斉藤 邦男 二上 捷之
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.185-194, 1978
被引用文献数
3 1

臨地試験でのDextranaseの有効単位数に関する基礎的検討を行い, 更に, Chaetomium gracile由来のDextranaseを2000単位/g配合した歯磨剤を用いて, Dextranaseの臨地的な歯垢除去効果の確認を行った。<BR>In vitroの実験において, 500単位のDextranaseを歯垢に作用させた場合, 明らかな還元糖の溶出が認められた。その溶出は, 約2000単位まで直線的に増加した。<BR>一方, 2000単位のDextranase溶液を1分間含嗽したときに, 統計的にも有意な量の還元糖が口腔から溶出された。しかし, 500単位のDextranaseでは, 統計的に有意な還元糖の溶出は認められなかった。以上の結果から, 臨地的なDextranaseの有効単位数は, 500から2000単位の間に存在することが示唆された。<BR>更に, 20~50歳の被検者15名で構成した2群を対象にし, Dextranase (2000単位/g) およびplacebo歯磨剤を2週間使用した場合の歯垢除去効果について検討を行った。<BR>Dextranase歯磨剤群では, 1および2週間後に各々61.6および74.7%のplaque indexが減少した。しかし, placebo歯磨剤群では, その減少率は少なく, 各々38.5および41.5%であった。両群間には, 統計的に有意差 (p<0.01) が認められ, 明らかなDextranase (2000単位/g) 歯磨剤の歯垢除去効果が確認された。<BR>しかしながら, gingival indexの減少におよぼすDextranaseの効果は弱く, 統計的な有意差は認められなかった。
著者
竹原 順次 中村 公也 三宅 亮 森田 学
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.111-116, 2007-04-30
被引用文献数
1

本研究の目的は,女子中高生における口腔乾燥感の自覚頻度および口腔乾燥感に関連する要因を明らかにすることである.分析対象は,資料が整った女子中高生997名である.口腔乾燥感の自覚率において,高校生(51.6%)は中学生(37.1%)に比較し,有意に高い値を示した(p<0.01).また,ロジステイック回帰分析の結果,口腔乾燥感の自覚(ときどきおよびいつも)に対して有意な変数は,学年(OR=1.77,高校生),食事を抜く(OR=1.53,ときどきおよびいつも),ファーストフードを食べる(OR=1.55,ときどきおよびいつも),鼻づまり(OR=2.00,ときどきおよびいつも),口呼吸(OR=1.55,ときどきおよびいつも)およびストレスを感じる(OR=2.02,ときどきおよびいつも)であった.以上より,口腔乾燥感の自覚率は,女子中学生に比べ女子高校生のほうが有意に高く,食習慣,鼻づまり,口呼吸およびストレスは口腔乾燥感の自覚に関連する要因であることが示唆された.