- 著者
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金田 重郎
- 出版者
- 一般社団法人電子情報通信学会
- 雑誌
- 電子情報通信学会技術研究報告. KBSE, 知能ソフトウェア工学 (ISSN:09135685)
- 巻号頁・発行日
- vol.110, no.61, pp.1-8, 2010-05-20
- 被引用文献数
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要求分析におけるモデリングは,対象世界を認識する行為である.従って,モデリング手法の背後には,その手法を開発した民族の認識哲学が反映されている可能性がある.そこで,本稿では,MASPアソシエーションが提唱する「概念データモデリング(CDM)」及び,それを支える米国発の技術「オブジェクト指向」と,米国の哲学「プラグマティズム」との関係を分析する.具体的には,1)「オブジェクト指向」は,パースの「科学の方法」「可謬主義」そのものであり,2)動的モデルによるエンティティの粒度制御は,パースの新カテゴリー論との類似性が示唆される.更に,3)モデル間を行き来するアプローチは,クワイン・デュエムテーゼにより説明される.プラグマティズムへの理解と対比は,オブジェクト指向とCDMを日本人が理解するための一助となるものと考える.