著者
曽根原 愛理 白鷹 靖子 小舘 亮之 並河 大地 南 裕也 下村 道夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. LOIS, ライフインテリジェンスとオフィス情報システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.470, pp.97-102, 2012-03-01

近年,SNSやTwitterなどのソーシャルメディアが普及し,Web上のコミュニケーションが盛んに行われている.それに伴い,Web上のコミュニケーションにおけるプライバシー保護の必要性が増し,SNS上にあるコンテンツの開示制御に関する研究が行われるようになってきた.そこで,我々は,SNSなどで共有される画像を対象に,ペルソナに関する情報をタグ付けすることにより開示制御を行う手法を提案する.本研究における「ペルソナ」とは,日常の様々な場面で変化するユーザの役割や振る舞いを意味する.本稿では,ペルソナタグによる開示制御の実現に向けて,特定ユーザが参加した24種類のイベントで撮影された画像を対象に,画像共有することで起こりうるプライバシー情報を整理し,ペルソナタグの定義とペルソナタグによる開示制御の有意性を検討する.
著者
上野 晴樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.548, pp.19-24, 2005-01-10

なぜ文化とAIなのか。AIが心の心理学モデルであるならば、当然その研究者の心理学の理解に基づいているわけであるし、想定している応用システムのユーザが一般の人々であるならば、当然そのユーザは人とシステムとの関係についてある種の"関係のあり方"をごく自然に持っているはずである。知能システムの設計は、研究者やユーザの思考法に基づくはずであり、それは彼らの属する伝統文化あるいは地域文化に基づいていると考えるのが自然であろう。一方、AIは科学技術であるから、AIに関する理解もグローバルであるはずであると信じ込んでいる研究者がほとんどであるように感じられる。むしろ違いを意識することが創造に繋がるのではないかと思う。芸術や建築の世界でも日本の伝統文化を意識している人々のほうが国際的にも高く評価されていることを考えれば、納得していただけるのではないか。著者の研究成果も多少織り交ぜながらAIの文化論を述べてみたい。
著者
熊谷 康太 石川 拓也 本田 晋也 高田 広章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.497, pp.49-54, 2014-03-08

近年,組込みシステムの大規模化,複雑化が進んでいる.そのため,組込みソフトウェア開発における機能更新の容易性と生産性の向上が重要となっている.また,組込みシステムの大規模化と複雑化により,十分に検証することが困難なシステムが増加しており,安全性の担保も重要となっている.一方で,組込みシステム向け軽量スクリプト言語が開発されており,この言語は開発における機能更新の容易性と生産性が高いという性質を持っている.しかし,安全性を担保するには,まだ機能の面で不足する点が存在するという問題がある.本研究では,組込みシステム向け軽量スクリプト言語であるmrubyへアクセス制御機構を導入し,安全性を担保できる実行環境を提案する.提案するアクセス制御機構は,リアルタイム制御アプリケーションを用いて評価する.評価の結果から,mrubyに対してアクセス制御機構を導入する影響は小さいと考える.
著者
有馬 拓也 鹿嶋 雅之 佐藤 公則 渡邊 睦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.380, pp.7-12, 2012-01-12

掃除ロボットが実用化されて我々の身近なところにも見られるようになったが,単に移動経路上のゴミらしきものを回収して行くだけでゴミの分別など高度な清掃作業は実現できていない.そこで本研究は,ロボットが自らゴミを選別して回収する新たな清掃ロボットを目指し,ロボットビジョンを用いたゴミ分別のための能動的物体認識を提案する.まず,対象の表面にレーザー光パターンを投影・解析することにより曲面・平面・折面などの表面形状を識別してゴミ選別の手掛かりとする.次に接触し圧力を加える前後の対象の位置変位を観測することにより重量を推定して対象ゴミかどうか決定する.実験室にてゴミ選別のための物体認識実験を行い,提案手法の有効性を検証した.
著者
森 達哉 エスキベル ホリー アキラ アディティヤ 下田 晃弘 後藤 滋樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.137, pp.53-58, 2009-07-10

2008年11月11日に実施されたホスティング会社McColo社の上位ISPによる遮断は,世界の至るところでスパム流量を半分あるいはそれ以上減少させるという画期的な効果をもたらした.2007年夏以降の世界的なスパム流量の爆発的増大を引き起こした主要因とされるスパムボット,Srizbiをはじめ,今日の主要なスパムボットのC&Cサーバが同社によってホスティングされていたことが明らかになっている.本研究では世界最大規模のスパムボットであるSrizbiの全体像把握,およびインターネットエッジサイトの視点からスパムボットC&Cを標的とした制御の有効性を定量化することを狙いとする.分析には2007年7月から2009年4月にかけて3箇所の異なるネットワークで計測された広範なデータを用いた.本研究の主要な貢献は次の通りである.(1)Srizbiの世界的な規模を確率的な方法によって推定した.(2)Srizbiボットネットから送信されたスパムの流量とそのインパクト,およびMcColo社遮断による効果をインターネットエッジサイトの視点から定量化した.(3)Srizbiの勃興と衰退,そしてMcColo社の遮断前後におけるバージョン遷移など,スパムボットの全体像把握に有用な発見を明らかにした.
著者
伊藤 ちひろ 岩井原 瑞穂 上林 弥彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DC, ディペンダブルコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.378, pp.13-18, 2002-10-11

インターネットの発展により、電子商取引の機会が増大している。電子商取引の特徴は、互いに会ったことのないような当事者間での金品の授受が行われることである。このような取引では、認証などの手段によってあらかじめ取引相手の身元が保証される訳ではない。従って、相手を完全に信頼した取引を行うことは困難となるため、相手のリスクを考慮した機構が必要である。本稿では、このようなリスク管理のために分割送付を行う商品と代金の交換機構において,取引が中断された場合の回復プロトコロルについて述べる.また、また、取引の中止によって起こり得る損害の回復方法として、保険の導入について述べる。
著者
中山 雅人 松井 唯 西浦 敬信
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.388, pp.25-30, 2013-01-17

近年,超音波を利用することで超指向性を実現できるパラメトリックスピーカが注目されている.パラメトリックスピーカは超音波を可聴音波で変調した振幅変調波を放射し,振幅変調波が空気の非線形性により目的とする可聴音波に自己復調する原理で駆動する.パラメトリックスピーカより復調する可聴音波は,キャリア波と側帯波との差音として考えることができる.そこで本研究では,振幅変調波をキャリア波と側帯波に分離して,異なる方位よりそれぞれ放射することで,特定の領域のみで可聴音波を復調させることで再生領域の制御を試みる.さらに本稿では,パラメトリックスピーカを複数に増やすことで,側帯波による高調波歪みの影響の軽減を試みる.最後に,実環境における評価実験を行い,提案手法の有効性を確認した.
著者
石塚 悟大 千種 康民 服部 泰造 富田 光博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.479, pp.205-210, 2012-03-05

現在,サッカー選手の動き追跡は人間の目によって行われており非常に手間がかかっている.そのため,これを自動化する技術に対する要望は高い.現在,選手の自動追跡として,色成分を用いたパーティクルフィルタによる方式が研究されている.しかし対象選手全身の色成分を用いた追跡は,似たユニフォームを着用した選手との交差に対し弱いという問題点が存在する.本研究では選手全身の色成分に加え,トランクス部分の色成分を用いることで追跡精度の向上を計る方式を提案する.
著者
兼平 大輔 川村 秀憲 車谷 浩一 大内 東
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.536, pp.57-64, 2002-01-03
被引用文献数
1

2001年4月16日, 皇太子妃のご懐妊に関する情報が育児関連用品株を急騰させた.各会社の価値に関係しない情報がその企業の株価を押し上げたのである.これは情報を受け取ったトレーダーの情報の解釈が影響していると考えられ, この現象を理解するためには, トレーダーの情報の解釈と市場の関係を明らかにする必要がある.そこで本稿では, 情報解釈とが異なる2種類のエージェントを作成し, マルチエージェント人工市場を構築し, その市場構成比を変えシミュレーションを行った.また, 情報解釈の違いと市場のマクロな構造の関係について, 相関次元分析を用いて市場の複雑さを計測した.その結果, 構成するエージェントの情報解釈と, 市場の複雑さに関係があることが明らかになった.
著者
寺田 怜史 三輪 敬之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.552, pp.63-66, 2008-03-15
参考文献数
7

体内由来の振動には,身体全体を統括するリズムといった医療やコミュニケーション支援における応用が期待できるパラメータが低周波の領域に隠れている可能性がある.従来は低周波の振動は施術者によって感覚的に捉えられていたため客観的な観察や評価はなされておらず,観察や評価を可能とするセンサーも存在していなかった.本研究では低周波の特性に優れたポリフッ化ビニリデンを素子とした小型のワイヤレスセンサーモジュールを開発し,超低周波の振動分布の観察を可能とするシステムを構築した.その結果,0.1[Hz]並びに0.01[Hz]の帯域における生体リズムの存在を確認した.
著者
高桑 誠明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.286, pp.31-36, 2009-11-12
参考文献数
35

屋外で低周波音を計測する場合には風雑音の混入が問題となる。このため,2重,3重のウインドスクリーンを用いる風雑音対策も行われて効果があるが,特に低周波域ではなお問題が残されている。この問題に対し,マイクロフォン近傍の風速情報や,結果的に混入した風雑音自身の超低周波成分情報を用いて,妨害となる混入風雑音成分を推定する事に基づく風雑音対策法を提案している。これらの手法の有効性は確認しているが,より推定精度を向上させるためには,風雑音についての引き続く実験的研究が不可欠である。ここでは,従来の成果を再検討し,さらに精度向上に寄与すべく実験的に検討した結果を報告する。
著者
竹田 晃人 小渕 智之 高橋 和孝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IBISML, 情報論的学習理論と機械学習 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.265, pp.231-238, 2010-10-28

情報理論と物理学における統計力学の関係はこれまでに数多く指摘されているが,本稿では近年Merhavにより調べられた階層構造を持つランダム符号に関する統計力学的性能解析法について議論する.統計力学的見地ではランダム符号はランダムエネルギー模型と呼ばれる可解なスピングラスの模型として捉えられることが知られている.それを踏まえ,本研究では前述の階層的ランダム符号が一般化離散ランダムエネルギー模型という可解なスピングラスの模型と完全に対応することを述べ,かつこの対応関係を利用することでデータ圧縮(情報源符号化)・通信路符号化における階層的ランダム符号の性能を直接かつ系統的に調べることが可能であることを示す.
著者
清原 健司 古家 賢一 金田 豊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.161, pp.39-43, 2000-06-23
被引用文献数
1

反射性の対向壁の間でパルス音等の短音を発生させた場合に、特別な音色の音が室内に残って知覚される現象は、フラッターエコー(鳴き竜)としてよく知られている。しかし、壁面の反射率が極めて高い直方体室内で短音を発生させた場合に、sweep音が知覚されることは、一般にはあまり知られていない。本稿では、この「3次元鳴き竜」とでもいうべきsweep音についての分析をし、その生成機構を解明したので報告する。解析は簡単のため、立方体室について行った。解析の結果、反射パルス音列の大部分が二乗時間軸上で等間隔になっており、これが時間軸上では時間に比例して周波数が上昇しているためにsweep音として知覚されていることを明らかにした。
著者
鈴木 拓 中口 俊哉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IMQ, イメージ・メディア・クオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.316, pp.25-28, 2012-11-16

プロジェクター・カメラシステムによる拡張現実感技術を用いた外科手術支援システムが注目されている.このシステムは患者の体表に直接映像を投影することで,低侵襲手術の視覚的課題を克服している.しかし,投影面の材質による画質への影響はまだ検討されていない.そこで本研究では,人体体表に投影した画像の画質評価を行い,その結果について考察した.
著者
佐藤 真琴 田中 博志 津野田 賢伸 高田 雅士 秋田 庸平 伊藤 雅樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RECONF, リコンフィギャラブルシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.451, pp.55-60, 2005-11-24
被引用文献数
10

無線LANや音声・画像処理等, 規格が次々に生まれ, 高い処理性能が要求される分野において動的再構成可能プロセッサが注目を集めている.我々は同プロセッサとして, 性能面積比の向上を狙ったFE-GAの研究開発を進めている.本論文では, Fast Fourier Transform (FFT)のFE-GA向けアルゴリズムの考案, FE-GAへのマッピング, 主演算器利用率と呼ぶ性能評価指標の提案, 及び性能評価を行った.その結果, 2048点FFTに対して乗算器に対する主演算器利用率は96%となり, 本アーキテクチャはFFTに対して性能面積比が高いことがわかった.
著者
半田 拓也 坂井 忠裕 清水 俊宏 篠田 裕之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.483, pp.13-16, 2013-03-06

筆者らは,3次元形状を視覚障害者にも触覚で伝えられる手法の開発を目指している.従来の点接触型力覚提示装置では,3次元形状の認知に重要な稜線や頂点の触察が困難であるという課題があった.そこで,稜線や頂点の認知のしやすさの向上を目指し,1本の指の腹に5点の刺激点を配置し,それぞれに3自由度の独立した力覚提示が可能な装置を試作した.本装置を用いて,力覚提示する刺激点(力覚刺激点)の数による物体の稜線と頂点のわかりやすさに関し,視覚障害者4名による主観評価を実施した.結果から,従来の1点による場合と比較して,力覚刺激点の数が2点以上で稜線と頂点のわかりやすさに有意な向上がみられ,今回の条件では,力覚刺激点の数が4点のときに稜線と頂点が最もわかりやすくなることが示唆された.
著者
山内 仁 尾崎 公一 佐藤 洋一郎 福田 忠生 小武内 清貴
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.20, pp.29-34, 2013-04-19
被引用文献数
1

画像の拡大・高解像化のために様々な画素補間手法が提案・利用されているが,より高精度な拡大画像を得る手法についての要求はいまだ根強い.本稿では,画素値をその局所領域のエネルギーとみなし,それを保存する新しい画素補間手法を提案する.まず,画素値が定義されている座標に対して,画像原点とその座標で決まる領域の画素値の積分を定義する.この積分値は,その座標における画素値とその近傍の3つの座標における積分値から決定できる.そして,各局所領域における積分値の分布を,その領域を規定する4座標における積分値を制御点として,B-Spline曲面で補間する.これにより,画素値は完全に保存され,局所領域内の任意の座標における画素値は,その補間曲面の偏微分として得られる.検証実験の結果,従来広く用いられている画素補間手法に比べて良好な画質の拡大画像が得られることを確認した.
著者
山内 仁 尾崎 公一 佐藤 洋一郎 福田 忠生 小武内 清貴
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.20, pp.29-34, 2013-04-26
被引用文献数
1

画像の拡大・高解像化のために様々な画素補間手法が提案・利用されているが,より高精度な拡大画像を得る手法についての要求はいまだ根強い.本稿では,画素値をその局所領域のエネルギーとみなし,それを保存する新しい画素補間手法を提案する.まず,画素値が定義されている座標に対して,画像原点とその座標で決まる領域の画素値の積分を定義する.この積分値は,その座標における画素値とその近傍の3つの座標における積分値から決定できる.そして,各局所領域における積分値の分布を,その領域を規定する4座標における積分値を制御点として,B-Spline曲面で補間する.これにより,画素値は完全に保存され,局所領域内の任意の座標における画素値は,その補間曲面の偏微分として得られる.検証実験の結果,従来広く用いられている画素補間手法に比べて良好な画質の拡大画像が得られることを確認した.
著者
中村 勝則 和田 慎二郎 対馬 勝英 山崎 敏範
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.93, no.60, pp.45-49, 1993-05-22

外国人の日本語教育(漢字の筆順の教育)を行うために少数のルールより筆順を学べる個別学習システムの構築を目的とした.図形としての漢字を入力すると与えられたルールを用いて筆順を決定するモジュール開発した.このモジュールを用いて予め構築した筆順データベースに登録した漢字に関して筆順の同定率の高いルールを対話的に登録する支援システムを開発した.知識処理技法を有効に利用するためにルールと漢字の筆順の情報構造の設計が重要である.
著者
金田 重郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. KBSE, 知能ソフトウェア工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.61, pp.1-8, 2010-05-20
被引用文献数
3

要求分析におけるモデリングは,対象世界を認識する行為である.従って,モデリング手法の背後には,その手法を開発した民族の認識哲学が反映されている可能性がある.そこで,本稿では,MASPアソシエーションが提唱する「概念データモデリング(CDM)」及び,それを支える米国発の技術「オブジェクト指向」と,米国の哲学「プラグマティズム」との関係を分析する.具体的には,1)「オブジェクト指向」は,パースの「科学の方法」「可謬主義」そのものであり,2)動的モデルによるエンティティの粒度制御は,パースの新カテゴリー論との類似性が示唆される.更に,3)モデル間を行き来するアプローチは,クワイン・デュエムテーゼにより説明される.プラグマティズムへの理解と対比は,オブジェクト指向とCDMを日本人が理解するための一助となるものと考える.