著者
榎本 誠 高野 晃 大谷 淳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.479, pp.19-24, 2012-03-05

似顔絵画家(研究者)自身が似顔絵を制作する過程を内観的に考察し、それを論理化してプログラミングすることで「自動似顔絵ソフト」を開発した。入力画像をトレースすることなく、特徴を解析して顔の分類ができることで、文字やイラストなど様々な変換が可能となった。本システムは入力画像とのアナロジーに束縛されないので、画家の意図する大胆なデフォルメが可能である。また、必要な特徴抽出点をわずか25ポイントに抑えた。
著者
黒田 航 井佐原 均
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.204, pp.47-54, 2005-07-16
被引用文献数
4

現行の多くの概念分類体系には不備がある.その一つが意味型の概念と意味役割の概念の区別の不在である.意味型は自然類をコードするが, 意味役割はそうではない.意味役割は典型的には(利用者にとっての)機能類をコードする.非自然類が疑似的に自然類として分類されると, 分類に欠損や歪みが生じる.例えば日本語語彙大系では「番犬」と「番人」の共通性[番をする者]が表現されていない.この種の表現力の不足を補うための枠組みを, 私たちは意味役割の一般理論の観点から素描する.
著者
嶋田 邦昭 松本 安英
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICM, 情報通信マネジメント (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.119, pp.79-84, 2010-07-01

IT投資全体の7割もの費用が投入されているといわれるアプリケーション/運用保守コストを削減するためには,時間を要しているインシデント管理の障害原因の迅速な特定が重要である.従来の重要語抽出と決定木の機械学習を用いた障害原因推定手法では,エラーメッセージが過去事例に記述されていない場合には特定率や特定精度が低いという課題がある.そこで,障害原因切り分けの証拠情報を正規化して入力し事例にタグとして付加することにより,障害原因の特定率と特定精度を高める手法を提案する.実際にアプリケーションの保守を行う現場のインシデントで評価した結果,特定率が63%に向上した.
著者
藤田 昌彦 雨海 明博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.191, pp.1-5, 2000-07-11
被引用文献数
8

視覚的に提示された刺激は一定時間, 瞬時記憶に蓄積されると考えられている.100msを超えると急速に減衰し, 約200msで消失する.減衰前に提示された刺激は空間的に構造をもつ刺激と知覚されることが知られている.そこで我々は眼球運動の最中に縦一列の発光ダイオードを適時点灯させて網膜上にドットパターンを描いてその識別を問うた.問題は, サッカード抑制といわれるような視覚抑制機構が働くのか, 場所知覚が歪むのか, 眼球静止時と異なる統合時間帯を持つのかという諸点である.暫定的な結果では, 視覚抑制はないこと, 知覚場所に歪みはなくパターンが正しく知覚できることを示した.統合の時間が眼球運動最中は長い傾向を見出したが, これは用いたパターンが部分から容易に全体が推定できるものであったことによると思われる
著者
櫨山 寛章 金海 好彦 三宅 喬 山本 成一 長谷部 克幸 河合 栄治 小林 和真
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.208, pp.29-36, 2009-09-18

現在,情報通信研究機構テストベッド推進グループ(SPARC)では,超高速・高機能研究開発テストベッドネットワーク(JGN2plus)の物理ICTインフラストラクチャを構成する資源を仮想化し,仮想ICTインフラストラクチャとして実験利用者に提供するJGN2plus仮想化技術テストベッド(JGN2plus IaaS)の構築を進めている.平成20年度に実施したJGN2plus IaaSのテスト構築及び札幌雪まつりなどでのテスト実験を通し,JGN2までで実施してきた従来型の物理ICTインフラストラクチャスライス(Physical ICT Infrastructure Slice:PIIS)提供とその運用管理に比べ,仮想インフラストラクチャスライス(Virtual ICT Infrastructure Slice:VIIS)提供と運用管理は運用面での負荷が高いことが浮き彫りとなった.そこで,本稿ではJGN2plus IaaSでのVIISの資源割り当ての負荷を下げることに着目し,仮想資源割り当てメタシステムの設計に関し議論を行う.
著者
窪田 悟 澤 裕記 山川 正樹 中村 芳知 城戸 恵美子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.610, pp.65-70, 2006-02-13
被引用文献数
1 12

テレビの観視条件の実態調査結果に基づいて観視条件を設定し,テレビ映像に要求される黒レベルの輝度(黒輝度)と,まぶしさ感から見たピークの白レベルの輝度(白輝度)の上限値について,主観評価実験により検討した.テレビ映像に要求される黒輝度Lb(cd/m^2)は,画面照度Ei(1x)の関数として,Lb=0.112×Ei^<0.42>で表されることを示した.まぶしさ感から見た白輝度の上限値については,まぶしさを感じ始める輝度をLw(cd/m^2),順応輝度をLa(cd/m^2)とすると,Lw=k×La^α(kは定数)というべき関数で表現できることを示した.そして,べき数αを65歳以上の高齢者に対して0.26〜0.35,20歳前後の若齢者に対して0.35〜0.43に設定すると,それぞれの年齢層の視覚特性に応じた明るさ制御が可能であるとした.
著者
荻野 雅敏 瀧 剛志 北島 章雄 尾倉 芳昌 宮崎 慎也 長谷川 純一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.390, pp.31-35, 2004-10-21
被引用文献数
1

ボブスレーは滑走コースを利用できる期間が冬季に限定されるため、シミュレーターを利用したトレーニングの実現に大きな期待が寄せられている。そこで、本研究では6軸電動アクチュエータ式の動揺装置(モーションベース)と4面構成の大型スクリーンを併用したVR装置を用いて、長野市にある実在のコースを模擬して作成したコースデータ上において、ボブスレーの滑走シミュレーションを実現した。動的物理シミュレーションと空間制約条件を併用することにより円筒状の氷上コースでの高速滑走の運動を生成する。動揺装置の運動制御は、ボブスレーの運動生成結果に基づいて決定される。
著者
ヴァルディヴィエルソ アレックス 宮本 俊幸 熊谷 貞俊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CST, コンカレント工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.471, pp.7-12, 2008-01-21
被引用文献数
1

MCEシステムにはかご同士の衝突を回避する必要性など,さまざまな制約があるため,従来のエレベーターの群管理制御法を単純にMCEに適用することができない.従って,MCE特有の制約を考慮しつつ効率的な乗り場呼びの割り当てを実現する群管理制御手法の開発が必要である.本研究では,MCEの最適な乗り場呼びの割当を実現するために,スケジュール完了時間の最適化手法とパーキング戦略から構成されるアルゴリズムを提案する.提案するアロゴリズムの性能は主にスケジュール完了時間の最適化,衝突可能性の評価,及びパーキング戦略の3つの要因に依存する.シミュレーション結果により,最大の影響を与えるのは衝突可能性の評価であるとわかった.さらに,ゾーニングアルゴリズムとの比較を行い,アップピーク,ダウンピーク,及び特定集中階の交通パターンには提案するアルゴリズムの性能の方が良いと確認できた.
著者
稲永 潔文 伊福部 達
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.402, pp.55-60, 2012-01-19

ヘッドホン・イヤホンの測定には,実使用状態に近くかつ測定結果の再現性の良い測定プラットフォームが求められ,その一つとしてIEC60318-7(60959)準拠のHATSにIEC60268-7準拠の耳介モデル(Pinna simulator)を組み合わせたものが推奨されている.しかし既存のHATSをベースとして,別規格の頭部と耳介モデルを機械的および音響的に満足させる測定プラットフォームの実現は容易ではなかった.そこでこれら規格を忠実に再現したHATS (SAMAR : Southern Acoustics Mannequin for Acoustic Research)を新たにPC上の3Dデータとして設計し,実際に作成してヘッドホン・イヤホンの測定用プラットフォームとしての検討と考察を行った.
著者
佐瀬 巧 中川 匡弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.465, pp.105-110, 2011-03-03

近年,脳波(EEG)を利用した脳機能研究が盛んに行われている.脳波の大部分を形成すると考えられているθ,α,β波の各帯域を観測・解析して脳機能を調査する研究が多々あるが,EEGの高周波成分の重要性を主張する研究報告もされている.我々は,EEGの高周波成分を捉えるフラクタル次元推定法を利用し,簡易な指タッピング実験により高周波成分の有用性を検証した.レスト時とタスク時のフラクタル次元を比較した結果,それぞれ約1.32,1.40と算出され,レスト時とタスク時でフラクタル次元が異なることが確認された.更に,フラクタル次元推定時におけるモーメント次数の高次化を行った結果,EEGの高周波成分がより顕著となることが示された.
著者
小田 幸弘 廣瀬 信之 内田 誠一 森 周司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.60, pp.121-125, 2011-05-16

サッカーのペナルティキック時のゴールキーパーは,キッカーのボールを蹴る動作の違いに基づいて,シュートのコースを予測していると考えられている.本研究では,GKがPK動作中のどの時点,どの身体部位の情報をコースの予測に使用しているか調べるために,PKを想定したキッカーの動作をDPマッチングにより解析した.解析の結果,ボールを蹴る直前の軸足,腰などの動きがコースによって異なることが分かった.
著者
尾田 十八 酒井 忍 羽場 吉博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.94, pp.47-51, 2001-05-18

従来使用されているアーム式または, 2ローラ式のピッチングマシンでは投球の速度とコースを同時かつ即座に変更することはきわめて困難である. そこで本研究では, 3個のローラを用いそのローラの回転数を各々独立に制御することにより, 従来得ることのできなかった様々なコース, 速度を極めて正確に投げ分けることのできるピッチングマシンを試作した. なお, その制御法にはニューラルネットワークを用い, 的の各コースおよび速度を入力データ, 各ローラの回転数を出力データとして学習を行い, 使用者(バッター)が希望する投球をピッチングマシン自身が適応して投げ分けてくる. このような機械は知的機械と呼ばれており, ここでは, そのようなピッチングマシンのシステムとその性能について記述する.
著者
鈴木 克己 長谷川 典央 鈴木 武雄 榎本 陽一 田巻 明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SCE, 超伝導エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.274, pp.67-74, 2000-08-22
被引用文献数
3

携帯電話で代表される移動体通信は来年から次世代IMT-2000へと発展している。移動体通信基地局に使用されるフロントエンドの性能向上の中で冷却技術を取り込んだ高温超電導フィルタの利用も、この急激変革を遂げている市場で出番が期待されている。従来材料に比べ、低損失かつ急峻な周波数特性を高温超電導フィルタで実現できるからである。チェビシェフ型と比較し、段数が少なくても急峻なバンドパス特性を実現できる楕円関数型にて高温超電導フィルタを設計製作し、その特性を評価したのでここに報告する。中心周波数は10.5GHz、段数は6段であり、非対称のヘアピン形状であることが特徴である。その結果、対称ヘアピン形状と比較し設計の自由度が増大した。
著者
中山 泰一 角田 博保
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.355, pp.69-74, 2013-12-07

共通教科「情報」の高等学校学習指導要領では,「多くの情報が公開され流通している現状を認識させるとともに,情報を保護することの必要性とそのための法規及び個人の責任を理解させる」と規定されており,その内容の取扱いとして,「知的財産や個人情報の保護などについて扱い,情報の収集や発信などの取扱いに当たっては個人の適切な判断が重要であることについても扱うこと」と記されている.一方,国,地方自治体,独立行政法人などの行政機関から情報を収集する意義や手続きについてはあまり扱われていない.本稿では,行政機関の公文書という生の情報を収集することは市民社会を健全に育成するために重要であるとの観点から,大学の教職科目の情報科教育法への公文書公開手続きの活用について,実践例とともに議論する.
著者
中山 泰一 角田 博保
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.355, pp.69-74, 2013-12-14

共通教科「情報」の高等学校学習指導要領では,「多くの情報が公開され流通している現状を認識させるとともに,情報を保護することの必要性とそのための法規及び個人の責任を理解させる」と規定されており,その内容の取扱いとして,「知的財産や個人情報の保護などについて扱い,情報の収集や発信などの取扱いに当たっては個人の適切な判断が重要であることについても扱うこと」と記されている.一方,国,地方自治体,独立行政法人などの行政機関から情報を収集する意義や手続きについてはあまり扱われていない.本稿では,行政機関の公文書という生の情報を収集することは市民社会を健全に育成するために重要であるとの観点から,大学の教職科目の情報科教育法への公文書公開手続きの活用について,実践例とともに議論する.
著者
城 綾実 細馬 宏通
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.313, pp.25-28, 2010-11-20

複数の人が同時に同じ形状のジェスチャーを産出する(ジェスチャーが同期する)現象を詳細に分析することで,ジェスチャーの同期は偶然ではなく,参与者たちがそれぞれの発語や動作からどのような形状のジェスチャーをどのタイミングで産出するのかを予測しながら達成される現象であることを示す.本稿では,ジェスチャーの各フェーズが産出されるタイミングに着目して,ジェスチャーの同期に必要な手がかりについて論じる.
著者
上岡 泰輔 堀 遼平 北森 達也 吉川 雅弥 藤野 毅
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.352, pp.93-98, 2011-12-08

宇宙・航空・原子力用LSIでは,放射線が誘起するソフトエラーに対する高い耐性が求められる.一方,携帯電話やデジカメといった民生用機器と比較すると,これら用途のLSIの生涯生産個数は少なく,フォトマスク等の初期開発コストにより,LSI1個当たりの製造コストが非常に大きくなるという問題がある.生涯生産個数の少ない用途に向けては,FPGAを使用することで製造コストを削減することが可能であるが,回路構成素子としてSRAMを用いたFPGAは放射線耐性が弱いのが問題とされている.このような少量生産でありながらFPGAの使用が困難な応用用途に対しては,論理変更をSRAMではなく,2枚程度のビアマスクで行う方式が有効であると考えられる.本論文では,当研究室で開発してきたビアプログラマブルロジックVPEXを,FPGAに代わる低コスト耐放射線LSIとして提案する.回路シミュレーションにより,VPEXのソフトエラー率を見積もった結果を報告する.
著者
三上 正 金子 敏信
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SST, スペクトル拡散 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.97, no.614, pp.145-150, 1998-03-19

Daemenらは, IDEA暗号の鍵のうち, 2^<51>個の鍵はその総当たりをするよりも少ない計算量で推定できることを述べ, そのような鍵をWeak Keys(=弱鍵)と呼んでいる。本稿では, Daemenらの考えを拡張した二段消去攻撃をIDEA暗号に対して行った。その結果, Daemenらのものとは異なる弱鍵を見いだした。その弱鍵には2^<59>個が含まれる。鍵の推定には2^<39>組の選択平文対を必要とする。しかし, 鍵の推定にかかる計算量は, 59ビットの全数探索2^<59>と比較して, 本攻撃では2^<44.2>程度で済むことを見積もった。