著者
田島 守彦 実近 憲昭 岡田 義邦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.30, no.7, pp.825-830, 1989-07-15

KPV法とは 筆者らが発表済みの知識指向型ゲームプログラムで開発・採用した候補手の評価手法である.本論文では KPV法を評価手段とするゲームプログラムにおける手の評価において 前打着時の評価が再利用できる方法を示す.KPV法を概説した後 評価必要性判定用知識を用いて不要な候補手評価をカットするNVカットと称する手法を述べ かなりの割合の候補手がカットできることをオセロゲームの例で示す.相手の思考時間を利用すればさらにカットできる候補手の割合は大きくなる.最後に 誤差が生じる問題の考慮 およびNVカットの基礎について議論する.
著者
松隈 浩之 藤岡 定 中島 愛 金子 晃介 梶原治朗 林田 健太 服部 文忠
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.1041-1049, 2012-03-15

多くのリハビリ患者に強く推奨されている起立-着席訓練に,エンタテインメント性を付加し患者・利用者の積極性,持続性を向上させるべくゲーム制作を行った.訓練内容の選出をはじめ,設置環境,対象とする患者・利用者の身体能力等について,リハビリスタッフと協議し決定している.視覚,聴覚,インタラクション等,ゲームデザインに必要な要素についても同様に協議を重ね,現場での試用によるフィードバックを得ながら制作している.プロトタイプ完成後,48名の被験者により有効性と安全性を検証する評価実験を行った.実験は起立-着席訓練を1人で行う場合,ゲーム利用時,リハビリスタッフ介入の3条件下の比較により行われ,ゲームはリハビリスタッフとほぼ同様の役割を果たす,有効なものであるという結果を得ることができた.
著者
前中 省吾 森下 慈也 永田 大地 玉井 森彦 安本 慶一 福倉 寿信 佐藤 啓太
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.629-642, 2016-02-15

本論文では,参加型センシングに基づき,多数の車両が車載スマートフォンを用いて,桜の花が咲いている場所の情報および動画を自動的に収集,配信するシステム,桜センサを提案する.桜センサでは,(1)桜の花の有無と量(桜度合い)を正確に認識すること,(2)複数車両が分担してセンシングすることで,負荷に偏りの生じないセンシングを実現すること,という2つの技術的課題を解決することを目標としている.(1)を解決するため,事前に作成した桜の花に出現する色の分布を用いて入力画像における桜度合いを算出する方法と,桜の花に似た色の人工物の誤検出を防ぐフラクタル次元解析に基づく方法を提案する.(2)を解決するため,各PoI(桜の花が見られる地点)の発見率をあまり低下させることなく車両1台あたりの処理負担を軽減する多段階センシング法を提案する.これは,すでに発見されたPoI近辺に新たなPoIが存在すると仮定し,既登録PoIの付近におけるセンシング(画像の撮影と解析)間隔を動的に短くする方法である.桜センサをiOSデバイスとサーバからなるシステムとして実装し,桜が開花中の道路を走行する実験を行った.7カ所で収集した合計1860秒の動画を10秒ごとに区切った動画186個に桜センサを適用した結果,桜のあり・なしを適合率0.91,再現率0.53で認識できた.また,シミュレーション実験により,多段階センシング法は,固定距離間隔でセンシングを行う手法と比較し,約半分のセンシング回数で同程度のPoI発見率を達成した.In this paper, we propose SakuraSensor, a system which senses and shares the information of roads with flowering cherries by leveraging car-mounted smart-phones. SakuraSensor aims to solve two technical challenges: (1) how to accurately detect flowering cherries and its degree, and (2) how to efficiently find locations of flowering cherries (PoIs) through cooperation among participants. For (1), we develop a color analysis-based method to detect image pixels belonging to flowering cherries. To exclude artificial objects with similar color, we also employ fractal dimension analysis. For (2), we propose the k-stage sensing method which dynamically narrows sensing interval near the PoIs already found, assuming that PoIs exist close together. We implemented SakuraSensor for for iOS devices with a cloud server, and traveled cherry-lined roads and recorded a total of 1,860 seconds video (divided into 186 ten-second videos for classification) in 7 different places. As a result, SakuraSensor classified the 186 videos into two classes (with or without flowering cherries) at about 0.91 of precision and 0.53 of recall. In addition, our k-stage sensing method achieved the comparable PoI discovery rate with half sensing times compared to a conventional method.
著者
石井 博章
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.337-343, 1981-07-15

国鉄における旅客サービス・システムの一機能である座席予約においては列車名をキーとする方式がとられているこの場合旅客はあらかじめ時刻表などで希望する列車を調べておかなくてはならない.現在そのシステムを全体的に見なおし機能向上をはかろうという検討がなされており その一環として旅客の希望する時間帯からシステム側で列車を選定する方式の開発が進められている.それは時間帯予約方式と呼ばれているが ここではその問題を一種のネットワーク問題 特に枝の長さが時間の関数で与えられたネットワーク上の経路問題 として取り扱い 問題点を明らかにすると共に それらをマン・マシンにより実用的に解決し 列車選定を行う方式を提案する.この方式は現在の国鉄網の規模にたえうるものであり かつ優等列車ばかりでなく普通列車をも対象にしたきめの細かいサービスが期待できるものと考えられる.
著者
中嶋 秀治 山本 博史
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.42, no.11, pp.2681-2688, 2001-11-15
参考文献数
15
被引用文献数
2

自然な話し言葉での対話においては,1回の発話(または発声)で複数の文が話されることがしばしば起こる.音声認識では,1回の発話を単位として処理が行われるが,複数の文を含んだ発話をそのまま1つの単位にして理解や翻訳や要約などの言語処理を行うことは困難であり,音声認識の後か言語処理の前に発話を文などへ分割することが必要となる.このため,本稿では通常の単語と同様に文境界としての句点を音声認識することによって複数の文が含まれる発話を各文に分割する手法を提案する.評価実験の結果,発話から文への分割性能の点では,最高で再現率94%適合率100%という性能が得られた.また,言語モデルに句点を含むか否かの違いによる句点以外の単語認識率の劣化はないという結果が得られ,本手法の有効性が確認された.In spontaneous dialogs, there are utterances containing several sentences.Although speech recognizers process utterances one by one,language processing such as understanding, translation or summarizationneeds to split utterances into sentences.This paper presents utterance splitting by recognizingperiods, i.e., sentence boundaries, as well as usual words.We evaluate the performance of the model in terms of splitting and word (except for periods) accuracy. Experimental results show high recall/precision rates of splitting (the highest scores are 94%/100%) and no reduction of other word accuracy, proving the applicability of the proposed method.
著者
片山 拓也 村尾 和哉 寺田 努 塚本 昌彦
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.1667-1676, 2013-04-15

近年のコンピュータ小型化にともない,ウェアラブルコンピューティングに関する注目が高まっている.ウェアラブルコンピューティング環境では,携帯性や装着性の観点から小型の入出力デバイスが望まれる.一般に,コンピュータへの文字入力デバイスとしてはキーボードが広く普及しており,多くのユーザがキーボードの入力に慣れ親しんでいる.しかし,キータッチのしやすさなどのユーザビリティに影響を与えるため,キーボードの単純な小型化には限度がある.そこで本研究では,ユーザがすでに体得しているキーボード入力の能力を活かすために,既存のキー配列をそのままに保ちながらキーボードを左右に分割し,どちらか一方のみを用いる手法を提案する.提案手法では,単語の切れ目ごとにキーボード半分の打鍵情報のみから入力単語を推測する.提案手法を用いることで,従来のキーサイズと入力動作を最大限に保ったままキーボードの大きさを半減できる.In wearable computing, compact I/O devices are desirable from the viewpoint of portability. Now, many users are accustomed to input with a keyboard, however, there is a limitation of miniaturization because it degrades the performance of key touch. Therefore, in this paper, we propose a method to miniaturize a keyboard by excluding the half of it. The user can input words with one hand because the proposed system estimates the input word using keying interval, which appears also when the user inputs with both hands. From the result of user study, we confirmed that the user can input with only one hand and that it does not decrease input speed drastically.
著者
竹野 真帆 高田 明典
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.50, no.12, pp.2761-2771, 2009-12-15

コンピュータゲームやアニメーションや映画などの娯楽制作物は,今日では,私たちの生活に深く影響を及ぼしている.私たちはそれらをプレイもしくは視聴することによって価値観を形成し,その価値観とともに生きている.娯楽に関する分析的研究の主たる目的とは,したがって,それによってどのような価値観が,どのようにして形成されるかを知ることにあるといえる.ゲーム研究や物語論の分野において作品の分析手法に関しての多くの議論が行われてきたが,実際にコンピュータゲームの分析に適用可能な手法が提示されている報告は少ない.一方で,物語構造分析の分野には,多くの手法の蓄積が存在している.本研究の目的は,それらの物語構造分析の手法をコンピュータゲームの分析に適用しうる手順を模索することにある.Barthesによって用いられた標準的な構造分析の手順を検討し,そこで用いられている手法に若干の変更を加えた手法を提案している.さらに,RPG “テイルズウィーバー” の分析例を示し,そこで抽出された訴求構造について検討を加えている.
著者
相澤 彰子
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.41, no.12, pp.3332-3343, 2000-12-15

本論文では語と文書の共起関係に注目し,与えられた文書集合中での語の特徴度の量的表現やその適用について,情報量的な観点から考察を加える.今日,情報検索の分野において広く用いられている ?tfidf (term frequency -inverse document frequency)は,語頻度と対数文書頻度の逆数を乗じた尺度である.ここで $tf$ を語の総出現頻度で正規化した値は,語の出現確率の推定値に対応しており,さらに $idf$ は一種の情報量として解釈できることから,?tfidf ? は確率と情報量をかけあわせた尺度であるといえる.本論文では,このような ?tfidf ? の定義を拡張して,語の特徴度を,「語の出現確率」と「語の持つ情報量」の積の形で一般的に定義し,実際のテキストデータに適用した結果を示す.
著者
栗原 拓也 木下 尚洋 山口 竜之介 横溝 有希子 竹腰 美夏 馬場 哲晃 北原 鉄朗
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.1073-1092, 2017-05-15

本稿では,カラオケにおいて歌ってない人に対してタンバリンの演奏を促すことで,歌ってない人もカラオケを楽しみ,盛り上げることができるシステムを提案する.カラオケに行った際に,歌われている曲を知らなかったり,どのようにして一緒に盛り上げてよいか分からず,ただ曲を聴いているだけで退屈をしてしまう人は少なくない.そのような場合に対して,カラオケ店に置いてあるタンバリンの使用を促すため,どのようにタンバリンを演奏するか自動で生成・表示し,ゲーム風の画面により正しく叩けているかをフィードバックする.しかし,これだけではタンバリン演奏者が1人でタンバリンの演奏をゲーム感覚で楽しんでしまい,歌唱者や他の人と一体になってカラオケを楽しむ目的からは外れてしまう可能性がある.そこで,歌唱者も含めて全員がタンバリン演奏に参加するようにする.システムを実装し,実際にカラオケ店で実験したところ,次の可能性が示唆された.(I)本システムによりワンパターンなタンバリン演奏を防ぐことができる.(II)タンバリン奏者が知らない楽曲に対しては,譜面の表示によりタンバリンを演奏しやすくなる.(III)カラオケの一体感を高めるには,全員がタンバリン演奏に参加することが効果的である.一方,次のような課題も明らかになった.(i)生成されるタンバリン譜の難度が高く,正確なリズムで演奏できない場合があり,その場合むしろ歌いにくくなる.(ii)タンバリン演奏がうるさく感じられる場合がある.(iii)歌い手がタンバリンを叩く際に,歌いながらタンバリンを叩くのが難しい場合がある.In this paper, we propose a system that enables non-singing people in karaoke to enjoy the karaoke by supporting their tambourine performance. In karaoke, it is often difficult for non-singing people to enjoy the songs being sung when they do not know the songs. This is because they do not find how to enlive the singing of such unknown songs and accordingly they cannot do anything other than listening to them. Here, we focus on the tambourine, which is provided in most karaoke spaces in Japan. Our system automatically generates the tambourine part of a singing song and instructs how a non-singing person plays the tambourine. The system feeds back how correct the user's performance is through the display in a common music game style. However, if only one person is enabled to play the tambourine, only he/she may enjoy to play the tambourine, accordingly causing a different result from our goal that both singing and non-singing people enjoy karaoke together. We therefore imporve the system so that all participants including singing one join in the tambourine performance. The results of experiments in an actual karaoke space imply the following possibilities: (I) Our system avoids monotonous tambourine performance. (II) It makes it easier to play the tambourine for songs that the player does not know. (III) Playing the tambourine together with all participants is effective to improve a sense of unity. On the other hand, we found the following issues: (i) Our system sometimes generates tambourine scores that are difficult to play in accurate rhythm, and it makes singing difficult. (ii) The tambourine somtimes sounds too loudly. (iii) It is sometimes difficult for singers to play the tambourine while singing.
著者
大井 将徳 中村 嘉隆 稲村 浩 高橋 修
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.581-590, 2019-02-15

平成29年における自転車乗車中の死傷者のうち64.7%が法令違反運転中に交通事故に遭っているなど,近年,自転車が関与する事故が問題となっている.自転車の違反運転に関する法律や条例は整備されてきているが,いまだ違反運転の認知度は低い.そのため,自動的に自転車違反運転を検知して運転者に違反運転内容などを通知することによって,違反運転を減少させるようなシステムが必要となる.本論文は複数センサを用いた非接触センシングによる自転車運転者の状態検出に基づく自転車違反運転検知システムを提案する.提案システムはモーションセンサと照度センサを用い,モーション比較,深度情報取得,トラッキング時間測定,自転車走行位置計測,照度測定を用いて自転車違反運転内容を判断し,その内容を運転者および周囲へと通知する機能を備える.屋外において提案システムの対象判別および違反運転判断についての評価実験を行い,実用に耐える精度を確認した.
著者
安武 芳紘 小田 謙太郎 吉田 隆一
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.579-589, 2008-02-15

分散環境では複数のプロセスが通信をするため,メッセージの全順序保証を利用した通信は不可欠である.また,さまざまな実行環境が存在し,環境はたえず変化するため,最適な全順序保証プロトコルをあらかじめ選択することは困難である.そこで,環境変化へ動的に適応する全順序保証プロトコルが求められる.従来の適応的全順序保証プロトコルは悲観的全順序保証プロトコルを基盤にしている.そこで本論文では悲観的手法に加えて楽観的手法も対象とした適応方法を提案する.適応方法を楽観的手法にまで広げたことにより,異なる手法のプロトコルを動的に選択し環境変化に適応することが可能である.2 つの手法のコストを比較した場合,楽観的手法はメッセージの送信頻度に影響を受けやすく,悲観的手法は通信遅延の影響を受けやすい.適応的選択は,時々刻々変化する実行環境に対して,順序付けコストが最小の手法を選択することになり,これを実現するために,それぞれの手法に対して順序付けコストを評価し比較する方法を提案する.また,メッセージの全順序保証を維持するため,楽観的手法を考慮したプロトコルの切替え方法を提案する.例としてTime Warp とABCAST を対象としたコスト評価・比較,切替えについて具体的に述べ,本方式の有効性をシミュレーションにより検証する.
著者
栗原 佑介
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.1099-1106, 2015-03-15

MOOC等のオープン型教育コンテンツや文化財(文化資源)のデジタルアーカイブ化が政府主導によって,推進または推奨されている.本稿では,このようなデジタルコンテンツの権利処理過程において,残存あるいは事後的に生成されうるパブリシティ権の問題点を明らかにする.特に,ピンク・レディー事件(平成24年2月2日)の最高裁判決をふまえ,なお残る論点との関係で言及する.パブリシティ権の問題は,学説判例によって権利性が承認されているが,立法化されていないため,権利範囲が明確ではないという問題点がある.しかし,パブリシティ権は,これまで知的財産法制との類似性が指摘されてきた.他方で,パブリシティ権は人格権法とも親和性があり,権利範囲について,知的財産権法制との関係では解決しきれない.そこで,この問題を解決するためには,前述した最高裁判決をもとに,権利侵害となる範囲を解釈によって明確にしなければならない.この際に,有効な手段が,憲法論的アプローチであり,財産的権利と人格的権利を区別する「二重の基準」論である.さらに,わが国著作権法においては,著作者人格権が規定され,実演家にも実演家人格権が認められているため,著作権者の権利制限規定の解釈もパブリシティ権の権利の制約を考えるうえでは有効である.Open educational contents, for example MOOC, cultural property or resources, have been archived by the government. This paper addresses the issue of the right of publicity in regard to rights clearance, and clarifies the limitations on this right. There are certain critical issues regarding this right since the Supreme Court of Japan provided a legal definition for the term on February 2, 2012. The definition is accepted in theory and there have been precedent cases, but it remains controversial. Thus, limitations on this right aren't uncommon. However, this right is related to intellectual property laws; it's also very similar to moral rights law. For solving the problem on the basis of the above-mentioned leading case, the scope of the infringement on the right of publicity as a moral right is clarified by the interpreter. I address the interpretation of the constitutional-law approach that distinguishes property rights from moral rights, which is a double standard that adversely affects the search for a solution to this problem. Second, the restrictions on copyright holders that are enshrined in copyright-law take advantage of an interpretation of the right of publicity, because copyright-law in Japan is tied to the moral rights of the performer.
著者
杉本 重雄 阪口 哲男 田畑 孝一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.671-680, 1992-05-15

プログラミング対象の多様化とソフトウェア技術の進化に伴って多様なバラダイムに基づくプログラミングの重要性が認識されるようになってきたそのため 1980年代には多様パラダイム指向言鰭が発展した多様なパラダイムでのプログラミングを柔軟に行うためには 特定のパラダイムを対象とする環境を用意するだけでは十分ではなく 対象に応じて必要なバラダイムの言語を利用できる開放性を持つ環境を用意することが必要である本論文では 逐次処理プログラムの範囲において 多様なパラダイムのプログラミング言語を要素とするプログラミング言語複合体(Programming Language Complex)の構成手法を提案するプログラミング言語複合体は複数の要素言語からなる統合された環境を利用者に提供するものであるので 本論文ではこれを複言語と呼ぶ複言語を構成するために要素言語を言語固有の要素と言語間に共通な要素に明確に分離し それらを階后的にとらえ言語固有要素を上位言語間共通要素を下位に定義するこうすることで要素言語処理系を言語間共通要素に基づいて構築することができるので 要素言語間のコミュニケーションに制約を設けることや 言語間コミュニケーションのためのad hocな記述形式を設けることの必要がなくなる 本論文では 階層の定義とそれに基づく複言語の構成方式を示すまた LISP Prolog Smalltalk-80に基づく要素言語を持つ複言語システムの例を示す
著者
内田 勝也
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.56, no.12, pp.2219-2229, 2015-12-15

2012年11月に発生したストーカー殺人事件では,加害男性は被害女性の結婚後の名字や転居先市名を脅迫罪執行時に警察の逮捕状読み上げで知ったが,詳細な住所を知ることはできなかった.しかし,加害男性は詳細な住所調査を依頼し,それを受けた調査会社の経営者は被害女性の住所を聞き出すため,被害女性の夫を装い,当該自治体に電話をかけ,対応職員から正確な住所を聞き出した.この経営者は2014年1月に,逮捕された.たった1件の自治体からの個人情報漏えいが,殺人事件に至った.個人情報漏えいから殺人事件に発展した事例は,コンピュータ犯罪史上初めてではないかと思われる. 自治体への電話照会で大量の個人情報が漏れることは少なく,大きな事件・事故につながることはなかった. 自治体職員は個人情報を電話照会で教えた記憶がないと述べており,真相は不明だが,この経営者が大量の個人情報を保持し,自治体へ頻繁に電話をかけていたことを考えると高度な誘導質問術を駆使した可能性は高い. 本稿では,ソーシャルエンジニアの主要手法である誘導質問術等の観点から情報漏えいやその対応策としての教育・訓練について考察した.In November 2012, the stalker murder occurred in a local city of Japan. Because the victim married, and changed her address, the perpetrators man was not able to know the detailed address. The perpetrator man asked to get her detailed address to the executive of research firm. The executive was pretending to be victim's husband and made a phone call to the local government and got her exact address. The executive was arrested in January 2014. Only one personal information leakage from a local government led to the murder. Personal information leakage was developed into a murder case, probably, this is the first computer crime in its history. Staff of the local government have stated that there is no memory that he taught personal information over the telephone inquiry, the truth is unknown. Staff of local government said that there is no memory to divulging information. Because the executive has retained a large amount of personal information and has made the frequent telephone calls, he has likely made full use of the advanced elicitation. The executive has retained a large amount of personal information, so probably, he has used elicitation techniques. This paper introduces elicitation and examines an education and training for the countermeasure of elicitation.
著者
辻 洋 櫻井 彰人 吉田 健一 アムリットティワナ アッシュレーブッシュ
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.823-831, 2007-02-15
参考文献数
16
被引用文献数
8

ソフトウェアの開発量が増加し,コスト削減が求められる中,海外企業に開発委託するケースが増大している.多くのプロジェクト・マネージャがこのオフショア開発を経験しているにもかかわらず,個人が得た経験は暗黙知として残ったままである.本研究では,産業界の175 人の技術者が持つ海外開発委託のリスクに関する暗黙知を表出化するとともに,新たなプロジェクトを海外開発委託するときに適否を事前評価できるようにコンジョイント分析を行った.個々のオフショア開発プロジェクトを4 属性からなるソフトウェア特性,5 属性からなる委託先特性,5 属性からなるプロジェクト特性で表現し,それらの属性の組合せで表現される仮想的な26 件のプロジェクトに関する評価から,次の知見を得た: 1ソフトウェア特性について要求定義の変更の有無を重視している,2 委託先特性についてコミュニケーション能力を重視している, 3プロジェクト特性としてコスト削減効果を最も求めている.本論では,ソフトウェア種別による差異,発注先の国による差異,回答者の経歴による差異などについて得られた知見についても述べている.As the volume of software development increases and the cost reduction is required, most IT companies are interested in offshore software development: outsourcing to developing countries. Although a lot of software engineers have experienced success and failure of offshore software development, their know-how still remains as tacit knowledge. To externalize sharable knowledge from the tacit knowledge and to assess risk of future developments, this paper discusses the conjoint analysis on votes for project preference. Describing twenty six virtual projects which are featured by four attributes for software, five attributes for vendor and five attributes for project, we asked 175 engineers to evaluate those projects and had the findings such as 1) requirement volatility is the most important factor in software attributes, 2) communication skill is indispensable for vendors, 3) relative cost advantage is the most attractive factor for offshore software development. This paper also presents findings driven by the differences among software type, vendor countries, and engineers' career and experience.
著者
淺原彰規 嶋田 茂 丸山 貴志子
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.12, pp.3068-3078, 2006-12-15

交通渋滞などの交通情報をモバイル端末に提示するサービスのニーズは大変高まっており,そのため利用者の状況に合わせた分かりやすい地図表示が求められている.そこで,把握しやすく整形された要約地図を自動生成する技術がすでに開発されている.しかし,この技術により広域の道路地図を要約する機能を提供するには,前処理として道路のネットワーク構造を概略的構造へ要約する処理が必要である.そこで我々は,近接道路を併合することによりネットワーク構造を要約するアルゴリズムを開発した.また本方式の評価として,道路の経路図に対し本方式を適用し複雑度測定実験の評価とユーザに対するアンケート評価を行った.その結果,ネットワーク構造要約によって,地図の距離感を保ちつつより整形が進んだ要約経路図を生成できることが確認できた.これにより,広域の道路地図を動的に要約表示する見込みを得た.
著者
川島 潤 舩曵 信生 中西 透 竹内 順一 石崎 雅幸 ソウザ・アンドレ・カウダス
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.47, no.8, pp.2384-2395, 2006-08-15
参考文献数
16
被引用文献数
1

メモリカードに代表される可搬性メモリは,屋外に持ち出されることの多い着脱可能な小型記録メディアである.そのためメモリカードなどでは,その盗難や紛失時にカードデータ全体が漏洩してしまうことから,カード内ファイルデータの暗号化だけでなく,ファイル管理情報の暗号化を行うことで安全性を高める必要がある.そこで本論文では,Linux をベースに,OS・アプリケーションの変更が不要,メタデータの暗号化が可能,アクセス可能なアプリケーションを指定可能,といった特徴を有するセキュアファイルシステムSAS(Storage Add-on Security)を提案する.本論文では,SASの設計・実装の詳細説明を行ったうえで,ベンチマークソフトによる性能評価結果を報告する.A memorycard has weakness in assuring the safety of its stored data when it is stolen or missing. Therefore, a secure filesystem that can encrypt the stored data is essential in preventingthe risk from illegal users. Besides, the encryption of the metadata is desirable in this vulnerable memorycard to further strengthen the safety. In this paper, we present a design and an implementation of a secure filesystem named SAS (Storage Add-on Security) for a memorycard on Linux. SAS encrypts the metadata as well as the data, and can choose a securityoption to file by file, while the application programs accessible to SAS can be specified by system managers. SAS requires no change of the operating system when it is installed into PDA. The performance of SAS is investigated through a benchmark software.
著者
黒田 満 倉賀野 哲造 久保 哲夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.602-609, 1998-03-15
参考文献数
14
被引用文献数
3

曲率半径が弧長の折れ線グラフとなる滑らかな対数らせんスプライン補間曲線の導出法を提案している.曲線はスパン曲線長,与点での曲率半径と接線を未知数とする連立方程式を,パラメトリック3次のC2補間曲線からの良い初期値を使ってニュートン・ラプソン法で解いて導く.提案手法は計算機援用の形状設計に有用な次の特長を持っている.(1)弧長,接線,曲率半径といって,設計者の直観になじむ幾何情報だけから形状を設計・制御できる.(2)縮閉線がまた対数らせんスプライン曲線となるし,オフセット曲線と伸開線も対数らせんスプライン曲線で精度良く近似できるので取り扱いやすい.(3)必要なら,導出曲線を許容誤差範囲内で有理多項式近似できる.さらに,クロソイド弧の挿入による変曲点の導入や1スパンを複数曲線分化して表現力を強化する拡張法についても簡単に述べている.This paper presents a method for constructing an interpolating smooth curve composed of logarithmic spirals,whose radius of curvature is piecewise linear with respect to arclength.Using good initial values from the conventional cubic C2 interpolant,the curve is obtained by the Newton-Raphson method from a system of equations whose unkowns are arclengths of spans,tangents and curvature radii at data points.The method has the following three features for computer aided geometric design.(1)It specifies and controls shape of curve by intrinsic geometric quantities familiar with designers,such as arclength,tangent and radius curvature.(2)Its evolute is also expressed by logarithmic spiral splinecurve,and its offset curve and involute are approximated very well by logarithmic spiral spline curve and hence these associate curves are easy to deal with.(3)The derived cruve might be approximated within a tolerance by conventional rational polynomials,if necessary.Extensions of the method are described for introducing an inflection point by use of a clothoid segment and for making the curve more flexible by multi segments per span.
著者
深山 篤 大野 健彦 武川 直樹 澤木 美奈子 萩田 紀博
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.12, pp.3596-3606, 2002-12-15

本論文では,ユーザに伝わる印象を操作するための,擬人化エージェントの視線制御方法を提案する.人の視線と印象に関する従来研究をもとに印象伝達に関連する3種類の視線パラメータを選び,その値に従ってエージェントの視線を出力する視線移動モデルを構築した.これを実際にエージェントに組み込んで主観評価実験を行った結果から,本視線制御方法を用いることによってエージェントの視線のみからユーザが受ける印象を操作できることを示す.
著者
近藤 恵子 佐藤理史 奥村 学
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.11, pp.4064-4074, 1999-11-15

本稿では,「サ変名詞+する+接尾辞」からより平易な動詞相当句への言い換えを機械的に実現する方法を提案する.この方法は,5つの言い換え規則と4つの辞書とアルゴリズムから成っている.もし与えられた入力に特別な接尾辞がなければ,最も基本的な置換の規則が適用され,そのために,サ変名詞?動詞相当句対応辞書と動詞活用辞書が使用される.もし,テイル形,使役表現,受動表現,可能表現を表す接尾辞があれば,アルゴリズムにより最も適切な規則が適用される.その規則は,自動詞?他動詞対応辞書と有情/非情名詞辞書から得られる構文と意味の情報によって選択される.我々はこの方法に基づいた言い換えシステムを作成し,その有効性を確認した.