著者
佐藤 あやの 西野 邦彦 西野 美都子 (林 美都子) 仁科 勇太 Yu Sidney
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

これまでに、ゴルジンタンパク質群のひとつであるgiantinをノックダウンすると分泌が上がること、ゴルジ体の構造に変化が起こることを示した。本研究課題では、この現象に関わる分子機構を明らかにすることを最終的な目的とし、電子線トモグラフィーなどを用いゴルジ体の構造を詳細に解析した。また、この間、分泌調節に関わる新規小分子を発見したため、新規分子の特徴付けを合わせて行なった。本研究課題の期間は終了したが、引き続き、これらの解析や新規分子のターゲットの探索を行う予定である。
著者
永広 昌之 遅澤 壮一 吉田 武義 蟹澤 聰史 越谷 信 川村 寿郎
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

日本列島における異地性地塊の起源を明らかにするために,南部北上古陸を中心にしつつ,東北日本や西南日本の付加体をも含めた地体について,テクトニクス・古生物地理・化成活動などの観点から検討した.南部北上古陸では,オルドビス紀末期〜シルル紀初期に,氷山花崗岩類や正法寺閃緑岩などに代表される,沈み込みに関連する深成火成活動が広範囲にわたってあった.南部北上古陸と西南日本の黒瀬川古陸は,前期古生代以来,同一のテクトニックセッティングの,近接した(同一の?)大陸縁辺域をなしていたと考えられる.南部北上古陸や黒瀬川古陸は,前期石灰紀には古テチスと古太平洋の連結海域にあり,ぺルム紀〜三畳紀には南部北上古陸は華南に近接した低緯度地帯にあったことが,それぞれサンゴおよびアンモノイドの古生物地理データから推定された.飛騨外縁帯の古生物地理や構造発達史は南部北上古陸のそれと大きく異なり,両者は異なった位置やテクトニックセッティングにあった.付加体に伴われる緑色岩類の産状や起源について,変質の影響を見積もった上で,主元素・微量元素組成にもとづき検討した.四万十帯のin situ玄武岩類は,海溝-海溝-海嶺三重点近傍での,海嶺沈み込みにともなう火成活動の産物と考えられる.海嶺が沈み込むと島弧火成活動が中断することに注目すると,in situ玄武岩の活動年代から三重点の移動経路と移動測度が決定できる.このことから,北上・阿武隈帯の白亜紀火成岩類は,115Ma以前に現在の北九州付近で形成されたと推定された.また,北上山地における白亜紀前期の大島造山運動はこの三重点通過にともなう島弧の大規模上昇を示唆している.
著者
上村 清雄
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

1487年から1512年の死まで中部イタリアの都市シエナを実質的に支配したパンドルフォ・ペトルッチがとった芸術奨励政策を、シエナ出身の教皇ピウス二世(在位1458-1464)が主導した直前の時代と比較検討し、過去の芸術伝統と決別し、新旧世代の芸術家をたくみに使い分ける、いわゆる「ペトルッチ様式」によって、シエナに宮廷文化の確実な誕生を促した動向を、文献収集、実作品の調査、現地研究者との意見交換によって明確にした。
著者
佐々木 昌一 窪田 泰江 小島 祥敬 岡田 真介 高田 麻沙 郡 健二郎
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

モルモットを用いてBOOモデルを作成し、過活動膀胱の発症機序について検討したところ、Kit陽性ICC様細胞は、BOOモデルの膀胱粘膜下層および漿膜側を中心に、正常膀胱に比べ増加していた。またSCF は尿路上皮を中心に発現が増加していた。BOOモデル動物ならびに膀胱炎も出るラットにイマニチブを投与したところ、排尿圧を変化させることなく、non-voiding contractionを抑制し、排尿間隔を延長させることが判った。この結果からKitがICC様細胞を介して過活動膀胱の発症機序に関与している可能性が示唆された。
著者
奥田 邦晴 林 義孝 高畑 進一 淵岡 聡 樋口 由美
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

障害者の陸上競技、中でもフィールド競技に関する先行研究は散見する程度であり、特に、重度障害者を対象とした投てき競技に関する研究は皆無である。本研究は主として脳性麻痺や頚髄損傷者の重度障害者の投てき運動を可能にするための補装具である調節式スローイングチェアを作成し、スローイングチェアの適合度合いの差異がどのように投てき運動に影響を及ぼすかについて調査することを目的とした。具体的には、各々の選手の投てき運動を6台のデジタルビデオカメラを用いたビデオ式3次元解析装置(ToMoCo Vm4)により運動学的に解析し、障害度やその特徴の違いやスローイングチェアの適合性が投てき運動に及ぼす影響について明らかにした。これらの結果は、重度障害者にとって、投てき競技の魅力が拡大し、その普及に寄与できるとともに、障害者の投てき競技におけるスポーツ指導方法の基礎データとしたり、競技能力向上に寄与することができる。1.調節式スローイングチェア(通称、座投一)を作製した。2.脳性麻痺選手を対象に、調節式スローイングチェアを約2ヶ月間貸与し、調整後、障害者陸上ジャパンパラリンピック大会に本機を使用して出場した。3.アテネパラリンピックに出場した頚髄損傷選手(銀メダリスト)を対象に、調節式スローイングチェアを使用し、より競技能力向上に目的に、検討した。(現在も継続中)4.脳性麻痺、頚髄損傷選手の投てき動作について、三次元解析装置にて運動学的に分析、検討した。5.3および4の結果から、改良型調節式スローイングチェアを作製した。6.脳卒中の投てき選手に座投一を試行し、より障害像に適したシッティングポジションを確立できた。7.調節式スローイングチェアについて特許申請を行い、受領された。(特願2005-265193)8.第26回医療体育研究会/第9回アジア障害者体育スポーツ学会目本部会第7回合同大会にて、「陸上投てき競技用調節式スローイングチェアの開発について」を報告した。9.第18回大阪府理学療法学術大会にて、「頚髄損傷投てき選手に対する競技用調節式補装具(モジュラー型スローイングチェア)を用いた競技能力向上への取り組み」について報告予定。10.第22回日本義肢装具学会学術大会にて、「重度障害者の陸上投てき競技用スローイングチェアの開発と適応について」報告予定。
著者
佐藤 正寛 西尾 元秀
出版者
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

適切な制限付き選抜法を決めるため、まず選抜反応を予測するためのモンテカルロ法によるコンピュータシミュレーションプログラムを開発し、次に選抜候補個体の中から次世代の種畜を選抜するための制限付き選抜法のプログラムを開発した。両者のプログラムを組み合わせてすべての個体に制限を付加した制限付きBLUP法(AR-BLUP法)と選抜候補にのみ制限を付加したPR-BLUP法の選抜反応を比較した結果、PR-BLUP法は、選抜反応および近交係数の点でAR-BLUP法に比べ望ましい選抜結果の得られることが明らかとなった。さらに、制限付き選抜を行うための指標として、育種価の適切な重み付け値の算出方法を考案した。
著者
柳 文修 皆木 省吾 沖 和広 兒玉 直紀 浅海 淳一 洲脇 道広
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

顎関節関節円板転位の状態と下顎機能運動とを比較することによって,習慣性咀嚼側に関して検討を加えた。関節円板の位置異常がない、正常顎関節群においては、咀嚼運動の左右差に有意差はなく、食品の性状が違っても、側性の変化を認めなかった。顎関節関節円板片側転位がある場合には硬固物を咀嚼する際に片側傾向が増加することが示唆されるとともに、円板転位側と咀嚼側が一致する可能性があることが示唆された。
著者
吉羽 邦彦 吉羽 永子 細矢 明宏
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

象牙質・歯髄複合体の修復・再生過程における歯髄組織幹細胞/前駆細胞の動態と象牙芽細胞への分化機構を解明する目的で, 直接覆髄処置, レーザー照射, あるいは歯の再植, 歯髄組織の移植を行い, その後の硬組織形成過程について免疫組織化学的に観察した。その結果, 歯髄組織中に存在する歯髄固有細胞から分化した象牙芽細胞様細胞あるいは骨芽細胞様細胞によって硬組織形成が行われることが明らかにされた。
著者
東口 顕士 松田 建児
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

分子ワイヤの電気伝導特性として代表的なパラメータである減衰定数βは、以前の研究でビラジカルの交換相互作用の減衰定数βと相関があることを見出している。ESR測定を行い分裂パターンから評価する本法は、測定感度域は狭いものの相互作用の弱い領域の測定が可能であるため、飽和炭化水素のような減衰率の大きなユニットの評価に利用できる。籠状飽和炭化水素であるビシクロオクタンと、直鎖アルキルスペーサーでは、交換相互作用が10倍以上異なることを確認した。この差異は、籠状飽和炭化水素においては架橋部位で複数の軌道同士が相互作用していることに由来すると推測された。
著者
冨田 哲治 佐藤 健一
出版者
県立広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

放射線被ばくによる健康被害への影響は被ばく線量に基づき評価されている.原爆被爆者における被ばく線量は,実測ではなく被爆状況から算出した初期線量の外部被爆の推定線量である.本研究では,被爆時所在地を位置情報として活用することで,位置毎に定量的なリスク評価を行い,リスクの地域差を等値線図で記述したリスク地図を作成する,更に,リスク地図に被爆後経過年数や年齢等の時間要因を組み込むことで,時間変化するリスク知事を作成する.これにより,原爆被爆者におけるがん等の疾病に関するリスクは,時間により変化するリスク地図のアニメーションとして視覚化され,2次的な放射線被ばくのリスク評価を行った.
著者
川辺 睦 三村 秀文 花元 克巳
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

CT透視下インターベンション手技における術者の手における被曝の現状は、1手技当たり0.49mSv(0.11-2.2mSv)であった。全手技の平均値は1分当たり0.1mSvであった。そこで、術者の手の被曝を防護する用具を試作した。外科用鉗子に装着したタングステンシートは被曝を約75%低減した。このシステムはCTスキャン面周囲の散乱線を減ずるのに効果的であることが実証された。しかしながら、このタングステンシートは滅菌して再利用できず、滅菌環境で利用可能でなかった。したがって、この滅菌に関する技術的問題が解決されたときに本研究結果が応用できるよう基礎データをまとめておくのは有用である。
著者
朴 一 永野 慎一郎 高 龍秀 裴 光雄 朴 昌明 梁 京姫 藤森 梓
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究グループでは、3年間に渡って、日本におけるエスニック・マーケットの形成プロセスや経済効果について研究してきた。 東京の新大久保と大阪の生野・鶴橋を中心に韓人マーケットの生成・発展プロセスについて度重なるフィールドワークを行い、 同地域で起業活動を展開する在日韓人起業家へのアンケート・インタビュー調査を実施してきた。 研究最終年(2013年)には、韓国・済州大学で開催した国際シンポジウムでこれまでの研究成果を発表し、ワーキング・ペーパーを出版した。
著者
森鳰 章代 吉村 通央 原田 浩
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

PER2がHIF-1αの発現量に影響を及ぼさないことを確認した。PER2蛋白質がHIF-1α蛋白質と結合し、HIF-1αのHREへのリクルートを亢進することが分かった。PER2によるHIF-1の活性化は、HIF-1α N803が水酸化されていない時にのみ観察された。しかし、PER2蛋白質とHIF-1α蛋白質のインタラクションは、N803の水酸化ステータスの影響を受けなかった。以上の結果は、N803の水酸化状態をモニターできるセンサー分子の助けを借りて、PER2がHIF-1αのHREに対するリクルートを促進するエフェクター分子として機能する可能性を示唆している。
著者
河上 眞理
出版者
京都造形芸術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

「イタリア美術」という概念はイタリア半島初の統一国家イタリア王国の成立に伴い形成されたと仮定し、絵画を中心に、遺産としての過去の美術の扱いと、同時代の動向との関係を通して考察し、以下が明らかになった。第一に18世紀に遡るイタリア美術史編纂事業を通して、半島内で展開した美術の独自性と世界への発進力が改めて認識された、第二に美術品保護の充実が訴求され、公私の美術館制度が整備された、第三に「イタリア美術」というブランド力の国際的な場面における効果が認識され、謂わば、海外における「イタリア美術」像を再受容し、イタリア王国は美術外交という施策を展開した。
著者
三田 一郎
出版者
神奈川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

2008年に小林誠氏, 益川敏英氏がノーベル物理学賞を受賞されたことは我が国にとって大変おめでたいことである. この約半世紀の歴史を振り返れば, 日本人が素粒子論における自発的対称性の破れ, およびCPの破れの理論を提唱し, 日本国民の血税で世界に類のない加速器が建設され, そして日本でその正しさが証明されたという偉大な歩みが見えてくる. まさに我が国が誇るべき研究成果であろう. わたしは小林・益川理論の基でB中間子にける大きなCPの破れを発見した. この予言を検証するために高エネルギー研究機構およびスタンフォード線型加速器研究機構でBファクトリーを建設することを提案し, 2003年に見事にこの予言は検証された. 現在B中間子物理学はフレーバー物理学の一部として今後大きく開花しつつある. 本研究ではB中間子におけるフレーバー物理学を理論的に追求した.
著者
大野 和朗
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

農薬に高度の抵抗性を発達させたアザミウマ類の捕食性天敵であるヒメハナカメムシ類の生存や繁殖にオクラの分泌物である真珠体が重要な働きをすること、露地ナス圃場にオクラを植栽することで、ヒメハナカメムシ類等の天敵ほ働きが安定することを、世界で初めて明らかにした。室内実験により、真珠体そのものは動物質餌と同等の効果はないが、補助的な餌として、動物質餌が少ないとき、天敵の幼虫の体サイズが小さく、餌を捕獲できないときに、天敵の生存を高め、結果的に天敵個体群の持続性の向上につながると考えられた。圃場調査から、ナス上で餌昆虫(アザミウマ)がいなくなっても、ヒメハナカメムシ類の発生は続くことが明らかになった。
著者
伊勢 晃 三好 郁朗 佐藤 文郎 伊藤 洋司 辻野 稔哉 森田 いく子
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

我々は、ベル・エポック期におけるフランス・モダニズムの諸相を明確にし、詳細な校注、解説を含むアポリネールの文芸評論の全訳を作成することを目標とし、研究を推進してきた。その結果、翻訳の下訳作業はほぼ完成し、フランスでの調査と資料収集によって、基礎的資料の整備を終えた。今後は平成24年度科学研究費補助金研究(基盤研究C)「20世紀初頭のフランス文芸思潮におけるモダニズムの形成と展開に関する実証的研究」(課題番号: 24520374、研究代表者:伊勢晃)に研究を引き継ぎ、さらに広範な調査を行い、出版物の形で成果を公開したい。
著者
岩田 和子
出版者
東洋英和女学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

占代オリエントにおいても誓いは法的領域と宗教的領域の双方に跨る現象であり、様々な場面に見られる。重要な文献資料であるアッカド語の「エサルハドン誓約文書」とその関連文書を原文に即して研究することにより、当時の誓いのあり方を明らかにした。
著者
高橋 一義
出版者
長岡技術科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

レーザ計測による広域の水稲生育モニタリングでは、栽植密度、植付け方向、レーザ走査面の傾きが取得データに及ぼす影響の検討が必要である。本研究では、検討に必要なデータを効率的に取得する小型航空レーザ計測システムを試作した。また、地上実験データから前述した要因の影響を検討した。計測システムを試作したが,取得データに機体動揺の影響が残った。一方、地上実験により、走査面を鉛直から斜めにすることで、群落上部の反射点が多くなった。植被率40%以上では、栽植密度、植付け方向によらず田面が計測されない可能性がある。高い栽植密度の場合、植付け方向の影響を考慮した推定モデルが必要であることが示唆された。
著者
田越 秀行
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

コンパクト連星合体重力波をレーザー干渉計重力波検出器ネットワークで検出する場合のパラメータ決定精度を調べた.その結果,ショートガンマ線バーストに付随する連星合体重力波が検出できた場合には,高次変調モードを取り入れた理論波形を用いて解析することで,連星の軌道傾斜角を3度から7度の精度で決定できることが分かった.また,ブラックホール周りの赤道面上に円状の回転リングがある場合に生じる重力場の摂動を,Teukolsky方程式とCCK形式によって計算し,CCK形式を用いて具体的に重力場を求める際の問題点について有用な知見を得た.