著者
小早川 光郎 山本 隆司 太田 匡彦 山本 隆司 太田 匡彦
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、2004年に行われた行政事件訴訟制度改革に対して、理論的側面及び実際的側面から検証を加えた。理論的側面からの検証の主たる成果として、原告適格、義務付け訴訟、差止訴訟を中心に、その理論的基礎及び法的問題点等を明らかにした。かかる理論的側面からの検証の成果を前提として、主として2004年改正後に出された裁判例の分析を行い、処分性、原告適格、義務付け訴訟を中心に、制度改革による実際的影響を明らかにした。
著者
永瀬 和彦
出版者
金沢工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

阪神大震災で脱線又は重大な損傷を被った車両が在線した箇所は気象庁が発表した震度階級7の被災地域とほぼ一致することがわかった.被災箇所の割合を高架,地上及び地下で区分したところ,地下在線中の車両の被災割合が最も少なく,高架橋在線中の車両の被災割合は圧倒的に高くほとんど全ての車両が何らかの被害を被っていた.よって,地下に在線する車両の耐震性は他の線区のものに比べ高いといえる.脱線の状況を調査した結果,激しい地震動により軌道が全く損傷していないのに飛び上がり脱線した車両があり,走行又は停止中の車両の心皿がが激しい上下動により脱出して心皿の脱出防止用コックが破断した事例も複数確認された.このような信じがたい激しい揺れに遭遇した列車は,どのような手段を講じても脱線を防止出来ない.幸いなことに,このような深刻な事態が発生した場合でも列車が崩壊した橋梁や高架橋に高速で突っ込む可能性は高くはないと判断できる事実を見いだした。土木構造物が重大な損壊を被るような激しい地震動に遭遇した場合,列車は全軸脱線し,非常ブレーキで減速するよりはるかに高い減速度で急停車しているからである.他方,構造物の崩壊や陸橋の落橋は列車が停止した時点以降に発生したと指定される事例がほとんどだったからである。従って,一部で提案されている脱線防止用レールを積極的に架橋橋上の軌道に敷設して震災時の脱線を防止しようとの考え方は必ずしも最善の策とは言えない。走行列車が激震に遭遇した場合に考えられる最も大きな人的被害の一つは,地下鉄内で高速走行する列車が揺れによりトンネル側壁に設置されたトラフや信号機に激突して側窓や側扉が大破するケースである.かような事態を回避するために地下鉄内の工作物はなるべく電車側窓に対応する高さを避けて設置することが望ましい.
著者
落合 功
出版者
広島修道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、近世中後期に見られる国益思想について、歴史的意義を明らかにした。具体的には砂糖国産化に尽力した武蔵国川崎領大師河原村の名主池上幸豊を素材に、従来の五穀中心の増産思想=封建思想から、甘蔗砂糖を始めとした商品作物育成を奨励する思想=国益思想へと転換することを明らかにした。また、この国益思想を支えるネットワークとして、実学者、国学者、そして政治家の三つのグループが存在したことを明らかにした。
著者
早川 美徳
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

大変形したゴム膜と粘性流体層との複合的な系を構成し、そこで見られる音速に較べて十分に遅い破壊現象を解析した。この系では、歪みの量によって、蛇行する亀裂と直進する亀裂のパターンの転移が存在することを見いだした。こうした亀裂の不安定性は、従来の線形破壊力学では説明できない現象であって、その起源が、大変形に伴う非線形弾性にあることを、実験と数理モデルのシミュレーションの両面から理由付けた。
著者
青柳 悦子
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

アルジェリアの現代文学状況について、アルジェリアの歴史、社会背景、文学史的背景、出版状況、作家の現状、作品内容、研究状況などからその特徴を把握した。文献研究と現地調査とを平行しておこない、生きた文学状況を照らし出すとともにその問題点の析出に努めた。アルジェリアの主要な作家のなかからとりわけ重要と思われるムルド・フェラウーンの作品を分析して、これまで指摘されていなかった価値を明らかにするとともに、アルジェリア文学研究をめぐる問題を指摘した。
著者
上林 千恵子 山下 大厚
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

外国人技能実習制度は成立後ほぼ12年を経て、受け入れ人数を増加し、その性格も変化してきている。当初の緊急的な労働力不足への対応策から、3年間に亘って安定的に雇用を確保できる派遣労働力という見方を企業がとり始めてきた。3K労働だから外国人労働力に任せる、という側面も確かに残っているが、それと同時に、派遣・請負労働が広く普及し利用されるようになったことを踏まえ、派遣労働力の一つの形態としてこの研修生・実習生をみなす企業も出てくるようになった。しかし他方、技能実習制度の創設経緯に生じた問題はいずれも残されている。技術移転の問題をどう解決していくかは未解決である。技術移転を建前でなく実質化していくのか、あるいは韓国のように,研修制度を雇用許可制度の中に解消して、単純労働者受け入れ制度に一元化するのか。またローテーション方式の問題は、技能実習制度の限らず、外国人受け入れ制度すべてに関係する大きな問題である。パスポートの取り上げ禁止、雇用主による強制貯蓄の禁止、研修手当て・賃金からの管理費の控除禁止など技能実習制度の運営主体である国際研修協力機構(JITCO)は様々な指導を受け入れ団体と受け入れ企業に行っている。あるいは失踪者が多く出た受け入れ団体には、将来の受入れを認めないという罰則もある。研修生・実習生への失踪防止が足止め策として、彼らの労働者としての権利を侵害する恐れがある反面、失踪者の増加は不法就労者の増加へと確実につながり、二律背反の問題となっている。以上、技能実習制度を検討すると、これが十全に機能した場合でも制度としての矛盾を抱えていることが分かる。今後、外国人労働者を合法的に受け入れる制度としてこの技能実習制度が活用されるとするならば、技術移転の問題、ローテーション方式(失踪予防)の問題、受け入れ先企業の変更の問題、などについてより明確な合意形成が必要とされよう。
著者
渡邊 弥生 小林 朋子
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、大きく4つの成果を得た。1つめは、ソーシャルスキル教育をいかに学校に導入すればよいか、またその際の教師の生徒のアセスメント能力の向上方法について、いくつかの研究に基づいて示唆を得ることができた。2つめは、アメリカの研究者と共同でゲームタイプのアセスメントツールの開発を行い、日米での生徒のソーシャルスキルの文化差を確認することができた。3つめは、教師の介入の仕方がソーシャルスキル教育の効果に影響を与えることを明らかにした。最後に、感情リテラシーの育成に関する基礎研究を実施し、感情リテラシーをどのようにカリキュラム化すればよいのかについて知見を得た。
著者
近藤 フヂエ 武田 光一 山本 眞也 郷 晃 佐藤 哲夫 丹治 嘉彦
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

平成15年度は、地域文化の活性化に資する表象芸術の在り方を究明するために、新大アートプロジェクト2003「うちのDEアート」を実施し、また、各地域での同種の活動の取材と意見交換を通じて、本研究に関する資料を得たが、平成16年度は、それを用いてメンバーの専門領域の立場から考察した。たとえば近藤は、美術史の立場から、芸術表象の地域性について、イメージ信仰に時代を超えた特質を見出すことができるとする解を得た。教育の立場から佐藤は、アートプロジェクトと美術教育がホモロジカルな関係にあるとする視点から、その課題を明らかにし、柳沼は、具体的に小・中学校との連携による表象芸術の意義を示した。また、実際に関わったプロジェクトとの関係で、橋本は、パブリックスペースという環境を問題にし、アートやデザインの可能性を示した。郷は、街づくりに果たす彫刻シンポジウムの役割を示した。丹治は、2003「うちのDEアート」に、最も深く関わった経験などを通して、表象芸術が地域においてどのような意味を持つのかについての一つの結論を導いた。武田は、加茂市若宮神社の天井画という新出資料について、地域における江戸後期の書画愛好の気風を明らかにした。山本は大学所有の屏風絵の模写を通じて技法研究を行い、社会的な模写の意義と効用について明らかにした。また16年度も15年度に引き続き、種々地域に根ざしたアートプロジェクトを実施した。新潟県の豊栄市の早通地区のコミュニティーの活性化のために、「光のロータリー ロウソクを灯して」等。震災を乗り越えて「元気出そう新潟県」の趣旨による、小・中・大の児童、生徒、学生による造形ワークショップ・「虹色アトリウム-光の壁画をつくろう-」など、多数の活動を行った。引き続き、本研究で得られた成果をもとに、新大アートプロジェクト2005「うちのDEアート」の実施に向け、活動を行っている。
著者
岡田 玲子 太田 優子 宮西 邦夫 豊嶋 英明
出版者
県立新潟女子短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

本研究は、青年期女子を対象に保健行動の変容をめざして、指導型・学習参加型を含む健康教育システムを設定し,その有用性を1年間の介入効果によって検証したものである。本システムは、健康教育セミナー(受講後に感想・自己評価記録の提出)(6回)、健康・生活習慣・食事の診断(3回)、診断成績の個人別記録;「Health Paassport」の懇切な説明による還付(4回)等によって構成された。その成績は以下のように要約される。1)BMI、肥満度、体脂肪率への影響は殆どなく、歩数、消費エネルギー、運動量は僅かながら低下した。2)TC、LDL-C、TCが介入前に比べて高かったものの、同時にHDL-Cも有意に上昇し、その程度は寧ろ前3項目の変化に比べて大きいことが認められ、特にHDL-Cの改善には効果的であった。また、Lp(a)はHDL-Cの増加に伴って高くなる可能性が示唆された。なお、HDL-C値の改善にはカロリーカウンターによる運動量の影響は認められなかった。3)自覚症状訴え数が有意に減少した。このことは本セミナー出席率の高い群において特に顕著に観察された。自覚症状改善度上位者からは、健康教育による食行動の改善とその維持を窺わせる応答が得られた。4)食事の評価においては、(1)緑黄色野菜の摂取頻度・充足率の有意な増加、(2)本セミナー出席率の高い群ならびにHDL-C改善度の高い群において、食事診断得点の改善度が有意に大きかった。(3)介入後に穀類エネルギー比の有意な増加、動物牲脂質比、Na/K比、食塩摂取量(g/l,000kcal)、飽和、一価・多価不飽和脂肪酸摂取量の有意な減少がみられたが、これらの変化量との血清脂質値の変化量との相関性を見いだせなかった。(4)LDL-C低下の大きかった群ほど近代型食事(豊川の食物消費の二次元空間図による)の傾向が弱まる方向への変化が有意に認められた。5)エゴグラムにおいては、保健行動の変容に自我状態の関与を示唆する所見が得られた。以上より、本健康教育システムは健康意識の啓発の動機づけやその維持に効果的であったと考えられる。今回は多様な要因の中で、より望ましい方法を模索した研究デザインであったが、健康教育セミナーへの継続的参加を促すためには、対象者の生活時間の変化を配慮した開催日時の調整、保健行動の変容にマイナスの自我状態を有する対象者への対応等についてさらに詳細な検討を重ねる必要がある。本研究により得られた知見と反省を活かして、より実践可能な健康教育システムの開発に今後とも努力したい。
著者
立浪 澄子
出版者
長野県短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

1876年、日本における最初の幼稚園主任保姆(現在の幼稚園主任教諭)となった松野クララは「結婚のため来日したが、たまたま幼稚園保姆の資格を持っていたため、主任保姆に採用された」というのがこれまでの定説だった。今回の研究によって、クララは、岩倉視察団等の情報により、日本に幼稚園設立の計画があることを察知した婚約者松野ハザマの勧めによって保姆資格を取り、来日した可能性が高いことが判明した。
著者
斎藤 亮子 山田 皓子 井上 京子 沼澤 さとみ 嶺岸 秀子 諸田 直実
出版者
山形県立保健医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

<研究計画>看護基礎教育において「がん看護学」を履修した学生や、履修して卒業した看護師は、がん患者の看護においてがんに対する認知的誤認が少なく、「患者とのコミュニケーションがより容易にとれ、患者の言葉を傾聴でき、患者とともにある」看護ができることを実証したいと考えた。そのために基礎教育用がん看護学を組み立て、講義し、受講した学生のその後のがん看護実践を追跡調査する。また、わが国の4年制看護系大学におけるがん看護学教育の実態調査を行なう。<実施および結果>平成16年度:看護系4年制大学の3年生を対象に、がん看護学20時間のカリキュラムを作成して講義し、教育評価を行なった。評価は概ね良好で期待するものであった。また、わが国の4年制看護系大学におけるがん看護学教育の実態調査を行なった。12%の大学でがん看護学(独立した科目)の講義が行なわれていた。平成17年度:対象学生は4年生になり、成人看護学実習(慢性期)3単位を行った。本実習においてがん患者の看護を体験した学生に対して、認知的誤認が少なく、がん患者とともにあることができる「がん看護学」の成果の判定(第一回調査)を行った。調査の結果は期待する以上のものであった。平成18年度:対象学生は卒業し、一部は医療施設にてがん看護を実践している。職場にある程度適応できた時点で、認知的誤認が少なく、がん患者とともにあることができる「がん看護学」の成果を判定する調査(第二回)を行った。新人看護師のがん看護の取組は期待する以上のものであった。<結論>今日まで、看護基礎教育において、がん看護学教育は高度の知識・技術を必要とするため困難であるとして、体系的には教育されて来なかった。しかし、看護基礎教育におけるがん看護学教育の最大の目的は、学生(若い看護師)のがん看護を困難にしている認知的誤認を軽減することであり、それによって、学生や若い看護師のがん看護実践に大きな変化が生じると考えられた。
著者
三上 訓顯 西口 真也
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

この研究は、日本国民が利用している企業の製品のブランド力を国際的に評価するために行った。そのために、私たちは、アメリカ、イギリス、中国、日本の、四カ国の国民を対象に、企業ブランドが、どれぐらい認識され、どの程度の評価を得ているのかについて調査した。その結果、アメリカのコンピュータ企業やソフトウェア企業が高い評価を獲得した。他方で日本の製造企業は、低い評価となった。そうした要因は、世界的な情報化の傾向をよく反映している。私たちの研究は、従来のブランド認識とは異なる実態を明らかにした。
著者
田中 孝彦
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究では、科学研究費補助金によって購入および入手が可能になった米国国務省資料に加え、英国外務省および原子力開発庁の機密資料、さらには日本外務省によって部分的にではあるが公開された資料に基づいて、日本政府が核兵器に対しどのような態度をとっていたかについての実証史研究を試みた。本研究で得られた知見は、大きく以下の三点である。(1)岸政権の核実験反対および原子力関連政策は、岸信介の「独立の完成」というナショナリスティックな政策目的のもとに収斂する形で展開していたのであり、核実験反対政策は国内ナショナリズムの動員と吸収のため、そして、国力増進のために小型の戦術核兵器の保有への道をオープンにするという形で、岸のナショナリズムの中では整合性をもって構想されていたといえる。(2)さらに岸政権の核実験反対政策は内実を著しく欠いたものであった。米英への実験実施に対する抗議書は、それが手交される際外務省の上級スタッフによっては、それが国内向けのものであるとの説明がつけられ、時には、外務省内には核兵器保有論者が少なくないことを知らしめるような発言が、米英当局側にむけてなされたりした。これらを一つの原因として、この当時の日本政府および市民による反核実験運動や政策は、Genuineなものではないとの認識を米英政府関係者に植え付けることになったといえる。(3)岸政権においては、日英原子力協定において、民軍両用のCalder Hall型原子炉の日本による購入が決定したが、これは、米国に対する過剰な依存を避けるとともに、プルトニウムを蓄積し将来的に独自の核兵器保有(戦術核)のオプションをオープンにしておくための努力としての意味もあったと考えられる。このような知見に基づき、2002年7月に国内研究会において研究報告を行った。2003年には英国に国際交流基金の助成によって一年間の在外研究を行い、同年12月にはUniversity of London, Institute of Historican Research, International History Seminarにて口頭報告を行った。
著者
戸田 龍介 井原 理代 鵜池 幸雄 浦崎 直浩 金子 友裕 岸保 宏 工藤 栄一郎 佐藤 信彦 飛田 努 仲尾次 洋子 成川 正晃 丸山 佳久 姚 小佳
出版者
神奈川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

日本の農業の真の発展のためには,農協に全面依存し記録へのインセンティブが働いていない小規模兼業農家にかわって,農業法人や6次産業化を目指す事業体,さらには農業関連上場企業がそれぞれ農業を中心的に担っていく必要がある。この中でも,地域振興への貢献可能性からは,6次産業体が最も期待される。そして,このような事業体に,従来のような補助金ではなく,投資効果が厳しく問われる農業ファンドの資金が投入されれば,投資効果の説明のためにも,複式簿記に基づく財務諸表の作成・報告が必須となる。本研究では、このような関係においてこそ,農業発展のために複式簿記が果たし得る現代的役割が存することを明らかにした。
著者
今村 光章
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

持続可能な社会を構築するための教育思想について、海外の研究者らの論考を手がかりにして、文献研究を行った。同時に、持続可能な社会のための教育活動の一環として、現在、注目を集めている森のようちえんの理論研究にも着手した。理論研究と具体的な自然学校の営みを検証し、両者を接合し、学校教育において、ESDのような取り組みとして、自然体験教育や環境的市民の育成を目指す教育が必要であると結論づけた。その際、市民の自主性と批判的思考力、加えて、自然に対する愛情が必要であることを確認した。
著者
柳 奈津子 小板橋 喜久代
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

この研究の目的は、森林の映像(視覚)、それに伴う自然音(聴覚)、樹木の香り(嗅覚)を用いて環境を整えることによって、リラックスすることができるか検討することである。健康な成人においては、生理的な変化では、β波が実施中に減少し緊張がほぐれたと考えられた。気分の変化では、実施後に活気が高まり総合的な気分の改善が認められた。患者においては、心拍数が減少し、緊張や不安が軽減した。森林浴のような環境の調整について、全例が「良い」と評価しており、心地よい体験になったと考えられた。
著者
諏訪 浩 齊藤 隆志 横山 俊治 高谷 精二 高谷 精二
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、地震や豪雨によって起こる崩壊や土石流が、河川を閉塞して地すべりダムを形成する条件と決壊に至る条件、ならびにそのメカニズムを検討するために、崩壊や土石流が発生した現地の地形・地質を調査分析し、採取した土試料の分析、空中写真や地形図、数値標高モデルを用いた水文地形解析、ビデオ映像記録や地盤振動データの解析などをおこなった.その結果、崩壊位置の特定方法、地質構造が崩壊の素因として果たす役割、崩土の材料特性と運動特性の関与、河川形状の特異性と地質の違いが地すべりダム形成・決壊に果たす役割とメカニズムについて、斬新な知見をもたらした.
著者
中丸 久一 赤堀 正宜 パラシオス アルベルト 角替 弘規 赤堀 正宜 アルベルト パラシオス 角替 弘規
出版者
桐蔭横浜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

我々は、両親の就労のために来日した在留外国人子女に対する理科教育のためのデジタルコンテンツ理科教材を作成し配信してきた。理科は自然現象を扱う科目であるが、自然現象が母国と異なるため、単に日本の自然を対象とした理科教育では、彼らのアイデンティティに大きな影響を与える。アイデンティティを維持するためには理科教育をどのように行えばよいか、彼らの母国と日本の自然現象の比較を行ないながら理科教育を検討してみた。
著者
中野 雅子 椎野 顕彦 江頭 典江 佐藤 眞一 権藤 恭之
出版者
大阪信愛女学院短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

認知症予防介入に使用することを目的に、『活き活きしているか』『力強いか』等15項目を絵で7段階に心理測定する米国版ウェルビーイングピクチャースケールを、日本版に改訂することを試みた。まず軽度認知障害(MCI)高齢者へのナラティヴアプローチ、「物忘れ外来」での『看護外来』から高齢者心理を分析し、それぞれを国際学会で発表した。次に280名の健常高齢者(平均69.6±7.5歳)に対し、米国版により心理分析とともに自由記述を依頼したが、絵の誤認、迷い、尺度と理解されない等多数問題点が抽出された。それらを基に日本の高齢者に適した絵に改訂し、現在約300名の高齢者へ試み、使用可能性を検討している。
著者
三宅 義明
出版者
東海学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

香酸カンキツ果汁のストレス緩和作用の追究にあたり、まず、地域特産の香酸カンキツに含有する機能性成分の特徴を調べた。新姫(三重県熊野地区特産)からフェルラ酸誘導体を、マイヤーレモンから4-ヒドロキシケイ皮酸誘導体の新規抗酸化物質を見出した。各香酸カンキツの抗酸化活性は、ユーレカレモン、スダチ、新姫が高かった。エルゴメーターによる運動中にユーレカレモン果実粉末で調製されたレモン果実水を摂取した場合、運動後の休憩で自律神経の副交感神経活動が活発になることが見られ、ストレス緩和作用が示された。レモン果実に含まれるフラボノイド、香気成分が影響していると示唆された。