著者
内原 俊記 織茂 智之 橋本 款 和田 昌昭
出版者
公益財団法人東京都医学総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

ヒト剖検脳のαシヌクレインは軸索遠位から神経細胞体へ向かって進展する点で、樹状突起から細胞体へ進展するにつれて4リピートから3リピートへ変化するタウとは異なることを示した。これを反映して、レヴィー小体病では軸索末端が早期から脱落し、これをとらえる MIBG心筋シンチグラフィーが高い診断特異性を有する病態背景を明らかにした。さらこれらの病変の光顕像と免疫電顕像を直接対比できる新たな手法を開発した。今後分子機序との関連を追及するのに強力な手段となる。
著者
薮田 雅弘 Noel Scott 金 承華 高尾 美鈴
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究の目的は、昨今の世界遺産ブームにあって、特にわが国の世界自然遺産地域を対象に、持続可能な観光発展が進展しているか否かを評価する事にある。本研究では、①世界遺産制度のガバナンスについて検討し、②コモンプールの観点から、持続可能な地域観光資源の利用と管理運営のあり方を検討した。さらに、③持続可能な管理運営の仕組みを「エコツーリズム」として把握し、④エコツーリズムの原則に基づいて、わが国の世界自然遺産地域が持続可能な観光発展の状況にあるか否かを具体的に検討した。本研究を通じて、持続可能な地域観光資源の利用にとって必要な幾つかの地域観光政策の在り方が検証され提言可能となった。
著者
吉野 秋二
出版者
京都産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、文献史学の立場から、寺院史史料を活用して、日本古代の地域社会の実態を復原し、評価したものである。本研究は、広隆寺周辺地域、善通寺周辺地域を主要対象地域とする。これらの地域は、資財帳や荘園絵図など地域景観を、時代を通じて、面的に考察し得る史料をもつ。本研究では、寺院経済史的見地からこれらを活用し、歴史地理学・考古学分野の調査・研究成果も踏まえ、古代地域社会の実態をリアルに復原した。
著者
山田 耕太郎
出版者
比治山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

情報教育に科学教育のテーマや要素を取り入れ,日本語プログラミングとセンサーを利用した教材で学習活動を展開し,その教育効果を調査した。その結果,センサーを導入することによって学生の興味・関心が高まることが確認できた。また天気予報や緊急地震速報などの身近なテーマを情報教育と科学教育の両面から扱ったことで,情報システムと自然現象の関係を有機的に理解させることができた。
著者
高橋 真美 松本 孝
出版者
昭和女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

コレステロール低下作用を有するモナコリンKは紅麹が産生する二次代謝産物である。モナコリンK含有紅麹(紅麹)のパンへの有効活用を目的に、紅麹がパンの組織と官能評価に及ぼす影響について検討した。組織観察では、紅麹添加パンは、気泡壁にも小孔が観察された。官能評価の結果、0.05%および0.1%紅麹添加パンは、6項目において高く評価された。生体内における影響は、ラットに5週間紅麹添加パンを摂取させ分析した結果、体重変化は認められなかったが、血中の総コレステロールは紅麹無添加パン群と比較して、紅麹添加パン群は低下した。
著者
太屋岡 篤憲 吉野 慶一
出版者
北九州工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

現在,風力選別機を用いて,廃被覆電線を粉砕したCuとPVCの混合物からCuのリサイクルが行われている。本研究では,選別塔壁に,両粒子が衝突した際に生じる衝突音をAEセンサにより測定し,それらの衝突音をもとに,波形解析,ウェーブレット変換等を用いて,両粒子の混合比を算出するモニタリングシステムの開発を試みた。また,画像処理を用いて,CuとPVCの混合比の算出も試みた.AE波形から得た特徴量をもとに,判別分析法を適用し,誤判別率3%を得た。また,背景色を白と黒に機械的に変えて,混合粒子を撮影し,両画像の差分を用いて背景を除去した.背景除去画像に判別分析法を適用し,誤判別率1%以下を得た.
著者
藤田 亮介 澤辺 正人 小田 文仁 河野 進
出版者
獨協医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

一般の有限群から構成されるキリン複体のホモトピーに関する諸性質をトポロジー的観点から調べ、詳しい情報を得ることができた。その過程で、5次以上の対称群とその部分群の場合には、互いに同変ホモトピー同値になるとの知見を得た。さらに有限位相空間論と関連付けることにより、新たな同変理論の創出に貢献することができた。
著者
京谷 啓徳
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、ローマの教皇宮廷において執り行われたスペクタクル、とりわけ新たに就任した教皇がおこなう、ヴァチカンからラテラノ聖堂へのポッセッソの行列において、どのように美術要素が機能したのかについて解明することを目指した。教皇庁の公式記録、同時代人の日記、書簡ほかの各種記録を収集整理することにより、ポッセッソの際の沿道の装飾、凱旋門をはじめとする各種アッパラート(仮設建造物)やタブロー・ヴィヴァン(活人画)の実態を明らかにした。
著者
浜名 洋 松本 澄 藤本 正文 飯田 博一 藤本 正文 飯田 博一
出版者
千葉科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

抗アルツハイマー病(AD)治療薬として承認され、欧米で使用されているメマンチン(1-アミノ-3,5-ジメチルアダマンタン)に着目し、アダマンタンの4つの橋頭位にアミノ基と複数のアルキル基を導入する反応を検討し、3つのアルキル基とアミノ基を導入したメマンチン誘導体の一般合成法を確立することができた。併せてアダマンタンの橋頭位にアミノ基、水酸基、ニトロ基などの導入法も検討した。
著者
駒井 三千夫 伊藤 道子 古川 勇次
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

ラット生体内におけるK_1(フィロキノン=PK)からメナキノン-4(MK-4)への変換に関するトレーサー実験(1)と、各臓器で生成するMK-4の単離・精製と同定に関する実験(2)を行い、以下の結果を得た。(1)PKからMK-4への変換に関するトレーサー実験^<14>C標識PK(側鎖に標識したものとナフトキノン骨格に標識したものを別々に用いた)を用いたin vivoならびにin vitroの実験から、PKからMK-4への変換は各組織において行われることと、PKはそのイソプレン側鎖がはずれて一度K_3になってから別のイソプレン側鎖(ゲラニルゲラニル基)が付加すると考えられる結果が得られた。すなわち、PKのイソプレン側鎖は3カ所が不飽和化されてそのままMK-4になるのではなく、各組織において一度K_3になったものにゲラニルゲラニル基が付加して生成される機構を明らかにすることができた。また、この変換能は肝臓でよりもむしろ他の臓器(膵臓、唾液腺、腎臓、精巣、脳、等)で高いことが示され、MK-4は肝臓における凝固因子としての作用の他に、多くの臓器においてこの他の未知の生理作用を発揮しているものと予測される。(2)の単離・精製と同定に関する実験昨年度の結果からMK-4生成能が最も高いと考えられた膵臓(MK-4を増やすためにK含有固型飼料を8日間与えた)を用いて、HPLCにおけるMK-4の画分を分取し、不純物(他の脂溶性ビタミン類)を取り除いた後、質量分析装置によって物質の同定を試みた。その結果、PKを経口投与後に各臓器において増えるHPLC上でMK-4様物質であると予測された物質は、MK-4であると同定された。
著者
内海 麻利 小林 重敬 岡井 有佳
出版者
駒澤大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、日本の各地域に対応した都市マネジメントにおける「主体」に関する課題を再確認した上で、地方分権改革や、都市計画法等の制度改革を進めるフランスを素材として調査、検討を行った。その結果、本研究では、フランスにおいて、住民や利用者など多様な関係者の意向を民主的な手続により聴取し、反映する手続(参加手続)と、多様な主体が都市マネジメントの担い手として活躍するための手続(公定化手続)を、法令制度として創設している実態を明らかにし、これらの具体的な仕組みと運用方策を地域類型に応じて提示した。
著者
糸長 浩司 石川 重雄 栗原 伸治 長坂 貞郎
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

植物浄化システムの実験研究の内、ハイポニックスシステムでは、コイ養殖排水の栄養塩が作物により顕著に吸収されることが確認できた。各槽固有の作物による栄養塩吸収能の比較検討を行ったが,特にハーブ類とトマトで顕著なDIN・DIP吸収が確認できた。農作物生産は,トマト,クウシンサイ,ハーブ類で比較的冬期間を含め,持続的に収穫を行うことができた。家畜汚水を植物で浄化するシステム実験研究では、浄化能力は、窒素で22mg/m^2/d〜61mg/m^2/d,リンで2.5mg/m^2/d〜8.2mg/m^2/dで窒素、リンとも高い浄化能力をしめした。曝気の有無に関しては窒素、リンとも曝気を行うと浄化能力が高いことが明らかとなり、浄化性能を上げるための一つの手段として曝気を行うことは重要である。個々の植物の浄化能で除去速度の高いものからは、窒素では抽水植物群(206),浮き草群(170),クワズイモ(133),ゲットウ(76),ミニトマト(73)。リンは浮き草群(31.6),抽水植物群(24.6),クワズイモ(19.9),ゲットウ(17.9),ミニトマト(17.5)であった。天然の水質浄化資材の複合的な開発実験では、稲わら・ヨシ・アシ・マコモ溶出液と木炭、ゼオライトの組み合わせで、NO_3-N除去率が向上した。本浄化素材の複合システムでNO_3-Nによる水質悪化を防止することの可能性が示された。稲藁の溶出液と組み合わせると特にNO_3-Nの除去能力の低下はなく,かつOrg-Nも抑制の傾向にあった。備長炭との組合せは,他の場合よりもCOD濃度が低く抑えられることが示された。自然素材であるストローは、ベイル内の相対湿度の増加とともにストローの含水率も増加した。ただ、相対湿度90%で含水率は15%以下であり、雨水対策を行うことで,ストローベイルの日本の高湿度環境での長期維持の可能性が示された。また、壁材+ベイルの調質性能は藁>荒木田>土佐漆喰であり、壁材利用で低下し、塗材の影響を大きく受ける。
著者
樋田 一徳
出版者
川崎医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、報告者のこれ迄の解析結果を基盤として、形態的特徴のみならず、化学的、電気生理学的側面からの機能を同定した嗅球ニューロンのシナプス結合を解析したものである。具体的には、米メリーランド大学・Michael T.Shipley教授の研究グループと共同実験により、tyrosine hydroxylase (TH)、glutamic acide decarboxylase (GAD)といった、嗅球ニューロンの代表的な化学マーカーをGFP標識したトランスジェニックマウスを用い、パッチクランプ法により各ニューロンの刺激反応性を比較検討した。その結果、入力の嗅神経を刺激した結果、スライス嗅球における介在ニューロン、投射ニューロンの電気生理学的・薬理学的特性が多様であり、また同じ化学的性質を有するニューロン群の中でも、嗅神経刺激に対する反応性に少なくとも2つのタイプがある事などがわかった。更に記録後にbiocytinを注入してニューロンの全体像を明らかにし、更にTH、GAD65ニューロンについて、抗GFP抗体を用いて免疫電顕によりシナプス結合を解析し、シナプス入力の頻度が異なることがわかった。遺伝学的に同定された化学的性質、形態的特徴、シナプスなどを対応し、異種のニューロン問での違いを明らかにする事により、ニューロンの多様性に基づく嗅覚神経回路の精巧さが示された。
著者
長洲 南海男 丹沢 哲郎 片平 克弘 熊野 善介 今村 哲史
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

これまでの研究は大きく次の2点に焦点化される。第一は科学リテラシ(SL)論研究に関わる各種文献の収集とそのデーターベース化、第二はそれらの分析による科学教育改革の方向性の解明である。先ず、1993年までの過去30年間のSL論に関する文献の要旨をICASEのPenick教授がまとめたのと、UNESCOによる科学、技術リテラシ(STL)論の1994年までのを集めた要旨集をデータベース化出来た。次にそれ以降現在に至るまでの及びOECDお含めたSL及びSTL或いは科学の本質に関する論文を欧米の代表的な雑誌類より収集したが、膨大な数のため、完全な分析には至っていず、次への課題となっている。結局、次のことが明らかになった。30年前のSL論に比して、近年のSL論で展開している用語としての「科学の本質」は同じであるが、その意味する概念は全く異なっており、かつてのに比べて現今のは新しい科学・技術論に基づいており、その科学教育の背景には構成主義を包含したSTS論を基にしている点である。この基調はAAASのプロジェクト2061、NRCの全米科学教育スタンダード(NSES)-これについては他の協力者の協力を得て訳本を出版できた。BSCSのBybeeのSL論とも軌を同一にしていることが明らかになった。この基本的立場はUNESCOのSL論は先進諸国のみならず、開発途上国においてもその基本的理念は同じであることが明らかになった。さらにプロジェクト2061が構成主義的観点より幼稚園より高校3学年までの発達段階を考慮にいれたSLの認知発達の事例を日本において初めて翻訳できた。以上により新しい科学リテラシ(SL)論に基づく科学教育改革の方向性が明瞭になった。これらの成果は次年度の関連学会で発表の予定である。
著者
引田 弘道 大羽 恵美
出版者
愛知学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

11世紀にカシミールにおいて編纂された『ボーディサットヴァ・アヴァダーナ・カルパラター』の、サンスクリット語文献の翻訳研究を行った。三年間の助成期間で、第29章「カーシスンダラ物語」から、第38章「クシャーンティ物語」までの章、および前書きの和訳を行った。また本文献に基づく美術作品の分析を行い、説話図においてそれぞれの物語と情景の同定を行い和訳と同時に発表した。さらに、本文献と関連を示す類話や絵画の研究を行い、本文献を中心とするインド北部からチベットに至る仏教文化の諸相について数編の論文に表した。
著者
ディソン アニエス
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

今日のフランス詩の包括的な外観図を描き、その主要な内容上および形式上の特徴を捉え、文学における「超現代」という概念を定義することができた。本研究の目的は、超現代詩が逆説的にも古典的な詩をモデルとする(ジャック・ルーボーは日本の中世詩を取り込んでいる)一方で、バイリンガリズム(関口涼子)、映像および写真(S・ドッペルト、A・ポルチュガル)、先端的な科学的知見(細胞生物学、環境学、植物学)などを詩の素材として導入しているという点を強調することにあった。
著者
日高 真帆
出版者
京都女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では日本と英語圏諸国に於けるワイルドの受容状況の比較研究を行うことによって、日本に於けるワイルド受容の複数の特徴を明らかにすることができた。また、従来日本で注目度が低かった喜劇作品の受容にも重点を置いた研究を行うことで、より均衡の取れた受容研究を進めることができた。その際、演劇に焦点を当てながらも、ワイルドの戯曲以外の作品受容にまで視野を広げてこそワイルド劇自体の受容の全貌が明らかになるため、作品の幅を広げた多角的な研究を行い、多岐に渡るワイルド受容の諸相について具体例と共に考察を深めた。
著者
保田 和則
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

カーボンナノチューブや天然のナノファイバーを分散させた流体や,高分子を溶解した流体は流動によってさまざまな特異な流れ現象を生じさせる。本研究では,そのようなファイバーがごくわずかであっても,特にマイクロスケールではマクロスケールとは流れが大きく異なることや,マイクロ流れでは流路の壁面の材質によって流れが大きく異なることを実験で明らかにした。さらには,流れによって誘起される複屈折の変化をとらえることで,高分子の配向状態を明らかにした。
著者
神林 崇
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

(1)傍正中視床下部の脱髄性病変により2次性にオレキシン神経が障害された過眠症の報告は多くなされているが、なぜ視床下部の正中部が特異的に障害されるのかが非常に不可解であった。2004年にMSのサブタイプであるNMO(OSMS)に特異的に検出される自己抗体(NMO-IgG)が発見された。その後NMO-IgGの標的抗原は脳内の水分子チャネルであるアクアポリン4(aquaporin-4, AQP4)であることが見出された。Pittock(2006)らはNMO-IgG陽性患者の脳病変についても検討しており、間脳・視床下部と第四脳室周囲の病変の分布が、AQP4の高発現部位に一致すると報告している。当初は視床下部脱髄の7症例の血清を検討したところ、3例でAQP4抗体が検出された(Kanbayashi2009)。視床下部の病変はAQP4抗体の免疫反応により引き起こされたものと考えている。その後も継続的に症例の集積を進めて、10例以上のAQP4抗体陽性例を集積しており、傍正中視床下部脱随による、2次性の過眠症の一つの疾患概念を確立しつつあると考えている。(2)ナルコレプシーでの脳内鉄代謝とむずむず脚(RLS)/周期性四肢運動障害(PLM)の病態の検討:PLMの有病率はナルコレプシーでは25-50%と非常に高率に認められる。加えてRLS/PLMでは脳内の鉄イオンの減少が原因のひとつであり、髄液中のフェリチンが低値でトランスフェリンが高値と報告されている。PLMの合併の多いナルコレプシーでの、鉄代謝の変化を調べるためオレキシン欠損のナルコレプシー患者のCSFでフェリチン、トランスフェリン、鉄イオンの測定を行った。RLSの患者の場合とは異なり、フェリチンは健常群と差が無いが、トランスフェリンと鉄イオンはむしろ有意に高値であった。特に約3割の患者では大幅に逸脱した数値であった。脱力発作の有無やHLAタイピングは鉄代謝には関連が認められなかった。オレキシン神経系が脱落することによって、脳内の鉄代謝の調節機構が機能不全に陥るのではないかと考えている。
著者
三輪 芳朗
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

日本企業の取締役会の構成とパフォーマンスの関係を、とりわけ「外部取締役」に焦点を合わせて検討した。第1論文(Who Appoints Them, What Do They Do?)では、1985-90年の「バブル経済」の期間と、1990-95年の混乱と停滞の時期に焦点を合わせて、約1千社の東証第一部上場企業の個別データを用いて検討した。第2論文(Does Relation Banking Matteτ?)と第3論文(Conflicts of Interest in Japanese Insolvencies)は、銀行を代表とする融資金融機関との関係に焦点を合わせて、コーポレートガバナンスおよび融資先が困難に陥った場合の銀行の役割について検討した。いずれも、日本企業に関する確立した「通念」が根拠のない主張であり、外部取締役を増やすべきだとするものや「メインバンク」などとの緊密な関係の再構築の重要性を強調するものなどという「通念」に基づく最近の日だった政策論議が誤っていることを示す結果を得た。日本では、融資先企業が困難に陥ると、「メインバンク」などの融資金融機関が救済に乗り出し、再建に努力するとの「通念」がある。しかし、そのようなケースがあるとしても稀であり、もちろん一般的に成立しない、その意味で、日本の銀行-企業間関係が世界的にみて特殊だと言うことも確認した。同様の論点は世界中の各国で盛んに議論されているから、間もなく公表される論文には大きな注目が集まるはずである。Discussion papersの段階でも、いずれも注目度が高く、多くの研究者・実務家からも好意的な評価を得ていた。