著者
渡辺 信 馬場 繁幸 馬場 繁幸
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

生態ニッチ確立の初期段階において、マングローブ実生が生存するためには通気層が未発達な根における無酸素呼吸によるエネルギー獲得が重要と考えられた。樹種によっては実生が水没してから早い段階で根の通気層が形成されることから、無酸素呼吸から有酸素呼吸に移行するタイミングが樹種間の生存競争に影響を及ぼすと考えられた。一方で、壮齢期のオヒルギが優先するマングローブ林では一年を通じた湛水頻度は低く、樹種間相互の被陰による光不足がマングローブ樹種間の競争に大きな影響を及ぼすことが示唆された。
著者
鈴木 良弥
出版者
山梨大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究では,新聞記事を対象とした自動要約に注目し,高精度な複数記事の要約をおこなうための第一歩として,(1)大規模コーパスから話題テンプレートを作成し,その話題テンプレートを利用して新聞記事から注目する記事の続報記事を高精度で抽出する.抽出した続報記事を話題クラスタごとに分類する(2)話題クラスタごとの要約を行い,クラスタ間のつながりを考慮し,続報記事全体の要約を行う。ことを目的とし,研究を行った.(1)では話題テンプレートや機械学習(Support Vector Machines)を用いて続報記事を抽出する手法を提案した.提案手法を用いて大規模コーパス(Topic Detection and Trackingのコーパスや毎日新聞コーパス)から続報記事を抽出する実験を行い,本手法が続報記事を高精度で抽出できることを示した(論文4,5).(2)に関しては,具体的にはクラスタ内の要約のために,クラスタに集められた文中の類似単語を検出する必要があることがわかり,類似名詞の抽出を行った(論文3,4).類似名詞の抽出のためにHindleの手法とLinの手法を比較し,日本語文書に対してはLinの手法がHindleの手法より勝っていることを示した.またLinの手法を日本語記事に適応させた類似名詞抽出手法を提案した.また,抽出された類似単語と記事のタイトルを利用して重要文抽出を行った(論文1,2).Linの手法を基に(論文3,4)で提案した手法を用いて記事のタイトル中の単語の類似単語を本文中より抽出し,重要文抽出に利用した.毎日新聞の記事とNTCIR2の重要文抽出タスクの解答を利用して重要文抽出実験を行い,本研究で抽出した類似単語の情報が重要文抽出に有用であることを示した.
著者
佐保 美奈子(井端美奈子) 古山 美穂 工藤 里香 島田 憲次
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

性分化疾患や総排泄腔遺残症などにより、膣形成術予定の思春期以後の女性と家族が、恋愛・結婚へと夢をつなぐためのセクシュアリティ支援について、検討した。毎月のストーマ・セクシュアリティ外来において性に関するカウンセリングをし、カンファレンスに参加し、意見を述べた。国内学会での情報収集・情報発信を活発に行ない、韓国の大学病院にて性別適合手術を見学した。障がい者用衣服についての講演会・排泄障がい者の女子会を開催した。研究成果物として、『こころとからだBook』『おつきあいのマナーかるた』『膣拡張用樹脂製ダイレーター』『女性オストメイト用おしゃれ下着』各種パンフレット・小冊子などがある。
著者
出水 力 高橋 泰隆 林田 治男 渡邉 輝幸
出版者
大阪産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

インドにあるホンダ系のアッセンブリーメーカーHMSIと、その関連するパーツサプライヤーを調査した。インド1999年に自動車生産が自由化されたことで、沢山の日系二輪・四輪部品企業が生産に踏み切った。1990年代から発展を遂げた二輪生産のインドと他の東南アジア諸国との大きな違いは、二輪生産の技術的基盤が整った中でスタートが切られた。そのため外資との合弁生産とは別に民族的な二輪企業が自立的に誕生していた。部品企業を育てながら外資に技術と資本を頼るインド、タイなど東南アジア諸国の国産化と違うのが、インドの二輪産業の特徴で台湾の二輪産業に近いと考えることができる。中国の二輪生産で、天津摩托集団はドイツのツンダップの工場設備と製品技術を買収して生まれた二輪では古いメーカーであった。しかし、経営的な行き詰まりからホンダとの合弁で息を吹き返しながら、次なる根本的な戦略を見出せず、その中国側の持分を民営の新大洲摩托に売り払い、新大洲本田摩托(天津)分公司が新たに発足した。上海にある本工場の分工場という位置づけである。部品の調達は上海の本工場が持つ、中国全土に張り巡らされた安く品質の保証された購買ルートに依拠することで、コストダウンを達成していた。新大洲本田摩托(天津)分公司の工場設備のうち工作器械は欧米のものが、日中の合弁が成立する前に導入されていた。この台数が多いのでかなり目がつくが、現在はほとんどの機械類はリプレイスする際には中国製に置き換えられつつあった。中国・東南アジア・インドなどで生産されているローエンドバイクの生産には、高性能な工作機械はコストの点から経験的に不必要なことに依拠している。
著者
成瀬 治興 内田 季延 松本 泰尚 深田 宰史 塩田 正純 北村 泰壽 国松 直 伊藤 和也
出版者
愛知工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、平坦道路を対象とするエネルギーベースに準拠した道路交通振動予測式(INCE/J RTV-MODEL2003)の適用道路構造種別の拡大を目的として、3mプロフィル計に代わる路面平坦性の計測方法として、車載型IRI評価システムの適用を検証し、利用可能であることを確認した。次いで、試験車輛を用いた盛土・切土道路での実測調査により、平坦道路予測式を他の道路構造に適用するための基礎データを蓄積した。
著者
中島 明子 坂田 実花 鈴木 浩
出版者
和洋女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

予備調査を踏まえ、東京都墨田区内の高齢者730人のデータを解析。98%が墨田区内での居住継続希望であった。さらに自宅継続・区内転居・区外転居希望者別に住要求及び生活要求について分析し、居住継続要因と非継続要因を考察した。居住継続支援としては、民間借家対策、耐震・老朽化対策と併せ、経済及び健康対策が必要である。これに対し公的・民間セクターが相互に補完しあう"すみだ型地域居住支援システム"を構想した。
著者
片山 貴文
出版者
兵庫県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

災害時に混乱せずに活用できることを目指して、2つの看護記録シートを開発した。このシートを評価したところ、住民の92.7%が、自分の健康状態を伝えることに役立つと回答していた。また、看護職者の94.3%が、緊急に支援が必要な人を、および、96.2%が、継続的に支援が必要な人を、それぞれ把握することに役立つと回答していた。東日本大震災では、日本医師会の災害医療チームが、この看護記録シートを用いて避難所の支援活動を行った例がみられ、実際に被災者支援に役立てることができた。
著者
名嘉山 リサ 与那覇 晶子 渡久山 幸功
出版者
沖縄工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

The Teahouse of the August Moon(『八.月十五夜の茶屋』)の原作小説、戯曲、映画を相対的に研究、比較検証することで、アメリカ側がどのように戦後沖縄を描き、また各作品がアメリカ、日本、沖縄等でどのように受容されたかを探ることを目指した。各研究分担者がポストコロニアル論、ジェンダー論などを中心に複数の論文を執筆し、沖縄、日本、アメリカで研究発表を行った。また当時の演劇の音声や二次資料などを収集し、作品の受容についても光をあてることができた。
著者
砂川 洋子 照屋 典子 知念 正佳 笹良 剛史 金城 恵 里見 雄次
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、沖縄県内(離島を含む)の300床以上の総合病院に勤務する看護師1377人を対象として、緩和ケア実践上の悩みや困難感などの現状調査を行った結果、多くの看護師が疼痛緩和や症状緩和、患者家族の意思決定支援、精神的ケアなどで課題を抱えていることを明らかにした。このことを踏まえて、教育プログラムを構築し、アクションリサーチによる介入を行った結果、緩和ケアの知識や技術の獲得につながり、継続教育支援の必要性が示唆された。
著者
渡辺 岳夫
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

代表的なマイクロ・プロフィットセンター・システムであるアメーバ経営システムの会計情報上の特性ならびに運営方法上の特性が,当該システム導入企業の従業員の自己効力感,チーム効力感,および自律的動機づけにポジティブな影響を及ぼし,それらの心理的構成概念を通じて,チーム内・チーム間のインタラクションを生起させしめ,最終的にチームのパフォーマンスを促進していることを明らかにした。
著者
平 典子 鳴井 ひろみ 本間 ともみ 鳴井 ひろみ 本間 ともみ
出版者
北海道医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

緩和ケアにおける心理・社会的ケアの向上をめざして、看護師が実践するプレゼンスの構造を調査し、その結果をもとに実践モデルを作成して介入プログラムを検討した。その結果、看護師は、常に相手に向けて自分を開くという援助姿勢を基盤とし、プレゼンスの実施方法を駆使することにより、がん患者とその家族に、気持ちを鎮める、本来の生き方を取り戻すなどの成果をもたらしていることが判明した。また、実践モデルにもとづく介入プログラムは、意図的介入として有用であることが示唆された。
著者
青山 幹哉 松島 周一 永井 英治
出版者
南山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

1.本研究では、中世〜近世前期における尾張・三河武士の家を対象とし、事実であった「歴史」と後代に再構築された各家の「歴史」とを個別に分析することによって、後者に通底する時代的心性を考察することを目的とした。2.個別の研究成果は下記の通りである。(1)当該期に成立した尾張・三河武士の家系伝承について系図史料等から、約四十の個別事例を検証した。その結果、軍記物や敗者復活の歴史としての南朝伝説の役割の大きさ、また近世における知行地確保などを企図したさまざまな作為の存在を確認した。(2)尾張熱田の加藤氏に関しては、一定の意図のもとに選択・収集された古文書群の存在について、文書群の内容が示す言説と文書群が家に相伝されたこと自体が示す言説との両面から具体的に分析し、古文書群の存在が物語る加藤家の歴史再構築過程を追求した。(3)三河の吉良氏については、不明な点が多かったため、まず、南北朝内乱期から16世紀初頭までの吉良氏の存在形態の変遷過程を明らかにする作業を行った。この成果により、近世吉良氏によって再構築された「歴史」を事実と比較することが可能となった。3.当初の計画ではデジタル画像データベースの構築を予定した。実際、高知県の山内家宝物資料館など現地調査を実施した際にはデジタル写真を撮影し、その準備をしたが、写真の公開許可を得られなかったこと、また、収集できた史料複製の大半が紙媒体によるものであったことなどから、結果として画像データベースは小規模なものにとどまった。4.本研究の目的からすれば、作業はようやくその一歩を踏みだしたに過ぎない。今後は本研究期間中に着手した、尾張大橋氏等の個別研究をまとめ、尾張・三河における武士の歴史伝承についての総合的な分析を行う予定である。
著者
菊 幸一
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究の目的は、1)これまで科研で検討してきた新たな「公共性」概念構築への課題を継続して検討し、2)それらを踏まえて体育・スポーツの既存システムにはびこる従来の公共性概念の問題点と新たなシステム構築のために克服すべき課題を提示し、3)これに基づいて21世紀初頭における体育・スポーツの新たなシステム・モデルのいくつかを構築することである。そこで、本研究では、課題の1)と2)をまとめて「公共性の再構築からみた体育・スポーツの概念」としてフロー、階級、健康、ファミリースポーツといった各概念の再検討から明らかにした。また、課題の3)については、体育システムとスポーツシステムとに分けて、前者については中学校体育を事例とし、後者については県レベルにおける地域スポーツ振興の基本計画策定を事例として、わが国における体育・スポーツのシステム再編に向けた提言を行った。その結果、現在の体育・スポーツ施策は、総じてスポーツに対する自由な欲求や関心を根本的なレベルで受けとめるシステムではなく、生活課題と結びつく「公共性」を未だに反映しないものであったことが理解された。したがって、具体的なシステム再編のためには、スポーツの文化的魅力と公共性がどのように結びつくのかを明らかにし、そのモデルを国際比較によって特徴化していく必要性が見出された。今後の課題としては、1)「文化としてのスポーツ」が、なぜ、どのように「公共性」と結びつくのかを理論的課題として社会学的に明らかにし、2)「公共性」と結びつく「文化としてのスポーツ」の組織的、制度的な可能性を内外の事例調査によって示しながら、3)その結果を我が国の企業スポーツ、地域スポーツ、学校スポーツ等々の具体的なあり方に適用して、文化としてのスポーツから構築される新たな公共性の実践的可能性を明らかにすることがあげられる。
著者
堀真 理子 佐藤 亨 外岡 尚美 伊達 直之
出版者
青山学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

テロや戦争、災害や貧困、環境汚染といった現代の我々が世界で抱える問題を過去一世紀にわたって現代アイルランド、アメリカ、イギリスの詩人、劇作家、アーティストがどのように取り組み、それぞれの作品を通してどんな知と癒しを提供してきたかを考えるうえで、とくに古典ギリシア劇・神話に人間の知の原点を求めて作られたものに焦点を絞り、具体的にどのように古典が翻訳・翻案・脚色されてきたのか、その社会的役割や美学的意義を考察した。
著者
高松 晃子 中島 久代 山中 山中
出版者
聖徳大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

バラッドと呼ばれる英語圏の物語歌は、ローカルな口頭伝承が廃れる一方で、録音文化に浸透することで新たな伝承ルートを獲得しつつある。この研究では、20タイトルのバラッドについて2001年以降の録音をできる限り収集し、歌詞と旋律の傾向を調べた。録音文化に独特なのは、広く支持された演奏が現れるとそれが一種の手本となって伝えられることである。それは地域を越えて伝承されるが、録音文化内部で細分化された音楽ジャンル(たとえばエレクトリック・フォーク、カントリー、ロック)を越えることは容易ではないようだ。
著者
本川 達雄
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009-04-01

硬さ可変結合組織(CCT)の全側面について研究した。CCTは、軟S、標準M、硬Hの3つの力学的状態を示す。M→Hを起こすNSFと、M→Sを起こすソフニンという新規タンパク質をCCTから単離した。この結果と電子顕微鏡像とから、S→Mはテンシリンによるコラーゲン分子間の凝集(これはソフニンで解除される)、M→HはNSFによるコラーゲン微繊維間の橋掛けによって起こるという分子機構を提案した。3状態の酸素消費量と硬さの測定から、CCTを用いて姿勢を維持すると、筋収縮による場合に比べ、1/70の消費エネルギーで済み、棘皮動物のきわめて低いエネルギー消費にCCTが大きく寄与していることが明らかになった。
著者
石川 巧
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009-04-01

大学入試における小論文・作文の歴史研究として『「いい文章」ってなんだ―入試作文・小論文の歴史』(ちくま新書)を刊行した。また、近代日本におけるリテラシー能力のありようを考える過程で論文集『高度経済成長期の文学』(ひつじ書房)、『「月刊読売」解題・詳細総目次・執筆者索引』(三人社)をまとめることができた。大学生のリテラシー能力を涵養するためのテキストとして『戦争を〈読む〉』(ひつじ書房)を編んだ。個別の研究としては「雑誌「小説春秋」はなぜ歴史の後景に消えたのか?―附・総目次」(「敍説」III-10)、「戦前における〈近代文学の教科書〉」(「日本文学」727)など15本の論文を書き、口頭発表も行った。
著者
田口 宏昭 寺岡 伸悟
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

相互に関連する以下の三つの研究成果が得られた。(1)日本の近世において、畿内に広く分布していた両墓制についての先行研究及び実地踏査から、埋墓と詣墓という二種類の墓を持つこの制度が、遺骨と霊魂が日本の伝統のなかで必ずしも一体の「存在」として扱われてこなかった事実に注目し、現代の自然葬に顕著な遺骨崇拝に対する否定的態度という要素がこの伝統のなかに含まれていたことを明らかにした。(2)そして他方、同様に近世において、火葬、焼骨の投棄(散骨)、無墓地、無墓参供養の4特性を有する無墓制と呼ばれる葬送形式があったことに注目し、現代の自然葬がこの墓制と形式的な類似性を持ち、無墓制が現代の自然葬の原型であることを明らかにした。(3)散骨の実施現場での参与観察を通して、散骨が無宗教の「宗教的」儀礼として行われていること、すなわち、散骨を支持する人びとが特定の宗教を信じる場合も信じない場合でも、一時的に散骨の場として特定された空間並びに時間が聖化され、散骨の儀礼そのものが自ずと「聖なるもの」として現象してくることを見出した。このような散骨儀礼は、死者の人格自体の聖化を意味するものであり、「墓は心のなかに」という散骨推進団体が掲げるスローガンと響きあうものである。(4)本研究は当初、散骨の行為について「自然葬をすすめる会」の会員たちが語る際に「自然に帰る」という言説を多用しながら他界表象を描いているという事実に基づき、自然葬が自然界の諸物に宿る精霊への信仰として理解されるアニミズムへ回帰する現象である、という仮説を立てて出発した。この仮説を確かめるために「自然葬をすすめる会」の会員315名を対象にして実施したアンケート調査の結果から明らかとなったのは、散骨という行為を通して、死者の霊魂がそれら諸物に入りこみ精霊として存在し続けるという観念は限定的で、むしろ人びとは死後の霊魂を信じないか、あるいは霊魂の存続に対して確信を持たない傾向を示すことが明らかとなり、仮説は否定された。
著者
赤澤 史朗 小関 素明 中島 茂樹 福井 純子 梶居 佳広
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、現在の憲法改正論議の枠組みが形成された1950年代の憲法論議を、総発行部数の約半数を占める地方紙の論説を主対象として資料収集し、検討するものである。その成果の刊行は、『立命館大学人文科学研究所紀要』97号の特集「1940~50年代の日本の憲法と政治」と、全国の地方紙論説を500点に絞った資料集である、報告書『1950年代の憲法論議-地方紙を中心として』によって実現された。
著者
高橋 豪仁
出版者
奈良教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

プロ野球のスタジアムの空間が、如何にして統制・管理されているのかを検討した。1980年代に一般化した集合的応援行動は、自発的結社である私設応援団が一般の観客を統制する形で行われ、一般客の逸脱行為を防ぐという側面があった。日本野球機構は警察庁と連携して、2003年に「プロ野球暴力団等排除対策協議会」を立ち上げ、2006年からは私設応援団を許可制とした。球団や球場が黙認していた私設応援団に対して日本野球機構が正式に市民権を与えたというこの一連の動きは、私設応援団が囲い込まれる過程として捉えることができる。2008年にある私設応援団が起こした訴訟「応援妨害予防等請求事件」は、スポーツの市場メカニズムへの抵抗が、スポーツ観戦に基づく人々のネットワークによって形成されたことを示している。