著者
小林 憲正 三田 肇 癸生川 陽子
出版者
横浜国立大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2019-06-28

従来の古典的な化学進化説では,小分子から少しずつ大きな分子が生成し,その後,機能が創出したと想定されてきた。本研究では,単純な分子の混合物に高エネルギー付与と急冷により微弱な化学機能をもつ多様な分子(がらくた分子)が一挙に生成し,その進化・選択により微弱な生命機能を有する分子群が生成するというシナリオ,「がらくたワールド説」の実験的検証を行う。一酸化炭素・アンモニアなどの模擬星間物質や模擬原始大気に粒子線を照射した時に生じた高分子態複雑分子(がらくた分子)の機能を調べ,それが種々の宇宙地球環境下で変成を受けた場合の機能の進化を調べる。
著者
中岡 宏行
出版者
名古屋大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

Yann Palu氏とのextriangulated category(以下、ET圏)を定義した共同研究は改定後論文誌に掲載された。Yu Liu氏とのET圏の余ねじれ対のハート構成を調べた共同研究は改定後論文誌に掲載された。Martin Herschend氏・Yu Liu氏との共同研究で高次数版としてn-exangulated categoryという概念を定義した。現在査読待ち。Osamu Iyama氏・Yann Palu氏との共同研究ではAuslander-Reiten理論をET圏で考察するプレプリントを作成した。他に、gentle多元環の導来不変量に関する単著のプレプリントを作成した。
著者
小松 晃之 木平 清人 森田 能次
出版者
中央大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2018-06-29

赤血球の代替物となる人工酸素運搬体の実現は次世代医療の最重要課題である。これまで多くの化合物が開発されてきたが、副作用や有効性に問題があり、未だ実用化には至っていない。本研究は、組換えヘモグロビン(rHb)と組換えヒト血清アルブミン(rHSA)からなる新しい人工酸素運搬体「組換え(ヘモグロビン-アルブミン)ナノクラスター」(rHb-rHSA3クラスター)を合成し、その構造と酸素結合能を明らかにすることを目的としている。さらにrHbの部位特異的アミノ酸置換により、適度な酸素親和性を有するクラスターも合成する。ヒト血液に全く依存しない量産可能な赤血球代替物の創製に挑戦する。(1)部位特異的アミノ酸置換による酸素親和性の制御:2019年度に得られた成果をさらに展開し、rHbの Leu-β28、His-β63、Cys-β93、Asn-β102を部位特異的アミノ酸置換により、Tyr、Gln、Ser、Alaに変えたrHb変異体を産生し、それらを用いてrHb(X)-rHSA3クラスター(Xは変異箇所を示す)を合成した。いずれも赤血球の酸素親和性(25Torr)に近い適度な酸素親和性を有する人工酸素運搬体となることがわかった。以上の結果を総合し、rHb-rHSA3クラスターがヒト血液に依存しない究極の赤血球代替物となることを実証した。研究成果は、国内学会での発表、国際学会誌への論文掲載により公開した。また、宇宙航空研究開発機構(JAXA)との共同で行った本成果の一部を紹介する動画が、JAXAのウェブサイトに公開された。
著者
上田 和紀
出版者
早稲田大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2018-06-29

本年度は,熱可塑性樹脂を用いた積層型3D印刷のための要素技術の有効性確認を主目標に,以下の研究開発を実施した.(1) 大規模構造物の構築技術.土木および建築分野のトラス構造を参照しつつ,長尺のチャネル材を代替するビーム材の設計と試作を行った.寸法精度や強度等の要請からPETG系の素材を用いて,連結・分解が可能で必要な強度をもつビームを,アルミチャネル材の半分以下の重量で作成できる見通しを得た.また設計のパラメタ化を部分的に実現した.構築においては日本伝統建築の継手手法が非常に有効であることを確認した.今後さらに最適化の余地があるが,立体トラスを含む多様な構造への展開の足がかりを得ることができた.(2) 大型プロッタ用ヘッドの設計と構築.前年度設定した,大型ホワイトボードの垂直面で動作するプロッタの構築という課題に対し,ペンとイレーザを搭載可能なプロッタヘッドの試作を行った.プロッタヘッドは複雑な形状と多くの可動部品からなり,交換可能かつ印刷容易な部品から構成するという方針に基づいた結果,約50点の3D印刷部品からなる構成となった.本作業を通じて,(項目(1)で制作した)レールに搭載したヘッド全体のスムーズな移動,構成要素の並進動作や弾性保持,摩擦の最小化などの課題の洗い出しを行った.体系的設計論は今後の課題となったが,ソフトウェアにおけるアジャイル開発に近い開発方法論の有効性を確認した.これらを通じ,実際的な機能部品および多数の部材の組合せが必要な大規模構造物を支えるモジュール化技術およびソフトウェア技術の洗い出しを進めることができた.これとは別に,学部学生実験の自宅展開に利用する機械部品多数(二百数十点)の設計制作を,成果展開の一環として行った.
著者
福元 健太郎 菊田 恭輔
出版者
学習院大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2019-06-28

災害への対処が公金に値するかを市町村が「認定」すると、不正を含む政治的バイアスが入り込む余地がある。具体的には次の3つを検討する。(1)災害復旧事業費の国庫補助率を嵩上げする激甚災害指定の有無が、その前後の選挙におけるその市町村の与党得票率と関連しているかを、選挙間の最大降水量を操作変数として用いて不偏推定する。(2)災害弔慰金の対象となる災害関連死を認定するタイミングが、市町村によってどれほど異なるかを、ノンパラメトリックな生存分析を用いて調べる。(3)住家の被害認定が被災者生活再建支援金の支給条件を満たすか否かが人為的に決められていないかを、回帰不連続デザインによって判断する。
著者
永岡 謙太郎 平山 和宏 辨野 義己
出版者
東京農工大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

私たちの健康維持には腸内細菌叢が深く関わっています。本研究では、マウスを用いた実験により、母乳中のアミノ酸代謝から産生される過酸化水素が乳子の腸内細菌叢の形成に関与していることを明らかにしました。過酸化水素は乳子の消化管内において外部から侵入してくる様々な細菌に対して門番の様な役割を担っており、乳酸菌など過酸化水素に抵抗性を示す細菌が優先的に腸内に定着していました。本研究結果は、母乳中に含まれる過酸化水素の重要性を示すとともに、アミノ酸や活性酸素による腸内細菌制御方法の開発につながることが期待されます。
著者
太田 一郎 宇都木 昭 太田 純貴
出版者
鹿児島大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

アニメ声優が演じる「声」の音響的独自性が人びとの「感覚」に内面化した社会文化的な制度として確立している様子を主に言語学とメディア論の観点から複合的にとらえることを試みた。(1) 女性声優のアニメの声と一般女性の声を比較した結果,アニメの声にはより多くの倍音成分が含まれるなどスペクトル包絡に関わる特性が見られる,(2) アニメと声をめぐる状況は 声優とキャラの間の「演技」,キャラとファンの間の「受容(消費)」,ファンと声優の間の「情的関与」が考察の対象となる, (3) アニメ・声・身体の関係の議論についての重層的な声の受容を論じる聴覚文化論や「音象徴」などの言語学的知見が有効なことなどを示した。
著者
菅原 聡
出版者
東京工業大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2020-07-30

本研究では新型PETによって,0.2V程度の超低電圧駆動で劇的な低消費電力化と,現状CMOS技術と同等以上の高速性能を有するロジックシステムの基盤技術を創出する.具体的には,電力遅延積が現状より2桁小さいロジックシステムの実現を目指す.ここで提案する技術群はCMOS構成のロジックシステム技術を踏襲し,現行のアーキテクチャを継承して,究極の省エネ化を可能とする新たなロジックシステムを構築することができる.本技術はPET以外の同等のBeyond-CMOSにも応用が可能である.
著者
小澤 正直
出版者
中部大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

量子力学の観測命題の論理である量子論理の上に数学を構築することは、経験と論理と数学を繋ぐ興味深いプログラムである。竹内外史は量子集合論を構築し、そこで定義される実数と量子物理量の同等性を示して、このプログラムに先鞭を着けた。本研究では、量子集合論とトポス量子論の関係を明らかにする問題と竹内の量子集合論で有界量化に対するド・モルガンの法則が成立しない問題の2つの懸案を研究し、解決に導いた。この成果により、量子論理、直観論理、パラコンシステント論理に基づく集合論の間に新しい統合が生まれた
著者
大竹 翼
出版者
北海道大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

天然に産する様々な超苦鉄質岩を出発物質として摂氏90度での蛇紋岩化反応実験を行った結果、未変質なハルツバージャイト(かんらん石と輝石を含む石)が最も高い水素生成量を示した。溶液および固相分析の結果から、これらの実験系では、輝石の溶解によって低結晶性マグネシウムケイ酸塩鉱物でpH緩衝能を持つM-S-Hが沈殿し、かんらん石や輝石の溶解速度が促進されることで高い水素生成量を示したと考えられる。実際に出発物質にシリカを添加した系で実験を行ったところ、水素生成量が約50%増加した。さらに、地球化学モデリングの結果からは、開放系の実験系において水素生成量が100倍程度まで増大する可能性を示した。
著者
布川 清彦 井野 秀一 関 喜一 酒向 慎司
出版者
東京国際大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2018-06-29

本研究の目的は,視覚障害者の環境認知における白杖を用いて能動的に作られた音の効果を実験的に検証することである.目的を達成するために次の4つの研究を計画した.研究1:白杖によって作られる音情報(反響音の物理的効果)の分析,研究2:白杖 によって作られる音情報における人の効果検証,研究3:白杖によって作られた音情報の効果検証,研究4:総合考察.本年度は,研究1と2を実施した.研究1と2の両方で,推定する対象を硬さにした.硬さを推定する対象としては,一辺の長さが300mmの正方形で,その厚さが12mmであるゴム板を用いた.また,使用する白杖には,視覚障害者に広く用いられているアルミニウムの主体とペンシルチップ(石突き)を用いた.研究1では,人を介在させずに機械的に一定の高さから白杖の先端を自動的に落とす装置を作成した.この装置を用いて,機械的に対象を打った時の音を録音した.ゴムの硬さは,20度から10度刻みで90度までの8種類を用意した.そして,周波数分析を行うプロトコルを作成して,周波数分析を行い,硬さに対する基本的な白杖の打撃音の特性を検証した.研究2では,白杖ユーザが利用する代表的な3種類の握り方を条件として,視覚障害白杖ユーザと晴眼大学生を実験参加者として,白杖で対象となるゴム板を叩き,触覚情報と音情報の両方を利用して主観的な「硬さ感覚」と「空間の広さ感覚」をマグニチュード推定法を用いて硬さを推定する実験を行った.研究1の一部について,国内学会で発表し,そのプロシーディングを出版した.
著者
倉橋 節也 吉田 健一 津田 和彦
出版者
筑波大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

本年度は,複雑システムにおけるモデルパラメータの推定と変数選択を効率的に行うためのアルゴリズムについての研究を実施した.また,逆シミュレーション学習によるエージェントモデルのパラメータ推定手法の手法を,実際の社会システムを対象に適用事例を作っていくことを主に行った,1)都市動態モデル,3)組織多様性モデルについて検討した,1)変数選択モデル エージェントモデルでは,多数の変数を扱うことになるが,それらを網羅的に探索して適切な値を求めることは,計算資源の課題から困難な場合が多い,また,取り扱う変数も削減することが,モデルの簡潔さとシミュレーション結果の解釈において,重要となる.実データを適用する場合においても,大量かつ複雑なデータの獲得と蓄積が進み,重要な変数を選択する手法の重要性が高まっている.そこで,実数値遺伝的アルゴリズムを用いて,同一世代内の遺伝子の分散を活用した変数選択手法を提案し,パラメータ推定と変数選択の両方に対応できることに成功した,2)都市動態モデル 中世において都市の集中化は始まっており,人口の増加に伴う流動化が移民の増加へと拡大している.このスプロール化した都市がどのように発生するのかを解明することは,華僑の発生と都市構造との関係を知る上で重要となる3)組織多様性モデル 少子高齢化が進む日本では,労働力を確保するために働き方,働く人が多様化している.海外からの労働者を受け入れることは,事務職においても今後増えることが予想され,オフィスにおける多様性のマネジメントが課題となるそこで,多様性を定量化するフォールトラインの考え方に基づき,日本の組織を対象にした実態調査の結果を用いて,組織の多様性と成果関係をエージェント・ベースモデルによって明らかにした.多様性はフォールトラインの強さとサブグループ数によって成果への影響が異なることがが明らかになった.
著者
鈴木 道生 鈴木 庸平 アーサン ナズムル
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2019-06-28

黄鉄鉱ナノ粒子を合成したという報告は数多いが、再現性および安定性の面から実用化は困難であった。応募者らはウロコフネタマガイが特定の生体高分子タンパク質と黄鉄鉱ナノ粒子が共に含まれることに着目し、市販のタンパク質を用いて水系の溶液で非常に効率よく粒径の揃った黄鉄鉱ナノ粒子を合成することに成功した。本研究ではウロコフネタマガイ由来のタンパク質を組み換え体として準備し、より粒径の小さい黄鉄鉱ナノ粒子を、高効率で大量に合成する手法を検討し、太陽光発電のデバイス開発に応用する。
著者
入江 崇 福士 雅也 坂口 剛正 酒井 宏治
出版者
広島大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2019-06-28

センダイウイルスは、ヒトに病原性、遺伝毒性を持たず、蓄積された基礎研究成果に基づいた様々な性能改変が可能であり、iPS細胞作製用ウイルスベクターとしても広く利用されている。本研究では、我々の保有する様々なSeV株、変異クローン、組換え変異体などを基に、他のウイルス増殖に対して単独または相互干渉作用を示すウイルスを探索し、干渉性能をレポーターウイルスなどを作成して詳細に評価するとともに、ベクターの半生化や性能の改良を行う。これらの検討は、当初は培養細胞系を中心に行うが、マウス実験系での評価も行う。
著者
山口 良文
出版者
北海道大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2018-06-29

冬眠は、全身性の代謝抑制により低温・乾燥・飢餓といった極限環境下での長期生存を可能とする生存戦略である。冬眠する小型哺乳類であるジリスやシリアンハムスター(Mesocricetus auratus、以下ではハムと記載)は、冬眠期のあいだ、深冬眠と中途覚醒を繰り返す。深冬眠では、体温は外気温+1度まで低下し (外気温4度の場合、深部体温5-6度)、心拍数も1分間に10回程度まで低下する。深冬眠は数日から1週間近く経過したのち中途覚醒により中断される。深冬眠から中途覚醒への移行時には、体温は数時間で36度付近まで回復する。中途覚醒状態は半日程度継続し、再び体温が低下し深冬眠状態となる。ヒトやマウスなど 多くの非冬眠哺乳類は長時間の低体温下では臓器機能を保持できず死に至ることを鑑みると、こうした冬眠自体が驚異的だが、その制御機構は未だ殆ど不明である。本研究では、体温が36度から低体温へと移行開始する深冬眠導入の際に発動するシグナルの同定を目指して研究を行なっている。現在までに、ハムが冬眠に際して低体温へ移行する際に、発現が著しく上昇または低下する遺伝子を、肝臓および腎臓において多数同定した。さらに定量PCRによる経時的遺伝子発現量解析により、深冬眠特異的遺伝子の中にも体温が36度から低下するさなかに上昇する遺伝子が含まれることを明らかにした。 さらに麻酔薬で強制的に低体温 を誘導した際との遺伝子発現量を定量PCRで比較することで、これらを低体温応答の結果発現誘導されるものと、強制低体温では誘導されず深冬眠特異的に誘導されるもの、とに分類することが可能となった。これらのDTIG (Deep torpor induced gene)のうち、特に顕著な発現変動を示したDTIG1について遺伝子改変個体を作出した。
著者
井上 敬一
出版者
新潟大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2020-07-30

機能未知の遺伝子C9orf72のイントロンへのリピートの挿入変異は、進行性神経変性疾患である筋萎縮性側索硬化症ALSと前頭側頭型認知症FTDの最大の原因である。この変異は異常mRNAを発現させ、mRNAが核内で凝集し(RNA foci)細胞毒性を示す。それゆえRNA fociの除去を目的とした治療法が求められるが、オートファジーは細胞質に存在する基質を分解するため、核内の凝集体は分解できない。そこで申請者は、ALS/FTDの治療法の開発を目的として、核内のRNA fociをオートファジーにより分解させる方法の樹立をめざす。
著者
千葉 満
出版者
弘前大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2020-07-30

NASHは不可逆的な病態である肝硬変や肝癌への進展リスクがあり,初期の段階での発見が病態進展予防に不可欠であるが,これまで炎症による肝細胞傷害や線維化の兆候を同時に捉えることのできる初期NASHの診断に有用なバイオマーカーはいまだ開発されていない。エクソソームは血中にも存在しており,様々なリボ核酸を内部に安定的に保持しているため様々な病態のバイオマーカーとして注目されている。本研究課題では血中エクソソームに着目し,肝硬変への進展リスクのあるNASHを初期状態で発見できる新たなRNA診断バイオマーカーの発見を目指す。
著者
高橋 淑子
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2020-07-30

これまでに発生中の胚を用いることで、腸がもつ内在的な蠕動運動ポテンシャルとその遺伝プログラム制御の可能性を見出しつつある。また腸由来細胞を用いた長期培養法を可能にすることで、「腸収縮オーガノイド」の作製に世界で初めて成功した。これらの独自解析系を用いることで、特に蠕動運動のペースメーカーと考えられていたがその実体が謎であった「カハール介在細胞」の理解が一気に進み始めた。カハール介在細胞が腸平滑筋や腸神経系とネットワークを作る機構を明らかにし、蠕動運動を可能にする細胞-組織ー器官の協調的制御の全容に迫りたい。