著者
三村 豊 新井 健一郎 志摩 憲寿 加藤 剛
出版者
総合地球環境学研究所
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、世界で最大級のメガ都市の一つ、ジャカルタ都市圏(ジャカルタ、ボゴール、デポック、タンゲラン、ブカシ)を対象に、その形成過程において人為的な開発計画の変遷と具体的な土地利用の変化がどのように関係してきたかを明らかにする。また、世界中に分散するインドネシア・ジャカルタ都市圏の古地図や都市開発計画関連文献、写真・図表資料を収集・精査した上で、それを地理情報システム(GIS)によってデータとして比較可能な形式で統合化する。具体的には、1)開発動向の史的データの整備およびGIS化、2)インドネシアにおける「開発」概念の変遷、3)住宅地域開発の実態把握および都市政策の開発動向を明らかにした。
著者
亀山 宗彦 佐藤 孝紀 谷本 浩志 小川 浩史 角皆 潤 山下 洋平
出版者
北海道大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では海表面への落雷に伴う物質循環が起きる可能性を検証した。実際の海水、河川水、純水に純空気及びアルゴン雰囲気下で放電を行うことで実際の落雷を模擬した。本研究では特に窒素酸化物の生成がみられ、放電に伴い硝酸・亜硝酸塩及び亜酸化窒素が生成されていることがわかった。硝酸・亜硝酸は気相中での生成が知られており、本研究でも主な生成は気相中で起こっていたが、液相中でもその生成が起きていることがわかった。また、溶存態・粒子態有機物の生成・分解も確認された。
著者
和田森 直
出版者
長岡技術科学大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

振動として可聴信号を耳周辺軟骨に加えるとその可聴信号を知覚できる現象を利用して、断続光の吸収に伴う発熱により、試料内部で振動が発生する光音響効果を応用した骨導音声情報提示装置を開発した。耳周辺軟骨に類似したゴム・シートから発生したPA信号の力のレベルは、日本工業規格に示されている骨導受話器を乳突部に装着した場合の基準等価いき値の力のレベルを最大47dB程度下回った。生体内の主な光吸収物質である水やヘモグロビンは、軟骨に比べおよそ100倍の吸光度を持つ。水やヘモグロビンの吸収波長付近の光源を断続光に用いることにより、基準いき値以上にPA信号の力のレベルを向上できる。
著者
佐藤 尊文 森本 真理 伊藤 桂一 野々村 和晃
出版者
秋田工業高等専門学校
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究は、(1)カメラで数式を読み取り3次元グラフを表示するソフトの開発、(2)空間図形認識能力を評価するような指標の構築、(3)3次元グラフに関連する授業コンテンツの開発と社会への発信、という3つの内容からなる。3次元グラフの板書は難しく、導入時の授業で図形をイメージすることができずに、苦手意識のまま克服できない学生が多い。3次元グラフ表示ソフトはいろいろあるが、それぞれ数式の入力方法が異なり、授業などに導入する際には、使い方の説明に多くの時間が取られる。本研究は、(1)~(3)によって、空間図形に対する学生の苦手意識を減らし、能動的学修を推進する教育コンテンツの研究開発を目的とするものである。(1)について、平成29年度は、前年度に引き続きWindowsをOSとする端末でのソフト開発を進めた。カメラで撮った画像からの数式抽出、取得した数式が表すグラフのAR(拡張現実感)技術による特定のマーカ―への表示、タップやドラッグでグラフをいろいろと変化させる機能などについて、改良作業を行なった。また、カメラで読取ができない場合に対応し、手書き入力機能の開発を行ない、十分な精度で手書き入力ができるようになった。(2)について、平成29年度は、前年度に構築した評価指標に基づくCBT(Computer-Based Testing)を作成し、(1)のソフトを未利用の学生に対してこのCBTを実施し、指標の再検討を行った。(3)について、平成29年度は、高専シンポジウムにおいて(1)のソフトのデモを行い、実際に使ってもらって好評を得た。最終年度には、(1)のソフトを用いた授業設計シートの作成およびe-learningなどの自主学習のために利用できるコンテンツの開発を予定している。
著者
冨山 一郎
出版者
同志社大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

2017年度の研究実績の概要は以下のとおりである。①奄美大島の名瀬にある名瀬教育会館に所蔵してある、社会運動家である松田清氏が収集した、奄美復帰運動関係資料の調査と整理を複数にわたっておこなった。また資料整理の中で、資料目録を作成し、資料のアーカイブ化を行った。さらに新たに奄美における国語教育関係の資料も発見した。②上記の調査と整理の過程において、奄美郷土研究会のメンバーとの交流、ならびに研究会を催す事ができた。具体的には、2018年1月27日に、奄美大島とりわけ名瀬を記録したドキュメンタリーを同研究会のメンバーとともに鑑賞したのち、そこで描かれている1950年代の名瀬及び奄美に関わる情報を明確化し、討議を行った。③韓国における反基地運動の関係者と意見交換を行い、本研究課題にかかわる共同研究の準備を進めた。具体的には、2017年11月25日に、ソウルで活動する研究集団<スユノモ104>との交流をおこなった。その中で、歴史を自己言及的に語ることについての、共同研究の在り方、語り口などについて討議を行った。④韓国ソウルにて、2017年10月28日、日本植民地主義の研究者である車承棋氏(韓国光州市朝鮮大学校)らと沖縄近現代史にかかわるワークショップを開いた。そこでは、沖縄近現代史を戒厳状態としてとらえ、こうした戒厳状態にかかわる歴史記述をめぐる方法論的な討議が行われた。⑤研究課題にそくした研究会を恒常的に行い、そこでの議論を、論文集としてまとめる作業を行った。この論文集は2017年度中には刊行できなかったが、すでに出版済みである。冨山一郎/鄭柚鎮編著『軍事的暴力を問う』青弓社、2018年。④その他、研究課題にかかわる資料収取と書籍購入を行った。
著者
荒牧 勇
出版者
中京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

スポーツと脳の構造の関係を明らかにするために、3つの研究を行った。1. 陸上競技の短距離選手と長距離選手の脳の構造画像を比較した結果、長距離選手は尾状核が発達していた。2.ハンドボール選手の試合中のミスの数と島皮質の灰白質ボリュームの大きさが相関していた。3.サッカーのリフティングを練習すると、物体の動きを知覚するMT/V5と左半身の運動を制御する左小脳が発達した。以上の研究結果から、1.競技種目ごとに特徴的な脳構造があること、2.個人の競技能力を予測する脳部位があること、3.スポーツの訓練により脳構造が発達することが明らかとなった。
著者
石井 豊 荒井 迅
出版者
九州大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究の目的は、2変数複素力学系に現れるジュリア集合などの重要な数学的オブジェクトを実3次元可視化技術を用いて表現し、そこから数学的に有用な予想を抽出したり、現在まで断片的にしか得られてこなかった(しかも表現が困難な)知見を理解可能な形でアーカイブ化することで、2変数の複素力学系における可視化と数学的理論との良好な関係を構築することにあった。本研究における具体的な成果としては、以下の3点が挙げられる。(1) 4次元から3次元への射影とレンダリングの非可換性。(2) 点集合として得られたジュリア集合の力学系的な補間法の確立。(3) 既存のジュリア集合の画像データを保存するシステムの構築。
著者
土田 真二
出版者
国立研究開発法人海洋研究開発機構
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

平成29年度は、調査船「かいれい」によるマリアナ海溝の調査航海(平成29年5月5日-25日)に参加し、マリアナ海溝における魚類の生息限界に関する情報を得るため、ミニランダー(自己浮上式カメラシステム)を投入し、データの取得を行った。ミニランダーの投入は、計3回実施した。1回目および、2回目は、ミニランダーに搭載したトランスポンダによる音響測位の結果から、それぞれ水深8146mおよび7498mに設置されたことを確認した。3回目は、SeaBird社製CTDプロファイラー(SBE-19)の圧力センサーにより計測し、8178mに設置されたことを確認した。1回目は、連続撮影続として6時間24分19秒に渡る海底の映像を記録した。ヨコエビ類などを確認することはできたが、魚類は確認できなかった。2回目は、インターバル撮影とし、3時間毎に59分54秒の映像を記録した。8シーケンス、21時間59分54秒に渡る撮影に成功した。ヨコエビ類やアミ類とともに、マリアナスネイルフィッシュがランダー着底後の3時間39分に出現し始め、撮影終了まで多数確認された。最大、1フレームに6個体確認でき、餌となるマサバに螺集したヨコエビ類を捕食する行動も記録された。3回目もインターバル撮影とし、3時間毎に52分54秒の映像を記録した。12シーケンス、33時間52分54秒に渡る撮影に成功した。ランダーが着底すると、ヨコエビ類がすぐに餌のマサバに螺集し、周辺を遊泳するアミ類も記録された。ランダー着底後、17時間36分53秒に、マリアナスネイルフィッシュの映像を捉えることに成功した。その後最終シーケンスまで出現したが、すべて1フレームに最大1個体しか確認できず、外見から判断できる肝臓の形態から、同一個体であると判断した。これにより、圧力センサーによって深度計測された魚類の最深記録となった。
著者
伊東 信宏
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

平成29年2月に、国際フォーラム "Pop-folk genres in East Europe and East Asia: Parallel Phenomena on Both Sides of Eurasia"を開催したが、平成29年度は、このときの報告に基づく書籍『東欧演歌の地政学』の編集を行った。現在までのところ、序論「東欧演歌研究序説」を脱稿し、小島亮(北朝鮮歌謡に関する研究)、奥彩子(レーパ・ブレナに関する研究)、濱崎友絵(トルコのアラベスクに関する研究)、新免光比呂(ルーマニアのマネレに関する研究)、阪井葉子(東ドイツのフォーク・リバイバルに関する研究)、高岡智子(東ドイツのロックに関する研究)、斎藤桂(北欧のフォーク・メタルに関する研究)、上畑史(セルビアのターボフォークに関する研究)による論考が仕上がり、クララ・フルヴァティン(スロヴェニアのターボフフォークに関する研究)、ステラ・ジブコヴァ(ブルガリアに関する研究)の英語論文の翻訳がほぼ完成している。出版社との交渉も進めており、刊行の見通しも立っている。ただし現地の研究者によるレビューを経て完成させたいと考えており、平成30年度の冬にブルガリアでポップフォーク研究の第一世代で国際フォーラムに際して基調報告を行ってもらったヴェンツィスラフ・ディモフ博士(ソフィア大学)、およびロザンカ・ペイチェヴァ博士(民俗学研究所)との面会を行う予定である。その他、東欧各国のポップフォークについては、近年まとまった研究書が刊行されているので、これらをフォローすることにも多くの時間を費やした。さらにロシアのフォークロアの舞台化についても調査を行った。
著者
和田 章
出版者
国立研究開発法人理化学研究所
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究課題では、赤血球に感染したマラリア原虫の増殖と金属イオンの関係性に着目し、金属イオンに相互作用する新たな分子リガンドを探索した。その結果、マラリア原虫の増殖を抑制する特殊な分子リガンドを発見した。そして、その分子リガンドは、既存のマラリア治療薬であるクロロキンに耐性のあるマラリア原虫に対しても増殖抑制効果を発揮することを明らかにした。さらに、細胞レベル及び動物レベルでの多角的な評価により、新たなマラリア治療薬候補としての有用な特徴を見出している。
著者
小尾 高史
出版者
東京工業大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

公的個人認証サービス(JPKI)に対して,新たに電子利用者証明サービスが追加されたが, 1つの公開鍵証明書を利用することによるプライバシーの侵害につながる可能性や,不正にインストールされたマルウエアによりサービス利用時のデータ書き換えなどが発生する可能性が指摘されている.本研究では,JPKIを安全安心に民間分野のサービスで利用可能とするために必要となる,利用者のプライバシーに配慮した利用者を識別するID番号をサービス機関が個別に発行する仕組みの提案,マルウエア等からのJPKI利用端末で受けるサービスの保護について検討及びプロトタイプ開発を行った.
著者
友田 明美 藤澤 隆史 島田 浩二 小坂 浩隆
出版者
福井大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

自閉スペクトラム症(ASD)の発症リスク因子である環境ストレスとしてのミクログリア活性化分子ネットワークに着目し、ASDのバイオマーカー候補としてmiRNA(micro-RNA)解析を行った。福井県A町で出生した子の発達に関する前向きコホート調査参加者の母子に対し、視線計測検出装置による社会性の評価を行った。その結果、母のメンタルヘルスは乳児期における子の社会性発達へ影響することが示唆された。また、月齢により異なる側面の社会性が発達するが、その発達の程度はOXTR遺伝子多型によって異なる可能性が示唆された。本成果は、ASDの病態解明を目指した臨床応用への足掛かりになりうる。
著者
蓑内 豊 吉田 聡美 伊藤 真之助
出版者
北星学園大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究の目的は、Lyndon(1989)が提唱するold way/new way(新旧対照法)を、スポーツ選手のスキルの修正に活用しようとするものである。まず、6段階のスポーツスキル修正プログラムを考案した。複数の種目・選手に実施し、プログラムの有効性について検証を行った。その結果、スポーツスキルの修正に新旧対照法を用いることは、スキル修正学習を促進させることが示唆された。また、スポーツスキルの分析やパフォーマンス評価を行うために、パフォーマンス・プロファイリングテストを作成した。これは、フォームや感覚、連携など評価しづらいスポーツパフォーマンスについて、数値化し評価する手法のことである。
著者
山下 潤
出版者
京都大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012

ES 細胞の分化において、分化に要する時間はほぼ制御不能である。本研究は、幹細胞の分化速度を制御する新しい分子機構の解明を通して、「目的細胞への分化時間の短縮」という画期的技術開発を目的とする。ES 細胞分化途上において PKA シグナルを活性化することにより、ES細胞からの中胚葉及び血管内皮細胞分化を従来の約2倍早く誘導することに成功し、PKA がヒストンアセチル化酵素 G9a の発現を上昇させることにより分化速度を早めるという新規機構を見出した。
著者
佐藤 昌彦 杵淵 信
出版者
北海道教育大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

■「指針」の提示:3Dプリンター,IoT,AIなど,科学や技術が急速に発展する現代の状況を踏まえて,原点(手づくり)から先端(AIなど)まで,ものづくり全体の根底に人間の「責任」を位置づけた。■「規範」の提示:アイヌの人々の伝統的なものづくりを「規範」とした。ものをつくる際の基本的な考え方(人間は自然の一部であり,自然に支えられてこそ生きることができる)を学ぶことができる。■「創造モデル」の提示:ものづくりの全体で活用できる四つのポイントを提示した。第一は「基本形から発展形へ」。第二は「発想から形へ,そして形から発想へ」(双方向共存)。第三は「価値観の形成」。第四はものづくりの「責任」。
著者
山田 洋子
出版者
立命館大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究の目的は、以下の4つであった。1「かわいい」とは何か、ビジュアル・ナラティヴを用いた多文化比較をもとに、生き生きした実感に即した方法で説明し、国際発信する。2ビジュアル・ナラティヴに適用できる新しいメディアミックスの質的方法論を開発する。3「かわいい」と関係づけた心理的理論モデルを提案する。4「かわいい」に関連する新しい視点を発見し、新しいデザインの可能性を提案する。平成29年度は、上記の目的にそったビジュアル・ナラティヴの資料収集と分析および国際発信に加えて、「ビジュアル・ナラティヴとは何か」「ビジュアル・ナラティヴの方法論」「ビジュアル・ナラティヴの幅広い実践的応用」に関して、理論的考察と新しい方法論の提案を行った。それらの成果は、「ビジュアル・ナラティヴ-時間概念を問う」「ビジュアル・ナラティヴとは何か」「糖尿病患者のビジュアル・ナラティヴ」等の論文で発表した。また「N:ナラティヴとケア」誌でビジュアル・ナラティヴ特集の企画・編集を行い、「かわいい」を超えて医療分野など幅広い領域と連携し社会実践とむすびつけた。また、国際理論心理学会で”Time and the life cycle: Visual narratives and cultural representations”と題した招待講演を行った。アメリカと国内でビジュアル・ナラティヴに関する多様な資料収集を行い、日本心理学会、日本発達心理学会、日本質的心理学会などでビジュアル・ナラティヴに関するシンポジウムを企画し、理論的・方法論的検討に関する発表を行った。新しい用語である「ビジュアル・ナラティヴ」は、本年度の研究で理論的・方法論的にめざましい進展をみると共に広い分野に多くの関心を呼び起こした。
著者
椿 まゆみ
出版者
文京学院大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

現在、今だ下準備の段階である。本研究は、前回の研究で行った実験機材を含む研究方法を修正し、よりよい改良された研究を行うための研究を行うことが目的であるが、修正の準備に戸惑っている。現在まで行ってきたことは、主に研究手法の理論と実践(手法)の研究であり、以下の5点である。第1としては、学習者は、話し合いにより協同学習をしながら語彙を学ぶのであるが、そのプロセスと成果を、学問分野としての協同学習の観点から、調査するための準備をしている。1つは、学習態度にかんする理論的背景が必要であるが、それが今で見つかっていない。第2としては、混合研究法の理論と実践(手法)の仕方の探求である。本研究の特徴の1つは、混合研究法での語彙学習の調査であり、量的・質的研究を両方行い、プロセス及び結果を分析する必要がある。混合研究法について、理論面および実践面の両方から調査している。第3としては、質的研究の手法の探求である。質的研究には、不慣れであるので、その研究について学んでいる。他分野を含めての質的研究の手法が含まれている研究について学び、自分の研究に取り入れようとしている。質的研究を行うための、ソフトウエアの使い方を学んでいる。第4点は、1から3の内容および本研究の課題である語彙研究の文献研究を行っている。語彙研究は、研究の歴史が浅い英語教育の中でも研究されている期間が短く、研究が進んでいるので、これに追いついていく必要がある。5点目は、語彙研究のための目標言語の語彙の検討を行っている。前回の研究では、検討する時間が短く、目標語彙の選択の仕方に問題があった。以上のように、ペースは遅いながらも、研究を進めている。しかしながら、このような理論面や方法面中心の着実な研究が今回は必要であると確信している。
著者
中根 明夫 浅野 クリスナ
出版者
弘前大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

脂肪組織由来間葉系幹細胞(ASCs: adipose tissue-derived mesenchymal stem cells)を用い致死的細菌感染症の治療法としての有用性を検討したところ、致死的ブドウ球菌エンテロトキシンショックマウスモデルに対し、著明な致死率低下効果を示した。この効果は、ASCs投与による炎症性サイトカインの産生抑制によるものであることが明らかとなった。本研究により、ASCsは致死的細菌感染症の予防・治療に応用できる可能性が示唆された。
著者
中尾 眞二 赤塚 美樹
出版者
金沢大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

再生不良性貧血(AA)症例におけるHLA-Aアレル欠失血球陽性例の頻度を明らかにするため、抗HLA-Aアレル特異的抗体による検出感度を改良し、診断後間もない例を検索したところ、21症例中6例(28.6%)が陽性であり、欠失血球の全顆粒球中の割合は3.9% - 61.1%(中央値8.4%)と、既治療よりも低比率であった。一方、HLA-Aアレル欠失血球陽性AA患者の末梢血CD8陽性細胞を、HLA-B*40:02遺伝子導入K562 陽性細胞で刺激することにより、HLA-B*40:02導入K562のみを特異的に傷害する細胞傷害性T細胞(CTL)クローン(A6)を樹立した。
著者
小木 哲朗 新江ノ島水族館
出版者
慶應義塾大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

イルカは、人間のトレーナーとの間でコミュニケーションを成立させているため、この原理を明らかにすることで、情報デバイスを介したイルカとのコミュニケーションを実現することが期待できる。本研究では、タブレット上にトレーナーのハンドサインの画像を提示することで、イルカに対して画像による指示をできるようにする学習実験を行った。その結果、学習不足と過学習を繰り返しながら、画像を認識していく過程を観察することができ、情報端末を介したイルカとのコミュニケーションに対する可能性を見出すことができた。