著者
重森 猛 金子 剛志 緒方 淳 藤本 雅清 有木 康雄 塚田 清志 濱口 伸 清瀬 基
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.618, pp.33-40, 2003-01-23
参考文献数
14
被引用文献数
6

本研究では、野球のラジオ実況中継音声に対して大語彙連続音声認識を行い、キーワードを抽出してハイライトシーンを検出することを目的としている。音声認織部をより頑健にするために、音響モデルでは、MLLR+MAP適応による教師あり、教師なし適応を行っている。この音響モデルの2段階適応を用いることにより、アナウンサーの話者性に適応することができ、ベースラインに比べ単語正解精度で約28%の改善が得られた。言語モデルでは、言語モデルの融合、選手名のクラス化、発音辞書の修正を行い、ベースラインに比べ単語正解精度で約13%の改善が得られた。それぞれの適応を統合することにより、単語正解精度で約38%の改善が得られた。
著者
浅川 毅 金本 直之 出崎 善久 岩崎 一彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. FTS, フォールトトレラントシステム
巻号頁・発行日
vol.98, no.584, pp.1-8, 1999-02-04

ATPGツールにより得られたテストベクトルの一部をシフトして得られるベクトルの集合を被テスト回路への入力とするテストパターン生成器(TPG)の提案を行う. 提案する(TPG)はシフトレジスタと少量のROMで構成される. ISCASベンチマーク回路に対して提案したTPGを適用した場合の100%の故障検出率を得るためのテスト長, 及びハードウェア量の評価を行った。また, 提案したTPGを使用した場合の100%の故障検出率を得るためのテスト長の式を導出し, 故障シミュレータにより得られたテスト長との比較を行った.
著者
伊達 拓紀 安川 健太 馬場 健一 山岡 克式 曽根原 登
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.628, pp.255-260, 2006-02-23
参考文献数
9
被引用文献数
1

近年,ストリーム型通信の普及に伴い,IP網においても受付制御の必要性が高まっている.筆者らはこれまでに,新規到着フローを一時収容し,一定期間後に輻輳の有無を確認することにより受付制御を行う,パケット交換網ならではの受付制御方式,TACCS (Tentative Accommodating and Congestion Confirming Strategy)を提案している.TACCSでは,CDA (Congestion Detection Agent)から広告されるパケット損失情報を基にフロー収容可否決定を行うため,網内のボトルネックとなり得る箇所にCDAを配置する必要がある.しかし,コアノードへの機能追加なしで同等の性能が実現できれば,その導入コストを低く抑えられる上,TACCSのスケーラビリティの向上を実現することが可能である.そこで本稿では,CDAを配置せずに,エッジノードの連携のみで網内の輻輳に対する受付制御を実現する,Edge-based TACCSを提案する.計算機シミュレーションによる評価結果から,Edge-based TACCSは,コアノードの機能追加を必要としないにも関わらず,従来のTACCSに対して遜色ない性能を実現可能であることを示した.
著者
磯貝 光雄 熊井 満之 小林 陽一 黒岩 克年 荒川 佳樹 鈴木 龍太郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.83, no.3, pp.297-307, 2000-03-25
参考文献数
7
被引用文献数
3

災害時の安否照会のために, モバイルエージェント技術による情報検索システムを構築しその評価を行った.耐災害性と通信負荷の削減を目的としてモバイルエージェントを使用した.災害時には通信回線の障害・遮断・回復などが大規模かつ頻繁に発生する可能性があるが, エージェントソフトウェアはそれらの障害に対し自律的にうかいや待機を行い検索結果を持ち帰る.検索は被災地の外から被災地内に対し行う.検索の方法はモバイルエージェント方式, クライアントサーバ(C / S)方式及びその組合せを使用して実験を行った.実験結果はトラヒック量とレスポンスタイムで評価した.モバイルエージェントによる情報検索は, 耐障害性を有するとともに, 検索件数が多いほど, また巡回する情報サーバが多いほど, C / S方式に比べて端末回線のトラヒック負荷を削減するために有効であることが確かめられた.
著者
但馬 康宏 富田 悦次 若月 光夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション
巻号頁・発行日
vol.97, no.356, pp.111-118, 1997-10-31
参考文献数
4
被引用文献数
1

単純決定性言語の多項式時間MAT学習に関する新たな結果を示す。一般に等価性質問は、仮説文法の入力に対して学習対象の言語との等価性を出力とし、さらに非等価の場合には、その根拠となる反例も出力となる。ここで、反例が正の反例の場合、さらに学習対象における導出構造を出力する質問を構造反例付き等価性質問と新たに定義する。このとき、任意の単純決定性言語は、単純決定性言語の族を用いて、所属性質問および構造反例付き等価性質問から多項式時間で厳密学習可能であることを示す。この学習アルゴリズムの基本的な考え方はAngluin (1987) によるアルゴリズムの拡張である。
著者
森下 陽平 荒木 純道 細川 嘉史 齊藤 典昭 倉科 隆 松澤 昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.90, no.12, pp.903-912, 2007-12-01
参考文献数
15
被引用文献数
11

本論文では,ダイレクトサンプリングミクサ(DSM)の広帯域化の手法を提案する.DSMを縦並列に構成することにより,単一の初段アンプで伝達関数の高次化を実現する.更に,高次化された伝達関数に対し,減衰極設計を提案する.また,トランスコンダクタンスアンプ(TA)の出力コンダクタンスと寄生容量が縦並列構成の利得の低下をもたらすことを示し,次にその利得低下を改善する手法を提案する.提案方式の有効性を確認する目的で測定評価を行ったので報告する.
著者
芦澤 充 乾 敏郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.353, pp.7-12, 2008-12-06
被引用文献数
2

我々は,心的回転を自己中心座標で表現された物体の心的イメージが,自己の仮想的な運動によって回転される認知過程であると仮定し,神経メカニズムの解明を試みている.最近の研究では,頭頂葉のCIPおよびAIPと呼ばれる領域が,それぞれ対象の自己中心的立体表現,視覚と運動の統合に重要な役割を果たしていると考えられている.本研究では,これらの知見を踏まえた神経回路モデルを提案し,提案モデルが三次元心的回転を部分的に再現可能であることを示す.
著者
関根 理敏 野崎 正典
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.134, pp.31-36, 2008-07-10
参考文献数
8

ユーザが近距離無線通信機能を有する携帯端末を利用して,ゲーム情報,ロコミ情報,また興味情報などを交換するPocket Switched Network (PSN)が新たなネットワークサービスとして想定されている.このようなサービスでは,ユーザは限定的な範囲のみならず,住宅地,オフィス,また商業施設などの広い範囲を移動し,携帯端末がデータをホップバイホップで中継する場合もある.PSNではリンクの切断が長時間継続し,ネットワークトポロジーの変動が大きいため,効率的にデータの交換を行うことが重要になる.そこで本稿では,広域におけるユーザの移動モデルを想定する.そしてノードがお互いに無線リンクにおける配送遅延に関する情報の収集し,その情報を利用して複数ホップに渡ってデータを効率的に交換する方式に関する検討を行う.
著者
板生 知子 松尾 真人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.82, no.5, pp.730-739, 1999-05-25
参考文献数
11
被引用文献数
27

ユーザの要求とコンテクスト(ユーザのおかれている状況)に応じて, マルチメディアネットワーク上のサービスを利用するための環境(サービス環境)を動的に構成する適応型ネットワーキングサービス環境DANSE(Dynamically Adaptive Networking Service Environment)を提案する. DANSEは, ハードウェアからソフトウェアまでのあらゆるサービス構成要素を統一的にネットワークリソース(NR)として扱い, サービス実行時にユーザ要求やコンテクストに応じて必要となるNRを探索し, これらを組み合わせてサービス環境に割り当てる. ユーザが要求するサービスに必要なNRがそろわない場合は, コンテクストに応じた代替案を提案する. これにより, ユーザは意識せずとも常にNRをコンテクストに応じて組み合わせたサービス環境を利用できるようになる. また, 従来ならサービス内容の実現をあきらめていた状況にあっても, 代替案を示すことでネットワークは可能な限りユーザの要求にこたえることが可能となる. 更に, DANSEの機構を利用すれば, 既存のNRを利用し, サービス実施手順を規定するだけでサービスを作成し, 提供できるようになる.
著者
市川 哲彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DE, データ工学
巻号頁・発行日
vol.96, no.175, pp.45-50, 1996-07-24
参考文献数
6

非正格な関数型プログラミング言語Haskellを対象としたデータベース操作インターフェースの永続性モデルについて報告する。先行研究[3]では、状態遷移による参照透過なデータベース操作、クラス機構による永続性と例外処理の指定、内部版管理によるon-the-flyデータベースアクセス、といった特徴を有しているが、永続性モデルとしては型外延モデルを用いていたため、モデリング能力やプログラミングの面での柔軟性に欠けていた。そこで、本研究では、より柔軟な永続性モデルである到達可能性モデルの先に提案した手法への適用を試みた。提案手法では、永続変数は用いず、型によって永続ルートの識別をしており、これにより静的な型づけと参照透過性の維持を可能にしている。また、型クラスの機能を用いることにより、型外延モデルと同様の永続性管理が行なえると同時に、ビューに相当する永続ルートの利用も可能である。
著者
三牧 宏彬 中野 久松
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, no.1, 1995-03-27

超高効率のBS室内アンテナとしてカールアレーアンテナが普及している。その素子であるアールアンテナはカール素子部とL字形給電線部とから構成されている。本稿では、L字形給電電部の中央線路の長さを変化させた場合の放射特性を解析する。さらに、中央線路を持たないカールアンテナの放射特性を明らかにする。
著者
真島 豊 平岡 俊郎 江草 俊 早瀬 修二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OME, 有機エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.96, no.30, pp.47-52, 1996-05-07
参考文献数
19

酸素原子でシリコン主鎖を架橋したポリシランは、常温において可視領域でEL発光する。この酸素架橋ポリシラン膜は、前駆体poly(methoxymethylsilylene/phenylmethylsilylene) (PMMS)をキャストして、加熱架橋することにより得られる。ITO/酸素架橋ポリシラン/Al構造のEL素子において、11V印加時に2A/cm^2という比較的大きな電流値が観察された。このEL発光はSi主鎖構造に関連したものと考えられる。
著者
本村 陽一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.734, pp.157-162, 2004-03-12
被引用文献数
3

ベイジアンネットは確率変数の依存関係をネットワークとして表した確率モデルである.このモデルを使って不確実性のもとでの予測や意思決定を行うことができる.そのために観測された変数のもとでの未観測の確率変数の確率分布を計算する計算が必要であり,これが確率推論と呼ばれる.本稿ではいくつかの確率推論アルゴリズムについての性質を概観し,これらを実験的に評価した結果を紹介する.
著者
田中 英明 黒川 不二雄 松尾 博文
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EE, 電子通信エネルギー技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.286, pp.35-40, 2004-09-03
参考文献数
7
被引用文献数
2

本論文では,移動平均によるディジタルローパスフィルタで構成されたディジタル制御回路をDC-DCコンバータに適用した場合の出力電圧安定化特性について検討する。まず,ディジタルローパスフィルタのゲイン,サンプル数およびA-D変換器のビット数等のディジタル制御回路のパラメータが出力電圧安定化特性へ与える影響について検討する。次に,それらのパラメータと量子化に伴って出力に発生する振動現象との関連についても議論する。
著者
佐藤 寿倫 中村 佑介 有田 五次郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. FTS, フォールトトレラントシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.475, pp.107-112, 2000-11-23

スーパースカラプロセッサは命令レベル並列性を得るために実行時に命令を並び替えており, 性能向上のためには命令ウインドウを大きくする必要がある.しかし, 命令ウインドウは連想メモリ(CAM)で構成されており, プロセッサの動作速度を決定する要因の一つであるため, 容易に容量を大きくは出来ない.そこで本稿では, CAMよりも高速動作可能なRAMを用いて命令ウインドウを構成することを提案する.シミュレーションの結果, 提案する機構は従来の命令ウインドウとほぼ同等のレイテンシを維持しつつ, 動作速度を改善できる可能性があることが確認できた.
著者
浦田 穣司 水野 修 新津 善弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SSE, 交換システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.95, no.510, pp.19-24, 1996-02-16
参考文献数
7
被引用文献数
6

NTTの高度INでは、カスタマの要望に応じた通信サービスを提供するために、SLPを2種類のSLP (SLP(N)とSLP(C))で構成する。この構成において、サービス毎に生成された1つのSLP(N)が、カスタマ毎に生成された複数のSLP(C)と連携して、カスタマに応じた通信サービスを実現する。また、SLP (N)がサービス提供前に生成されるのに対し、SLP(C)はサービスプロビジョニング時に生成される。このためにSLP(N)とSLP(C)間のインタフェースの整合性を保証する手段が必要である。これに対し、最初にSLP(N)-SLP(C)間のインタフェース仕様を規定し、その規定に基づいて各SLPを生成するという方法を提案してきた。本報告では、高度INで提供される通信サービスをモデル化し、そのモデルのもとでSLP(N)-SLP(C)間インタフェース仕様の定義法を明確にする。その結果に基づき、提案するサービス開発の手順及び各SLPの基本構成について示す。
著者
石井 宏幸 山本 将生 鈴木 聡 神山 斉己 臼井 支朗
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.77, no.12, pp.2370-2378, 1994-12-25
被引用文献数
3

網膜水平細胞間を結合するギャップジャンクションは,視覚情報処理の基本である中心-周辺拮抗型受容野の形成に重要な役割を担っている.従来,こうした水平細胞間のギャップコンダクタンスが非線形特性をもつことや順応状態により動的に変化することが示唆されているが,そうした特性を生理実験によって直接測定することは著しく困難であった.本論文では,筆者らが先に提案したイオン電流モデルを用いた入力電流推定法に特定の信号伝達経路を制御する生理実験技術を適用し,水平細胞の膜電位応答からギャップコンダクタンスの動的変化を推定する手法を提案する.提案手法の有効性は,視細胞-水平細胞ネットワークモデルから求めた水平細胞モデル応答を擬似実験データとして用い,モデルのギャップコンダクタンス値が精度良く推定されることにより確認した.更に,コイ網膜L型水平細胞より記録した膜電位応答に提案手法を適用したところ,従来報告されている知見に近いギャップコンダクタンス値が推定された.