著者
今井 哲郎 荒木 壮一郎 菅原 智義 藤田 範人 末村 則彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.689, pp.199-202, 2004-02-26
被引用文献数
3

大規模停電などの地域全体に累が及ぶような災害が発生した際にも,データセンタで行われている真に重要な業務は,それを引き続き継続させる必要がある.本報告では,セッションマイグレーション方式による障害回避方式の提案およびその動作実証を行った.セッションマイグレーション方式は,プロセスマイグレーション技術と,ユーザ収容VLAN切換技術と,GMPLSなどの動的帯域確保技術とを連携制御して,ユーザとのセッションを維持したまま,遠距離でのサブネット越しプロセスマイグレーションを行う技術である.この技術により,災害発生時にもサービスを停止することなく遠隔地のデータセンタヘ業務を移行させることができる.
著者
木村 伸宏 山田 祥 瀬社家 光 西園 敏弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.88, no.1, pp.224-233, 2005-01-01
被引用文献数
2

通信ソフトウェアに適用する高可用化サーバプラットホームを提案している.サーバのハードウェア故障時は系を切り換えて復旧するが,ソフトウェア故障時には,関連プロセスのみを初期設定して復旧することで,サービスの中断時間を大きく短縮できる.プラットホームの有効性は,3種類の実システムに適用することで実証した.具体的には,全プロセスを初期設定する場合,適用前と比べ,サービス中断時間が半減した.また,サーバのドメイン化とプロセスの冗長化により,中断時間が更に4割短縮できた(合計7割強の短縮).単独プロセスが故障した場合は,そのプロセスのみの再開で復旧し,他のプロセスはサービスを継続できることも確認した.以上の復旧処理は,アプリケーションプログラムを変更することなく,簡単な形式の再開定義を記述することで実行できる.故障プロセスを検出すると,再開定義を分析し,必要な再開フェーズを選択して実施する.通信ソフトウェアを構成するプロセスの性質を分類し,個別再開,グループ再開,全AP再開,全再開の4種の再開フェーズを規定した.故障復旧が失敗した場合,上位フェーズの再開に移行する状態遷移も実装した.
著者
藤田 聡
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, no.1, pp.349-350, 1996-03-11

複数の要素プロセッサ上に分散している情報をどのようにして共有するかという問題は、共有メモリをもたない並列・分散システムにおける本質的な問題のひとつである。この問題は通常、放送(broadcast)やゴシップ(gossip)に代表されるような"情報散布問題"として一般に定式化される。情報散布問題は、並列計算機に実装されることによってアルゴリズムの善し悪しがその性能に直ちに反映されるという現実的な側面をもつ一方で、グラフの埋め込み問題や資源のスケジューリング問題などといった理論的な諸問題とも関わり合いをもっている。またラウティングテーブルのサイズを小さくするためのcompact routing法や耐故障性のある情報散布に関する考察、さらには通信技術の進歩に伴って実用化されつつあるcut-through routingやATMなどの新しい情報転送モデル上でのアルゴリズムの開発など、この分野の研究は、近年特に幅広い展開を見せている。本講演では、この分野における過去の研究の流れと最近の動向について概説した後、講演者の最近の成果として、1)ハイパーキューブにおける回路交換モデル上での最適なゴシップアルゴリズム2)バスネットワーク上でのゴシップアルゴリズム3)ハイパーキューブ上でのall-portモデルのsingle-portモデルによる効率のよいシミュレーション方法などについて述べる。
著者
川俣 眞人 山本 幹雄 板橋 秀一 大村 浩 田中 和世
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.392, pp.9-14, 2000-10-19

ホルマント型音声合成方式において、ホルマント振幅の項に声帯振動の影響による効果を表すための非線形項を導入することによって音質が改善されることは既に報告した。非線形項は音質改善の他に音声の自然性や個人性にも影響を与えることが予想される。今回はその非線形関数を10話者、5母音別に新たな関数モデルを導入していくつかのパタンとして類型化することを試みた。その結果このモデルの妥当性を確認することができた
著者
久保村 千明 桜井 友子 亀田 弘之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語
巻号頁・発行日
vol.96, no.271, pp.21-30, 1996-09-27
被引用文献数
17

高度な自然言語処理システムは、新語(以下、未知語)を自動的に獲得する能カを備え持つことが不可欠である。このような観点から、未知語獲得能力を有するパーザのプロトタイプシステムを作成した。本稿では、そのシステムにおける3種類の未知語に対する3種類の未知語獲得アルゴリズムを評価するために行った実験とその結果について述べる。新聞・書籍・雑誌・辞書から評価用言語資料を収集し、それを素材としてアルゴリズムを評価したところ、本アルゴリズムの基本的妥当性が確認された。
著者
長屋 茂喜 宮武 孝文 藤田 武洋 伊藤 渡 上田 博唯
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-2, 情報・システム 2-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.79, no.4, pp.568-576, 1996-04-25
被引用文献数
51

本論文では, シーンの構造や照明条件が大きく変化する環境下で, 映像中から移動物体を検出する新しい方式を提案する. 本方式の特長は, 各フレーム画像の移動物体領域を探索する代わりに, 時間相関の変化パターンを用いて映像中での移動物体が存在する時間区間を判定する点にある. 本方式はリアルタイムで移動物体を検出でき, 天候 (雨・雪など) や照明条件等の環境の変化に対してロバストである. また, カメラ位置や移動物体の進行方向等の制約がほとんどない. 屋外全天候・昼夜間を含む踏切映像 (撮影期間1年) から選択した代表的な六つのシーン (各10分合計60分) に対して評価実験を行い, 1組の固定したしきい値だけで, 大幅な環境変動が生じる映像に対して, 95%の正検出率を得た.
著者
柳野 健 北野 芳仁 成井 昭夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング
巻号頁・発行日
vol.96, no.583, pp.263-270, 1997-03-17

日本の北海道,東北,北陸は世界有数の多雪地帯である。多量の降雪は,交通や社会生活を著しく妨げる。大雪日を特定できれば重要な情報となる。大雪になるには,ある気象条件を必要とするはずである。階層LSL型ニューラルネットによって,大雪条件を特定できるかどうか試みた。さらに,忘却法による構造学習によって主要な因子を探索した。
著者
河野 隆志 鈴木 由里子 山本 憲男 志和 新一 石橋 聡
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.184, pp.1-8, 1999-07-16
被引用文献数
6

ネットワーク上にコミュニケーションの環境を作る試みはインターネット上を中心に盛んに行われている。本論文では遠隔地にいる人々が会話や行動を共にできる通信環境を目指して、等身大の映像を投影し、没入できる多面ディスプレイを表示装置とするクライアントと手軽に携帯ができるPCベースのクライアントを共有空間で結ぶことによる新しいサービスを提案し、そのためのプラットフォームとして試作したシステムについて述べる。本システムにより多数の人が仮想空間を共有し、ユーザのお辞儀、挙手、手を振るという基本的なジェスチャを認識し、ユーザの分身の動作という形で相手に伝達し、音声・映像を使ったコミュニケーションが可能になった。

1 0 0 0 脳と色覚

著者
栗木 一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.90, no.10, pp.876-883, 2007-10-01

色の情報は,網膜における3種類の分光感度の異なる光受容細胞(すい体)によって初めて光から神経信号に変換される.しかし,色の見え方を作っているのは脳であり,色の見え方のメカニズムを探るには脳研究を欠かすことはできない.照明光が変化しても色の見えが極端に変化しない,色恒常性という視覚系の基本機能は脳損傷によって損なわれることを脳損傷者における検査によって明らかにした.脳内の色情報処理過程を調べるため,脳内を流れる色情報の概要を心理物理学的に調べる方法を開発した.本稿では,これらの実験について概説する.
著者
松林 昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CST, コンカレント工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.460, pp.69-76, 2001-11-19

グラフを最小点数の矩形格子にレイアウトする問題は, コンパクトなVLSIレイアウトを構成する問題や, 格子ネットワークを相互結合網として有する並列計算機システム上で効率的に計算を行なう問題の基本的な定式化であり, 盛んに研究されている.小文では, マンハッタンルーティングモデルと辺非共有ルーティングモデルの下で、任意の2分木Tに対してTをレイアウトできる格子の最小の幅をkとするとき, 点数O(k+α/1+αN), 幅k+αの格子にTを多項式時間でレイアウトできることを示す.ただし, αは0&lnE;α&lnE;√<N>なる任意の整数である.さらに, 与えられたグラフGと整数a, kに対して, Gが点数a, 幅kの格子にレイアウト可能か否かを判定する問題は, マンハッタンモデルの下ではGを木に制限してもNP完全であり, 辺非共有モデルの下ではGを最大次数3以下の閉路を含まないグラフに制限し, かつkを3以上の任意の定数に固定してもNP完全であることを示す.
著者
中本 裕之 永田 真 森江 隆 岩田 穆
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.401, pp.97-104, 1999-10-29

二次元画像認識システムの実現を目的として,画像の特徴抽出が可能なパターンマッチングプロセッサをパルス幅変調信号(PWM信号)を用いたAD融合回路アーキテクチャで実現することを提案する.このプロセッサは二次元画像のX,Y方向のパターンマッチング処理に加え,一次元投影演算,差分演算が実現できる.テストチップを0.8μmCMOS,電源電圧3.3Vで設計した.実験により動作周波数25MHzで,マッチング処理,投影演算,差分演算の動作を確認し,演算速度0.8GOPSの性能を得た.
著者
永田 真 米田 尚弘 野間崎 大輔 佐野 誠 岩田 穆
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路
巻号頁・発行日
vol.97, no.25, pp.57-64, 1997-04-25
被引用文献数
4

アナログ・デジタル融合回路アーキテクチャに基づいた最小距離検索回路を0.8μmCMOS技術で設計・試作した.8次元・8ビットPWM信号ベクトルを4ビット・サブPWMパルス列で表現し、そのベクトル間距離演算をスイッチト電流積分法とCharge Packet Count技術により演算する.最小値検索はテジタル領域で実行する.テストチップは24KTr+12Capからなり、1GOPS/W,14MOPS/mm^2を実現した.
著者
後藤 達彦 江川 鍛 小川 博久 土用下 尚外 福田 浩幸 犬塚 博章 舘 忠裕 藤村 直也 安形 保則 ニラウラ マダン 安田 和人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.29, pp.65-68, 2010-05-06

有機金属気相成長法によりSi基板上に成長した厚膜CdTe単結晶層を用いた、大面積X線・γ線画像検出器の開発を目的として研究を行っている。これまで検出器の製作では、Si基板上のCdTe成長層に部分的な剥離や、多結晶化、電気特性の不均一等が発生する場合があり、これらの防止とその改善が課題であった。これらの問題はCdTe成長に先立って実施する、Si基板の成長前処理(GaAs処理)に原因があると考えられるのでその改善を図った。GaAs処理の改善後、CdTe成長層の剥離は防止でき、Si基板上全面で高品質の単結晶CdTe層が成長可能となった。p-CdTe/n-CdTe/n+-Si構造の成長層をダイシングし、ダイオードアレイを試作した。その結果、ダイシング時にもCdTe層の剥離は発生せず、CdTeとSiの結合状態も改善されていることが分かった。またアレイ内のダイオードについて電流-電圧特性を測定したところ、場所によらず均一なダイオード特性を確認できた。
著者
船田 龍平 Baykas Tuncer Sum Chin-Sean Wang Junyi Lei Ming Rahman Azizur 木村 亮太 西口 嘉紀 荘司 洋三 原田 博司 加藤 修三
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.518, pp.103-108, 2008-02-27
被引用文献数
1

マルチギガビット伝送を可能とする60GHz帯のミリ波PANシステムにおける主要なアプリケーションの一つとして,HDMI伝送等の数Gbpsの帯域を必要とするビデオストリーミングが有望視されている.このような高速かつ高品位な通信を行うためのフレーム設計においては,従来の無線LANのようなフレーム設計とは異なる手法が要求される.本稿では,高速且つ高品位な通信に適したミリ波WPAN用のフレームの設計手法を提案する.提案手法により,プリアンブル,ヘッダの誤りに起因したブロックノイズ,もしくはストリーミングの瞬断という問題に対処するため,60GHz帯WPANに求められる諸要件を考慮しつつ,プリアンブル,及びフレームヘッダをペイロードと同程度の簡易なアーキテクチャで,且つペイロード以上の良好な特性を有するように設計が行われる.また提案手法を用いて構築されたBeaconing・Signaling用の制御フレームと,データ通信用のフレームのフレーム構成にっいて述べ,特性評価を行うことにより提案フレーム構成の妥当性を確認している.
著者
江川 孝志 長谷川 義晃 神保 孝志 梅野 正義
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会秋季大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1994, no.2, pp.230-231, 1994-09-26

Si基板上にGaAs結晶を成長させることにより、Si基板としてのメリットとGaAsの電気的・光学的優位性を兼ね備えた光・電子集積回路や光インターコネクションなどの新しい機能デバイスが実現できる可能性がある。しかし、SiとGaAsでは約4%の格子不整合、約2. 5倍の熱膨張係数差が存在し、転位および熱歪みの発生、表面モホロジーのマクロスッテプの発生、成長層へのSiのオートドーピングなどの問題点があり、これらはSi基板上のデバイス特性の劣化につながる。本報告では、MOCVD法を用いたSi基板上GaAs系光・電子デバイスついて報告する。
著者
川浦 久雄 阪本 利司 砂村 潤 馬場 雅和 佐野 亨 飯田 一浩 井口 憲行 馬場 寿夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SDM, シリコン材料・デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.640, pp.23-26, 2003-02-03

近年の電子線リソグラフィー技術は10nmレベルまで達し、ナノサイズのデバイス作製が可能になった。ナノデバイスの魅力は、マクロスコピックな素子では実現不可能な機能を提供可能な点にある。例えばナノデバイスにより、量子効果の検出、単一電子帯電効果の増幅、原子・分子の直接ハンドリング等が可能となる。本稿では、上記機能を利用した3種のナノデバイス(極微細MOSFET、10値記憶可能な単一電子素子メモリ、ナノバイオ素子)について紹介する。
著者
長谷川 まどか 加藤 茂夫 山田 芳文
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.80, no.9, pp.1483-1489, 1997-09-25
被引用文献数
9

シンボル出現確率に偏りのある2値無記憶拡大情報源に対するコンパクト符号の構成法について提案する. 2値無記憶情報源のn次拡大情報源においては, 同一出現確率をもつ通報が多数組発生する. これらの通報をグループ化し取り扱うことにすれば, 優勢シンボル出現確率が1に限りなく近い場合, すなわち, 低エントロピー情報源に対しては, ハフマンのアルゴリズムによって縮退操作を行う際にはグループ間にまたがる通報の並べ替えは発生しない. 本論文では, このことを利用して, 上記の場合におけるコンパクト符号の符号語長と符号語数の組, 平均符号長, 最大符号語長などを符号木を作成することなく簡単な式で容易に求められることを明らかにしたので報告する.
著者
青柳 利隆 高木 和久 白井 聡 大村 悦司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. LQE, レーザ・量子エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.527, pp.65-68, 2003-12-12

インターネットトラフィックに代表される通信需要の急増に答えるには,85℃を超える環境温度で10Gb/sアンクールド動作が可能なDFB-LDの提供が必須である.我々は,10Gb/s動作に必要な高い緩和振動周波数の得られる構造として,短共振器と高い結合係数を有するλ/4位相シフトDFB-LDを提案してきた.また,光結合損失が増大し易いパッシブアライメント実装に適した高スロープ効率のDFB-LD構造として非対称な結合係数を有する回折格子構造が適していることを実証した.更に,今回,高温動作に有利なAlGaInAs MQW DFB-LDを作製し,105℃でもOC-192のアイマスクをクリアでき,85℃での信頼性についても良好な結果が得られたので,上述のアクティビティと併せて報告する.