著者
堀越 淳 生越 重章
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.271, pp.61-65, 1999-08-26
参考文献数
1

1999年5月16日から5月19日にHouston, Texas, USAで開催された第49回IEEE VTC'99-Springの報告を行う。IEEE Vehicular Technology Conferenceはこれまで(1994年Stockholm, Swedenの特例はあったが)北米大陸で年1回5月に開催されていた。近年の移動通信の急激な進展により発表件数は毎年増加しており、昨年のToronto, Canadaでは参加者1000人に達せんとするほどの急増ぶりであった。このような状況のもと、今年より春(VTC-Spring)、秋(VTC-Fall)の2回開催となり、VTC'99-SpringはTexas州Houstonで開催された。今大会はIMT-2000標準に関して3月末以降に残された課題に関する関心の大きさを象徴してか、参加者は700人を超えて、やはり盛況であった。ここでは、各トラックで発表された研究動向を報告する。
著者
南 内嗣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EID, 電子ディスプレイ
巻号頁・発行日
vol.98, no.175, pp.63-68, 1998-07-15

1998年5月19日から21日まで、米国アナハイム市で開催されたSociety for Information Display 1998(SID'98)国際シンポジウムについて報告する。ここでは、発光型ディスプレイ分野の発表の中で、特に有機および無機エレクトロルミネッセンス(EL)並びに蛍光体に関連するセッションで発表された論文の内容を要約して紹介する。発表件数は、有機ELが5件、無機ELが7件そして蛍光体が3件があった。
著者
川内 道子 工藤 博幸 斎藤 恒雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRU, パターン認識・理解
巻号頁・発行日
vol.93, no.228, pp.73-80, 1993-09-16
被引用文献数
1

近年、統計的手法に基づくエッジ抽出が研究されており、特に画像モデルとして複合ガウス・マルコフ確率場(CGMRF)を用いた手法は優れた成果を挙げている。MAP推定では、弛緩法としてICM(Iterated Conditional Mode)やSA(Simulated Annealing)などが知られているが、それぞれ「最適解に収束しない」「膨大な計算量を必要とする」などの短所をもつ。そこで、本研究ではこれらの短所を改善する手法としてMFA(Mean Field Annealing)を提案する。また、エッジの形状を決定するモデルパラメータは一般に未知であるので、パラメータ推定が重要な課題となる。このため、観測画像のみを用いて、エッジ抽出を行いながらパラメータの自動推定を行う手法を提案する。
著者
タンスリヤボン スリヨン 安中 美成 吉田 富美男 花木 真一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎
巻号頁・発行日
vol.96, no.605, pp.37-44, 1997-03-19
参考文献数
6
被引用文献数
1

先に著者らは「状況表現層」と「メッセージ交換層」とを備えたコミュニケーションモデルを提案し、それをグループの活動に応用した仮想研究室VILLAをMS-DOS環境で開発した。このシステムでは、個々のユーザ端末にVILLA専用の管理・通信ソフトを組み込む必要があるため、遠隔地からのユーザの参加はあまり容易ではなかった。そこで、Java言語及びHORB言語を用いて、WWWブラウザからアクセス可能な一般的なホームページとして発展させた遠隔型仮想研究室VILLAシステムを開発した。これにより特殊なソフトを組み込まないでも、双方向のインタラクションで遠隔地からのVILLAへの参加が容易に可能となった。既に開発し運用中のMS-DOS版VILLAとの共存・整合性も配慮した。本報告では、このシステムの構成、特徴、実現方法及び運用実験について報告する。
著者
岩城 護 新川 慎吾 木竜 徹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.52, pp.19-24, 2008-05-16
参考文献数
4
被引用文献数
1

我々は日々多くの時間を仕事場で過ごしており、作業環境を健康的で効率的なものとすることが望まれている。本研究では、デスクワークにおける代表的な作業の一つであるタイプ作業に着目し、入力された文字数や正確さからタイプ作業効率の指標を、心電図から得られる自律神経系活動の様子から生理指標をそれぞれ評価した。無音環境をコントロール条件としたとき、作業効率が悪化するときには緊張の程度が高く、逆に作業効率が改善するときには緊張の程度が低いということが分かった。また、作業効率の改善がタイプミスの減少によること、自律神経系活動における緊張の程度を低く保つ音環境が有効であることが示唆された。
著者
小菅 義夫 亀田 洋志 真野 清司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-II, 通信II-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.79, no.7, pp.414-421, 1996-07-25
参考文献数
7
被引用文献数
42

あらまし 目標位置をレーダ観測値として,直交座標により,位置,速度等の目標運動諸元の真値を推定する追尾フィルタについて検討している.その代表例は,カルマンフィルタあるいはα-βフィルタを使用したものである.カルマンフィルタは,追尾精度は良いが演算負荷が重い.α-βフィルタは,追尾精度に問題があるが演算負荷が軽く実用的である.演算負荷の軽いα-βフィルタがカルマンフイルタと同程度の追尾精度をもてば,更に実用的になる.そのため,α-βフィルタがカルマンフィルタに近似できるための条件を検討した.本論文では, 目標位置ベクトルを1軸とするレーダ座標を平滑値(現サンプリング時刻に対する目標運動諸元の推定値)算出に使用する. この場合,目標運動とともに座標軸が回転するレーダ座標の回転および目標の角速度が微少で,駆動雑音(目標運動モデルのあいまいさを示すパラメータ)が座標間で独立で同一の値としたとき,α-βフィルタがカルマンフィルタに近似できることを証明する. この結果は,目標が低速度,目標距離が大,あるいは目標がレーダに向かって直進しているとき,α-βフィルタがカルマンフィルタに近似できることを示すことになる.
著者
須藤 俊夫 中野 健
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.648, pp.63-68, 2004-01-30
参考文献数
13
被引用文献数
1

LSI内部の電源構造の影響を調べるために、オンチップキャパシタを意図的に形成したものとしないものを2種類のCMOSテストLSI(0.25umプロセス)を設計製作し、同時スイッチングノイズと放射ノイズの挙動の変化を実験的に調べた。出力回路の同時スイッチング動作時、電源/グラウンド電位は、電流駆動力が大きくなるほど大きく揺れる傾向を示し、またオンチップキャパシタにより同相に変動することが分かった。次に放射ノイズについては、コア回路動作ではほとんどの高調波に対して低減効果を示したが、出力回路動作では貫通電流分に相当する偶数次高調波の低減効果は顕著であるが、信号の充放電電流から発生すると考えられる奇数次高調波に対しては、低減効果が少ないことが分かった。
著者
山崎 亮輔 浅木 信吾 馬場 暁 大平 泰生 新保 一成 加藤 景三 金子 双男 サマンタ サチャ ロックリン ジェイソン
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OME, 有機エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.59, pp.21-25, 2010-05-20
参考文献数
8

グレーティングカップリング表面プラズモン共鳴法は、金属で覆われたグレーティング基板上に入射した光の波数にグレーティングベクトルが足し合わさることによりプラズモンの波数と一致して表面プラズモンを共鳴励起する方法であり、プリズムを必要としないことなどから、実用的なセンサーへの応用が検討されてきている。我々は、金属格子上での白色光照射多重励起型表面プラズモン共鳴現象を利用したセンサーへの応用を行ってきている。また、可視域で大きなエレクトロクロミズムを持つPEDOT-PSS/テルピリジン鉄錯体ポリマーを用いて、センシング感度の向上を試みている。今回、格子間隔の異なるグレーティングを用いてセンシングを行い比較・検討を行ったので報告する。
著者
ユー ジェイソン 足立 整治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.332, pp.23-28, 2003-09-23
参考文献数
8

気流に平行と垂直の両方向に振動する声帯の機械モデルを用いた音声の合成を行なう.このモデルは,2質量モデルにみられるような発音周波数の急激な変化をともなうことなく,インダクティブな音響負荷における発声からキャパシティブな音響負荷における発声へのなめらかな遷移をシミュレートできる.また,日本語5母音の声道形状を用いて音声合成を行なったところ,合成音声は2質量モデルによる合成音声と同等の品質を持つことが分かった.
著者
藤江 真也 江尻 康 菊池 英明 小林 哲則
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.88, no.3, pp.489-498, 2005-03-01
参考文献数
20
被引用文献数
14

音声による人間同士の対話は, 発話に含まれる言語情報に加え, 発話者の心的状態や対話調整的情報が韻律や顔表情, 頭部動作によって付加的に表現されることで円滑に進む.これら, 発話に付随して生起し, 言語情報の円滑な伝達を補助する情報をパラ言語情報と呼ぶ.本論文では, パラ言語情報として, 韻律と頭部ジェスチャに現れる発話者の発話態度を取り上げ, それぞれの認識手法を提案するとともにそれらを活用した対話ロボットを実現する.韻律による発話態度の認識は, 態度が肯定的か否定的かを, F_0パターンと音素の継続長を用いて識別する.頭部ジェスチャによる認識は, 肯定的動作をうなずき, 否定的動作をかしげと首振りとして定め, これら三つの動作をオプティカルフローを特徴量としHMMを確率モデルとして用いることによって認識する.実験により, これらの手法が人と同等の認識能力をもつことを示すとともに, これらを組み込んだ対話ロボットが従来にないリズムある効率的な対話を実現することを示す.
著者
川原 慎太郎 米倉 達広
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, 1996-03-11

近年、仮想現実感の技術を用いて仮想的なスポーツ環境を提供するシステムが注目されている。本稿では、仮想スポ一ツの一応用例として仮想卓球システムを取り上げる。その入力インタフェースとして操作者に対する負担も少なく、より自然な入力ができると考えられる動画像処理を用いた。
著者
川戸 慎二郎 鉄谷 信二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.84, no.12, pp.2577-2584, 2001-12-01
参考文献数
11
被引用文献数
26

人の表情やジェスチャの実時間認識のために, 顔表情に影響されずに顔の特徴点を検出・追跡し, 顔の位置と向きを推定することが必要である.本論文では, その端緒として両目の間の点(眉間)を実時間で検出する手法を提案する.本研究では実時間処理に重点を置く.肌色領域を抽出することにより処理領域を限定し, 新しく提案するリング周波数フィルタによって眉間の候補点とその画面内回転角を抽出する.各候補点を中心に周囲パターンをその回転角分だけもとに戻した後, 顔画像データベースから得られた眉間平均パターンと比較することにより, 真の眉間を選択する.データベースの顔画像(40人400画像)に対して誤検出率は1.5%であった.実ビデオ画像に適用して, Pentium III 866MHzプロセッサのPCで, 27フレーム/秒の処理速度を確認した.
著者
小佐古 昂 土屋 潤三 高崎 和之 唐沢 好男 小松 覚
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ITS (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.58, pp.1-6, 2009-05-21
被引用文献数
2

GPS(Global Positioning System)は全世界的な測位システムとして広く利用されている。ITS車車間通信に自動車位置情報として利用する場合には、建物反射等マルチパス伝搬によって生じる測位誤差の低減が必要になっている。そこで本稿では、L1帯(1575.42MHz)GPS電波を対象に信号を受信・保存し、オフラインでの電波解析を可能とするGPSトータルレコーディングシステム(GPS-TRS)を試作し、その性能評価を行った。また、システムを用いて収録した信号について直接解析を行った。
著者
高柳 侑華 竹内 勇剛
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.94, no.1, pp.37-47, 2011-01-01
被引用文献数
1

対話は言語的または非言語的メッセージを相互にやり取りすることで成立する.科学技術の進歩により,近年ではコミュニケーション対象は人だけでなく,ロボットやCGキャラクタ等の人工物にまで拡大しつつある.しかし,現状ではこのような対話は人同士のように円滑ではない.これは,言語・非言語情報の欠落により,発言の意図やだれに向けての発話かを判断することが困難であるということが大きな理由の一つとして考えられる.しかし,これまでの対話研究は人同士の2者間対話が中心であり,発言のアドレス(発言が誰に向けられているのか)に注意する必要性は低かった.そこで,本研究では『人と人工物が非言語のみで多人数対話をする際には,顔の向きと発話タイミングを組み合わせて用いることによって発言が誰に向けられているかが判断される』という仮説のもとで認知実験を行い,顔の向き要因と発話タイミング要因の発言のアドレッシングへの効果を検証した.その結果,人と人工物が非言語のみで行う多人数対話において,顔の向きと発話タイミングは発話のアドレスを示す効果があるということが示唆された.
著者
高岡 充 上平 拓弥 西崎 博光 関口 芳廣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.142, pp.51-56, 2010-07-15

本稿では,人間とロボットの対話を円滑にするための,対話ロボットが話題とは無関係な発話を聞き流す機構の構築方法を述べる.まず最初に,話題と関係ない発話を人間が聞き流す機構を被験者実験で調査した.その結果,人間は話題からキーワード群を推測し,認識・理解しているということが分かった.この聞き流しモデルを音声認識のための言語モデルに適用し,カードゲームのための音声対話ロボットに組み込んだ.音声認識実験により,提案された機構を取り入れた言語モデルは,効果的に話題外発話を棄却できることが分かった.
著者
松山 洋一 藤江 真也 齋藤 彰宏 XU Yushi 小林 哲則
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.221, pp.7-12, 2010-10-01

通所介護施設において,人同士の会話に介在させ,コミュニケーションを活性化するロボットについて報告する.本研究では,具体的なタスクとして高齢者通所施設で行われている難読ゲームを取り上げる.難読ゲームは,司会者の存在する複数人対話の一形態だと考えることができる.ここでロボットは,複数人会話における制約を満たしながら,会話を活性化させるための行動選択を行う必要がある.本論文では,既に人同士で行われているコミュニケーションを妨害せずに活性化を実現するため,会話における参加者の役割や,参加者間が共有する話題を推定しながら,様々な場面において適した行動を取るフレームワークを提案する.
著者
森江 隆 田中 秀樹 厚地 泰輔 是角 圭祐 中田 一紀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.281, pp.55-60, 2008-10-31

我々は従来より,パルス変調信号により時間領域で積和演算および任意非線形変換が行える「アナログ・デジタル融合回路アーキテクチャ」と名付けた方式を提案し,これに基づき各種の脳型視覚処理LSIおよびニューラルネットワークLSIを開発してきた.時間領域での非線形変換は,変換関数と同形の非線形な時間関数で表される電圧または電流波形を用いることで実現できる.これまで,波形生成回路の占有面積の関係から,任意非線形関数波形を複数の演算回路で共有する方式を用いてきたが,この方式では各演算回路が同期的に動作せざるを得ない.しかし,いくつかのモデルでは非同期動作が必要となることがある.スパイクタイミング依存シナプス可塑性(STDP)はその一例である.本報告では,他の例として相対的なスパイクタイミング差による類似度(距離)演算回路を紹介する.また,準周期的にスパイク発火するニューロンのモデルである位相振動子を同期・非同期両方式でCMOS回路で実現した例を示す.回路シミュレーション結果より,このモデルをスパイクタイミングイベント駆動により非同期で動作させることにより,処理時間および消費電力の大幅な削減が期待できることを示す.