著者
比戸 将平
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 = The journal of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.98, no.1, pp.54-58, 2015-01

機械学習の応用とビッグデータ利活用が広まった結果として,大規模データ向けの機械学習を支える技術への注目が高まっている.そこでは単一計算機のメモリ上ではなく,並列分散環境での効率な学習が重要となる.本稿では分散環境における機械学習について,アルゴリズムだけでなくソフトウェアに焦点を当てて紹介する.特に後半では大規模リアルタイム機械学習の最新動向について詳しく述べる.
著者
三浦 彩美 米谷 淳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.123, pp.13-16, 1999-06-18
参考文献数
6
被引用文献数
3

米谷・瀧上(1994)は日本人の表情認知構造が日本人の表情をみる場合と欧米人の表情の場合とに相違があることを指摘した。これを再検討するため、欧米の映画から選び出した81の表情刺激(音声なしの静止画像)をランダムに112名の大学生(男子83名、女子29名)に呈示し、表情表出の強さを評定させた。その結果、呈示刺激の表情により評定値が有意に変動することが確かめられ、評定者の性差や性差と呈示刺激の交互作用に有意な変動が認められた。因子分析により、欧米人の表情に対する表情認知構造は日本人の表情に対するものと大体同じだが、悲しみの認知だけが異なるという、米谷・瀧上(1994)の文化的フィルター仮説を支持する結果が得られた。
著者
山口 修 福井 和広
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.84, no.6, pp.1045-1052, 2001-06-01
被引用文献数
48

ヒューマンインタフェースやセキュリティの分野で, 顔画像を用いた個人識別技術が注目されている.本論文では, ポータブルPC上で動作する顔認識システム"Smartface"について述べる.ユーザに負担の少ない顔認識システムを構築するためには, 顔向きや表情の変化といった人物の変動を吸収する認識法が必要である.本システムでは, ロバストな顔特徴点検出法と動画像を用いた個人識別アルゴリズムを採用する.また, それに伴って増大する計算コストの削減法について述べる.実装したアプリケーション機能は, (1)個人識別による音声応答, 環境設定, (2)顔認識付きスクリーンセーバ, (3)リアルタイム変装シミュレーション, である.本システムは, 特殊な画像処理ハードウェアを用いることなく, カメラを接続したPC上でソフトウェアのみで動作する.
著者
大坊 郁夫 高橋 直樹 磯 友輝子 橋本 幸子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.333, pp.17-22, 2001-09-28
被引用文献数
11

顔は個人のパーソナリティや社会的属性などの社会的、心理的なメッセージを伝える。しかも、顔形態自体ととも顔面表情によるコミュニケーションには表示-解読規則が用いられている。また、社会的な脈絡との関連が大きい社会的スキルは、対人関係を展開するために重要な役割を持つ。社会的スキルは対人的な親密さを視座に入れた対人関係や社会的適応を理解するために有効な総合的な概念である。この報告では、動的な顔面表情の表出に記号化スキル(ACT)や社会的活動性(外向性)、心理的安定性(神経症的傾向)を含むパーソナリティ特性が及ぼす効果を検討する。さらに、この表情実験を通じて、解読者の社会的スキルの役割を捉え、記号化と解読の相互関連性を対照して検討することを目的とした。高ACTは、予想通り、快不快の表現力に優れた送り手であり、次いで解読者のACTも解読力に優れることを示している。快不快評定、表出の適切さの両方で、快感情条件において、SPのACTの効果が大きい。男女を問わず、不快表情は、不安定なパーソナリティと結びつけて認知されやすいものでもあった。今後、顔形態特徴と関連させながら、顔面表情の送受信の対応関係について検討する必要がある。
著者
中塚 智之 芳賀 博英
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.66, pp.31-36, 2014-05-29

本稿では,GPUによる並列計算のフレームワークであるNVIDIA CUDAに基づくGPGPU(General-Purpose computing on Graphics Processing Units)による処理をより平易に記述可能なRuby用のライブラリであるrbcudaの設計と開発について述べる.実装にはコンパイラ開発環境であるLLVMを用い,RubyのソースコードをLLVMに変換し,そこからGPUのアセンブリ言語に相当するNVIDIA PTXを生成する.rbcudaの利用によって,native Rubyに対して5000倍の高速化,native CUDAプログラムに対して約半分のコード量で同様のプログラムが書けたことを確認した.
著者
小山 由 水本 旭洋 今津 眞也 安本 慶一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MoMuC, モバイルマルチメディア通信 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.44, pp.171-177, 2012-05-14
参考文献数
10

本稿では,大規模災害により3G通信が利用不可能になったエリアでの情報の収集および発信を可能にするため,Twitterにつぶやかれた安否情報をメッセージデータとして保持し,DTN (Disruption-Tolerant Networking)によるユーザ同士のすれ違い通信によって3G通信が利用可能なエリア(以後,通信可能エリア)までメッセージの中継を行うことを可能にするシステムを提案する.到達したメッセージはTwitterシステムに送信して被災地外のユーザにメッセージを閲覧可能にすると共にGoogle Person Finder等のインターネット上の災害データベースとも連携し,投稿されたメッセージを基に情報の自動登録,及び検索を可能にする.このシステムを実現する上での課題は,(1)最短時間で安否情報を通信可能エリアへ配送することと,(2)通信不可能エリアのどこかに存在する特定のユーザに,Twitterの返信メッセージを的確に,かつ最短に配送することである.これらの課題を解決するため,提案システムでは各ユーザ端末に通過地点と3G通信状況の履歴に加え,他のユーザ端末との遭遇履歴を記録させ,3G通信可能エリアおよび特定ユーザに最短時間で到達する経路表を構築し,すれ違い時に経路表を他のユーザと交換することで,経路表を更新していく.また,提案手法の性能評価を適切に行うためのシミュレーション方法について述べる.
著者
河津 宏美 長島 大介 大野 澄雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.89, no.8, pp.1811-1819, 2006-08-01
参考文献数
20
被引用文献数
1

複数の種類及び程度の感情情報を含む音声を対象として,感情が表現された発話の感情の程度と音声の基本周波数パターンとの関係を,その生成過程モデルに基づいて分析した.その結果をもとに,感情制御規則の導出を行った.基底周波数は感情によらず,感情の程度が大きくなるに従って,増加傾向で変化した.フレーズ指令の大きさは,感情によって異なる傾向が見られ,喜びでは,感情の程度の影響を受けずほぼ一定,悲しみでは,感情の程度が大きくなるに従って,減少の変化傾向があった.また,アクセント指令の大きさは感情や文中に現れる位置によって異なる傾向が見られることが分かった.ここで導出した規則を適用した合成音声を作成し,聴取実験により感情の伝達性を評価した.
著者
平館 郁雄 赤木 正人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.744, pp.43-50, 2002-03-21
参考文献数
10
被引用文献数
2

本研究では、怒りの感情音声における音響特徴量(基本周波数・パワー・持続時間・フォルマント周波数・スペクトル)と聴覚印象との関係を調べることを目的とする。本稿では、扱う感情を「Cold Anger(押し殺した怒り)」「Hot Anger(激しい怒り)」とし、「Neutral(平静)」音声との音響特徴量の比較を基に、音響特徴量の変動が大きいと考えられるアクセント部の分析を行った。その結果、感情間でいくつか相違が見られた。((1)基本周波数・パワーに関しては、「Hot Anger」のアクセントレベル上昇時の変化率が最も大きい。(2)「Cold Anger」のアクセント部の母音の持続時間が最も短い。(3)フォルマント周波数に関しては「Hot Anger」は「Neutral」より高い。(4)スペクトルに関しては「Hot Anger」における高帯域で強調されている。)そして、分析結果から感情音声の合成音を作成するための規則を導出した。
著者
磯村 淳 河中 治樹 小栗 宏次 渡邉 英一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.515, pp.139-144, 2015-03-16

本研究の目的は,カメラを用いた男性の尿量及び尿流率推定における精度向上である.循環器系疾患の患者のための排尿量管理や,下部尿路機能障害の早期発見のためにも簡便な排尿量及び排尿流率計測方法が望まれている.実験では排尿を模擬した液体を撮影した後,原画像から液体のみを白色画素として残す2値画像に変換するために背景差分法を用いた.撮影を蛍光灯の下で行ったので,2値画像内にはノイズが生じた.2値画像内の白色画素の近似曲線に基づいてノイズを軽減すると,液体の総量及び流率の推定精度向上が見られた.男性の排尿を模擬した液体推定における背景差分法及び2値画像に対するノイズ軽減手法の有効性を示した.
著者
清藤 武暢 黄瀬 和之 四方 順司 松本 勉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WBS, ワイドバンドシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.734, pp.13-18, 2005-03-11

グループ署名方式は, ChaumとVan Heystにより提案された署名方式であり, グループに属する利用者がグループの代表として匿名で署名を生成することができ, 問題が生じたときにはグループ管理者により署名生成者を特定することができる方式である.本稿では, これまで計算量的な安全性の枠組みのもとで研究されてきたグループ署名方式について, 情報理論的安全性の枠組みのもとで考える.特に, 情報理論的に安全なグループ署名方式のモデル, 及び安全性の概念を新しく導入する.そして, 安全性の概念の定式化を行う.更に, その強い安全性を満たす具体的な構成法を提案する.
著者
藤木 淳 赤穂 昭太郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.760, pp.141-146, 2005-03-23
参考文献数
8
被引用文献数
5

高次元ベクトルデータの解析においては, ベクトル間の類似性の尺度としてユークリッド距離のかわりに相関係数を用いることが多く, この際, 高次元ベクトルデータは単位超球面上の点として表現される.そこで本稿では単位超球面上の点列の次元縮約を低次元の超球面のあてはめで実現するために, 極射影によるユークリッド化を用いた球面最小二乗法及び段階的次元縮約法を提案し, その手法の有効性を人工データを用いたシミュレーションにより確認した.
著者
小谷 哲郎 関 一也 松居 辰則 岡本 敏雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.60, pp.37-42, 2003-05-09
参考文献数
16
被引用文献数
5

協調学習環境において、複数の学習者が議論をリアルタイムに行うツールとして、WEBチャットが広く利用されている。議論を活性化するためには、議論の状態を把握して、議論の滞りを解消したり、学習者の発言を誘発する仕組みや、議論に参加する学習者個々の役割を同定する仕組みなどが必要になる。また議論における学習者の役割は、議論の進行状態に応じてリアルタイムに変化する。各学習者のリアルタイムな役割を同定し、議論の場に提示することは、議論を活性化する上で重要であると考える。本稿では、議論進行をモニタリングし、リアルタイムに変化する学習者の役割を発言意図と発言回数などから"好意的発言影響度(協調学習活動の議論における議論を、好意的に方向付ける発言の影響力)"を算出し、WEBチャット上に表示する機能を実装した議論支援システムを提案する。これにより学習者は自己および他者の議論に対する影響力を把握することができ、各学習者の発言意欲を高めることが可能になる。
著者
河原 英紀 片寄 晴弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声
巻号頁・発行日
vol.97, no.560, pp.43-44, 1998-02-19

本デモンストレーションでは、筆者らが提案した音声分析・変換・合成方法STRAIGHT(Speech/sound Transformation and Representation using Adaptive Interpolation of weiGHTed spectrogram)を楽器音の変換に用いた場合の例を示す。尺八は、非常に生々しく再現されており、本方式が音楽の分野への応用においても高い潜在能力を持つことが示唆された。しかし、ピアノ音などでは音源情報のモデル化と抽出方法に更に工夫が必要であることが明らかとなった。
著者
澤木 美奈子 村瀬 洋 萩田 紀博 石井 健一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, 1997-08-13

校正や添削の記号が記入された文書や、線や記号が重なり合う譜面など、複数の情報が重畳した文書が多い。 これらの認識を行う場合、従来はある情報に着目し、他の情報を雑音として削除した後に認識処理がなされていた。しかし、多くの場合、着目した情報以外を各情報に関する知識なしに総て削除することは困難であり、高い認識率が得られなかった。 ここでは、先に提案した補完類似度を用いて、複数の情報ごとに照合を行うことにより、正しく認識できることを示す。補完類似度は、ノイズにロバストであるという性質があるため、複数の情報が重畳していても、着目した対象以外を削除せずにそれらをノイズとみなすことにより、着目対象を正しく認識することができる。そのため、複数の情報を独立に扱え、複数の情報間での影響に関する知識を持つ必要がない。 本稿では、例として、文字と記号が重畳している尺八譜の認識を対象として取り上げる。
著者
宮里 勉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎
巻号頁・発行日
vol.98, no.12, pp.1-8, 1998-04-22
参考文献数
28
被引用文献数
1

HMD(Head Mounted Display)は装着者に対して、コンピュータが作り出した仮想空間にあたかも実際にいるような臨場感を与えることができる.しかしながら, HMD装着者は両眼をディスプレイで覆われるため表情の把握が妨げられるという問題が起こる.本報告では, HMDディスプレイの外側, すなわち, HMDは装着者の対面相手側の面にHMD装着者の眼を表示するEye-through HMDを提案する.Eye-through HMDは, HMDを付けていても相手に眼の動きを見せることが可能となるので対話が妨げられない.という特徴をもっている.また、応用の一つとしてのPoppet Eyesついて述べる.
著者
澤木 美奈子 村瀬 洋 萩田 紀博 石井 健一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.81, no.10, pp.2480-2482, 1998-10-25

文字や記号などの複数の情報が重畳して記述されている尺八譜を認識する手法について述べる.補完類似度を用いることにより, 複数の情報を独立に扱うことが可能となり, 高い認識率が得られることを示す.
著者
大野 博之 稲積 宏誠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.146, pp.73-78, 2008-07-12
参考文献数
18
被引用文献数
1

著者らは,情報処理技術を用いた日本語力育成として,論理的で理解容易性の高い文章作成能力の育成と文章理解能力の育成の2つの視点で取り組んでいる.その中で現在までに文を対象とした体裁の統一や理解容易性の向上のための,校正・推敲支援ツールのインフラの構築を進めてきた.しかし,作文力や読解力を養うためには,論理的な文章構造を捉える能力も重要となる.そこで,文の論理構造デザインツールを試作したので報告する.
著者
伝住 周平 有村 博紀 定兼 邦彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 = The journal of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.97, no.12, pp.1080-1085, 2014-12

大規模な文字列データの操作は,文字列処理の分野で最も重要な課題の一つである.本稿では,文字列集合をコンパクトに圧縮し様々な操作を可能とする系列二分決定グラフ(系列BDD,SeqBDD)を紹介し,関連するパターン照合技術について紹介する.この系列BDDは,文字列データに拡張したZDDの一種であるが,同時に,従来から自然言語処理や文字列処理分野で研究されてきたトライや,有限オートマトン,接尾辞グラフなどのテキスト索引のためのデータ構造とも密接な関連を持つ.これら既存のデータ構造との関係や,近年発展が著しい簡潔データ構造と関連した話題についても述べる.
著者
能弾 長作 遠藤 直樹 中鹿 正弘 木津 重雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MR, 磁気記録
巻号頁・発行日
vol.94, no.286, pp.7-12, 1994-10-21
被引用文献数
4

1インチHDTVディジタルVRTの約2倍の記録密度を持つ、カセット型HDTVディジタルVTRの記録フォーマットを開発した。本記録フォーマットはD2-VTRのLサイズ担当のカセットに1時間以上のHDTVディジタル信号は記録することができる。本記録フォーマットと高密度記録技術により、編集時においても十分な互換性と高画質を確保したカセット型HDTVディジタルVTRを実現した。本記録フォーマットは現在SMPTEにおいてD6フォーマットとして標準化のための審議が行われている。本稿ではマルチスタンダードに対応したD6フォーマットを実現するキー技術について述べる。
著者
野本 済央 小橋川 哲 田本 真詞 政瀧 浩和 吉岡 理 高橋 敏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.96, no.1, pp.15-24, 2013-01-01
参考文献数
38

対話音声に対し怒りの感情を高精度に推定するための新しい特徴量について提案する.怒りの種類は,怒鳴った怒り(hot-anger)と静かな怒り(cold-anger)の二つに分類される.hot-angerの推定には従来研究により韻律的特徴の有効性が示されてきたが,cold-angerの推定はこれまで困難であった.本論文では,2話者による対話を前提とし,韻律的特徴以外に対話特有の特徴も捉えることでcold-angerの推定も可能とする.一方の話者が怒っており,もう一方の話者が怒られている対話状況に現れる顕現的な特徴を捉えるため,各話者の発話区間の時間的関係性から"対話的特徴"(発話時間,相づち回数,発話権交替時間,発話時同比)を提案する.コールセンタ対話音声に対し分析を行い,提案する対話的特徴がhot-anger,cold-angerによらず怒り対話音声の推定に有効であることを明らかにした.更にSVMを用いた実験により,韻律的特徴と併用することでcold-angerにおいてF値で24.4pt,hot-angerにおいて8.8ptの精度向上を確認し,提案する対話的特徴量の有効性を示した.