著者
田中 嘉津夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.87, no.8, pp.712-717, 2004-08-01

筆者らが1997年に発表した"火の玉アンダーソン局在仮説"のアイデアを思いついた動機,研究方法,発表論文の反響,米国"火の玉"名所の現地調査,について筆者の体験を述べる.本来,"怪しい謎"への挑戦が科学研究の原点である.未来の研究を担う本学会員に,火の玉研究のような"怪しい"研究の面白さ,楽しさを伝えたい.
著者
相馬 洋平 松永 哲雄 曽我 仁 内山 尚志 福本 一朗
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.304, pp.43-46, 2005-09-15
被引用文献数
2

音楽は生体に対し生理的、心理的に良い影響をもたらすことが報告されている。本研究は、精神作業負荷として暗算作業を課し、3つの音楽条件下(気分向上音楽、リラックス音楽、無音)においての作業効率を調査することを目的とした。生体に対する影響について主観的、客観的評価を行った。主観的評価として、STAIおよびPOMSを用いた。また、客観的評価としてフリッカーを用いた。結果は、リラックス音楽において作業時間と誤答率が改善される傾向が示された。また、STAI状態不安およびPOMS素得点変化、フリッカー値においても同様の傾向が示された。よって、暗算作業においてリラックス音楽環境が仕事の効率が上がる可能性が示唆された。
著者
孫 維瀚 黄瀬 浩一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.93, no.6, pp.909-919, 2010-06-01

図表や漫画などの線画は,直線または曲線で描く図形であり,画像出版物の中で重要なものの一つである.線画の著作権を保護するため,不正コピーを自動的に検出する手法が求められている.実際に,不正利用者は,線画をそのまま使うだけではなく,オリジナルの一部分,すなわち部分的複製を利用することが多い.その際には,部分的複製は他の素材の中に埋め込まれる形で使われる.加えて,部分的複製はそのままの形で埋め込まれるとは限らず,様々な処理によって改変されることも考えられる.その結果,不正利用の検出が困難となっている.更に,線画の場合,改変の手法として手書きの複製が考えられるが,これが問題をより困難なものとしている.これらの問題に対処するため,本論文では,局所特徴量の照合による画像検索技術を用いて,不正コピーを検索する手法を提案する.具体的には,局所特徴領域の抽出手法としてMSERを,特徴量の記述子としてHOGを用いる.そして,データベースの大きさと検出時間を削減するため,主成分分析で特徴ベクトルを圧縮するとともに近似最近傍探索を用いる.実験により,提案手法は,印刷線画の部分的複製ばかりでなく,複雑な背景に埋め込まれた手書き線画に対しても有効性があることを示す.
著者
吉村 ミツ 吉村 功
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解
巻号頁・発行日
vol.97, no.40, pp.17-24, 1997-05-15
被引用文献数
3

日本人の名前は通常3個ないし5個の漢字,ひらがな,カタカナからなっている.署名をするとき日本人は,たいていの場合,構成文字間に空白をおいてその名前を書く.この空白を利用すると署名は各構成文字に分離できる.これに着目して署名照合システムを作り,その性能を実験で吟味したところ,署名を各構成文字に分離しないときに比べて約7%小さい誤照合率を得ることができた.本報告では,そのシステムで用いている文字切り出しアルゴリズムを紹介し,その性能評価実験結果を述べる.
著者
岡下 綾
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.459, pp.55-60, 2009-02-26

ウェブ上の多くの仮想世界において,ユーザのプライバシーを保護するために本人確認を行うことなく匿名でのアカウント登録が行われている.そのためユーザは複数のアカウントとそれに付随した権利を不正に利用することができる.また,属性の類似した仮想人格(ペルソナ)同士が同一視されてしまうことで,ユーザの権利が他者によって不正に利用され得るという問題がある.ユーザのペルソナは複数の仮想世界をまたいで利用され得る.そのため,ユーザが情報資源の所有権を主張したり他者によるなりすましを回避するためには横断的なペルソナ同一性の証明手段が必要である.本研究ではペルソナに対応した公開IDに関して考察を行う.また分散認証技術であるOpenIDを利用した本人確認基盤アーキテクチャを提案する.
著者
平原 達也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響
巻号頁・発行日
vol.95, no.207, pp.17-24, 1995-08-21
被引用文献数
2

聴覚実験に用いる最適なヘッドホンを特定するために、5種類のヘッドホン(TDH39, DT48, HD250 Linear II, HDA200, SR-Λ Pro.)の周波数特性、位相特性、高調波歪み特性、クロストーク特性等を物理的に測定した。その結果、HDA200とSR-ΛPro.が実耳装着時でも比較的平坦な周波数特性を持ちカップラ応答との差が少ないこと、位相特性や歪特性はどのヘッドホンでも問題ないこと、SR-ΛPro.の音響的なクロストーク特性は他のものより劣ることが分かった。また、ヘッドホンの実耳装着時の周波数特性に差異があると、F1だけを変化させた合成母音系列の音韻性判断において、周波数特性の差に応じてF1境界周波数がずれて推定されるが、ヘッドホンの周波数特性を逆フィルタで補正すればそのずれを解消できることが分かった。
著者
中居 友弘 黄瀬 浩一 岩村 雅一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.89, no.9, pp.2045-2054, 2006-09-01
参考文献数
10
被引用文献数
14

本論文では,ディジタルカメラで撮影して得られた文書画像をもとに,データベースから対応する文書画像を見つける文書画像検索の手法を提案する.従来のスキャナを利用した文書画像検索と異なり,ディジタルカメラを利用する場合には射影ひずみなどのディジタルカメラ特有の問題に対処する必要がある.また,大規模データベースでの利用を可能にするため,検索の効率性も重要である.これらの問題に対処するため,本論文では特徴点の局所的配置を特徴量とし,ハッシュ表を用いた投票によって検索する手法を提案する.本手法では,射影ひずみを実用的な範囲に制限し,特徴点の組合せを局所領域に限定することで,計算量の削減を実現する.また,高精度な検索を実現するため,射影変換の不変量である複比で特徴点の配置を表現し,特徴量としている.実験により,10,000ページのデータベースから精度98%,平均処理時間約160ms(特徴点抽出の画像処理に要する約1sを除く)で検索できることが示された.
著者
吉井 伸一郎 河内 佑美 吉村 真弥
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DE, データ工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.293, pp.55-60, 2009-11-12

一見ランダムなデータセットの中にも,ある普遍的な特徴が潜む,複雑なシステムが自然界には多数散見されている.何らかのフィードバックループを伴うことにより自己組織化するプロセスは,構成要素の詳細に関わらず生じうる.特に,ネット空間においては,膨大なインタラクションから集合知と呼ばれる創発的なインテリジェンスが形成される事例が数多く知られている.本報告では,こうしたユーザインタラクションを活用した"crowd computing"型のシステムアーキテクチャーについて解説し,実際に,レコメンデーションと呼ばれる商品・情報の推薦サービスへの応用事例を示す.1年半に及ぶ長期運用結果をもとに,著者らが開発した複雑ネットワークのコミュニティ分割手法によるアプローチが優れた特性を有することを示す.
著者
高田 義広 鳥居 宏次
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-コンピュータ (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.77, no.9, pp.646-655, 1994-09-25
被引用文献数
6

ソフトウェア開発管理の観点から,プログラマの能力を客観的,正確,かつ,容易に測定する方法が要求されている.この問題に対して,本論文ではキーストロークからプログラマのデバッグ能力を測定する方法を提案する.ここで言うデバッグ能力とは,ソフトウェア故障を発見してからその原因を修正するまでの時間的効率である.提案する方法では,まず,キーストロークを監視して,各時刻のプログラマの活動を分類する.次に,得られた活動系列にプログラマモデルを適合させることによって,プログラマの特徴を表すパラメータを抽出する.このプログラマは,活動系列をマルコフ過程とみなして定義した.最後に,それらパラメータからデバッグ能力の評価値を算出する.主な評価値は,1個の欠陥の修正に要する時間の推定値Dである.適用実験の結果から,本方法が実際のソフトウェア開発において有効に働くことがわかった.特に,生産性に関する尺度(共通な仕様に対するプログラムの作成時間)とDとの間に強い相関が見出せた.
著者
関 喜一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.58, pp.87-90, 2011-05-13

電子情報技術を活用した視覚障害者のための歩行支援技術の変遷を概説する.1960年代より,電子技術を活用した歩行補助装置なるものの開発が始まった.この時代の歩行補助装置は主に超音波センサを用いた障害物探知機であった.これらの機器は視覚障害リハビリテーションへの導入が試みられたが,やがて下火になった.その後,障害物探知機ではなく,視覚障害者のナビゲーションシステムがさかんに開発された.やがて,互換性のないナビゲーション技術が乱立する状態になった.現在,これらの技術の標準化が進められている.
著者
池田 直美 新藤 浩之 飯出 芳弥 浅井 弘彰 久保山 智司 松田 純夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.88, no.1, pp.108-116, 2005-01-01
被引用文献数
7

民生部品・コンポーネント実証衛星「つばさ」に搭載された民生半導体部品実験装置(Commercial Semiconductor Devices: CSD)は民生用半導体デバイスの宇宙空間における放射線耐性を計測するものであり,将来民生用のデバイスを宇宙で積極的に使っていくための評価手法を確立することを目的としている.約1年半にわたる「つばさ」の軌道上運用期間中,搭載した民生用半導体デバイスについて放射線影響に関する世界的にも貴重なデータを取得し,地上における試験と併せて評価を行った.その結果,シングルイベント効果については,地上試験から得られた予測値と観測結果との間にばらつきが見られた.これは,近年の飛躍的な技術の進歩(デバイスの小型化・大容量化等)に予測モデルが対応しきれなくなりつつある現状を示唆していると考えられる.また,トータルドーズ効果については,ほとんどのデバイスで予測結果と観測結果が比較的よい一致を示したものの,DRAMについては予測よりも放射線耐性が低いという結果が得られた.これは,新たな放射線耐性劣化現象の可能性を示唆している.
著者
水上 嘉樹 古賀 和利
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解
巻号頁・発行日
vol.96, no.598, pp.57-63, 1997-03-18
被引用文献数
2

本論文では,線素方向特徴を用いた変位抽出を行う手書き漢字認識手法を提案する.ここでは,入力パターンから線素方向特徴を抽出した後に,ユークリッド距難と抽出変位の滑らかさの項からなるエネルギー汎関数を最小化することで,得られた特徴画像に基づき変位抽出を行う.識別器では入力パターンに含まれる変位量を考慮して識別を行うために,変形に対して安定な認識性能が期待できる.提案した手法の有効性は,ETL-8Bに含まれる手書き漢字集合を用いた計算機実験により検討される.
著者
高橋 徹 入野 俊夫 河原 英紀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.571, pp.31-36, 2006-01-19
被引用文献数
1

多様な発話変換・合成を記述できる音声テクスチャマッピングモデルを提案する. 提案するモデルは, 音声を特徴づける骨格となるワイヤフレームに発話スタイルや話者性を表わすテクスチャをマッピングする枠組みによって音声を表わす. ワイヤフレームやテクスチャは, 統計的にあるいは, 発話事例から求めることができる. このモデルは, 画像分野で用いられるテクスチャマッピングを音声に適用したモデルである. 一般に, 発話変換は, スペクトルに対する演算と変形によって実現される. テクスチャマッピングの枠組みを用いて演算と変形を取り扱う仕組みについて述べる. ワイヤフレームにどのようなテクスチャをマッピングするかによって多様な発話スタイルを表現できることを示す. また, 様々な発話スタイルの音声を合成できることを示す. 最後に, ある発話に基づいてワイヤフレームを生成し, テクスチャをマッピングすることで発話変換を行うことができることを示す.
著者
樋口 知之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.349, pp.39-43, 2004-10-12
参考文献数
15

飲食店の日々の売上は,曜日,祝日,天気,近所での催し物への人出等の様々な要因に左右される.またその要因の売上への寄与の仕方は店舗ごとに異なる.そこで各店舗の売上時系列データをこれら各要因成分に分解するモデルを構成し,そのモデルによって得られる各店舗固有の情報に基づいて将来の売上を精度良く予測することは,仕入れ,人員配置,新規出店計画等,様々なレベルにおける経営戦略立案上有益であることは疑いようもない.我々は,状態空間モデルの柔軟な表現力と情報量規準によるモデル評価を利用した売上予測手法を提案し,実際に,ある大規模催事場及びビジネス街に隣接した飲食店の二年間分の日々売上データに応用した.なお本発表は,私と山口及び土屋との共同研究の成果を概括しながら,状態空間モデルによるマイクロマーケティングヘの接近法を紹介する.
著者
柳澤 弘揮 宮崎 修一 岩間 一雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.537, pp.1-8, 2008-03-03

安定結婚問題は,GaleとShapleyによって提案されたマッチングの問題である.任意の例題について,解が存在し,それを見つける多項式時間が存在することが知られている.しかし,このアルゴリズムによって得られるマッチングは「男性最適」,つまり,男性にとっては好ましいが女性にとっては好ましくないマッチングである(逆に,男女の役割を入れ替えれば,女性最適なマッチングになる).GusfieldとIrvingによって提案された男女平等安定マッチング問題は,男女両者にとって「公平な」安定マッチングを求める,つまり,男性側の不満足度の和が女性側の不満足度の和になるべく近づくような安定マッチングを求める問題である.この問題は,強NP困難であることが知られている.本稿では,男女平等安定マッチング問題に対して,ほぼ最適な解を求める多項式時間アルゴリズムを与える.さらに,評価指標を一つ増やして,男女平等(sex-equality)の観点でほぼ最適なもののうち,全体の公平さ(egalitarian)が最小の安定マッチングを求める問題を考える.我々は,この問題がNP困難であることを示し,この問題に対して近似度が2より良い多項式時間アルゴリズムを構築した.
著者
金堀 利洋 鈴木 昌和
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.66, pp.7-10, 2005-05-12

Webアクセシビリティの意識が浸透しつつある一方で, 情報がPDFとして提供される流れが加速している.配布されているPDFには文字情報が、人が読む順序と異なる順番に埋め込まれていて、視覚障害者がその内容を読み取る事は困難な場合が多い.また, 数式の情報が読み取れる形で入っていることはほとんど無い.今回, 特に数式や表を含んだ科学技術文書を対象とし, PDFに既に埋め込まれている文字情報を抽出し, 一方で, PDFを画像として認識し, 認識結果と抽出した文字情報を組み合わせ, 質の高い, アクセシブルな文書情報をPDFから取り出すことを目的とするシステムのプロトタイプを示す.
著者
中山 英樹 原田 達也 國吉 康夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.93, no.8, pp.1267-1280, 2010-08-01
被引用文献数
2

汎用的な一般物体認識の実現のためには,膨大な数の対象と画像のアピアランスを学習する必要があり,人手によって学習過程を管理することは難しい.このため,Web上の大量の画像を用い自律的に画像知識の獲得を行う方法が近年検討されている.これを実現するための学習・認識手法には,精度と同時にスケーラビリティが必要不可欠である.本研究では,大量のWeb画像への適用を念頭に置いた,高速画像アノテーション・リトリーバル手法を提案する.本手法は,複数ラベルが表す画像のコンテクストを用い,高速に学習・認識を行うことが可能である.実験では,まずベンチマークであるCorel画像セットにより比較実験を行い,本手法が多くの既存手法に比べ高速・高精度であることを示す.次に,270万枚のFlickr画像から学習を行い,Web画像マイニングにおける本手法の有効性を検証する.
著者
内村 圭一 柏木 誠哉 脇阪 信治 有田 秀昶
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.84, no.12, pp.2244-2253, 2001-12-01
被引用文献数
6

D-GPS装置及び3軸ジャイロセンサから得られる位置情報と車載カメラから得られる道路画像情報とを統合し, 道路中心点の緯度, 経度及び高度のデータ(3次元データ)を得る3次元道路地図作成法を提案する.画像処理では, 変動テンプレートマッチングにて道路白線を抽出し, 車両座標系と画像座標系の投影変換式を用いた道路形状の認識結果により, 自車両と道路中心点間の位置関係を求める.一方, 自車両位置の3次元データはD-GPS装置と3軸ジャイロセンサにより得る.この際, D-GPS装置が誤ったデータを出力した場合の3軸ジャイロセンサによる補正方法も示している.自車両位置の3次元データが得られたことから, これと画像処理により得られている道路中心点間の位置関係から, 道路中心点の3次元データが求まる.実道路における実験により, 様々な走行状態にもかかわらず, 道路中心点3次元データの再現性を確認し, 提案手法の有効性を示した.
著者
三輪 敬之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.89, no.3, pp.218-225, 2006-03-01
被引用文献数
6

地理的に離れた場所に存在している異質の人々の間に,安心感や和互信頼感が生まれる場作りを支援するためには,出会いによって「我々」という共同体意識が創出される必要がある.それには,互いの存在感を送受信し合って「共存在の場」を自己組織化し,双方で時空的な間(ま)を取り合って自己表現できる技術的方法が発見されなければならない.この問題を解決するための突破口として,ここでは「身体の影」に着目した共存在コミュニケーションシステムについて概説する.
著者
寺田 崇寿 小黒 伸也 鎌田 一雄 関 宣正
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.273, pp.1-6, 2007-10-12
被引用文献数
1

全日本ろうあ連盟編纂の「わたしたちの手話」を対象として、コンピュータなどで簡単に検索ができる手話記述方法について、検討を進めている.本稿では、掲載手話(総数4,122語)の中から、構成が単純な手話を除いた複合的な手話(総数1,660語)を対象として、語構成について検討している.まず、先に報告した手話の要素抽出結果を利用して、複合的な手話の構造的特性について分析している.この結果、複合的な手話はほとんどが2つの構成要素(平均要素数は2.13)からなり、その結合の形態はほとんどが逐次的な形態(97.7%)であることがわかる.手話の特徴である同時的な結合は、対象とした辞書(わたしたちの手話)に掲載されている手話の2.3%にすぎない.また、複合的な手話を構成する要素の平均的な使用頻度が2.67と低いことがわかる.次に、複合的な手話の構成の意味的な側面を、手話の見出し語(日本語)について検討した結果も述べている.