著者
松田 理沙 渡辺 隆行
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.368, pp.111-118, 2007-11-28

Rich Internet Applications, which interact with users dynamically and which content changes dynamically, are emerged with Ajax and JavaScript technologies. These dynamic Web pages, however, may cause accessibility problems. We carried out a case study with two Google applications, iGoogle and Google document, to examine 1) what kind of accessibility problems are came out, and 2) which problems are resolved by a code with good practice and which problems is inevitable.
著者
石橋 智幸 顧 優輝 脇屋 達 真部 雄介 菅原 研次
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.211, pp.7-12, 2009-09-18

情報過多の問題を解決するために様々な推薦システムが研究,開発されてきたが,いずれも推薦対象を限定したものが多い.これは,個人の嗜好に関する情報の獲得の難しさや推薦対象であるWebページの情報が膨大であることに起因する.その一方で,近年,SNSの1つであるソーシャルブックマークの情報を利用する事で,個人の嗜好や有益な情報源を抽出するという新しいアプローチが注目されている.そこで,本研究では推薦対象を限定しない個人化度合が高い推薦を行うために,ソーシャルブックマークからアイテムグループ生成・推定し,ユーザの嗜好推定を行い,類似ユーザを見つけ,そこから嗜好に近いWebページを推薦するシステムを開発する.
著者
宮部 真衣 吉野 孝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.325, pp.85-90, 2008-11-20

機械翻訳を用いたコミュニヶーションにおいて,翻訳リペアは不適切な翻訳箇所を減少させるための方法として重要な役割を果たす.翻訳リペア作業はユーザへの負担が大きいため,修正の必要な単語の類義語や関連語を提示することによる言い換え作業の支援が必要である.しかし,提示数が多い場合,適切なものを選び出すことは容易ではないと考えられる.本稿では,より適切な言い換え候補の抽出のためにWeb日本語Nグラムを用いたフィルタリングを提案する.また,2-gramおよび3-gramのデータを利用し,前方品詞2-gram,後方品詞2-gram,3-gramの3種類の単語の組み合わせによるフィルタリング実験を行い,以下の知見を得た.(1)Web日本語Nグラムを用いたフィルタリングにより,90%前後の単語について,言い換え候補を7語未満に絞り込むことができており,多数の候補を絞り込むことができる可能性がある.(2)閾値を0とした場合,3-gramによるフィルタリングにおいて抽出失敗率が最も高く(34.4%),後方品詞2-gramが最も低く(15.9%)なった.また,除外失敗率については前方品詞2-gramが最も高く(52.7%),3-gramが最も低く(28.6%)となった.(3)複数品詞により構成される言い換え候補については形態素解析を行い,言い換え候補の構成品詞数に応じて利用するNグラムデータを変更することで,抽出失敗を減少できる可能性がある.
著者
趙 剛 小林 亜樹 酒井 善則
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.311, pp.23-28, 2000-09-14
被引用文献数
2

近年、画像内容検索技術が非常に注目されており、本研究室では、キーワードによる画像検索システムを提案してきた。従来システムの検索アルゴリズムでは、各量子化器の出力値が0か1の二値であり、最終出力に対して同等の影響を持つ。しかし、実際には量子化器の検索への重要性にばらつきがあるため、検索効率に悪影響を及ぼしていた。本稿では、量子化器の出力値の多値化による検索アルゴリズムを導入する。その実現手法として、実数値による重みの概念を導入して、量子化器単位における重み付け法やクラスタ単位における重み付け法を提案・実践し、対ユーザーインターフェースを作成し、実画像を用いた検索実験で提案アルゴリズムの有効性を確認した。
著者
玉田 隆史 中村 泰明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.78, no.8, pp.1205-1213, 1995-08-25
被引用文献数
22

計算機により生成された仮想世界を利用したさまざまなシステムの研究が盛んになってきた. これらのシステムにおいては,その対話性を実現するために仮想世界をリアルタイムに表示する必要がある.特に,対象となる仮想世界が都市空間といったような広域な空間である場合には,計算機の描画コストを軽減するような何らかの工夫が必要となる.本論文では,広域な仮想都市空間を一定の描画更新速度でリアルタイムに描画するための手法を提案する.本手法は,木構造により仮想都市空間を管理し,オブジェクトの高さに応じてレイヤ化することで,各フレームごとにリアルタイムに可視オブジェクトを求める高速クリッピング法を実現する.更に,上記クリッピング法により求めた描画対象オブジェクトに対し, リアルさを表すパラメータ(リアリティ係数)に基づく簡略化描画を行うことで実時間描画の実現を目指す.実際に,本手法を用いて仮想都市空間管理システムを構築し,空間内をウォークスルーした場合の描画時間を求め,本提案手法の有用性を確認した.
著者
小池 耕彦 齋木 潤
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.585, pp.7-12, 2005-01-17

ヒトの視覚的注意メカニズムを調べるために, 実験心理学では視覚探索課題を用いた研究が行われてきた. 視覚探索課題におけるヒトの探索特性は, 顕著性マップにもとづいて逐次的に移動する視覚的注意メカニズムにより説明が試みられている. 顕著性マップモデルでは顕著性の情報は静的にコードされ, 抑制性タグ付けを利用して顕著性の順序にしたがって注意を移動していると仮定されているが, そのようなメカニズムが, ヒトの行動特性を再現するのに最適であるかは議論されていない. 本研究では, 顕著性にもとづく視覚的注意メカニズムの計算論モデルにより, (1)顕著性情報はどのようにコードされどのように利用されているのか, さらに(2)抑制性タグ付け(inhibitory tagging)は探索効率にどのような影響を与えるのかを検討した. シミュレーションの結果, 顕著性マップにコードされる顕著性情報は多くのノイズを含んでおり, 顕著性の順序にしたがって注意を移動してはいないと考えると, 視覚探索課題の結果をより良く説明できる可能性が示唆された. また, 抑制性タグ付けは探索効率を向上させるような役割ではなく, 注意を移動させる役割だけを担っている可能性が示唆された.
著者
松田 祐児 大澤 博隆 大村 廉 今井 倫太
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.317, pp.41-46, 2008-11-16
被引用文献数
1

本稿では,目や口といった顔のパーツがヒューマンロボットインタラクションに与える影響を調査,検討を行ったものである.近年ではヒューマンロボットインタラクションに関する研究が盛んになってきている.しかしながら,インタラクションで重要とされるロボットの擬人的外見がヒューマンロボットインタラクションに与える影響に関しては究明されていない.そこで我々はシステムの反応時間(SRT)に応じたユーザの評価を得て,そのデータを元に擬人化度を測り,3つの結果を得ることができた.1つ目はユーザはインタラクションの対象となるロボットが不完全な擬人化パーツであってもそのロボットに対して擬人化の認識を持つということ.2つ目は目パーツのほう口パーツよりも擬人化に対して効果があるということ.3つ目は擬人化することでインタラクションそのものの評価が向上するということである.
著者
遠藤 康行 今泉 昌之 吹田 宗義 大塚 健一 井須 俊郎 布下 正宏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, no.1, pp.471-472, 1995-03-27

1990年に米3M社よりZnCdSe/ZnSSe系を用いた電流注入型レーザ(LD)が報告されて以来、II-VI族化合物半導体を用いた青〜青緑色LDの研究が精力的に行われてきた。1993年には複数の研究機関よりZnMgSSeをクラッド層とした構造での室温連続発振が報告され、素子の長寿命化や素子作製の再現性といった実用化へ向けての研究課題に関心が寄せられるようになってきた。これまでに報告されたこれらLDのワイドギャップII-VI族半導体結晶はほんとど固体ソースMBE法(以下MBE) によって作製されてきたが、構成元素の蒸気圧が非常に高いため、クヌーセンセルにおいて固体原料を加熱することにより分子線を供給するMBEでは分子線量を制御することが極めて困難である。そのため混晶組成の厳密な制御が困難であるという本質的な問題点を有している。一般に構成元素の蒸気圧の高い材料の組成制御性は、ガス流量によって制御可能なMOCVD法等の気相成長が優れている。しかしながらMOCVD でこれまではMBEで成功している窒素による高濃度のP型ドーピングが困難であったため積極的なデバイス作製を行われなかった。これでは気相中あるいはドーパント分子中に含まれる水素が窒素アクセプタの活性化を妨げるためで、ここ最近になってt-BNH_2をドーパントとした光MOCVD法による高濃度p型ドーピングの報告がされるようになってきた。ガスソースMBE法(以下GSMBE)は、分子線量をガスの流量あるいはガスセル内の圧力によって制御するため制御性に優れ、MBEと比較して特に構成元素の蒸気圧の高い材料を再現性良く成長するのに適した結晶成長方法である。我々は、特に蒸気圧の高いS,Seの原料としてH_2Se(100 %)、H_2S(H_2 希釈)を用いたGSMBEによりZnSe、ZnSSeの結晶成長、p型ドーピングの検討、LD素子の作製を行ってきた。その結果、ZnSSeの結晶制御が容易であること、水素雰囲気下でも高濃度のp型ドーピングが可能であることを明らかにし、さらにLDの試作を行ってきた。本講演では、それらの結果について述べる。
著者
戸田 智基 徳田 恵一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.253, pp.1-6, 2005-08-19

HMMに基づく音声合成方式では, あらかじめ音声パラメータ系列をモデル化するHMMを学習しておき, 合成時には入力テキストに対応するHMMから尤度最大化基準により音声パラメータを生成する.静的・動的特徴量間の明示的な制約条件を導入することで, 適切な遷移を満たすパラメータ系列の生成が可能となり, 不連続感の少ない滑らかで安定した合成音声が得られる.一方で, 音声信号がもつ詳細な特徴は統計処理により失われるため, 生成されるパラメータは過剰に平滑化されたものとなり, 合成音声の肉声感は大きく損なわれる.本稿では, 音響モデリングで失われる特徴量の一つとして, パラメータ系列全体における変動量に着目し, 従来考慮されている静的・動的特徴量に対する尤度のみでなく, 系列内変動に対する尤度も考慮した音声パラメータ生成アルゴリズムを提案する.新たに導入される尤度は, 従来法において顕著にみられる生成パラメータの系列内変動の減少を抑える働きをする.実験的評価結果から, 提案法により合成音声の自然性は大幅に改善されることを示す.
著者
中村 直義 倉掛 卓也 小山田 公之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 = The transactions of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers. B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.89, no.6, pp.1014-1018, 2006-06-01

OFDM信号の三次の相互変調ひずみ(Composite Triple Beat)妨害を受けるQAM信号のBER特性の近似式を解析的に導出した.実験によりケーブルテレビ用64QAM信号のCIR対BER特性を測定し,三次ひずみ妨害は電力の等しい熱雑音と比べてBER特性を著しく劣化させることを明らかにした.
著者
来山 和彦 生岩 量久 巽 行雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MW, マイクロ波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.195, pp.81-86, 2008-08-28
参考文献数
9

地上ディジタル放送で固定受信用として用いられている64QAM (Quardrature Amplitude Modulation)信号について,白色ガウス雑音が加わった場合の信号電力対雑音電力比(CNR,Carrier to Noise Ratio)に対するビット誤り率(BER,Bit Error Rate)を示す幾つかのが提案されている.しかしながら,これらの式の精度は十分ではなく,特にCNRが低くなるほど,すなわち,雑音レベルが大きくなるほど実測値と理論値の差が大きくなる課題があった.このため,低CNR時においてもCNRに対するBERの関係を高精度で表すことができる式を導出するとともに評価を行い,CNRが0から30dB(BER=2×10-10に相当)に渡る広範囲において十分な精度が得られることを確認した.
著者
中垣 憲一 井上 弘士 久我 守弘 末吉 敏則
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CPSY, コンピュータシステム
巻号頁・発行日
vol.94, no.257, pp.17-24, 1994-09-22
被引用文献数
17

先進的計算機システムの基礎技術を理解・修得させるための教材として,上級コース向き教育用マイクロプロセッサDLX-FPGAの開発を行った.プロセッサ・モデルとしてJ.L.Hennessy and D.A.Patterson著"Computer Architecture:A Quantitative Approach"で紹介されているDLXアーキテクチャを採用し,実装デバイスとしては再構成可能なFPGAを用いている.本稿では,この教育用マイクロプロセッサDLX-FPGAの特徴と設計仕様を述べ,回路図入力による設計例とVHDLによる設計例を示す.また,複数のFPGAを用いた実装,ならびにその動作検証を行うDLX-FPGAボードのラピッド・プロトタイピングについて報告する.
著者
荒井 郁男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.599, pp.31-36, 2000-01-28
被引用文献数
3

震災時に倒壊した家屋や瓦礫に埋もれた生存者を1.2GHzの電波を用いて探知する生存者探索用レーダシステムを開発した.電波は壁や瓦礫などの障害物を透過できるので、生存者がそれらに埋もれていても、呼吸などによる身体のわずかな動きを鋭敏に探知することができる。この生存者探索用レーダの性能は倒壊家屋などによる模擬実験により確認した。
著者
尾久土 正己
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.375, pp.207-211, 2010-01-14

皆既日食は古代の人々にとってはまさに天変地異であった.しかし,従来のTVやインターネットで放映されている日食の映像は太陽にフォーカスされており,その劇的な変化の一部しか表現出来ていない.そこで、我々は4Kの超高精細映像システムを使ってドームスクリーン上に日食を再現することに挑戦した.本報告では,我々のシステムとそれを使った実験の教育効果について紹介する.
著者
相澤 清晴 荒川 佳樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 = The journal of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.93, no.5, pp.368-371, 2010-05-01

本稿では,現状のHDTVをはるかに超える精ちさで映像表現を行うことのできる超高精細映像へ期待を述べるとともに,超高精細映像である4K映像,8K映像の技術動向について触れる.更に,URCFを基盤に行った4K映像を用いたその応用実験の事例について,2009年7月の皆既日食の撮影伝送実験,同じく10月の手話講演伝送実験について紹介する.
著者
尾久土 正己
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.373, pp.207-211, 2010-01-14

皆既日食は古代の人々にとってはまさに天変地異であった.しかし,従来のTVやインターネットで放映されている日食の映像は太陽にフォーカスされており,その劇的な変化の一部しか表現出来ていない.そこで,我々は4Kの超高精細映像システムを使ってドームスクリーン上に日食を再現することに挑戦した.本報告では,我々のシステムとそれを使った実験の教育効果について紹介する.
著者
大山 恵弘 甲斐 朋希
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.124, pp.231-237, 2011-07-05

プログラムを解析して潜在的な脆弱性を検出する脆弱性検査ツールが多数開発されている.脆弱性検査ツールは,通常,脆弱性を早期に検出して攻撃前にプログラムを修正するという良い目的に利用される.しかし,悪意の者が,攻撃可能な脆弱性を効率的に発見する用途に悪用することもできる.ツールを用いた攻撃者による脆弱性発見を妨害する技術があれば,攻撃を成功させるコストが上がり,攻撃を減らせる可能性がある.本論文では,脆弱性検査ツールによる脆弱性発見を妨害する方式を提案する.その方式は,ソースプログラムを変換して,脆弱性検査ツールが検出するが攻撃には利用できないバグを大量に含ませる.例えば,バッファオーバーフローを起こすが攻撃者が制御を奪えないバグを含むコードを加える.加えられたバグに対して脆弱性検査ツールは大量の警告を出すため,真の脆弱性がもしあったとしても,より目立たなくなる.
著者
小田嶋 成幸 森 武俊 下坂 正倫 野口 博史 佐藤 知正
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.88, pp.31-36, 2009-06-11

本論文では、室内環境での、物品検出システムを提案する。物品が置かれた時、取り除かれた時には入力画像の安定的変化が生じることが期待できるため、本研究では背景差分法を用いた物品検出システムの構築を行う。背景差分法の出力から物品の設置、除去を判別するため、本研究では複層型背景モデルを採用する。画像の安定変化は人領域のような一時静止領域によっても引き起こされるため、一時静止領域と物体領域の判別が必要になる。オクルージョンの多い室内環境において頑健な判別を実現するため、本研究では特徴点を用いたトラッキング手法と局所フレーム差分を用いる。実験により、提案手法を用いて十分な速度で頑健な検出が可能であることが明らかとなった。
著者
得丸 公明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.357, pp.61-66, 2010-12-13
被引用文献数
1

筆者は2007年に,今から13万年前から6万年前の居住が確認されている世界最古の現生人類遺跡,南アフリカ東ケープ州のインド洋沿いにあるクラシーズ河口洞窟を訪問し,言語の起源とメカニズムについて興味をもち考察を始めた.洞窟内部はきわめて安全でありヒトの晩成化と脳拡大を促したと考えられるほか,静かで暗いため居住者は音に敏感になる.また,洞窟は音響シェルターであるため,敵に存在を知られることなくいくらでも音を出すことができる.言語と現生人類は洞窟の中で生まれたのではないかと考えたのだ.言語のさまざまな過程についての知識を得るために,言語学,音響工学,通信工学,心理学,人類学・霊長類学,神経生理学,論理学,分子生物学,情報理論などの学際的著作を読んだ筆者は,ヒトとヒト以外の動物の唯一の根本的な違いは,音声通信のデジタル化,すなわち言語にあるという仮説を得た.しかし「デジタル」の適当な定義が見つからない.筆者はシャノンやウィーナーやフォン・ノイマンらの書いた情報理論の古典を読むことで,客観的で必要十分な「デジタル」の定義を確立しようと試みた.すると「デジタル」概念は思っていたよりも広く深く,「情報ネットワーク」や「自己増殖オートマトン」を可能にする原理であることがわかった.今回の発表は筆者が2010年を通じて情報処理学会,電子情報通信学会,人工知能学会の関連する研究会で20回以上にわたって行なった発表のまとめである.