著者
石井 大祐 河村 圭 渡辺 裕
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.64, pp.187-192, 2009-05-21

コミックのコマ分割では高速かつ高精度な処理が必要とされている.我々はこれまで高速性と正確性の両立を目的とした高速高精度コマ分割手法(FAFSM)の提案を行ってきた.コマ分割では,処理プロセスの低減だけでなく,画像解像度の縮小により処理の高速化を行うことが可能である.しかしながら,画像解像度の縮小率が高くなるにつれてコマの分割精度は低下する.本稿では,実際にコマ分割実験を行い,コマ分割における分割精度と処理時間との相対的な評価を行った.そして,FAFSMにおける画像解像度変換によるコマ分割への影響に関して検討を行った.
著者
金海 好彦 齋藤 修一 河合 栄治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. LOIS, ライフインテリジェンスとオフィス情報システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.375, pp.23-28, 2011-01-13

OpenFlowの目的は,研究者や放送局,ネットワーク運用者からの異なった要求に従って,トポロジーやスイッチ間の接続を柔軟に変更できることを狙った技術である.いわゆるプログラマブルネットワークと呼ばれている.OpenFlowの特長を生かすためには,トポロジーが物理的にフルメッシュであるべきであるが,一般的に全国網は地理的・コスト的な問題からツリートポロジーで構築されている.つまり,全国に展開すべきOpenFlowネットワークを物理的なフルメッシュトポロジーで構築することは実践的ではない.我々は,既存のR&Dネットワークテストベッド上にOpenFlowネットワークをオーバーレイする手法を提案し,提案する手法の有用性を確認するために構築したネットワークを用いて実証実験を行った.全国展開したOpenFlowネットワークを用いて,放送局からの厳しい条件を満たす必要がある映像を伝送した.
著者
高橋 成明 浅野 一幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.469, pp.23-30, 1999-11-26
被引用文献数
4

電動車いすが電磁波により誤作動を起こす事例が報告されている.本報告では,電磁波により電動車いすが誤作動を起こす原因を究明するために,放射イミュニテイ試験と携帯無線機を用いた近接照射試験を行った.イミュニテイ試験の結果,電磁波照射で車輪回転速度が減速する現象が観察され,これがハーネス部から速度制御回路への高周波の侵入で生ずることがわかった.次に,ハーネス部への無線機近接照射試験で電動車いすの正常作動時と誤作動時の速度制御回路内の制御電圧を比較することで誤作動原因の特定を試みた.その結果,制御回路へ基準電圧を供給している電圧フォロワOPアンプと制御回路を構成するスナバ回路のダイオードが高周波の侵入で直流出力の低下を起こし,基準電圧の低下による安全回路の作動及び速度制御電圧の低下により減速する(安全回路は,異常が起きた場合には減速する設計となっていた)ことが判明した.
著者
山根 信二 村山 優子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. FACE, 情報文化と倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.207, pp.1-5, 2001-07-16
被引用文献数
2

1990年代以降のアメリカにおけるComputer Ethicsの制度化に注目し, その歴史的展開について報告する.コンピュータサイエンスのカリキュラムの見直しやアクレディテーションの実施によって, Computer Ethicsはより重要なものとして位置づけられはじめている.基本文献の整備には, 教科書としてのアンソロジーが重要な役割を果たしており, その基本文献の見直しもまた同時にすすめられている.
著者
柏野 邦夫 村瀬 洋
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声
巻号頁・発行日
vol.96, no.540, pp.21-26, 1997-02-21
被引用文献数
3

同時に複数の認識対象が混在する音の認識では,音源同定処理が必要である.本稿では,音楽の生演奏など,実環境における音の多様性や変動にも対処できる音源分離同定を行うことを目的として,適応型テンプレートを用いた音源同定処理を提案する.さらに,この処理を応用して,同時に複数の音を認識対象とするシステムの代表例であるアンサンブル演奏の認識システムを構築する.構築したシステムに対し,自然楽器音の単音によるベンチマークテスト,およびアンサンブルの生演奏を用いた音楽認識テストを行った結果,単純なマッチトフィルタによる音源同定処理に比べ,提案手法が有効であることが確かめられた.
著者
野本 忠司 松本 裕治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション
巻号頁・発行日
vol.97, no.200, pp.1-6, 1997-07-25

本稿では大学生を中心とした被験者112名について要約文指摘能力に関する調査を行い、そのデータをもとにした自動要約手法について述べる。要約問題は日本経済新聞95年の記事から随想 (春秋)、社説、一面報道の各分野別に粒度の揃った記事を選び作成した。調査結果はKappa統計と呼ばれる尺度で評価し、さらに調査データから要約文判定の被験者間一致度を調べ、その高低に応じていくつかのデータセットを作成した。一方、自動要約の手法として、C4.5学習アルゴリズムを使い、上記データセットに対する要約モデルの生成とテスト実験をおこなった。実験の結果、K値と自動要約モデルの性能との間に相関傾向があることが認められた。
著者
後藤 真孝 村岡 洋一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.77, no.5, pp.901-911, 1994-05-25
被引用文献数
22

本論文では,複数の打楽器のみで演奏された音楽から各打楽器音の発音時刻と強度を認識する音源分離システムについて述べる.音源分離とは,複数の音源の音が混在している音響信号からそれぞれの音を分離して認識する技術であり,曲の音響信号からその楽譜を作り出す自動採譜において,中心となる重要な処理である.従来,楽音を対象にした音源分離システムは研究されてきたが,それらの手法は打楽器音に対して適用することができない.そこで本論文では,打楽器音の音源分離を実現する認識手法を提案する.本手法では,事前に登録してある打楽器音のテンプレートパターンと入力パターンとの距離を,改良したテンプレートマッチングにより求めてしきい値処理する.我々は,音量補正法,音源分離を実現する距離尺度,選択的注意の機構の三つの点でテンプレートマッチングを改良した.これにより,複数の音が混在したり音量が変化した場合にも各打楽器音を認識できる.本システムをワークステーション上に実装し,打楽器音の音源として電子楽器を用いて実験した結果,8Beatのドラムパターンの演奏音を音源分離することができた.
著者
小川 英光
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.86, no.3, 2003-03-01
被引用文献数
2
著者
安藤 友二 齊藤 綾亮 柳田 康幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.379, pp.51-55, 2009-01-08

我々は車両のフロントピラーによる遮蔽箇所を透明化することを目的とした,「投影型シースルーピラー」を提案している.しかし,本手法では,運転手の眼と光源(プロジェクタ)の位置が光学的に一致しない為,投影する画像が歪んでしまう問題があり,補正を行う必要がある.そこで,本稿では,ステレオカメラ画像から自然特徴点に基づき平均奥行き値を求め,運転手の視点に対応した画像を生成し,その画像に対して,ピラーの形状,プロジェクタ投影位置に対する補正を行った.結果はピラーに投影された画像が実世界と自然に繋がっていることを示している.
著者
後藤 英昭 阿曽 弘具
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.78, no.3, pp.465-473, 1995-03-25
被引用文献数
8

文字領域の抽出は,文書画像に対して文字認識処理を適用する際の,必須な処理である.本論文では,文書画像から文字領域を抽出する新しい手法:区分直線連結法(Linear Segment Linking)を提案する.本提案手法は,文書画像中の区分直線状の要素を文字行と仮定して抽出するもので,文書構造に関する知識を必要とせず,画像のゆがみなどにも耐性があることが示される.本手法では,画像の中間表現として新しく定めた基本矩形を用いるが,これは行方向にぼかしを入れて抽出される定まった幅の矩形(高さは画像に依存する)である.この基本矩形は,外接矩形よりも容易かつ高速な生成が可能なものとなっている.また,文字行抽出処理の段階で行間の結合(ブリッジ)を強制的に切り離す処理を導入している.これによって,文字行間に若干の接触のある文書からも安定な文字行の抽出が可能となることが示される.
著者
吉田 英輔 角川 裕次
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SS, ソフトウェアサイエンス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.331, pp.27-32, 2005-10-06
被引用文献数
1

従来のプログラミング演習の問題点として, 指導者への評価負担が大きいこと, 学習者のスキルに関係なく同一の課題が与えられること, コードを書く学習が中心で, ソフトウェアテストやコードリーディングに対する学習が行われていないことなどが挙げられる.これらの問題を解決するため, 指導者への評価負担をなくし, 教材自体に評価機能を持たせることを目的とした評価手法Triple Checked Testingを提案する.さらに, プログラミング全般のスキルを向上させるため, テスト駆動開発に基づいた演習を通して, ソフトウェアテストやコードリーディングの学習を支援する, プログラミング学習支援システムSTANDを開発した.
著者
森田 健夫 山口 満 田所 嘉昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.87, no.12, pp.2271-2279, 2004-12-01
被引用文献数
19

自動採譜の実現において,音楽信号の音高を推定する処理は最も重要であり,リアルタイムでの処 理が望まれている.本論文では,多重唱を対象とした計算量の少ない音高推定法を提案する.提案法は,1オクターブ12音名に対応するくし形フィルタを並列接続したシステムと,その出力値を利用することで音高を推定する.これは,くし形フィルタが対応する音の全周波成分を除去可能であること,更に,上述のシステムの最小出力を検出することで,入力中の1音を推定できることに基づいており,加減算主体の処理で簡単に実現される.実際の多重音を用いた評価実験を行った結果,従来法(トリー法,SVD法)より,約1/5から1/30の処理時間でほぼ同等の音高推定結果が得られた.
著者
二宮 敬虔 橋本 樹明 向井 正 中村 昭子 中村 正人 小笠原 雅弘 吉沢 直樹 石田 十郎 水島 泰彦 細田 寛人 高野 匡代
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス
巻号頁・発行日
vol.98, no.278, pp.69-75, 1998-09-18
被引用文献数
1

日本初の火星探査機、「のぞみ/PLANET-B」搭載のMars Imaging Camera(MIC)は、小型軽量の可視CCDカメラである。CCDは、波長分離のためにRGBそれぞれのフィルターで覆われた3ラインからなる。MICのCCDのライン方向は「のぞみ」のスピン軸にほぼ平行で、MICでは、「のぞみ」のスピンを利用して2次元画像を取得する。われわれは、画像の幾何補正や感度補正に必要な特性を地上試験で取得した。また、複数の方法を用いてMICの総合的な撮像機能の確認試験を行った。現在、打ち上げ後の機上校正試験を行っている。
著者
徳元 大輔 池戸 丈太朗 金子 孝夫 片岡 章俊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 = The transactions of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers. D-II (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.87, no.9, pp.1870-1883, 2004-09-01
被引用文献数
1

今日,ネットワークの双方向性を活用し,情報を受信するだけではなく,ネットワークの情報発信性という特性を有効に活用するためのサービスやシステムが注目を集めている.本論文では,IPネットワークを介して演奏者間のインタラクションがない合奏(以降,遠隔地間の合奏と記述)を行い,更に遠隔地の聴衆に演奏音間の時間同期を確立して,聞かせることができる遠隔合奏システムヘの適用を目的に開発した同期再生技術について報告する.また,音響信号間の時間同期を確立するための同期情報の検出方法としては,帝域制限相関法を考案した.この帯域制限相関法により検出される同期情報の精度を評価した結果, RTP(Real-Time Transport Protocol)によるパケット単位の同期では,最大27msとなる同期ずれを解消することができ,0.1ms以下(サンプリング周波数44.1 kHz)の精度で演奏音間の同期再生を実現できることが分かった.また,開発した同期再生技術を評価するための同期再生実験評価システムを構築し,その性能についても評価を行った.
著者
齋藤 忠志 大谷 純 上土井 陽子 吉田 典可
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.724, pp.25-32, 2000-03-22
被引用文献数
2

オンラインに逐次発生するジョブをネットワーク上のどの資源に割り当てると効率良い処理が行えるかを考える負荷分散問題であるオンラインスケジューリング問題について考察する。Aspnesらにより8-competitive ratioをもつオンラインアルゴリズムSLOWFITが提案されている。理論的にはSLOWFITは効率の良い手法であるが、実験的には貪欲法GREEDYが良質な解を得ている。本稿ではSLOWFITに導入されているステージの概念とダブリング・トリックに注目して、新しい2つのオンラインスケジューリングアルゴリズムを提案する。シミュレーション実験により、提案手法の有効性を検証する。
著者
郭 軍 孫 寧 根元 義章 木村 正行 越後 宏 佐藤 利三郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.4, pp.835-842, 1993-04-25
被引用文献数
12

手書き文字認識の高精度化を妨げている大きな障害の一つに,筆記者それぞれの書き方による文字パターンの不規則な変形が挙げられる.手書き文字の個人差の影響を軽減するために,特徴量抽出やマッチング時にパターンをぼかす手法が提案されている.しかし,これらの手法は文字の変形が大きい場合,有効な手法となり得ず,限界があることは一般的に知られている.本論文では,手書き文字の個人差による変形を矯正し,高精度に認識する新しい手法として余弦整形変換を利用した手書き文字認識アルゴリズムを提案する.提案する余弦整形変換は,入力パターンに対し,余弦関数の部分的な非線形特徴を利用することによって,文字が上下左右のどちらかに偏っている場合に整形する機能と,最も情報量が集中している文字の中心部分を拡張する機能をもっている.提案アルゴリズムの有効性を検証するために,ETL9Bを用いて認識実験を行った.実験では,100次元程度の低次元特徴量を用い,約60万字について認識実験を行った.その結果,学習データセット(奇数セット)では93.24%,未学習データセット(偶数セット)では91.63%,平均で92.44%と高い認識率が得られた.余弦整形変換を使用しない場合に比べ,平均して5%以上認識率が高くなっていることおよび品質の悪いデータセットほど認識率の上昇度が大きいことから,提案する余弦整形変換は手書き文字認識において極めて有効であることがわかった.
著者
高橋 由多加 白石 陽 高橋 修
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SR, ソフトウェア無線 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.252, pp.193-198, 2010-10-20

近年,2.4GHz帯を使用する無線機器が増加してきている.その中でも,無線LANはオフィスや家庭,公共施設などに導入されてきているが,一定エリア内に複数の無線LAN機器が存在する場合,電波干渉が問題となる.電波干渉を低減するためには,空きチャネルの検出が必要だが,全てのチャネルが使用中であるケースも想定される.その場合,どこのチャネルが通信に適しているのかを知ることで,通信の安定性やスループットの向上が可能になる.本研究では,Duty Cycleという観測時間における閾値を超えた電界強度の割合をチャネルごとに解析することにより,各チャネルのトラフィック量を予測し,最適チャネルの検出を行うことを目的とする.さらに実環境による実験を行ない,Duty Cycleを用いることで各チャネルのトラフィック量の予測が可能であることを検証した.