著者
大谷 真弘 山田 仁 西尾 公裕 古川 雄三 米津 宏雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.736, pp.25-32, 2002-03-12
参考文献数
11

節足動物であるカブトガニの側眼は非常にシンプルな構造にも関わらず、初期視覚機能において最も重要な動きおよびコントラスト検出機能を有している。本報告では、そのモデルに基づき、単一の基本回路によって時間的および空間的なコントラストの検出を行うアナログネットワークの構築を行った。その結果、構築したネットワークの基本回路は、Miller効果などによる寄生容量の顕在化を利用することによって、9個のMOSFETのみで構築できた。また、SPICEを用いたシミュレーションより、構築したネットワークが、そのシンプルな回路構造に動き検出機能と空間的なコントラストの検出機能の両方を含むことを確認した。
著者
横本 広章 長野 勇 八木谷 聡 小阪 友裕
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム
巻号頁・発行日
vol.98, no.359, pp.1-6, 1998-10-23
参考文献数
5

近年、低周波電磁界に関する人体や機器に対する影響について色々と報告されている。そこで、試作されたシールド材の低周波(〜10MHz)における遮蔽特性を測定するために、Cuと1%硅素鉄でシールドボックスを作成して測定した。本報告では、この測定の理論的確認手段として、シールドボックスの側面を考慮にいれない平面層状とみなしてSommerfeld積分を用いて数値計算し、測定結果と比較した。その結果をグラフ化するとかなり一致していることが分かった。
著者
伊吹山 秋彦 濱田 剛 中里 直人 奥山 祐市
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RECONF, リコンフィギャラブルシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.247, pp.7-12, 2006-09-08
被引用文献数
9

2次元Kolmogorov Smirnovテスト(KSテスト)[3],[5]は,2つの2次元分布が同じであるか,あるいはどの程度異なっているかを評価する手法である.KSテストは計算量がデータ数の2乗のオーダで増加するため,これまで応用事例は限られたものしかなかった.今回,我々は2次元KSテストの最も計算時間を要する部分が粒子シミュレーションの粒子間相互作用のかたちで表すことができることに着目し,PROGRAPE-4ボードを用いて高速に実行することに成功した.本稿ではPROGRAPE-4による2次元KSテストの実装の詳細と性能評価を示すとともに,天体物理学分野での応用例を示す.
著者
垂水 浩幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. KBSE, 知能ソフトウェア工学
巻号頁・発行日
vol.97, no.503, pp.1-8, 1998-01-23
参考文献数
41
被引用文献数
5

1997年に開催されたCSCW関連の二大会議ECSCW'97とGroup'97に参加した。これらの会議で発表された研究成果を中心に、グループウェアの最近の動向、特にワークフロー、共有ワークスペースの動向について述べる。ワークフローにおいてはワークフローのダイナミックな変更、同期型グループウェアとの統合、複数組織を跨ぐフロー、実用事例研究などが盛んである。共有ワークスペースでは、Webベースの実用的なシステムが出てきている。
著者
谷口 博人 井上 美智子 増澤 利光 藤原 秀雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. COMP, コンピュテーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.724, pp.9-16, 2000-03-22
参考文献数
6

移動端末だけからなる分散移動システムであるアドホックネットワーク上でのクラスタ構成法を考察する.クラスタ構成法とは, ネットワーク上の全ノードをクラスタヘッドとそれと直接通信可能なノードであるクラスタメンバからなるクラスタに分割することである.分散システムの問題として, 端末の移動や, トポロジーの変化に伴うオーバヘッドを考慮しなければならない.本稿では, アドホックネットワーク上にクラスタを構成するクラスタ構成法および, 移動端末の移動などによりトポロジーが変化した場合に対応するクラスタ再構成法を提案する.提案手法は, クラスタ構成法, クラスタ再構成法ともに, 従来手法に比べ, クラスタ数が少ない, またクラスタヘッドの変更数が少ないことをシミュレーション実験で示す.
著者
田畑 惣太郎 岩崎 慶 高木 佐恵子 吉本 富士市
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLC, 言語理解とコミュニケーション (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.668, pp.1-6, 2005-02-18

現在, 多くの情報検索システムがあるが, モバイル環境で利用できるものは少ない.本稿ではモバイル環境で簡単に利用できる花の画像検索システムについて述べる.本システムは, 携帯電話を用いて撮影した花の画像とその位置情報, および花の簡単な特徴を花の画像検索サーバに送り, 検索した結果を携帯電話で確認するシステムである.特徴量の和による順位付けと, 各特徴量の順位を用いた順位付けの2種類について, 特徴量の重みを変化させて, 検索方法の評価を行った.その結果, 目的とする花が第1位から第10位までに入ったものが最も高かった組み合わせにおける検索率は, 前者で89%, 後者で87%であった.
著者
田中 浩 岩田 和之 改田 徹哉 根井 敏之 泉田 史
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OFT, 光ファイバ応用技術 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.545, pp.21-24, 2007-02-23

この論文では,1999年〜2005年までに発生した生物被害について分析した結果と,設備の信頼性,保守稼動削減を考慮した対策方法について説明します.
著者
今野 良彦 森 康久仁 松葉 育雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.573, pp.21-26, 2007-02-26
参考文献数
5

本来時系列データからリアプノフ指数を推定する場合,大量のデータを必要とする.しかしながら常に十分な量のデータが得られるわけではない.そこで,著者らはブートストラップ法を用いて,少数時系列データからリアプノフ指数を精度よく推定する方法を提案している.ローレンツモデルなどのシミュレーションデータで実験を行った著者らの提案法は,時系列の自己相関が短くなければブートストラップ法を用いた提案手法の効果が得られることを示した.そこで本研究では,実際の時系列データである日次日経平均と日次TOPIXを用いた検証をする.実験結果より実際の時系列データでもある程度の自己相関があれば提案法の効果が得られた.また経験的であるものの,ブートストラップ長の適切な値の傾向を示すことができた.
著者
安藤 大 渡辺 浩志 林 泰仁 小谷野 浩 椎名 高之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, 1997-08-13
被引用文献数
2

近年, インターネットにおいて双方向のリアルタイム音声通信を行うインターネット電話という種類のアプリケーションが普及し始めている. また, インターネットと既存の電話網間でプロトコル変換を行い音声通信を可能とするゲートウェイ(GW)を用いて, <電話-GW-インターネット-GW-電話>の通信リンクを確立し, 通信料金を節約するサービスなども提案されている. しかし, これらのアプリケーションやサービスは, 基本的に独立したサービスとして提供されているため, インターネットと電話網を統合して扱える音声通信サービスが求められていた. 本報告では, インターネットと電話網を統合して音声通信を行うシステムの構成方法について検討し, 本システムの有効性について考察する.
著者
石川 貴久 伊藤 知恵子 細矢 良雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.230, pp.7-14, 2001-07-19
参考文献数
8

10GHz以上の周波数帯を用いた衛星通信回線において大きな問題である降雨減衰に対する改善法として、地球局を2つ以上離して設置し、切り換えて通信を行うサイトダイバーシチが提案されている。現在、サイトダイバーシチ改善効果に関して、2つの方法がITU-Rにより勧告化されているが、これらは、サイトダイバーシチ効果に影響があると考えられる気象パラメータを考慮しておらず、改善の余地がある。本研究では、北見工業大学データバンク(ITU-Rデータバンクの約2倍)と気象パラメータとしてDuttonの雷雨率を用い、既存のITU-R推定法の改善を試みた。その結果、既存の推定法と比較し、本研究で得られた推定法により推定精度が向上できることを示す。
著者
福田 裕海 山岡 克式 酒井 善則
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.441, pp.47-52, 2004-11-11

IPでの移動性を実現するモバイルIPに関してハンドオフ時の切断時間とそれに伴うパケットロスに関する様々な検討が行われているが,ストリーミングアプリケーション利用時にハンドオフ時の経路変更が引き起こす遅延変動により生じる移動端末の再生品質劣化についてはほとんど検討されていない.そこで本研究ではこの問題を解決する新しいハンドオフ手法を提案する.本提案方式では,ハンドオフごとに複数の経路を設定,保持し,ストリーミングの再生に適した遅延変動の少ない経路を移動端末がハンドオフ時に受信経路として選択することによりハンドオフ時のストリーミング再生品質劣化を減少することが可能となる.これにより再生ストリーミングの初期バッファ量を減少させることができ,再生遅延やバッファ量の減少が可能となる.計算機シミュレーションにより提案方式の有効性を示した.
著者
片桐 麦 佐藤 良太 大池 正信 鈴木 芳人 鹿野 満 内田 龍男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EID, 電子ディスプレイ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.146, pp.1-4, 2009-07-16

スクリーン下側からのプロジェクタ光のみを観察者の存在する正面方向に拡散させるスクリーンを考案した。これにより明るい環境下における高いコントラスト比を有するフロントプロジェクションディスプレイを実現した。
著者
本岡 勝政
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, 1997-08-13

人間の記憶検索動待性の微細構造に着目すると、悉皆モデル (Exhaustive Model) に整合しない部分がみられる。本研究においては特性の終端部分における検索微細構造を中心に解析した結果を報告する。
著者
野口 孝文
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.336, pp.47-50, 2005-10-08

我々は, コンピュータ上に可視化したオブジェクトをダイナミックに組み合わせプログラムすることができるIntelligentPadシステムを用い, 教材を自由に再編集できる学習支援システムを作成してきた.当初開発してきた学習支援システムは, Smalltalkを用いて開発してきたが, 現在はC++を用いている.コンピュータシステムの性能が向上した現在, Smalltalk上に開発環境を構築することは, 多様なOS環境の上でシステムを利用できるなどの多くの利点がある.本論文では, Smalltalk系システムであるSqueak上に, SqueakのGUIフレームワークであるMorphクラスのサブクラスとしてIntelligentPadシステムを開発したことについて述べる.
著者
長名 優子 服部 元信 萩原 将文
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング
巻号頁・発行日
vol.95, no.598, pp.73-80, 1996-03-18
参考文献数
22
被引用文献数
1

本報告では, 1対多の連想を可能とするカオス双方向連想メモリ(Chaotic Bidirectional Associative Memory : CBAM)を提案している. 従来の多くの連想記憶モデルでは, 想起時に生じる干渉のために1対多の連想を行うことはできない. また, 1対名の連想が可能なモデルでも, 想起時に生じる干渉を取り除くために人為的な制御や特別なネットワークを必要とする. これに対して, 提案モデルは従来の双方向連想メモリ(Bidirectional Associative Memory : BAM)の一部にカオスニューロンを用いた非常にシンプルな構造で, 1対多の連想を実現している. 提案モデルでは, 学習パターンに文脈情報を付加して学習し, この文脈情報に相当する部分にカオスニューロンを用いている. カオスニューロンが想起時につくり出すカオスによって文脈情報が遷移することで, 1対多の連想を可能にしている. 計算機シミュレーションを行い, 提案モデルの動作を確認し, 有効性を示した.
著者
小畑 博靖 平 和弘 石田 賢治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.628, pp.85-90, 2006-03-02
参考文献数
16
被引用文献数
2

広帯域かつ高遅延な衛星インターネット上において,従来のTCP(例えばNewReno)を用いると十分なスループットが得られないことが知られている.このような衛星インターネットに適したTCP幅輳制御方式としてTCP-STARが提案されている.TCP-STARは衛星インターネット上において,従来TCPと比べて高いスループットが得られることがシミュレーションにより確認されている.しかし,実ネットワークではシミュレーションのような理想的な環境で通信を行えることは少なく,実装による性能評価が不可欠である.そこで本稿では,先ず実ネットワークにおけるTCP-STARの評価を行うため、NetBSD1.6.2-Releseのカーネル内にTCP-STARを実装した.次に,ハードウェアネットワークエミュレータを用いて衛星回線を考慮したテストベッドを構築し,このテストベッド上で既存TCPとTCP-STARとをスループットに関して比較評価した.その結果,実装したTCP-STARは従来のTCP(TCP-NewReno)および無線ネットワーク用TCP(TCP-J)と比べて高いスループットが得られ,衛星回線上においてTCP-STARの機能は効果的に動作することを確認した.また,実装したTCP-STARにより得られた結果は,シミュレーションにより得られた結果とほぼ同等の値が得られていることが分かった.
著者
斉藤 俊介 寺岡 文男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.354, pp.19-24, 2003-10-08

本稿では,無線ネットワーク環境に適したトランスポートプロトコルTCP-JをNetBSD1.6.1-Releaseのカーネル内に実装し,dummynetにより無線区間をエミュレートすることで既存のTCPとの性能比較を行った.その結果,TCP-Jは無線リンクでのランダムなセグメント損失率が2×10^<-2>のとき,NewRenoと比べて約128%,SACKと比べて約100%のスループット向上んを得ることができた.また,TCP-Jはセグメント損失率が0の場合は従来TCPと公平にバンド幅を分け合い,セグメント損失率が増加して従来TCPのスループット低下によって無線リンクの上のバンド幅に空きができた場合には,他のTCP通信を圧迫せず,その帯域を有効利用してスループットを改善できることが分かった.
著者
酒井 隆道 寺田 賢二 櫟 粛之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.88, no.5, pp.958-968, 2005-05-01

近年, オンライン評判メカニズムが着目されている.既にそれは広く適用が進んでおり, その有効性も確認されつつある.しかし, その信頼性に関してはいまだ確固たる保証は得られていない.オンライン評判メカニズムは評価のエラーやノイズ, あるいは不正な嘘の評価申告という外乱に対して頑強である必要がある.更に, 人間が介在しないマルチエージェント環境においては悪意のあるエージェント, あるいはその集団による不正な評価申告による外乱(攻撃)の影響はより甚大なものとなり得る.既存のオンライン評判メカニズムは必ずしもそのような外乱を十分に考慮しているわけではない.そこで, 本論文では確率的近似法を用いた頑強なオンライン評判メカニズムを提案する.本メカニズムはエージェントの大域的な信用性を表す信用度を各エージェントごとに割り当て, その推定値をエージェント間の相互評価の申告に基づいて動的に更新する.シミュレーション実験により, 本メカニズムは外乱のある状況下においても良いエージェントと悪いエージェントを効果的に特定できること, 更に真の信用度の変化に対しても適応的に対応できることが確認できた.
著者
大出 訓史 安藤 彰男 谷口 高士
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.71, pp.1-6, 2010-06-03

近年,臨場感という観点から映像・音響メディアの研究が行われている.臨場感という言葉は,再生品質の評価において「リアリティ」の同義語として用いられるが,現実場面では心を揺さぶる体験にも用いられ,その定義は定まっていない.臨場感の要因を探ることを目的に著者らが行ったアンケート調査の結果では,臨場感の定義として「目の前に」といった近さを挙げる例が多かった.本報告では,臨場感と近さの関係を調べるため,音源との距離を変えて音楽聴取実験を行った.その結果,生演奏という現実場面でも,演奏者に近づいて聴取することで臨場感が高まることが分かった.また,収音位置の異なる再生音を聴取した場合,臨場感は主観的な近さと相関は高かった.「迫力のある」,「はっきりした」,「動きの大きい」といった印象が高い場合に,再生音に対する臨場感の評価が生演奏を上回ることがあった.これらの結果より,忠実に再現されているかというよりも特定の印象が強調されているとき,臨場感が高く評価される可能性が示された.