著者
大熊 康浩 黒木 一男 山本 弘 定由 征次
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EE, 電子通信エネルギー技術
巻号頁・発行日
vol.98, no.172, pp.13-18, 1998-07-13

一般に、安価で効率の良い交流安定化電源としてはトランスのタップ切り替え方法がしばしば用いられる。近年、これらは、照明器具の節電装置として需要が高まりつつあるが、出力電圧を電源電圧の変動に応じて常に一定には出来ない。これらを解決する方法に交流チョッパがあるが、双方向スイッチやスナバ回路に問題があり、実用化された例は少ない。そこで、著者らは交流チョッパ技術に基づく新しい回路構成の多機能電源MPSを開発した。本論文では、PWM制御により出力電圧の調整が可能な、MPSの主回路構成とその動作、および、MPSを直列形電圧補償装置に応用した場合の実験結果についても述べる。
著者
富永 英之 石北 朋宏 有坂 有紀子 樋口 徹也 織内 昇 遠藤 啓吾
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.91, no.7, pp.1708-1714, 2008-07-01

分子イメージングとは,生体内で起こる様々な生命現象を外部から分子レベルでとらえて画像化することであり,様々な画像装置が開発されている.最近,分子イメージングに最も適した手技として,社会的にも注目を集めているのはPETといえよう.PETとは放射性物質で標識した薬剤(トレーサー)を投与し,細胞及び組織の機能をイメージングする方法である.日本では2002年に[^<18>F]FDG(2-deoxy-2-[^<18>F]fluoro-D-glucose)というトレーサーが腫瘍に対して保険適用ができるようになり,これまでごく一部の施設で使われていたものが,多くの病院で利用されるようになった.またPETは[^<18>F]FDG注射液を静注することだけで検査ができる低侵襲な(患者の痛みなどの負担の少ない)方法であり,ほぼ全身を診断できるということでがん検診にも利用されるなど急速に普及している.PETはFDGという薬剤を注射することでほぼ全身の腫瘍が分かり,苦痛の少ない方法と注目されている.PETは生体内の機能をイメージングすることができるため,腫瘍に対して様々な角度から研究されている.
著者
森山 敦文 高橋 正生 内田 真人 鶴 正人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.577, pp.59-62, 2007-03-01
被引用文献数
4

インターネットがあらゆる空間・時間に拡大していく中で現れてきた劣通信環境(従来のインターネットと性質・前提が異なり,極めて不安定な通信性能を持つ)と必要な技術を概説する.次に,2つの簡単な仮想応用事例を紹介し,また,技術事例として,中継ノードでのメッセージバッファ溢れを低減し,限られた通信資源の利用効率を向上させるためのノード間フロー制御を示す.
著者
高取 祐介 長谷川 孝明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ITS (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.762, pp.35-39, 2005-03-22

本論文では車車間通信を用いた安全運転支援システムの普及段階での安全性の定量的評価を行っている.搭載車両および非搭載車両それぞれの安全性の評価指標を提案し, ミクロスコピック自律走行型交通流シミュレータを用いて車両1台1台の無事故走行距離を測定することで, システムの有無による安全性を定量的に評価している.警告型支援システムの効果をシミュレーションによって評価した結果, システム搭載車では普及率が20%から60%といった比較的低普及段階においても, およそ1.5倍程度ドライバの無事故走行距離が伸びることが示されている.さらに60%を超えると安全性が大きく増加することが示されている.
著者
星合 隆成
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.306, pp.45-55, 2001-09-07
被引用文献数
6

著者は、1998年にブローカレス型探索モデル(ブローカレスモデル)を提唱して以来、その実現技術として「意味情報ネットワーク(SIONet:Semantic Information-Oriented Network)」をこれまで提案してきました。そして、1998年末にSIONetプロトタイプα版、1999年末にSIONetプロトタイプβ版の試作を完了しました。さらに、2000年末にSIONet ver.1.0の開発を完了しました。本稿では、ブローカレス型探索モデルを紹介することにより、「P2Pの本質」について論じます。さらに、ブローカレス型探索モデル(P2Pモデル)の実現技術であるSIONetについて解説します。
著者
吉川 左紀子 中村 真
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.80, no.8, pp.1324-1331, 1997-08-25
被引用文献数
7

相手の顔の表情や, 性別, 年齢が話し手の発話行動にどのような影響を及ぼすのかを実験的に検討した. 48名の被験者(「話し手」)が, ディスプレイに提示される大学生または40代成人男女の顔写真(笑顔, 真顔, 怒り顔)に対して, (1)ペンを借りる, (2)道を尋ねる, (3)車をぶつけて謝る, (4)うるさい隣人に抗議する, という四つの発話状況で話しかける課題を行い, そのときの発話行動をビデオカメラで記録した. 発話行動は, 発話の文節数, 発話のていねいさ, 発話開始までにかかった時間, 発話の流ちょうさ,「話しかけやすさ」と「発話の自然さ」の自己評価(被験者による評定)という6種の指標によって分析した. その結果, 相手の顔の表情は, 発話表現のていねいさや発話開始時間, 流ちょうさ, 話しかけやすさ, 発話の自然さといった発話行動のさまざまな側面に影響することがわかった. 一方相手の年齢や性別は, 話しかけやすさや発話の自然さについての主観的評価には影響を及ぼしたが, 発話開始までの時間や流ちょうさといった遂行指標には影響しなかった. コミュニケーション場面における時間的制約の中での顔の認識の特徴について考察した.
著者
本間 毅寛
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. KBSE, 知能ソフトウェア工学
巻号頁・発行日
vol.93, no.30, pp.11-16, 1993-05-19

仕様の分析・定義といった工程を大幅に合理化・標準化する可能性を提供する形式仕様の手法を普及させることは今日の重要な課題である。OBJは代数仕様の手法に基づいたシステムであり、現在までに既に幾つかの実験的処理系が作成され、これらの考え方が実際に実現可能であることが明らかになっている。本研究ではOBJを基に、その実用化に向けて幾つかの側面から基盤を政備する予でである。本稿ではその内容を報告する。
著者
大西 勝 元垣内 敦司 三宅 秀人 平松 和政 曽根 弘樹 川口 靖利 澤木 宣彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SDM, シリコン材料・デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.68, pp.7-12, 1999-05-21

HVPE法によりGaNの選択成長を行い、その結晶学的評価を行った。格子パターンによるGaN選択成長では、マクロステップを有する表面モフォロジーがAFMで観察され、膜厚の増大とともに格子歪みが緩和した。ストライプパターンを用いたELO-GaNをマスクの材料により比較すると、SiO_2をマスクに用いたELO-GaNでは成長面でのc軸傾斜が大きいのに対し、W(タングステン)をマスクに用いた場合にはc軸傾斜が小さく、良質な結晶であることが示された。
著者
鳴海 真里子 梅澤 猛 今井 倫太
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.91, no.1, pp.37-50, 2008-01-01

本研究では,環境中に存在する物体に付加したセンサデバイスからの情報に基づき,人間・ロボット間のインタラクションの演出を選択する演出選択システムi-Director+を提案する.人間同士のインタラクションでは「今日は暖かいですね」といった実世界の情報に基づく対話により話者間の親密度が増し,会話がはずむ.しかし,多くの人間はロボットが感覚や感情をもつと想定していないので,実世界情報に基づくインタラクションを人間・ロボット間で実現することは困難である.i-Director+は人間とロボットのインタラクションを積極的に演出するために,演出と呼ばれる行動ルールをもつ.演出はセンサ情報に基づき選択される.また,i-Director+はShynessという概念を用いて演出を分類しており,演出に対する人間の応対のしやすさも考慮して演出選択を行う.更にロボットの存在する環境が人間の介入やロボットの移動により動的に変化するので,センサ情報の変化に迅速に応じて演出を選択し,人間の注目度の高い事象に対する演出を行う.本論文では,i-Director+をコミュニケーションロボットRobovie上に実装した.センサにはCrossbow社のMOTEを用いた.実際にi-Director+を動作させた結果,環境の動的な変化に基づいた演出の変更や適切な難易度の演出を選択できることが確認できた.
著者
武 小萌 張 文利 上條 俊介 坂内 正夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.207, pp.41-46, 2003-07-10

近年,映像情報システムの構築を目的とする研究が盛んに行われてきたのだが,このようなシステムに基づいて提案された実用的なアプリケーションはまだ少ないのが現状である.本稿では,映像内のオブジェクトに注目し,ドラマ登場人物人気投票システムと呼ばれるオブジェクト記述を利用した対話型映像情報利用システムを提案する.提案システムにより,ネットワーク上で複数のユーザが同じ放送映像を見ながら,登場人物に対して好感度に分けて投票する.投票情報がサーバ側で収集・蓄積・利用される一方,異なった登場人物の人気度,そして異なった映像時間帯の投票率等に関する統計量を提供することが可能である.
著者
花辺 充広 尾辻 泰一 メチアニ ヤーヤ ムバラク 佐野 栄一 浅野 種正
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.137, pp.291-295, 2006-06-26

2重入れ子型回折格子ゲートを有するInGaP/InGaAs/GaAs高電子移動度トランジスタを対象に、光励起2次元プラズマ不安定性を発振源とするテラヘルツ(THz)電磁波放射を室温観測した。低電子濃度プラズモン領域で励起された光電子群は、近傍の高電子濃度プラズモン領域に注入されプラズマ不安定性を誘発する。結果、生じたプラズマ共鳴振動を源とするTHz波放射が得られる。プラズモン領域と素子裏面のITOミラー間に形成される縦型共振器構造の効用により、放射THz波には利得が与えられる。レーザ2光波励起を行なった場合、直流光励起電子により励起された4.5THz近傍の共鳴振動成分が、差周波励起された5.0THzの共鳴振動成分により増強される効果が確認された。THz帯における注入同期発振の可能性を示唆する結果である。
著者
小野口 一則
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.90, no.8, pp.1998-2008, 2007-08-01

本論文では,雪や霧による視界不良時においても有効な移動体検出手法を提案する.降雪時や霧が濃い場合,視界は短時間で大きく変動する.また,吹雪など降雪量が多い場合には,各画素の輝度値がフレームごとに激しく変化するため,画素単位で輝度の変化を比較する手法では誤検出が多発する.これらの問題点を解決するため,画像を一定サイズの格子ブロックに分け,各ブロック内で蓄積フレーム数が異なる二つの輝度ヒストグラムを求め,その間の相関を算出することで移動体を検出する手法を提案する.雪が激しく降っている状況において実験を行った結果,本手法が視界不良時においても有効であることが確認できた.
著者
安藤 剛寿 関谷 好之 上原 貴夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, no.1, 1997-03-06
被引用文献数
1

各プレイヤは, 自分のハンドの他に, パートナのハンドのイメージと, パートナから見た自分のハンドのイメージを持つ. 私はつぎのビッドを決めるために, パートナのビッドを観察して, アブダクションによりパートナのハンドのイメージ (ビッドをした理由を説明できる仮説) を作る. ところが, パートナのビッドが, 彼女の持つ私のハンドのイメージによって決定されたものならば, 彼女が私のビッドからアブダクションによって作った私自身のハンドのイメージについても知る必要がある. さらに, 彼女の持つ私のイメージにも私が持った彼女自身のイメージが含まれる. このように, 各プレイヤはビッドのシーケンスを逆に辿って再帰的にアブダクションを行い, 観察したビッドのシーケンスを説明できるハンドのイメージを得ると考え, これをビッドを行うプレーヤのモデルの基本とした. このプレーヤがオークションにおいてパートナと協力して良いコントラクトに到達するかどうかは, ニ人の用いるビディングシステムによって左右される. 本研究では, よく知られたChales Gorenの本にあるビディングテーブルに従っている. しかし, このテーブルは最初の3つのビッド (オープニング, レスポンス, リビッド) しか決められないので, その後のビッドは常識的な判断に従うようにした. 例えば, 自分のハンドの点とパートナーのハンドのイメージにおける点の最小値を合計して24点以上, 31点以下ならばゲーム (4ハート, 4スペード, 3ノートランプ) をビッドする.
著者
下田 圭悟 行田 弘一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.118, pp.19-24, 2010-07-01

地震等の大規模な災害が発生した際,加入者電話網や携帯電話網のネットワーク等既存の通信インフラは,回線の混雑やケーブルの寸断等により利用できない場合がある.そこでこのような場合の通信手段として,インフラに依存せずネットワークを構築可能な無線アドホックネットワークの利用が期待されている.携帯端末を用いて無線アドホックネットワークを構成する場合,端末(利用者)の移動に対応し,自律的に通信経路を維持することが課題としてあげられる.また,端末のバッテリー容量には限りがあるので,接続1生を高める一方で電力をより低くすることが重要である.本稿ではアドホックネットワークを用いた場合のデータ配信率の向上および消費電力の低減を目的とし,AODVにおける経路情報保持時間とデータパケットの送信間隔を制御した場合のデータ配信率と経路情報パケット量との関係を明らかにする.
著者
石原 一志 坪田 康 奥乃 博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SP, 音声 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.154, pp.19-24, 2003-06-19
被引用文献数
4

環境音を擬音語に変換するうえでの問題として,擬音語表現が聴者により異なるという聴者依存性の問題が挙げられる.本研究は擬音語への変換処理を聴者に依存する処理と依存しない処理に分けることでこの問題を回避し,3段階の処理により環境音を擬音語に変換する手法を提案する.(1)時間軸上のパワー包絡から環境音を音節単位で切り分け,(2)音長・減衰速度から音節構造を同定し,(3)音素グループを利用した音素認識により音節構造を擬音語に変換する.認識実験によりこれらの手法の妥当性を確認した.セグメンテーションでは83.7 %/ 99.1‰長音の認識では84.6 %/ 100.0 %の適合率/再現率を得た.
著者
籠谷 裕人 南谷 崇
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-コンピュータ (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.77, no.8, pp.548-556, 1994-08-25
被引用文献数
12

従来,認識されてきた非同期式回路の有用性が,近年の論理素子の高速化に伴い再び注目を集めている.本論文では,論理素子遅延や配線遅延の上限が予測できないという厳しい遅延仮定のもとに,非同期式回路を合成する基本的な手法を提案する.本手法は,レジスタ間の転送や演算といった基本的な操作の間に成り立つべき依存関係を仕様とし,それを信号遷移の因果関係に直接写像することによって非同期式回路を実現する.具体的にはまず基本操作間の依存関係からなるグラフを仕様として与える.この依存性グラフから正しく回路が合成できるための条件としてsafenessなどを定義する.次にこれをもとに,その機能ノードを対応した回路素片に置換し,これらを接続することで制御回路を合成する.この制御回路はハンドシェークによって2相方式でデータパス部の制御を行う.本手法は,並列性を仕様中に容易に記述でき,論理合成のコストが低いという特徴がある.
著者
岩間 由希 細井 健太 趙 敦賛 森 竜雄 水谷 照吉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OME, 有機エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.592, pp.17-21, 2003-01-17
被引用文献数
1

有機ELの陽極として現在広く用いられているものにITOがある.ITOの表面の処理法を変え,それによる効果を接触角の測定や表面自由エネルギーを求めることによって検討した.またそれぞれの洗浄を行ったITO基板を用いて有機EL素子を作製し特性を比較評価した.表面処理にUVオゾン処理やO_2プラズマ処理を用いた場合,洗浄を行わない場合や有機洗浄のみの場合に比べITO表面はより親水性となり,また素子特性の向上がみられた.