著者
藤野 毅 ニン ウィリ 野本 健志 山田 明弘
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.I_1291-I_1296, 2014 (Released:2015-05-18)
参考文献数
10

This topic presents the effect of radioactive pollution in river on Stenopsyche sp. (Trichoptera: Stenopsychidae) at upstream and immediately downstream of Mano dam in Fukushima Prefecture, Japan. Stenopsyche sp. has high productivity with bivoltine life cycle among all invertebrate species, and can be a good indicator for any kind of environmental pollutions. The total radioactive cesium is always detected from Stenopsyche sp. with the order of 4,000 Bq/kg. A cause of high radiation intensity is due to very high intensity from the fine particulate organic matter (FPOM). However, its biological half-life was only about 6 hours for non-winter generation. Thus, FPOM is mostly excreted without assimilation.
著者
間瀬 肇 Tracey H. TOM 池本 藍 志村 智也 安田 誠宏 森 信人
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.I_115-I_120, 2014 (Released:2014-10-01)
参考文献数
6

地球温暖化対策およびエネルギー安全保障の観点から,再生可能エネルギー利用のさらなる進展が必要である.風力エネルギーは風速の3乗に比例して増加するが,経済性の向上には風況の良い場所の選定が重要となる.経済性の目安としては,ハブ高さ80mにおいて年間平均風速が7m/s以上とされている.陸上においては,全国風況データ,500mメッシュで解析した風況マップや風配図が提供されているが,日本沿岸海域においては,詳細な風況・波浪マップはまだ提供されていない.本研究は,今後の洋上風力発電施設の設置場所選定に役に立つように日本沿岸海域の風況・波浪マップを作成し,風と波の概況を把握するものである.
著者
久保田 謙作
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.I_504-I_509, 2012 (Released:2012-09-18)
参考文献数
4

海岸構造物の損傷・磨耗状況や消波ブロックの被災状況を知ることは,海岸構造物を維持・管理する上で極めて重要である.しかしながら,これまで消波護岸の海中部の磨耗状況を詳しく調査した例は殆どなく,磨耗のメカニズムも殆ど明らかにされていない.したがって,護岸や消波ブロックの磨耗・損傷の現地調査データの蓄積が望まれている.本論文では,新潟県親不知海岸における高速道路高架橋の波浪対策護岸工の磨耗調査を詳しく行い,損傷メカニズムを明らかにしている.さらに,現地海岸の構成材料および海象状況に応じた対策法を策定,実施しており,現時点でのその効果についても紹介している.これらの調査・対策法は,同様な波浪および海岸等の自然条件下で磨耗対策を実施する際に役立つものと考えられる.
著者
原田 紹臣 赤澤 史顕 速見 智 里深 好文
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.I_1213-I_1218, 2013 (Released:2014-03-31)
参考文献数
14
被引用文献数
1

Recently, many hazardous flooding cases caused by an irrigation tank overflow under concentrated downpour have been reported. Using a hydrograph to predict the overflow is an important countermeasure against hazardous flooding in the downstream area. Many preceding studies have considered only peak flow discharge without timescale for the hydrograph in the prediction of runoff characteristics due to irrigation tank flow. The present paper deals with the importance of the runoff characteristics and proposes a new index for the hydrograph to evaluate flooding risks in the downstream area, using numerical simulation. The proposed index includes both peak flow discharge and timescale for the hydrograph. Next, the applicability of the two-dimensional numerical simulation model is examined comparing the examples of damage with the in situ experimental results, which were carried out in a narrow channel located in a mountainous site.
著者
渡辺 雅子 山本 龍兵 采女 尚寛 上月 康則 岡田 直也 玉井 勇佑 野上 文子 河井 崇
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.I_916-I_920, 2015 (Released:2015-09-04)
参考文献数
5
被引用文献数
3

希少種ルイスハンミョウの生息地消失に対する代償措置として創出された海浜において,ルイスハンミョウ幼虫の生息可能な場所の面積を増やすための手法検討が本研究の目的である.そのため,幼虫の生息環境について,生息標高や植生被度,地盤の安定性を調査した.その結果,(1)標高0.7~1.0m,(2)植生被度25%以下,(3)地盤の変動係数6.7%以下の場所に生息していた.幼虫の生息場所を増やすためには,標高を調節する,植生を除去する,地盤を安定するなどの方法が考えられる.幼虫生息場創出実験により,調節した標高を維持することは難しいが,植生除去により創出した生息地を1年以上維持できることが分かった.以上のことから,維持管理や得られる面積の広さを考慮した結果,ルイスハンミョウ幼虫の生息場の創出方法として海浜植生除去が効果的であると考えられた.
著者
家田 仁 上西 周子 猪股 隆行 鈴木 忠徳
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.576, pp.69-82, 1997-10-20
参考文献数
29
被引用文献数
18 17

1995年1月の阪神大震災においては, 脆弱な建築物と貧困な街路インフラに起因して, 瓦礫や電柱の倒壊により, 数多くの場所で街路が閉塞し, 救助, 消火, 物資輸送などの救援活動など, あらゆる防災活動の局面で多大な影響を及ぼした. 本研究では, こうした街路閉塞による街路の機能的障害に着目し, 1) 既往の地震における街路閉塞の発生状況と既往の防災計画のスタンスを把握するとともに, 2) 航空写真を用いて街路閉塞現象を数値的に捉え, 3) その発生要因を考察し, さらに4) 街路閉塞が緊急活動に及ぼした影響を調査して, 今後の防災計画や都市計画のあり方を検討した.
著者
門間 俊幸 樋野 誠一 小池 淳司 中野 剛志 藤井 聡
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F4(建設マネジメント) (ISSN:21856605)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.I_327-I_338, 2011 (Released:2012-03-30)
参考文献数
20
被引用文献数
2

公共事業関係費の適正規模を検討するには,公共投資額とその効果についての適切な把握は重要な判断材料となる.現在,財政支出を行うための財源調達については,税金,利用者負担だけでなく,政府の公債発行が行われることが多い.公債発行は金融市場の需給に影響することから,経済状況がインフレ期なのかデフレ期なのかによって,公共投資効果も大きく異なることが予想される.本稿では,現在のマクロ経済状況を最新のデータに基づき分析・整理した上で,道路投資額及び道路整備量から国内総生産の変化等を推計するマクロ計量経済モデルを構築する.その際にインフレやデフレの時の需給バランス及びこれに伴う価格調整メカニズムを考慮することにより,現下の経済情勢等を踏まえた従来のマクロ計量経済モデルの課題点の検証を行った.その結果,現在の経済状況は流動性の罠に陥っているデフレ状態の可能性があること,デフレ時には国債発行によるクラウディング・アウトが生じ難いこと,公共投資の効果がインフレ時に比べ効果が大きく表れる傾向があることが示された.
著者
中瀬 仁 嶋田 昌義 弘重 智彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
地震工学研究発表会講演論文集 (ISSN:18848435)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.801-804, 2001 (Released:2010-06-04)
参考文献数
5

液状化地盤における地中埋設構造物について, 従来の液状化判定に基づく検討を適用した場合, 十分締め固められた良質な埋め立て地盤や, 浮き上がりが生じにくいと考えられる細粒分を含む埋め立て地盤においても浮き上がると判定され, 膨大な対策費が必要となる場合が想定される. 著者のグループでは, 浮き上がりを許容する性能設計を視野においた検討を進めており, 本稿では過去に報告された実験結果を対象に, DEM (個別要素法) を用いた浮上量予測に対するシミュレーション研究を実施した内容について報告する. シミュレーションでは, 地盤を締め固める対策を施したケースに比べて無対策の構造物の浮上量が大きくなり, 定性的な浮上の傾向が実験と一致した. また, 液状化地盤が構造物下部に回り込むメカニズムも再現できた.
著者
小池 淳司 漆谷 敏和 樋野 誠一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F4(建設マネジメント) (ISSN:21856605)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.I_13-I_19, 2012 (Released:2013-03-12)
参考文献数
21

公共事業の投資効果に関する議論は,かつて,IS-LM曲線を用いた分析が主流であり,そこでは,公共投資が民間投資をクラウディング・アウトさせるか否かに強い関心がもたれていた.この議論での著者らの既存研究の結論は,デフレ不況のように経済が流動性の罠に陥っている場合は,クラウディング・アウトは発生しないというものである.一方で,このIS-LM曲線を用いた分析では,将来の期待を十分に反映していないという批判,いわゆるルーカス批判に十分に答えられない.しかし,近年の動学的確率的一般均衡(Dynamic Stochastic General Equilibrium:DSGE)モデルの発展によって,この問題についての議論ができるようになった.そこで本研究では,2000年以降のデータをもとに,MCMC法によるベイズ推定によってディープ・パラメーターを求め,DSGEモデルを用いて経済がデフレーションであり,かつ流動性の罠の状態にある日本における公共投資,いわゆる,財政政策の効果を明らかにする.
著者
飯田 克弘 阪本 浩章
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.I_1095-I_1102, 2012 (Released:2013-12-25)
参考文献数
10
被引用文献数
1

現在,図形情報板に関する規定がなく,そのデザインが多様化している状況に着目し,名神高速道路(上り)草津JCT手前の図形情報板を対象に,ドライビングシミュレータを用いた室内走行実験を行なうことで,図形情報板のデザインの統一性に対する検討を行なった.「図形情報板のどの構成要素が図形情報板に求められる機能に影響を及ぼすか,その構成要素は機能の観点からどのような水準であれば良いか」という観点から,余白が大きい場合,および,文字高が大きい場合は被験者の属性に関係なく支持されること,路線名の文字装飾が無い場合は被験者の属性に関係なく支持されないことがわかった.また,図形情報板をデザインする上で,塗潰し・枠線(文字の装飾),余白の大きさ,文字高の3構成要素の表記に特に留意するべきであるという知見を得た.
著者
八尾 修司 山口 敬太 川崎 雅史
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D1(景観・デザイン) = Journal of Japan Society of Civil Engineers, Ser. D1 (Architecture of Infrastructure and Environment) (ISSN:21856524)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.95-107, 2015
被引用文献数
2

本研究は,1928(昭和3)年に都市計画決定した総合大阪都市計画の公園道路を対象に,公園道路網計画の詳細と,その一部である桃ヶ池・田邊公園道路の実現過程を明らかにするものである.本研究の結果,大阪市の公園道路網計画が自然の風致を活かした系統的な公園連絡を意図したものであったこと,この公園道路網の一部である桃ヶ池公園道路において,沿道地主の主体的な意志と大阪府建築課との協働により,壁面線後退を活用した良好な景観の形成が目指されていたことを明らかにした.また,同公園道路の設計及び整備の具体的内容とその変遷を示し,公園道路の形成の過程を明らかにした.
著者
秦野 拓見 村上 和男 石射 広嗣 門脇 麻人 桑江 朝比呂 中瀬 浩太
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B (ISSN:18806031)
巻号頁・発行日
vol.66, no.4, pp.419-433, 2010 (Released:2010-12-20)
参考文献数
43
被引用文献数
1

本研究では,大都市沿岸域に造成された潟湖型の干潟である「東京港野鳥公園・潮入りの池」において,夏期2潮汐間の水質調査を3年間行い,干潟域における窒素・リン・クロロフィルαの収支,動態について検討した.また,飛来した水鳥の個体数と,底生動物の現存量の調査を行い,干潟域の生物相を把握した.調査の結果,当該干潟は夏期に,リンの供給源,窒素・クロロフィルαの消費源として機能しており,堆積物と直上水間の無機態窒素,リンの交換フラックスは干潟全体の収支の主要因であることが明らかになった.干潟域には年間を通してカワウの飛来数が数多く観測された.水鳥が干潟系外へ持ち去るTN量は最大でも,夏期に水中から除去されるTN量の12%程度,TP量は最大でも隣接海域へ流出するTP量の10%程度と,その値は小さかった.
著者
中島 淳 島谷 幸宏 厳島 怜 鬼倉 徳雄
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
河川技術論文集 (ISSN:24366714)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.449-454, 2010 (Released:2023-04-14)
参考文献数
18
被引用文献数
1

The restoration of river ecosystems is of worldwide interest. Although various techniques have been designed, an effective method for environmental evaluation is necessary. We report a new method for the evaluation of the riverine environment on the basis of simple fish ecological data. The 16 indexes studied were (1) native species, (2) alien species, (3) red list species, (4) genuine freshwater fish species, (5) amphidromous or brackish water fish species, (6) swimming species, (7) benthonic species, (8) flowing water species, (9) still water species, (10) permanent water species, (11) temporary water (flood plain) species, (12) spawning in vegetation area species, (13) spawning in muddy bottom species, (14) spawning in sandy-gravely bottom species, (15) spawning under rocks species, and (16) spawning in mussel species. The reference data is the maximum number of potential species . First, the fish fauna data of the evaluated point was obtained. Next, a radar chart was prepared with regard to the 16 indexes. Although this assessment method can be applied in the same ecoregion, it provided a good evaluation.
著者
細田 暁
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:24366021)
巻号頁・発行日
vol.79, no.12, pp.23-00037, 2023 (Released:2023-12-20)
参考文献数
12

山口県の品質確保システムにおける橋台のコンクリート施工記録を活用して,ひび割れ発生確率曲線を作成し,示方書に示される曲線との比較や考察を行った.示方書の曲線と比較し,明らかに左にシフトしたものが得られ,解析に用いた熱膨張係数が,山口県のコンクリート工場群で作製した供試体の計測から得られた熱膨張係数よりも大きいことによると考察した.実験で計測された熱膨張係数を用いて作成した曲線は示方書の曲線とほぼ重なることが確認された.コンクリート施工記録の全てのリフトのデータを用いた場合,正規分布を仮定して曲線を作成する際の引張強度,引張応力の変動係数が19%と既往の研究に比べて大きくなり,2010年以降のデータのみの場合の変動係数は12.5%と小さく,施工の基本事項の遵守が浸透したことで,品質が向上したと考察した.
著者
神戸 信人 尾高 慎二 康 楠 中村 英樹 森田 綽之
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.I_1017-I_1025, 2015 (Released:2015-12-21)
参考文献数
5

近年,我が国では,地域の自発的な取り組みによりラウンドアバウトの社会実験や導入事例が増え,平成25年6月には道路交通法の一部を改正する法律が成立し,ラウンドアバウトが環状交差点として法的に位置付けられた.一方,未だラウンドアバウトの導入事例が少ないため,ラウンドアバウトを導入する際に必要となる,自動車や横断歩行者・自転車の交通状況の実測値を踏まえた交通容量上の判断基準は明確になっていないのが現状である.本研究では,ラウンドアバウト運用のされている既存円形交差点やラウンドアバウト社会実験での観測データを用いて,実現交通量の特性を分析した上で,軽井沢町六本辻ラウンドアバウトで観測された交通容量に関する考察を行うとともに,提案されている横断歩行者等を考慮した流入部交通容量推定式との比較を行う.