著者
桃木 昌平 蔡 華堅 塩谷 智基 小林 義和 宮永 孝志
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
構造工学論文集 A (ISSN:1881820X)
巻号頁・発行日
vol.57A, pp.959-966, 2011 (Released:2011-08-01)

Ageing concrete structures have been significantly increasing. To sustain those, understanding the damages and decision the time and method of repairing is a crucial issue. Non-destructive testing (NDT) appears to contribute to this paramount issue, since it includes a variety of testing methods corresponding to the measurement scale. NDT also provides momentous information on the effects of repairing when the test is repeated after the repair work. In this study, seismic tomography, one of NDT methods, was applied for the damage quantification of full-scale concrete structures. The test was conducted both before and after repairing. The distributions of velocity led to a conclusion that the velocity variations represented well the effects of repairing.
著者
村木 里志 三星 昭宏 松井 祐介 野村 貴史
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D (ISSN:18806058)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.401-416, 2006 (Released:2006-07-20)
参考文献数
19
被引用文献数
1 3

交通バリアフリー法やハートビル法の施行により,公共施設や設備のバリアフリー化が進められている.このような背景から,近年,公共施設利用時に生じる身体的負担を定量的に表し,公共施設のバリアフリー度合いを示す手法が必要となっている.そこで本研究は,公共施設内のスロープ走行を模擬できるトレッドミルを用いて車いす走行時の酸素摂取量等を測定し,身体的負担の定量化を試みた.その結果,一定距離当たりの酸素摂取量は登坂勾配に対して指数関数的に増加した.車いす走行時の身体的負担と移動距離の組み合わせから見た推奨されるスロープの勾配基準は4.0%以下であった.また,スロープの勾配と酸素摂取量との関係等から,車いす身体的負担算出モデルを提案した.
著者
川池 健司 中川 一 藤田 翔子
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.I_1345-I_1350, 2016 (Released:2017-01-31)
参考文献数
10

Severe flood inundation disaster happened in Ogurisu area, Kyoto City, on September 16, 2013. During that disaster the pumping station stopped its function due to an accident, which have caused severe inundation disasters in the surrounding area with more than two meter inundation depth. In this study, effects of that pump failure on the inundation disaster are evaluated through numerical simulation. From the simulation results, it is clear that the pump failure had affected the Ogurisu area significantly comparing with the simulation results with normal pump function. Finally we present a simulation result under the assumption of complete disorder of pump function, which shows much severer inundation damage, as a suggestion of preparatory hazard map for inundation disasters due to heavy rainfall considering one of the worst situations with pump failure.
著者
島 弘 坂田 充義 山本 達哉
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集E (ISSN:18806066)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.353-363, 2009 (Released:2009-08-20)
参考文献数
4

コンクリート構造物の景観を良くするための方策として表面のはつり仕上げや洗い出し仕上げがある.一方,構造物の耐久性も重要な要求性能である.したがって,海岸構造物など塩害が心配される場所で表面仕上げを適用するためには,はつりや洗い出しと耐久性との関係を知っておく必要がある.しかし,はつりや洗い出しが耐久性に及ぼす影響は明らかにされていない.そこで本研究では,はつりや洗い出しが塩化物イオンの浸透深さに及ぼす影響を実験的に検討した.実験結果から,はつりや洗い出しによって塩化物イオンの浸透抵抗性が小さくなることは無いことが分かった.これは,コンクリート表面近傍において塩化物イオンが浸透する媒体となるセメントペースト量が少なくなるためであると考えられる.
著者
福﨑 健太 目崎 文崇 三宅 洋
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.75, no.6, pp.II_143-II_149, 2019 (Released:2020-03-16)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

本研究は,平地河川における出水攪乱に対する底生動物群集の反応を明らかにすることを目的とした.愛媛県道後平野を流れる12河川に調査地を設定し,出水攪乱の発生前後に底生動物およびその生息場所環境に関する調査を行った.この結果,生息密度が出水攪乱後に全調査で減少した一方で,分類群数は3調査地で増加していることが明らかになった.群集構造解析の結果により,これら調査地では出水攪乱前に汚濁耐性種が優占していたが,攪乱後には清冽な河川に分布する分類群が増加していたことが明らかになった.さらに,集水域特性と攪乱前後の分類群数の変化率との関係より,当該地点では出水攪乱により清冽な環境を選好する分類群の新規移入が上流の山地区間から起こり,その結果として分類群数が増加したものと考えられた.
著者
浅野 晃太 後藤 浩之 奥村 与志弘 澤田 純男
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.77, no.4, pp.I_638-I_648, 2021 (Released:2021-07-22)
参考文献数
20

2018年大阪府北部の地震について,被害の大きかった大阪府高槻市,茨木市に着目し,地震による被害の詳細な分布を推定した.両市の罹災証明書発行数データに基づいて建物被害率を推定した結果,被害が局所的に集中している地域があることが明らかとなった.この結果を既存の地盤増幅率の分布のみで単純に説明することは難しいが,高齢化率の分布とは一定の対応が見られた.特に高槻市内で局所的に被害率の高い3つのエリアについて,町の成り立ちや土地利用の変遷なども考慮しつつ分析を進めたところ,地震動の特性,地質や地盤の条件といった自然的要因のほかに地域特有の歴史を背景とした住宅の特徴などが被害分布に影響を与えた可能性が示された.
著者
赤倉 康寛 安藤 和也
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.I_1175-I_1180, 2012 (Released:2012-09-18)
参考文献数
3
被引用文献数
1 1

国際海上コンテナ輸送量が伸び続けてきた中で,積み替えの容易なコンテナ貨物を巡る港湾間競争は,激しさを増してきた.我が国においても,釜山等に伍するサービスを提供し東アジア主要港として選択される港湾を目指した国際コンテナ戦略港湾政策が進展中である. 港湾間競争を勝ち抜くためには,ターミナル運営の効率化のため,稼働率を向上させる必要がある.そこで,本研究では,コンテナターミナルの稼働率を測る方法の一つとして,バース・ウィンドウの作成手法を構築し,主要ターミナルのバース占有率を比較分析した.
著者
武部 玲央 古市 徹 石井 一英
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境)
巻号頁・発行日
vol.69, no.6, pp.II_301-II_312, 2013

本研究は,稚内市及び離島を含む計5地域からなる宗谷地域の生ごみとそれ以外の可燃ごみ中の紙・プラ・布・木くず(燃料ごみ)の両方を対象とし,(1)既設バイオガス施設利用とごみ燃料(RDF)化施設の新設による地域循環圏シナリオを構築し,(2)コスト,リサイクル率,最終処分量を評価軸とし,現状の焼却施設更新シナリオと比較した場合の改善効果を解析し,実行可能な地域循環の構築例を示すことを目的とした.生ごみについては利尻・礼文島からコンテナ–フェリー輸送で稚内市の既設バイオガス化施設に運搬し,燃料ごみについては全ての地域からコンテナ輸送(またはコンテナ–フェリー輸送)し,稚内市で集中的にRDF化し,旭川市の既設製紙工場で利用するシナリオの改善効果が高いことを示した.
著者
仲井 圭二 橋本 典明 額田 恭史
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.I_136-I_140, 2014 (Released:2014-11-12)
参考文献数
7

Large seiches occurred in Kyushu and its peripheral areas in February and July, 2009. Nakai and Hashimoto(2011, 2012) reported that slight atmospheric pressure changes played very important roles for the seiches. Like the examples of 2009, seiches occur locally in limited areas in many cases. On the other hand, seiches occurred throughout Japan in November, 2004 and January, 2005. The authors analyzed the propagation direction and speed of slight atmospheric changes by F-K spectrum for these cases. Slight atmospheric changes propagated almost eastward and crossed the Japanese Islands quickly in 2009. But they propagated along the Japanese Islands to the northeast direction for a long time in 2004 and 2005. The propagation directions of slight atmospheric pressure changes affect the sea areas where seiches occur very much.
著者
中川 大 鈴木 克法 松中 亮治 大庭 哲治
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.77, no.4, pp.316-329, 2021 (Released:2021-11-20)
参考文献数
23
被引用文献数
1

毎時同時刻に列車が発車する「パターンダイヤ」は,欧州等では多くの路線で取り入れられ,それに伴って利用者数も増加していると報告されている.一方,わが国においてはパターンダイヤの実施状況に関して分析した例は少なく,パターンダイヤと利用者数の変化との関係について分析した例もみられない.そこで本研究では,パターンダイヤの設定状況を表す「パターン率」を定義し,全国の地方鉄道路線におけるパターンダイヤの実施状況とその変化を2時点において明らかにした.また,各路線のパターン率と輸送密度の増加比率のデータを用いてその関連性を分析した.それらの結果,パターン率は事業者分類によって大きく異なることや,パターンダイヤを継続的に採用してきた路線は,採用していない路線より輸送密度の増加率が高いことなどを明らかにした.
著者
馬場 俊介 樋口 輝久 山元 亮 島田 裕介 横井 康佑 木田 将浩
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D2(土木史) (ISSN:21856532)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.107-122, 2012 (Released:2012-10-19)
参考文献数
4

著者らが2007年から実施してきた「近世以前の日本の土木遺産の総合調査」では,データ蓄積と現地調査,ならびに,WEB公開を同時並行で進める中,残存遺構の価値を,(1)保存状態と(2)本質的価値に分け,後者については試行的に判断・公開してきた.保存状態の評価基準の作成に比べて本質的価値の評価基準の作成が遅れたのは,基準作成にあたって相当数のデータ蓄積が必要であり,かつ,文献上の確認も数多く必要となったからである.この度,調査開始5年目にしてようやく基準を作成できる水準に達したと判断したことから,遺構の中で最もデータ数の多い道路遺産(道標・町石・常夜灯)について,本質的価値の基本的概念を,その背景となったバックデータとともに示す.また,各評価対象項目の1位に相当するものを個別に紹介する.
著者
堀江 岳 関谷 聡大 金子 雄一郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F3(土木情報学) (ISSN:21856591)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.II_28-II_33, 2015

本研究は,最近東京圏の鉄道で列車の運転見合わせが頻発している状況を踏まえ,鉄道事業者が公式Twitter上で提供している運行情報を用いて,運転見合わせの発生状況や情報提供の実態を分析したものである.具体的には,運転見合わせの発生頻度や原因別内訳,支障時間の特性,運転再開見込み時刻の誤差などを把握した.その結果,発生頻度は人身事故等の部外原因が多いものの,土木・電気施設の点検・故障等の部内原因も3割近く発生していること,運転見合わせによる支障時間は原因によって大きく異なり,特に土木・電気施設関係でばらつきが大きいこと,運転再開見込み時刻の提供は人身事故のケースを中心に行われており,実際の再開時刻との誤差は,全体の約7割で±15分以内であることなどがわかった.
著者
福本 幸成 前田 修 福山 貴子 池谷 毅 稲垣 聡 岩前 伸幸 宇佐美 栄治 石原 孟
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.I_13-I_18, 2014 (Released:2014-10-01)
参考文献数
7
被引用文献数
1

2013年1月,銚子沖洋上風力発電所は,わが国初の沖合洋上風力発電所として運転を開始した.実証研究設備として,洋上風車の性能評価や洋上風況の評価,環境影響調査など,着床式洋上風力発電の技術を総合的に確立していく.発電所建設前から47ヶ月にわたり観測してきた波浪データによれば,当海域は常に波高が高く「うねり」が来襲しやすい.また,台風1326号により設計波高に近い観測最大の最高波高が発生し,基礎に衝撃砕波力が作用したと推定される.これらの観測結果等から,洋上風力発電の導入拡大のためには,高い波高や「うねり」に適用できる船舶の調達や,近隣の基地港湾の整備が課題と思われる.
著者
伊藤 聡 小西 真治 村上 哲哉 新田 裕樹 阿南 健一 中川 貴之 本田 中 赤木 寛一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F2(地下空間研究)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.14-31, 2020

<p> 地下鉄開削トンネルの縦断方向の一部に大きな沈下や沈下に伴うひび割れが多く見られ,その使用にあたって耐荷性能を精度よく評価することが課題となっていた.そこで,鉄筋ひずみの調査を行ったところ,トンネルの中立軸位置が設計計算の値と大きく異なることがわかった.この要因として,トンネルにひび割れが生じることでトンネル縦断方向に伸長する挙動が,両端の変状が起こっていない部分により拘束されることにより見かけの軸力が発生するといったメカニズムを想定し,軸力の算定方法を検討した.さらに,この軸力を用いて構造計算を行った結果,見かけの軸力を与え,トンネル形状を再現した疑似3次元モデルを用いることで,トンネルのひび割れ状況などの変状を精度よく再現できることがわかり,軸力の発生メカニズムの妥当性が確認できた.</p>
著者
野島 和也 鈴木 愛 川原 睦人
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A2(応用力学) (ISSN:21854661)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.I_219-I_228, 2011 (Released:2012-04-06)
参考文献数
10

This paper presents a numerical study of the identification of parameters for the tidal fluctuation. Tides can be expressed in the sum of regular trigonometric function which is controlled by the movement of astronomical objects. This trigonometric function is called tidal constituents. In this research, the main four constituents (M2, S2, K1, O1) are treated. The parameters, which are identified, are the amplitude and the phase difference of the four constituents. The parameter identification is carried out based on the optimal control theory. In this research, the sensitivity coefficient method coupled with finite element method is applied. As numerical study, a parameter identification in Tokyo bay is carried out.
著者
桑江 朝比呂 三戸 勇吾 有川 太郎 石川 洋一 木所 英昭 澁谷 容子 志村 智也 清野 聡子 羽角 華奈子 茂木 博匡 山北 剛久 李 漢洙 金 洙列 久保田 真一 倉原 義之介 辻尾 大樹 二宮 順一 伴野 雅之 古市 尚基 安田 誠宏 森 信人 武若 聡
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.1-17, 2021 (Released:2021-02-20)
参考文献数
67

今後の我が国の沿岸分野における気候変動対応で取り組むべき課題について,どのような内容に研究者が関心を抱いているのか検討された例はない.そこで,気候変動に関連する様々な学会に対してアンケートを実施した.その結果,「気温・海水温」,「生物多様性の減少」,「海面上昇」,「極端気象・気候」,「温室効果ガス」,「生態系サービスの劣化」,「台風・低気圧」,「水産物の減少」,「国土減少・海岸侵食」,そして,「漁業管理」が優先すべき課題の上位10キーワードとして選択された.すなわち,自然現象や人間活動への影響に関する課題解決の優先度が高く,緩和・適応策の優先度は低かった.これらのキーワードの選択理由について考察するとともに,我が国における現状と今後の課題や展望について,キーワードごとにとりまとめた.
著者
水谷 司 飯島 怜 武田 智信 築嶋 大輔 佐々木 崇人
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.I_604-I_618, 2016 (Released:2016-05-20)
参考文献数
57
被引用文献数
1 1

東北地方太平洋沖地震において新幹線高架橋上のPC(プレストレストコンクリート)製電車線柱が多数傾斜・折損し復旧に時間を要したため,電車線柱の地震対策が急務である.本研究では,新幹線高架橋上のPC製電車線柱の耐震性能を精度よく評価するため,電車線・電線,調整桁などまで考慮した高架橋・電車線柱の三次元連成系骨組みモデルを構築し,地震応答解析により各構造要素間の連成の影響や動的特性を明らかにした.その上で,既存のPC製電車線柱の大規模地震対策として,現行対策である高靭性化補強および鋼管ビームによる門型化,今回新たに提案したTMDによる震動制御について,連成系モデルによる機能評価,費用,施工,メンテナンスなどの側面から多角的に比較検討し,相対的に安価で機能性や施工性に優れたTMDによる震動制御の優位性を示した.
著者
久保田 謙作 高橋 祐 高橋 隆男 南雲 一也 伊藤 正喜
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.I_227-I_232, 2013 (Released:2013-09-13)
参考文献数
4

消波ブロックの安定性については,海岸構造物を保全するうえで最も重要な要素のひとつであり,これまで水理模型実験など多くの研究が行われ,それにより求められた安定数算定式は設計手法として一般的に用いられるようになっている.一方,厳しい海象による海岸構造物の被災は留まることはなく,特に,最近の異常気象による被災は大きく,現地に応じた波浪対策設計が求められている.本研究では,被災した消波ブロックの詳細な現地調査を行い,既往の安定数算定式から算出された数値との比較評価により適用性を確認するとともに,近傍のナウファスデータを換算して波浪データに用いる手法を示している.これらについては,当海岸と同様な急勾配で岩礁を有する礫海岸での設計検討において大いに参考となるものと考えられる.
著者
中野 剛志
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D3(土木計画学) (ISSN:21856540)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.30-42, 2012 (Released:2012-01-20)
参考文献数
42

本研究では,アメリカの古典的社会学者C・H・クーリーの「交通の理論」を,クーリーの相互行為論的社会学の中に位置づけて解釈する.クーリーは,コミュニケーションは人格及び社会を形成する相互行為として重視し,交通をコミュニケーションとみなした.またクーリーは,コミュニケーションから価値が生成するという理論を展開し,多元的な価値評価の重要性を主張した.クーリーの交通の概念は,「人や物の空間的移動」という従来の交通の定義を修正するものであり,また彼の理論は,交通の研究における相互行為論的なアプローチの有効性を示唆するものである.
著者
森本 浩行 西形 達明 西田 一彦 玉野 富雄
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集 = Proceedings of JSCE (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
no.806, pp.45-54, 2005-12-21
参考文献数
15
被引用文献数
1

城郭石垣は, 個々の石垣石の大きさや加工の状態, 基本勾配や反りの量などの違いによって様々な断面形状を形成しており, 同じ形状のものは存在しない. これら石垣形状に影響を与える各種要因を考慮した石垣構築の技術的な変遷について解明を進めた結果, 基本勾配や反りの量は石垣石の加工状況に大きく影響されていることが明らかとなった.