著者
清水 和巳 上條 良夫 大薗 博記
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

我々は、1)構成員の匿名性の維持、2)利害関係を大幅に変化させるような外部装置を用いない、という二つの基準を満足させ、かつ、協力関係を形成・維持すると考えられる三つの仕組み(①協力・協調の難易度の段階的変化、②変化の内生性、③目標値の調整)について考察を行なった。その結果、上記三つの仕組みが鹿狩りゲームの調整問題を解決するのに有効であり、かつ、多値選択型の囚人のジレンマにおける協力の失敗の解決にも有効であることがわかった。囚人のジレンマは環境問題などと構造的に同型であり、鹿狩りゲームは年金未納問題と構造的に同型と考えられるので、この研究成果は現実の様々な問題解決の糸口となることが期待できる。
著者
扇原 淳
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

カザフスタン共和国アラル海周辺地域における学校保健プログラム開発のための第一歩として,学校保健プログラムの中心である学校健康教育の現状について把握するために,学校健康教育に関する教科の開発の動向とその課題を明らかにすることを目的とした.現行の学校健康教育教科 Валеология Программа (Алматы, 2005),新しく開発された学校健康教育教科Здоровье и жизненные навыки(2007),同国における学習指導要領にあたるГосударственный общеобязательный стандарт среднего общего образования Республики Казахстан(Алматы, 2002)等の分析に加え,教育科学省及び保健省関係者にインタビューを行った.結果としては以下の5点が明らかになった.1)カザフスタン共和国における初等中等教育は現在11年制であるが,12年制に移行する準備が行われていた.2)同国では,「Валеолoгия(健康科学)」という学校健康教育教科が1998年に設立された.3)この教科の成立に主導的な役割を果たしたのが,National Center for Problems of Healthy Lifestyle Developmentであり,当時所長であったAdilhanov Almuhamed氏であった.4)Валеолoгия(健康科学)の教員はスポーツ大学,医科大学,教育大学で養成されている.5)多数の教科に散在する学校健康教育に関連する内容を統合する形で「Здоровье и жизненные навыки(健康とライフスキル)」が2005年に開発された.同国のが学校保健プログラム開発および学校健康教育の課題として,必要な教育内容の範囲(Scope)と,各年齢段階でどのように学ばせていくかの配列(Sequence)を明確にする作業が不可欠であることが明らかとなった.
著者
鳥羽 耕史 菅本 康之
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

単著『1950年代「記録」の時代』を中心として、戦後期のサークル運動、記録の運動が連関しつつ、これまでにあまり顧みられなかったような文学や映画などの作品に結実していったことを明らかにできた。戦後文学、サークル運動、記録の運動のそれぞれについて、当時の関係者の証言をとり、中心的な雑誌の総目次などを整備しつつ、その果たした役割についての検証をすることができた。
著者
大島 幸代
出版者
早稲田大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

中国仏教美術にみられる護法神像の中から、特に金剛力士像と天王像が造形の上で明確に差別化される時期や事情を探るために、関係する造形作品や史資料の収集、整理という研究基盤の整備を行った。旧東魏・北斉地域の山西・河南・山東省を主たる調査地とし、作品情報を収集した結果、今後検討対象とすべき重要作品を抽出することができた。また、護法神像の造立記録が残る高僧について、関連史資料の収集と検証も行った。
著者
石井 香織
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、子どもの身体活動を推進するために、1)身体活動に影響をおよぼす環境的要因の検討、2)身体活動の推進に関連する環境、社会、心理的要因の検討、3)子どもの身体活動の推進に重要であることが明らかになった環境要因に着目し、身体活動を推進するための介入効果の3点について検証した。その結果、子どもの身体活動を推進するための方策として、子どもを取り巻く環境要因に着目し働きかけを行うことが有効であり、本研究で実施した支援方法はわずかではあるが身体活動の推進に効果がある可能性が示唆された。
著者
井上 智洋
出版者
早稲田大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

「技術進歩による生産性の上昇」と「産出ギャップ(需要不足)を解消しようとする市場調整」とが同時継続的に起こる経済をモデル化した。そのような経済では貨幣成長率を技術進歩率に等しくするような金融政策を維持しなければ、長期的な産出ギャップとデフレーションが発生する。すなわち、長期的なデフレ不況に陥るのである。
著者
間藤 茂子
出版者
早稲田大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

日系ペルー人のアイデンティティに関する論文を国際スペイン語文学学会(クスコ、ペルー)にて発表した。また、もう一本の論文を学術誌で発表した。さらに、2012年5月にラテンアメリカンスタディーズ国際学会で別の論文を発表する(選考率33%)予定である。他の論文はまだ発表するに至っていないが、この研究に関するものは合計で上記以外に二本書きあげ、校正中である。さらに日系詩人に関する新たな論文に取り組んでいる。最後に、ペルー、アメリカで実のある資料集め、ペルーでは、日系ペルー人作家との会合、インタビューができた。
著者
入江 正之 小松 幸夫 長谷見 雄二 田辺 新一 輿石 直幸 小松 幸夫 長谷見 雄二 田辺 新一 輿石 直幸 田中 彌壽雄 山森 誠 島田 斉 宗田 進史
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

スペイン、カタルニャ州のファッチェス離村集落にある18世紀末建設の伝統的石造民家マジア残存遺構の修復・再生の第二段階の完成、建築材料・工法分析、および温熱環境および室内空気質等の環境工学的計測のまとめ、建築作品「実験装置/masia2008」として紹介し、更にひとつを建築デザインワークショップ棟に、もうひとつをマジア農民資料館棟とした。この研究対象のある当該市庁を介した日本とスペインの国際的学術文化交流の実現を果たした。
著者
王 恵楽
出版者
早稲田大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

近日、上海でH7N9新型の鳥インフルエンザが多くの関心が集まった。本研究は、H5N1型鳥インフルエンザという当時数百人の命を奪った鳥インフルエンザにインスパアされ、公衆衛生と国家権力との関連において考察を行って来た。新型インフルエンザの学名は、携帯電話やパソコンの機種名のように変化していくが、国家権力との繋がりの中で、こうした疫病の流行に対する公衆衛生的な対応に、変わらない本質的な問題が潜んでいる。近年の新型インフルエンザによる実際的な人命の被害は、疫病の歴史の中で見れば、大した数字ではないことがわかる。しかし、それによってもたらした社会全体的な恐怖、そして国家権力の拡張(メディア・衛生機関の動員、学校や市民の日常的生活に浸透する管理など)は、大規模しかも速やかに動かされている。この力によって、古い慣習や風景が抵抗なく排除され、管理しやすい新たな社会が建設されるような現象が見られる。本研究は、この問題を出発点とし、後藤新平の近代化プロジェクトをその中に位置つけようとしてきた。ミシェル・フーコーやマイケル・ハートやアントニオ・ネグリなどの生政治(Bio-politics)の理論を手かがりにした。「後藤が出版された『処世訓』、『日本膨張論』、『区画整理早わかり:帝国復興の基礎』などの出版物や、『後藤新平文書』にある「我観宗教」、"The Japanese Questionin America"(アメリカにおける日本の問題)などの原稿を取り上げ、アジア医学史の学術大会で発表を行った。当学術大会のコメントや質問を踏まえた上、アジアとの比較、そして、宗教と衛生との対話に重点をおくべきだと考えている。そのために、後藤の原稿である「現代医学」、「霊肉一如の教育」、「学俗一致」、「自治ニ関スル吾人ノ自覚」、「自治生活における宗教との関係」などに現れた言説についての考察を行っている。
著者
田邉 新一 中野 淳太 岩下 剛 秋元 孝之 堤 仁美 西原 直枝 木村 建一
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2002

本研究では、室内環境要素が知的生産性に与える影響を明らかにすること、および知的生産性を評価するツールを開発することを目的とした。被験者実験および現場実測により、精神作業時の作業成績、心理量測定、生理量測定から、室内環境の質が知的生産性に与える影響を総合的に評価した。作業成績のみでなく、作業者の疲労やメンタルワークロードに着目をした点が特徴的である。1)作業成績コンピュータまたは紙面を用いた、複数の作業を被験者に課し、作業の正確さとスピードを用いて評価した。2)心理量測定室内の温熱、空気、光、音等の環境について主観的申告を行った。また、日本産業衛生協会の「自覚症状しらべ」を用いた評価を行い、室内環境が各症状群の出現にどのように影響するかを分析した。ポジティブな尺度である、活力度を測定する手法について検討した。疲労感や室内環境に対する満足度などが作業成績に与える影響について考察した。日本語版NASA-TLXを用い、作業負荷の特徴を測定した。3)生理量測定疲労やメンタルワークロードの指標として、近赤外線酸素モニタによる脳内酸素代謝状態の測定を行った。疲労測定として、フリッカー値や音声を用いた測定を行った。対象とする室内環境は、温度、気流、湿度、室内空気質、音、光環境とした。作業成績による評価はモチベーションなど心理的な影響を受けやすく、室内環境質が与える影響を評価することが難しかった。一方、室内環境質の違いは、作業者の疲労をはじめとした、心理量や生理量に与える影響が大きいことが明らかとなった。長時間作業を課す実験により、疲労や室内環境質への不満の程度が大きくなると、作業成績が低下することを明らかとした。また、近年の環境設備機器制御のオープン化にむけて、ネットワーク環境を用い、オフィス執務者の環境評価、疲労、活力、生産性に関するデータを収集するツールを開発し、コールセンター等のフィールド実測を行った。
著者
和田 修一 岡本 智周 熊本 博之 麦倉 泰子 丹治 恭子 大日方 純夫 大藪 大藪 竹本 友子 大平 章 笹野 悦子
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

後期近代社会としての日本社会は「リスク社会化」という社会構造の変動過程の文脈の中にあるが、こうした「リスク社会化」が生み出す社会環境のあり様にの下で「共生社会」という理念的枠組みを明らかにすることによって、「リスク社会」における「共生」問題の論理的構造を分析し、そのリスク回避へ向けての社会施策を考究するための理論の構築を目指した。この目的のために、初年度では従来の共生社会論の抱える問題点を摘出し、その理論的問題点を実証的に論じるための意識調査を二年度目に実行し、三年度目にそのデータ解析に基づく理論研究を行い、リスク社会における「共生」問題の理論的解明を行った。
著者
上村 佳世子 田島 信元
出版者
早稲田大学
雑誌
早稲田大学人間科学研究 (ISSN:09160396)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.111-118, 1994-03-25

The purpose of this study was to provide specific illustrations of how the microethnographic approach can be applied to the study of various aspects of children's lives from different cultures. The daily life of a nine-year-old elementary school girl from Tokyo and from Boston was observed and the interaction in their home and with peers was analysed. The results demonstrate that the child learns specific rules and expectations of the group, applying them to other situations, depending on the demands of each society. The process of a child's socialization is not the simple internalization of the sociocultural rules and expectations, but the reorganization of their meaning through active interaction in various settings.
著者
蒲谷 宏 坂本 恵
出版者
早稲田大学
雑誌
早稲田大学日本語研究教育センター紀要 (ISSN:0915440X)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.23-44, 1991-03-25

日本語教育における待遇表現教育について, その現状と問題点, 「待遇表現」の捉え方, 待遇表現教育のあり方の点から考察した.本稿では「待遇表現」を「表現主体」が, ある「表現意図」を, 「自分」・「相手」・「話題の人物」相互間の関係, 「表現場」の状況・雰囲気, 「表現形態」等を考慮し, それらに応じた「表現題材」, 「表現内容」, 「表現方法」を用いて, 表現する言語行為であると捉えた.このような観点から待遇表現行為の教育のために, 待遇表現に段階性を考え, 表現意図と言葉を繋ぐものとして「表現機能」を考え, さらに具体的な表現を選ぶまでの「方略」を示すという教育方針を提案した.
著者
長江 亮
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、2003年に行われた障害者雇用施策の罰則措置である企業名公表の前後で、民間企業の障害者雇用率と雇用障害者数がどのように変化したのかを分析した。その結果、割当雇用制度の基で障害者雇用が難しいと考えられる製造大企業で障害者雇用率の上昇が観察されたが、その他には変化が見られなかった。また、障害者の雇用者数には減少傾向が観察された。従って、日本の障害者雇用施策は円滑に機能していないことが明らかになった。
著者
長谷見 雄二 山田 常圭 金森 道 李 海峰
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本研究は、環境共生建築のひとつの手法として注目されているアトリウム型建築とダブルスキン型建築について、自然換気と煙制御を両立させる技術的可能性を検討した。環境共生や省エネルギーの要求などから、自然換気の活用への期待が高まっているが、火災安全の視点からは、このように自然換気を促進するための開放的な空間構成は、火災時には、煙の流動拡大を引き起こし、全館に人命危険を及ぼすおそれが大きいため、特殊な例を除いてはなかなか普及していない。この実状は、自然換気システムは、今後、必要性を増すと考えられるにも関わらず、それに適した煙制御計画手法が未整備なままであることが、その適用を特殊な条件に限定し、普及や技術的展開を阻んでいることを浮き彫りにするものである。そこで、本研究は、自然換気と煙流動が同一の流体力学的原理-煙突効果に支配されることに注目し、新たな視点から、ソーラーチムニーによる自然換気システムをほぼそのまま煙制御システムとして利用する設計概念を提示して、その有効性・妥当性を模型実験と数値計算により実証した。本システムでは自然換気のシステムを煙制御に対しても用いることになるので、火災時にも機械の力を頼らずに自然換気システムのポリシーを一貫にしたうえ、設備・しくみが煙制御のためだけのものでない分、コスト的に有利になるものという二次的な効用も得られると考えられる。意匠・空間計画に対しては、排煙設備や遮煙シャッターなどが軽減・省略できるという観点では、本システムは有利なものであるといえる。本研究の成果に基づいて、現在の一般的なアトリウム型建築・ダブルスキン型建築に著しい改変を及ぼすことなく、火災安全性能を確保できるため、今後、自然換気を活用した環境共生・省エネルギーと火災安全性の両立を実現させる建築を普及させていくことが期待される。
著者
中垣 恒太郎
出版者
早稲田大学
雑誌
早稲田教育評論 (ISSN:09145680)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.55-68, 2003-03-31

マーク・トウェインの『ハックルベリー・フィンの冒険』はアメリカ文学史において正典(キャノン)として位置づけられてきたばかりでなく,出版当時から児童文学としても読まれてきたために,アメリカ合衆国では,小中学校,高校,大学を通して教材として用いられてきた。作品の受容史を振り返るならば,文学史の生成過程をめぐる問題や,批評理論などを通じて,それぞれの時代思潮を反映した読まれ方がなされてきていることがわかる。文学研究の教材としてこの作品は様々な用い方が可能であろう。出版直後から議論を呼んできた作品でありながら,長い間,教材の定番として読み継がれてきたが,公民権運動の1960年代以降,複雑な人種問題を内包しているがゆえに,多様な文化背景の生徒たちが集う,教室での教材としてはふさわしくないのではないか,という声が出始め. 1980年代半ばから90年代にかけて,教材のリストから除外される傾向が強くなった。はたして,『バック・フィンの冒険』は教材としての耐用年数を超えてしまったのか。マーク・トウェイン研究者による,教育教材としての作品研究への最新の取り組みなどを参照しながら,教育現場での文学教育のあり方について考える。同時に,アメリカ文学を外国文学として学ぶ日本の教室の事情について考察する。作品の流入史などを,英学史,比較文学の観点なども含めてたどることによって,外国文学を研究することの意味についても考えることになるだろう。さらに,制度としての文学研究の変遷をも意識しながら,日米における文学研究のあり方を比較文化的に(比較教育学的な視座まで含めて)考察していくうえでの序論となることを目的としている。
著者
清水 和巳 大和 毅彦 瀋 俊毅 芹澤 成弘 大和 毅彦 渡部 幹 清水 和巳 渡部 幹
出版者
早稲田大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

「社会関係資本の機能と創出」に関して主要な成果を概略的に記す。1. 社会関係資本の尺度として従来、General Social Survey (GSS)のネットワークに関する項目が使用されていたが、この尺度が人々の信頼・協力行動を予測しうるとは言えない。われわれは、ある社会の社会関係資本の水準を測るには、上記のようなデモグラフィックデータだけではなく、実際の行動実験における信頼・協力行動のデータをとり、その二つの関係をしなくてはならないことを示した。例えば、中国の経済発展状況が異なる様々な都市で、公共財実験・信頼ゲーム実験などを行った結果、被験者の信頼・協調が性別や年齢だけではなく、協力行動の有無、リスクや公平に対する選好、他人への期待に影響されることがわかった。2. 信頼に基づく人間の協力行動の生化学的な基礎としてミクログリアが重要あることが示唆された。実験において被験者に脳内免疫細胞であるミクログリアの活性を抑えるミノサイクリンという抗生物質を投与し,他者への信頼が重要となる経済取引実験を行ってもらい,偽薬群と比較したところ,実薬投与群は他者の信頼性判断により敏感になることがわかった。特に、ミクログリアの活性は盲目的な信頼を抑制し、きちんとした判断に基づいた信頼。居力高校を促進する可能性があることが示唆された。3. 囚人のジレンマ・鹿狩りゲームはそれぞれ、協力・協調の失敗を引き起こす状況として広く知られている。われわれは、これらのゲームを繰り返し行う状況下で協力・協調を導くと期待できる三つの仕組み(device)、すなわち、(1)協力・協調の難易度の段階的変化、(2)変化の内生性、(3)目標値の調整、について理論・実験により考察した。その結果、この仕組みが一種の社会関係資本として機能し、人々の協調・協力を促すことが確認された。これらの仕組みは、匿名性の高い現代社会において解決が難しいジレンマ、また、権力の干渉の余地の小さい国家間の問題や個人裁量の範囲内の問題にも適用可能と考えられ、それゆえ外的妥当性が高く、応用範囲も広いと考えられる。