- 著者
-
橋本 健二
- 出版者
- 早稲田大学
- 雑誌
- 若手研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2007
本研究では,2足歩行ロボットの足部に着目し,砂利道や砂地などの脚接地面が変形するような路面に対する適応歩行の実現を目指し,接地面積が大きく確保でき,路面との接地圧を分散可能な足部機構を開発することを目的とする.しかし,足部機構単体だけではそのような路面すべてに対応することが困難であると考えられるので,歩行を安定化させる制御の開発も必要に応じて行う.計画の前半である平成19年度では,以下の2点について研究を推進した.(1)路面形状保持機構の考案路面の凹凸にならう際に接地面積が大きく確保でき,路面との接地圧を低減させることが可能な路面形状保持機構を考案した.これはスチールボールと永久磁石からなり,路面の凹凸にスチールボールがならい,ロック時にはそこに磁場をかけ,路面形状を保持するというものである.(2)着地衝撃緩和を目指した不整路面適応制御の構築これまでに考案してきている着地軌道修正制御は,そのアルゴリズム上の問題のため,歩行時における着地衝撃が問題となり,継続的な歩行安定性に悪影響を及ぼすという問題点があった.そこで,不整路面に適応しつつ,着地時における衝撃力を緩和する歩行安定化制御のアルゴリズムを考案した.着地時におけるならい動作および着地衝撃緩和に関しては,遊脚中にモータの位置ゲインを下げることにより脚部コンプライアンスを上げ,足底6軸力センサにて測定される力の微分値の立ち上がりにより着地を検知し,運動量保存則に従い,足先速度を0にすることで衝撃緩和を図った.この手法により,従来用いていた着地軌道修正制御においておよそ1000N程度発生していた着地時における衝撃を,およそ400N程度と,自重の30%程度にまで低減させることに成功した.