著者
原田 和弘
出版者
早稲田大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

生活習慣病予防および介護予防における筋力トレーニングの有効性は繰り返し指摘されているが、高齢者に対する筋力トレーニングの普及方策はほとんど検討されていない。本申請課題の目的は、高齢者の筋力トレーニング実施を促す地域介入手法を開発することであった。一般的に、同じ内容の情報でも、提供する情報チャネルの種類によって、対象者に与える影響は異なると言われている。そこで本年度は、介入手法開発の第3段階として、行動変容を効果的に促すための情報チャネルという観点から、高齢者の筋力トレーニングの健康効果の認知および関心に関連する筋力トレーニング情報源を同定することを目的とした。首都圏内A市在住の60-74歳を対象に実施した質問紙調査(N=1244)のデータベースを解析した。主な解析対象項目は、過去1年の筋力トレーニング情報源(新聞、ラジオ、家族など)、筋力トレーニングに対する関心(あり/なし)、筋力トレーニングの健康効果の認知(高/低)であった。人口統計学的要因の影響を調整したロジスティック回帰分析の結果、筋力トレーニングに対する関心には、医療従事者、友人・知人、TV、本、インターネットが情報源であることが、また、筋力トレーニングの健康効果の認知には、家族および本が情報源であることが有意に関連していた。以上の結果から、筋力トレーニングの健康効果に対する認知を促したり、筋力トレーニングに対する関心を高めたりする方策として、本やインターネットなど情報を探索している人のみが利用するチャネルに加えて、対人チャネルやTVから筋力トレーニング情報を発信することが有効である可能性が示された。
著者
竹村 和久 坂上 貴之 藤井 聡 西條 辰義 高橋 英彦 南本 敬史
出版者
早稲田大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

本研究は、意思決定の微視的過程を、心理実験、社会調査、行動観察、計量心理学モデリングを用いて検討することを主目的とした。本研究は、眼球運動測定装置や社会調査法を用いて、選択の反復が選好形成に及ぼす効果を検討した。選択過程の眼球運動解析の結果は、ゲーズカスケード効果とは異なる過程を示した。本研究の結果は、自動的な選択の反復によって選好形成がなされることを示唆した。また、社会調査の結果は、時間経過とともに、選ばれた選択肢の優れた属性への重みづけは増加し、選ばれた選択肢の劣った属性への重みづけは減少した。この研究結果は、選択が選好を形成する因果関係を示唆しており、一般に意思決定研究で仮定されている知見とは逆の知見を示唆した。最後に、本研究では、社会的状況における意思決定過程のいくつかの性質を明らかにし、リスク下と不確実性下での意思決定の統一的な心理計量モデルを提唱し、さらに、得られた知見の社会科学への意義についての議論を行った。本研究の成果として、意思決定のマクロ分析についてのいくつかのワークショップを開催し、論文、書籍などを公刊した。
著者
野口 雅弘
出版者
早稲田大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2001

昨年度執筆した「ウェーバーと自然法」と題する論文では、ウェーバーの著作における西洋、近代、禁欲的プロテスタンティズムの間にある齟齬に注目し、ポリフォニックな西洋的秩序の理念型を抽出した。本年度の研究は、こうした視座を、彼の「音楽社会学」の議論と対応させることで傍証し、また同時代の芸術史家アビ・ヴァールブルクのイコノロジーと対比しながら明確化しつつ、こうした作業を基礎にして一本の論文と一つの研究発表を行なった。まず、論文「ウェーバーと全体主義再考--エリック・フェーゲリンの視角から」(『年報政治学』投稿中)では、冷戦の終焉以降の、主にドイツにおける「全体主義研究ルネサンス」において注目を集めているフェーゲリンの「政治宗教」「グノーシス主義」の視角から、ウェーバーとナチズムの親近性を問題にする従来の解釈(モムゼン・パラダイム)を批評し、「文明の衝突」が言われる状況におけるウェーバーの政治理論の意義を示した。この際とくに、ウェーバーの多神論が、対立を止揚しようとする近代的普遍主義と全体主義に共通する「殲滅」の傾向性に対して、一定の歯止めになっていることを強調した。次に「『ウェーバーと近代』から『ウェーバーと西洋』へ---ウェーバーの著作における静養・近代・普遍」・(「思想史の会」、第30回研究会、2003年12月21日、於法政大学)では、西洋化=近代化=普遍化(=アメリカ化)という近代化論の前提のもとで理解されてきたウェーバー解釈の時代拘束性を指摘し、それを相対化しながら、彼の理論は近代的な普遍主義ではなく、「西洋」的な、つまり異文化に開かれた、多元主義的普遍主義であると論じた。この発表の内容は近日、論文で発表する予定である。
著者
胡桃坂 仁志
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

相同組換えは、DNA の二重鎖切断修復と遺伝的組換えに働く必須の生命反応である。ヒトにおける相同組換え経路では多数のタンパク質が働いているが、現在解明されているタンパク質群のみでは、その反応機構を部分的にしか説明することができない。本研究では、相同組換えにおいて働く新規のタンパク質として、GEMIN2、EVL、PSF などを同定し、それらの相同組換え素過程における役割を明らかにした。また、既知の組換え修復タンパク質 FANCD2 のユビキチン化に、DNA とFANCI が重要であることを見いだした。
著者
松下 詩穂
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では,残存能力に適した移乗支援装置とロボット選定アルゴリズムの構築と起立動作誘導ロボットを開発した.身体負担評価実験より,起立動作を(1)自立起立(2)昇降座椅子を使用した起立(3)手すりを使用した起立(4)起立動作誘導ロボットを使用した起立に分類し,残存能力(足部耐荷重と重心動揺幅,臀部耐荷重と重心動揺幅,手部耐荷重,足と膝関節可動域)計測システムを開発し,足と膝関節残存能力の違いによる起立支援装置とロボット選定フローチャートを構築した.
著者
土門 晃二 中村 清
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究では、インターネット上での違法ファイル共有の実態について調査を行い、経済学的な視点から制度的および理論的な分析を行った。調査を行った地域は主にアジア地域(中国、韓国、台湾、ベトナム)であり、アンケートとインタビューによって発展途上国と先進国での違いを明確に出来た。特に、ベトナムを中心的に調査を行った。中国以上に違法コピーが多い国で、経済の発展レベルも調査国の中で一番低い。ミュージシャンや作曲家、マネージャー、放送関係者、大学生に数度にわたりインタビューを行い、途上国では違法コピーによる利害関係が先進国と大きく異なり、多くのミュージシャンが違法コピーによるプロモーション効果(ライブ・ステージのための)に依存していることが明らかになった。また、インターネットを利用する取引費用(回線速度やプロバイダー費用)が大きく、違法CDの利便性が上回っていることも判明した。また、理論的な分析として、違法コピーが存在する場合の価格戦略、コピー・コントロールを利用した価格戦略、および放送における権利問題などを行った。コピー・コントロールに関しては、価格差別を行うことによって、生産者、需要者ともに利便性が増すことを証明した。これらの成果は、海外の主要な専門雑誌と書籍、国内外のセミナー、コンファレンスなどで発表を行っており、充実した研究が実施されたものと自負している。また、調査に関連した新聞記事がベトナムで掲載され、学術的な領域を超えて、社会一般の関心を集めることにも成功した。
著者
鳥居 祥二 田村 忠久 吉田 健二 笠原 克昌 小澤 俊介 片寄 祐作 森 正樹 福家 英之 西村 純
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2009-05-11

高エネルギー電子・陽電子の直接観測による宇宙線近傍加速源と暗黒物質の探索を目的として、国際宇宙ステーション日本実験棟に搭載するCALorimetric Electron Telescope (CALET)の開発を実施した。CALETは当初予定の気球搭載型プロトタイプ(bCALET)による観測に対して、30倍以上の統計量が得られるだけなく、宇宙空間での高精度観測が可能である。bCALETによるCALETの観測性能実証と,熱構造モデルによるCERN-SPSでのビーム実験等により、搭載装置性能を確認した。その結果、世界に先駆けたTeV領域における電子観測を実現することが確証できている。
著者
菊地 栄治 池田 賢市 亀田 温子 栗原 真孝 白川 優治 高田 研 高橋 亜希子 永田 佳之 仁平 典宏 丸山 英樹 宮古 紀宏 椋本 洋 吉田 敦彦 吉本 圭一 和井田 清司 平塚 眞樹
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究を通じて、私たちは現代日本の若者たちが力を奪われている実態について共通認識を得た。とはいえ、具体的な事例の協働的研究を通して、さまざまな難題に直面しつつも多くの若者たちがエンパワーされていく可能性が明らかになった。総じて、〈一元的操作モデル〉にもとづく施策と実践はかれらの力を奪い取りがちである。これに対して、〈多元的生成モデル〉はかれらをエンパワーできる。多くの事例において、かれらを〈若年市民層〉へと育む実践に共通するのは、相互的主体変容を促しているという特徴であった。〈多元的生成モデル〉は、エンパワメントの実践に共通する本質的特徴であり、今後の教育改革のあり方を示唆している。
著者
MARTIN Guest 神島 芳宣 徳永 浩雄 前田 吉昭 宮岡 礼子 河野 俊丈 大仁田 義裕 酒井 高司 SERGEI V Ketov 赤穂 まなぶ 乙藤 隆史 小林 真平 黒須 早苗
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

報告者は興味深い非自明な現象を示す,いくつかの重要な例についての進展を得ることが出来た.論文 "Nonlinear PDE aspects of the tt* equations of Cecotti and Vafa" (M. Guest and C.-S. Lin, J. reine angew. Math., 印刷中)では,tt*-戸田方程式の,滑らかな解の族の存在を示した.これは技術的観点に於けるブレイクスルーである,すなわち,既存のループ群論的アプローチが適用できない非コンパクトの場合にも,偏微分方程式論が有用であることを示したことは大きな進展である."Isomonodromy aspects of the tt* equations of Cecotti and Vafa I. Stokes data" (M. Guest, A. Its, and C.-S. Lin, arXiv:1209.2045) に於いてはtt*-戸田方程式の解の大域的な滑らかさを,付随する線形方程式のモノドロミーデータ(ストークスデータ)に関連付けることにより,また別の技術的側面に関するブレイクスルーがあった.より詳しくには,tt*-戸田方程式の全ての滑らかな大域解に対して,そのストークスデータを明示的に計算することが出来た.これらの技術はまた,微分幾何学に於けるその他の問題にも適用可能であると推測される。
著者
河西 宏祐
出版者
早稲田大学
雑誌
早稲田大学人間科学研究 (ISSN:09160396)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.49-66, 2004-04-01

Recently, as a result of economic globalization, the movement towards deregulation in all sectors has advanced quickly even in Japan. In 1996, the government announced a deregulation policy for the private railway industry, and, on 1 February 2002, the deregulation of the passenger-bus industry took effect. According to the policy, the entry of newcomers into the bus industry, the establishment of lines and the setting of fares were to be liberalized. Based on market economics, the government had, even in the railway industry, rushed into the age of free competition. The private railway industry had five to six years-from the announcement of the government's private railway deregulation policy until the policy was to come into effect-in which to prepare for the advent of this age of free competition. In order to achieve a "reduction in labor costs," the management side carried out a program of severe management rationalization. Major management rationalization took place even at "Company A," which had in 1993, before deregulation, already introduced a "transformed system of working hours" as a pretext for reduced working hours. In "Company A", a "reduction in labor costs" was later pursued, and a program of severe management rationalization was carried out. This included stand-alone profitability based on in-house spin-offs, wage reductions, wage-rise suspensions, reductions in retirement allowances, the abolition of fringe benefits, changes in the salary system (from seniority-based to ability-based wages) and so on. This research brings together several focal points in the period before deregulation (1996-2002), and through survey research empirically examines the evidence of how the management side at the company level, along with the labor unions, dealt with deregulation and, as a result, how management-labour relations changed. In addition, This research also examines the possibilities and limitations of the kind of functions displayed by the labor unions at the company level.
著者
河西 宏祐
出版者
早稲田大学
雑誌
早稲田大学人間科学研究 (ISSN:09160396)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.11-33, 2003-03-31

This research examines the problem of shortening labour hours, which has become a major social problem associated with economic globalisation. The research analyses the relationship between shortening labour hours, management rationalisation and work enthusiasm, using as its research subject 'Company A1 from the private railway industry. As a result of a research investigation, management is establishing and enforcing shortened labour hours through harsh management rationalisation. These shortened labour hours, based on a 'comprehensive five-day week', are being enforced by an overwhelmingly dominant management using the term 'a transformed working hours system' (a total one month of working hours). Consequently, drivers are facing long hours and overcrowded work conditions; there has been a spate of complaints; work enthusiasm has declined remarkably; and the relationship between labour and management in the workplace is in a critical state. The dissatisfaction of workers has been directed at the union executives who agreed to a labour build-up, and tension has increased between the executives and the union members. The executives are searching for a resolution to matters such as the way the schedules are formed and way the agreement is put together. As a result, they are in the process of gradually defusing the labour build-up.
著者
黒岩 卓
出版者
早稲田大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

最終年度として、これまでの各種研究のまとめとして位置づけられる複数の論文の執筆を行った。フランス中世演劇諸作品における詩作技巧の解釈法の見直しに関する研究論文をフランスの第一線の中世演劇研究者と共に執筆した。また演劇作品の伝承、写本および詩作技巧の三要素の関係に関する論文も単著として執筆している。さらに今年度後半には、今後の中世演劇作品の伝承と詩作技巧の今後の研究の方向性を見直すための問題提起をフランスの学術研究誌において執筆、すでに掲載が決定している。単行本の形はとらず、また残念ながら今年度内の出版にはいたらなかったものの、これら三点の包括的研究は全て査読を経てフランスの代表的学術出版社及び雑誌(H.Championおよび学術誌Medievales)より発表されることが決定しており、今後長く欧米の中世演劇・文学研究者によって参照されることが期待される。来年度以降も、これらの研究を遂行する過程で協力を仰いできた二人の研究者(Darwin Smith及びXavier Leroux両氏)との共同研究を続けていく予定である。ソチやミステールといったジャンル別の試作技巧の研究を進める傍らで、口承伝達による文明における韻文創作の原理といった、広い視点につなげていくことができた点が、本年度の研究成果の最たるものとして挙げられるだろう。来年度以降、海外研究者との協力体制や加えて日本国内での他の文明圏の演劇研究者とのネットワーク作りを行っていきたいと考えており、その点で年度後半に早稲田大学演劇博物館において勤務を行ったことは大変に良い機会となった。
著者
木下 一彦 石渡 信一
出版者
早稲田大学
雑誌
特別推進研究
巻号頁・発行日
2009

たんぱく質分子機械が働く仕掛けを探るのに、個々の分子が働いている現場を顕微鏡下で直接観て、さらに必要なら力を加えて応答を観るのが、一分子生理学である。従来は妨害方向に力をかける例が多かったが、外力で積極的に「働かせてやる」ことによる理解を目指した。働かせて得た成果ばかりとは言えないが、回転分子モーターの逆回転によるATP合成の仕組みを始めとして、リニア一分子モーター、DNA上で働く分子機械、さらに超分子レベルにおいて細胞分裂機構などにつき、多くの知見を得た。
著者
藤江 正克 藤本 浩史 彼末 一之 王 碩玉 高杉 紳一郎 小林 洋 安藤 健
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

超高齢社会の到来に伴い,動作支援ロボットに対する社会的ニーズは急速に拡大している.しかし,動作支援ロボットでは,支援する関節・筋の生体情報のみを利用してロボットの動作を決定しているため,全身協調運動に与える影響は十分に検討されていない.本研究では,ロボット使用者の全身の動作が協調されることが可能なロボットの制御則の構築に向け,課題を大きく以下の3つに分けて取り組んだ.(1)ヒトの全身協調動作モデルの構築,(2)生活動作における被介助者の全身動作の最適化,(3)介助ロボットの動作生成.そして,用途の異なる複数のロボット対し上記の3つの課題に基づき,全身協調動作を誘発するロボットの開発を目指した.
著者
諸星 妙
出版者
早稲田大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

本研究は、17世紀前半セビーリャの宗教的思想環境が芸術作品の主題や造形上の特質に与えた影響を考察するものであり、最終年度に当たる今年度は、現地において作品が実際に設置されていた環境での調査を行うとともに、これまでに収集・検討した資料等について、総合的な評価を行った。具体的には、第一に、ベラスケス《東方三博士の礼拝》について、現地調査等に基づき、同時代セビーリャの主要画家による作品との根本的な差異を明確化した。例えば、旧イエズス会誓願修道院ではロエーラスによる主祭壇装飾を調査し、同じくイエズス会施設のために描かれたものでありながらベラスケスの同作品とは規模、描法が大きく異なることを確認した。セビーリャ美術館では、その他の同時代画家の作品も広く調査したが、いずれも3~5mという規模の大きさを特色とし、その中に多くの人物やモチーフを描きこむ点でベラスケスの作品とは異なっていた。この知見を踏まえ、第二に、大規模ではないが主要部分を際立たせる、極めて現実主義的なベラスケスの表現について総合的な解釈を行った。まず、ベラスケスの同作品は、イエズス会のロヨラが『霊操』に明らかにしたような、聖書の物語を眼前に現出させて「見る」という観想のプロセスに関連づけられる。重点的に調査したベラスケスの師パチェーコの『絵画芸術』では、多くのイエズス会士が取り上げられ、その考えが引用されていた。しかし、ベラスケスが師を通じてイエズス会士及びその思想の近くにいたことは事実だが、調査の結果、特定の思想がベラスケスの個別の作品に具体的な影響を与えたことは確認できていない。むしろ、現地での作品調査を通じて明らかになったのは、ベラスケスの初期様式とモンタニェースらによる彩色木彫像との表現の近さであった。モンタニェースらの彩色木彫像の重要性は2010年の展覧会で注目されたものであり、本研究を通じて、初期ベラスケスのリアリズムとの関連という観点から、さらに詳細に検討されるべきテーマであることが確認された。
著者
曽田 五月也 宮津 裕次 脇田 健裕 松永 裕樹 宋 成彬
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

軽量低層建築物を対象として、地盤上のべた基礎上面に超高分子量ポリエチレンシートを敷き、その上に上部構造用基礎を設置する事で、大地震時には基礎の滑りにより免震に準じた効果を発揮する一方で、小地震時や強風時には、上部構造内に設置するオイルダンパによる制振効果を活用する構造システムを考案した。実験的・解析的な検討を通じて、過酷な地震動の作用に対しても上部構造の変形・加速度を地震直後から建築物の継続使用を可能とする範囲に収めることが可能なことを実証した。
著者
小林 ミナ 副田 恵理子 名嶋 義直 野田 尚史 松崎 寛 桑原 陽子 佐々木 良造 三輪 譲二 奥野 由紀子 丹羽 順子 松岡 洋子 桑原 陽子
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009-04-01

本研究では,次のような独創性を持つ教材(レッスン群)を作成した。(1)「聞く」「話す」「読む」「書く」で独立している。(2)インターネット上で公開され,文法解説や指示が多言語対応になっているので独習が可能である。研究期間の5年間では,教材作成者がコンテンツを入力したり変更したりするための「管理サイト」,および,日本語学習者が利用する「利用サイト」を開発,試用し,仕様と稼働状況について確認した。それと並行して,日本語レッスン完成版を翻訳し,「中国語簡体字」「中国語繁体字」「韓国語」「英語」の各言語版を作成するとともに,日本語教師が参照するための「日本語」版を作成した。
著者
逢坂 哲彌 門間 聰之 庄子 習一 杉山 敦史 中西 卓也 本間 敬之 松方 正彦 水野 潤 関口 哲志 吉野 正洋 冨中 悟史
出版者
早稲田大学
雑誌
特別推進研究
巻号頁・発行日
2008

電気化学ナノテクノロジーに基づく「固液界面制御による新機能発現のための材料開発研究」と「界面構造や界面現象の実践的な活用によるデバイス開発研究」に総合的に取り組むことで、電気化学に立脚した材料およびデバイスの実用化研究の根源にあるものを事象ごとの経験論から抽出し、アウトプットとしてのデバイス(具体的にはエネルギーデバイス、センサデバイス、電子デバイス・磁気記録デバイス)を縦糸に、機能発現および界面設計の次元(3次元、2次元、0次元)を横糸に、「電気化学デバイス工学」という学理の構築を図った。