著者
野津 憲治 藤井 直之 森 俊哉
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

マグマ揮発性物質は、火山ガスとして山頂火口や山腹噴気孔から放出しているだけでなく、火山体表面全体から拡散放出している。本研究では伊豆東部火山群の単成火山直下のマグマの動きをマグマ揮発性物質の拡散放出から捉えようとした。1989年の海底噴火で形成した手石海丘では、火口底直上の海水の精密化学・同位体分析から極めて少量のマグマ-熱水起源のCO2とCH4の放出を検出した。最近の群発地震震央域の陸上部分や2700年前の割れ目噴火域では、マグマ起源CO2の拡散放出は検出できなかった。4000年前に生成した大室山では、CO2拡散放出量は火口内で少し高く、積算放出量は(22+2)トン/日であった。
著者
内山 秀樹
出版者
静岡大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

「すざく」銀河面データにより、天の川銀河拡散X線放射の空間的揺らぎを測定した。統計誤差を除くと、天の川銀河拡散X線放射と宇宙背景X線を合わせた表面輝度は~10パーセク程度の空間スケールで3.6~8.1% (1σ) 揺らぐことを明らかにした。この揺らぎは天の川銀河拡散X線放射が多くの暗い点源の集まりだとした場合の結果と大きく矛盾しない。また、数百パーセクスケールでの鉄輝線強度比の空間分布から、バルジと銀河面ではその拡散X線放射の起源が異なる可能性が高いことも明らかにした。天の川銀河拡散X線放射の研究を元に、「すざく」データを使った、高校物理で扱うボーア模型の学習教材を作成した。
著者
森野 聡子
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、ウェールズ語の「グウェリン」こと民衆が、19世紀末においてウェールズ国民のアイコンとして構築されたイデオロギー的背景を考察した。グウェリンはジェントリ・資本家に対する労働者階級ではなく、前産業社会の農村共同体に生きる素朴な民衆という文化概念であり、ポスト産業社会に入った連合王国の構成員としてウェールズ人が体現すべき国民象として創造された。また、民衆の話し言葉をもとにウェールズ語の標準化や正字法の確立がめざされ、民衆向け雑誌を通じウェールズの歴史が編制され、ウェールズ文学作品が紹介されるなど、グウェリン言説がウェールズにおける国語・国文学の制度化に果たした役割も明らかになった。
著者
馬居 政幸 外山 知徳 阿部 耕也 磯山 恭子 唐木 清志
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

95年度から実施してきた調査を踏まえ、平成14年度から3年計画で次の3種の調査研究を実施した。1.日本文化開放政策進行に伴う韓国青少年の意識と行動の変化把握のためのソウル市、大田市、釜山市での継続・発展調査。2.日本理解・批判に関係する学習機会の青少年への影響と社会的文化的基盤解明のための新調査。3.日韓相互理解教育のためのプログラム開発とモデル授業実施。これらの調査結果の分析から、現代韓国青少年が日本と同様に個人化が進行する豊かな社会に育ち、社会的自立への課題を日本青少年と共有することを明らかにした。さらに、日本文化への接触状況と日本・日本人への評価の継続調査の総合分析から、漫画を中心に日本文化開放以前に浸透した日本文化が韓流文化の源流を形成し、文化開放の進行に伴いアニメや歌謡も類似の傾向が見られることを把握した。また日本・日本人観の変化の5類型を析出し、相互理解を阻む新たな意識構造を解明した。特に韓国中高生の「日本・日本人評価」と「推測する韓国・韓国人評価」の比較から、日本と同水準の生活を享受する青少年による既存世代と異なる韓国上位の意識形成を確認。これらとモデルプログラム実施結果との総合分析から相互理解教育促進への次の課題を解明した。1.インターネットを代表にIT化の進行が自国文化・言語内に閉じた意識と行動を強化するため、従来と異なる相互の理解(誤解・不信)に関わる多様な情報サイトの影響の実証研究と相互理解促進のための情報サイトの増設が必要である。2.両国の現代文化共有化は相互理解の基盤形成に寄与する反面、両国社会の問題点を認識させる側面もある。その克服は規制ではなく、より積極的かつ多面的な現代文化共有化の機会拡大が必要である。3.世代間格差を伴う新たな相互理解の障壁形成を克服するために、差異の相互認知に止まらず相互に修正をも要求しあうことで二国間を超えて共有すべきアジア的シチズンシップの構築とその教育システムが必要である。
著者
寺村 泰 山崎 志郎 西野 肇 日向 祥子 小野塚 知二 松田 紀子
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究は、業種ごとに市場のコーディネートが多様な形態で行われてきたことを資料に基づき実証するとともに、国際比較を踏まえて日本における市場のコーディネーションに関する特質を解明するものである。第一に、日本国内にある2100の業界団体に対して保存資料に関するアンケート調査を行い、その集計結果および資料リストを冊子にまとめ、研究者に郵送したほか学会において無償配布した。第二に、海外における業界団体等の資料保存体制に関して現地調査を行い、日本における資料保存体制との比較考量を行った。第三に、調査過程で収集した資料に基づいて多様な市場コーディネーションの実態について研究し成果を発表した。
著者
浜渦 辰二 浜渦 辰二
出版者
静岡大学
雑誌
人文論集 (ISSN:02872013)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.53-101, 1999
著者
浜渦 辰二 Held Klaus
出版者
静岡大学
雑誌
人文論集 (ISSN:02872013)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.1-46, 1999
著者
佐治 斉 田村 裕之 市川 朗
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、地震をはじめとする大規模災害時において、被災地状況とその周辺の広域道路状況などを一括把握でき、円滑・迅速な救助活動に供することを目的とするものである。そのため、画像情報や地図情報を統合活用し、被災地周辺の個別特徴情報をそれぞれ抽出し、さらにそれらを連携して解析をすることで、大規模災害時での救助活動に必要な被災地周辺情報を自動生成できる画像解析手法を検討し、試作システムを構築した。
著者
袴田 光康 金 任仲 堂野前 彰子 木村 淳也 金 孝珍
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、日本・韓国・琉球の漢文テキストを通して、東アジアにおける神仏習合の分析を行った。具体的には『扶桑略記』(日本)・『三国遺事』(韓国)・『遺老説伝』(琉球)という三つのテキストを対象とした。研究の結果として、東アジアの固有神が仏教によって護国神へと変容するという共通点を持つこと等を明らかにした。その成果は、2013年度韓国日本言語文化学会(ソウル)の口頭発表や『「三国遺事」の新たな地平』(勉誠出版、2013年11月)の論文などによって広く発表されている。
著者
伊藤 友孝 谷 重喜 鈴木 みずえ
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は,高齢者の転倒予防を目的に,(a)個々の歩行状態を定量的かつ的確に診断できる手法の開発と(b)屋外の不整地でも安心して使用できる受動アシスト杖の開発の二点を重点課題とした.課題(a)に関しては,歩行を簡便に計測して個々の歩容の特徴量を自動抽出し,歩行タイプやバランス状態などの診断を行える「歩行計測・診断システム」を開発した.実際に72名の診断を行い,高齢者の歩容の実態や転倒の要因を把握することができた.課題(b)に関しては,伸縮式の支持脚を有し不整地での段差吸収とバランス制御機能を併せ持つ「ロボット杖」の開発に成功した.本研究により今後の高齢者の転倒予防に関する重要な知見が得られた.
著者
渡辺 尚 小花 貞夫 水野 忠則 萬代 雅希 石原 進 四方 博之 渡辺 正浩
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

アンテナの指向性を利用したユビキタスインフラを開発することを目的とし、可変指向性を利用したメディアアクセス制御(MAC)、ルーティングの高度化、テストベッドの開発と実証実験等を行った。より具体的には、指向性MAC,ルーティングプロトコルの高度化としては、(1)マルチレート環境に適した指向性MACプロトコル、(2)指向性隠れ端末問題やデフネス問題を低減するルーティング、(3)複数メインローブとネットワークコーディングを利用したマルチキャスト、メインローブとヌルを同時利用するマルチレートMACなどを開発した。また、テストベッドの開発と実証実験としては、(1) UNAGIとMICA moteを用いた階層型ネットワークの構築と実験、(2)特定実験試験局免許を取得したUSRP2/GnuRadioによる実験などを行った。以上の成果を国内外の学会等で発表した。
著者
大西 利幸
出版者
静岡大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2009

本研究ではイリドイド化合物の一つであるオレウロペインを化学防御物質前駆体と考え、環境ストレスに対する樹木の化学防御機構の解明を目的として防御活性化酵素の機能解析を行った。その結果、オリーブ実からオレウロペイン糖加水分解酵素(β-グルコシダーゼ)の精製し、そのペプチド配列から設計したジェネレートプライマーを用いて、オリーブから全長cDNA配列の取得に成功した。
著者
日野 真吾
出版者
静岡大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本申請課題では、βグルカン受容体であるdectin-1を用いた定量系を構築し、この定量系を用いることで、体内および細胞内に取り込まれたβ-グルカンがマクロファージにより貪食された後、活性酸素種によって非酵素的に分解されることを明らかにした。また、この分解されたβ-グルカンはマクロファージ活性化能を保持したまま再放出されることも明らかになった。
著者
藤村 郁雄
出版者
静岡大学
雑誌
静岡地学 (ISSN:02850753)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.34-38, 1982-11
著者
中谷 広正 菊池 浩三 田村 貞雄 伊東 幸宏 小西 達裕
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

慶応3年(西暦1869)に起こった、伊勢神宮・秋葉三尺坊大権現などのお札降りを発端とした「ええじゃないか」を題材として取りあげ、歴史学研究支援機能をもつマルチメディアデータベースを構築した。ええじゃないかに関する各地の伝承や史料を収集した「ええじゃないかデータベース」をマルチメディア統合環境下で構築した。そして、ええじゃないかに関する全体像・具体像把握および仮説検定を支援する環境を構築した。具体的には、つぎの課題について研究をおこなった。1.「ええじゃないかデータベース」の構築・充実伊勢信仰や秋葉信仰を中心とする民間信仰に関する調査・史料収集を進め、データベースの充実を図った。歴史学方法論に基づくデータベース仕様を実現した。2.歴史学研究支援に適したユーザインタフェースの実装歴史学における様々な研究目的・スタイルに対して調整可能である汎用的ユーザインタフェースを実現した。また、そのための基盤技術である画像情報解析・文字情報解析・自然言語インタフェースに関しても各種技術を開発した。3.評価実験ええじゃないかに関する史料の抜粋をおこない、具体的な歴史学の仮説検証実験をおこなった。歴史学者から本システムを用いることによって、明確で客観的な仮説検証がおこなえるとの評価を得た。
著者
湯浦 克彦 石川 博
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

高度IT人材の活躍、成長過程などと、その人材像の持つスキルの育成に関連する授業や課外活動の関係を、共通キャリアスキルフレームワークというIT分野の標準化知識体系に基づいて収納した知識ベースシステムを、ITpost(IT Professionals Guidepost)と名付けて開発した。情報系学生に公開し感想を回収したところ、過半数の学生から将来目標の設定や履修科目の選択に役立つという評価を得た。また、ITPostの将来的な普及に必要となる、対話型演習支援機能、行動特性評価方法および知識ベース構築技術に関して試作評価を行った。