著者
我孫子 誠也
出版者
日本科学史学会
雑誌
科学史研究. 第II期 (ISSN:00227692)
巻号頁・発行日
vol.39, no.216, pp.211-216, 2000-12-25
被引用文献数
1

There are two versions of the Japanese text of Einstein's "Kyoto Address." One is the original text by Jun Ishiwara, the physicist-colleague and translator of Einstein's, and the other is its revised version by one of Ishiwara's sons. It is pointed out that the existing English versions of the "Kyoto Address" are made by the translation from the revised version, which is somewhat different from the original. The other point made is related with the argument by Ryoichi Itagaki that the description in Kyoto Address on Einstein's knowledge of Michelson's experiment should be regarded as written in the subjunctive mood and does not correspond to the reality. But, this interpretation is against Ishiwara's own text and also to Einstein's own love letter to Maric in 1899.
著者
野中 久美子
出版者
地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所)
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

加齢に伴い身体・認知機能の衰え始めた高齢者ボランティアであっても、ボランティア仲間と高齢者自身が「老い」に伴う健康課題を受容・理解し、活動内容を変更する・活動頻度を減らすなど柔軟な対応をおこなっている場合には、長期のボランティア活動継続が可能となっていた。そこで、健康課題を有する者の活動継続が可能なボランティア団体・グループの「雰囲気」を醸成することを目的とした研修プログラムを開発・実施した。
著者
田中 宏光 西宗 義武 奥山 明彦 辻村 晃 宮川 康 田中 宏光
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

実験動物(マウス)における精子細胞特異的遺伝子の解析からヒト男性不妊症の診断・治療法の開発を進めるため、以下の二点に焦点を絞って研究を進めてきた。1. 現在までに我々が単離したマウス精子細胞特異的遺伝子についての詳細な構造・コードする蛋白質の機能・特異的発現機構をさらに多くの新たな遺伝子について解析し、精子形成過程における役割を明らかにする。さらに、それらのヒト相同遺伝子をすべてクローニングし、その機能解析を進める。2. 精子形成機構の分子生物学的研究を通じて、ヒト男性不妊症の原因を究明する。基礎研究の成果を応用し、遺伝子変化と男性不妊症との関係を明らかにし、最新の遺伝子解析(マイクロアレー法)、蛋白質解析技術(プロテオミクス法)を用い、その診断法及び治療法の確立に役立てる。平成19年度我々は、1.マウス遺伝子の解析結果から、男性不妊症に関係することが考えられる精子細胞特異的解糖系遺伝子のヒトオーソログをクローニングし、ORF内のポルモルフィズムの解析を進めた。ヒト精液を用い、男性不妊症で有意に変化を示す蛋白質とmRNAの解析を進めた。その結果、男性不妊症特異的に変化をする蛋白質の存在を確認した。また、ヒト精液から得られたmRNAを抽出し、ヒト精子形成関連遺伝子を乗せたマイクロアレーを用いて遺伝子発現を調べる系を確立した。確立した系を用いて個体差や生活条件に影響なく妊孕性の確認された男性に安定的に発現が確認される遺伝子群を同定した。今後これら遺伝子と遺伝子産物に注目し不妊症男性不妊症特異的マーカーを確立したい。
著者
長嶋 祐二 市川 熹 神田 和幸 原 大介
出版者
工学院大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2002

本研究の目的は,手話の非手指信号の言語学的機能やコミュニケーションのための認知機能を解明し,その結果を手話画像の符号化,アニメーション生成などに適用することである.本研究では,下記の主な項目について成果を得た.1.認知的機構の解析では,事象関連電位N400計測に基づいた意味処理過程解析の検討を行った.その結果,手話・文字による意味的逸脱単語でN400が観察され電位は文字刺激で大きいことがわかり,呈示モダリティによって処理過程の違いを示した.対視線データの計測では,視線の停留と習熟度との相関を示し,理解度が上がれば顔への停留率が向上する結果を得た.2.解析支援システムでは,電子タグ付けならびに,磁気センサーからの3次元データを描画するシステムの構築を行った.この支援システムにより,映像と生理データを同期して解析することが可能となり,解析時間の効率化が図れた.3.記述・解析部では,手話の階層的形態素NVSモデルの非手指信号の記述機能の強化を行なった.4.対話モデルの解析では,抑制-非抑制手話を解析し,抑制部位の調動が表出可能な身体動作へ変形するメカニズムの存在が示唆された.また,手話の遅延検知限は100〜200msであることを明らかにした.音声会話と比較して,手話は遅延に関して寛容であることを示した.5.画像符号化では,さまざまなサイズの手話映像の評価から読み取りには,空間解像度より画像のフレームレートが重要であることがわかった.上記の成果を基に手話動画像符号化として新しいAdapSync符号化を提案した.本研究を通して得られた成果は,国際会議をはじめ電子情報通信学会論文誌・学会誌,ヒューマンインタフェース学会論文誌・学会誌などに掲載あるいは掲載予定である.尚,本研究の成果をうけ、手話の対話解析を通し脳科学的な認知科学的側面からの理解機構解明の作業を続行している。
著者
金武 潤
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

連続データの特性を生かした死後経過時間推算アルゴリズムの開発を目的として、新たに直腸温2次元温度分布測定用センサーを投入した実験系の構築を目指した。(1)2次元温度分布センサーの作製複数の熱電対を内装した専用装置を設計・作製し、寒天モデルを使用してその妥当性を確認した。肛門部から2cm間隔で8点を同時に測定することにより、長軸方向の温度分布を詳細に捉えることが可能となった。(2)可搬型疑似生体モデルの開発腰部マネキンモデルを作製し、長軸方向温度分布データの採取に成功した。しかし、全装置重量が20kgを超え、可搬ではあるものの死体発見現場に容易に持ち込み可能な水準ではない。モデル構成成分・材質等のさらなる検討が必要であり、またセンサー部とデータ解析・蓄積部の無線・赤外線通信等による分離の必要性が認められた。(3)ヒト死体温データの採取実験計画通り、宮城県下の5署に新たに開発され高分解能型小型温度データロガを配備し、剖検予定の死体を対象に直腸温データの採取を行った。従来法に比べ高精度の解析が可能となり、変曲点抽出が可能となった。一部は鑑定に採用し嘱託者に還元した。(4)実験動物を対象とした直腸温データの採取当初、小型動物としてウサギ、大型動物としてシカを対象に計画していたが、上記(1)・(2)の開発計画の遅れから、シカを対象にした予備実験のみ実行した。高分解能型小型温度データロガを用いて、3点計測によりシカ直腸温を採取した。長軸方向の温度分布が観察され、本研究の目的にかなったデータ採取が可能であることが確認された。
著者
武田 将明
出版者
法政大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

英国18世紀小説の特徴を再考するために、Daniel DefoeやEliza Haywoodの作品について研究し、口頭発表と論文で成果を公表した。特に、従来は内在的に発展したとされてきた英国18世紀小説のリアリズムが、実は17世紀フランス文学との影響関係のなかで育まれたことを示した。また、文学史に関する考察や、現代日本文学と英国18世紀小説の関係を考察する論考も発表した。
著者
菅野 秀宣 中島 円 荻野 郁子 新井 一
出版者
日本てんかん学会
雑誌
てんかん研究 (ISSN:09120890)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.16-25, 2008-06-30

目的:海馬歯状回において神経細胞新生が継続していることは動物実験のみならずヒトでの研究でも報告されている。今回、われわれはヒト側頭葉てんかん患者における神経細胞新生と成熟について免疫染色による検討を行った。方法:海馬での神経細胞新生はNeuro D、PSA-NCAM、NeuNの免疫染色により確認した。手術時年齢、海馬硬化の有無、発症から手術までの罹患期間、発作頻度が、新生神経細胞数におよぼす影響を統計学的に解析した。神経細胞の成熟度の指標としてNKCC1、KCC2の免疫染色を追加した。結果:新生神経細胞は、海馬硬化群で有意に少なかった(p=0.0003)。非海馬硬化群での新生細胞の74.0%はNKCC1が陽性であり、36.0%がKCC2に陽性であった。一方、海馬硬化群では各々67.6%と6.3%の陽性率であり、海馬硬化群において有意にKCC2の発現が少なかった(p=0.003)。結論:ヒトてんかん海馬においても神経細胞の新生が継続していることが確かめられた。硬化海馬では非硬化例に比べその数は有意に少なく、かつ未成熟であるといえる。
著者
Hirotsugu Ueshima
出版者
Japan Atherosclerosis Society
雑誌
Journal of Atherosclerosis and Thrombosis (ISSN:13403478)
巻号頁・発行日
vol.14, no.6, pp.278-286, 2007 (Released:2007-12-29)
参考文献数
52
被引用文献数
119 228

Japan's age-adjusted rate for mortality from stroke increased after the Second World War until 1965 and then showed a significant decline until 1990; however, the age-adjusted rate for mortality from all heart disease and coronary heart disease (CHD) increased until 1970 and then declined slowly. A puzzling question is why the rate of mortality from CHD declined in spite of an increase in serum total cholesterol level following an increase in fat consumption.It was confirmed that CHD incidence was far lower in several Japanese populations compared to Western countries in the “ Monitoring Trends and Determinants in Cardiovascular Disease ” (MONICA) project; therefore, the lower CHD mortality in Japan stems from the lower CHD incidence. CHD risk factors based on epidemiologic cohort studies in Japan were no different from those of other industrialized countries: hypertension, hypercholesterolemia, smoking and diabetes mellitus (DM). So, how can we explain this phenomenon?There are three possible explanations. One is the decline in population blood pressure level and the prevalence of hypertension during the years 1965-1990; the second is the decline in smoking rate in men and women; the third is that the serum total cholesterol level for middle-aged and elderly populations remains 5-15 mg/dL lower than that of the US elderly counterpart, although men aged 40-49 in Japan and the US had similar serum total cholesterol levels. It was also noted that elderly people in Japan, as observed in the Seven Countries Study, had far lower serum total cholesterol levels in midlife, i.e., around 160 mg/dL in the 1960s. This was not the case for elderly in the US where a higher serum total cholesterol level was observed in midlife.In conclusion, the lower serum cholesterol level in the past of Japanese middle-aged and elderly people compared to Western counterparts helps to maintain the low CHD incidence and mortality supported by the declining trend in blood pressure level and smoking rate for both men and women.
著者
中島 平
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、撮影中の映像にリアルタイムで学習者や観察者が「面白い」「後でチェック」などのマークをつけ、授業後に振り返り可能なシステムを提案するとともに、システムを有効に活用する教育方法を開発した。特に将来教員を目指す学生に対して、効率的・効果的な教育改善が可能となることを示した。また、大人数講義における教員-学生間コミュニケーションを促進することを示した。さらに、システムの使用により学習者の宣言的知識の記憶保持が改善されること、そして、一般的なコミュニケーション力育成に使用可能であることも示した。
著者
岡村 仁 松川 寛二
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究は,主任研究者らが開発した速度フィードバック療法システが認知症高齢者の認知機能障害改善に有効かどうかを無作為化比較試験により検証すること,およびマルチチャンネル近赤外光酸素モニターを応用して,上記認知機能障害改善システムの有効性を脳科学・生理学的に明らかにすることを目的とした。得られた結果は以下の通りである。(1)認知機能障害改善システムの有効性に関する臨床的検討適格基準を満たした認知症高齢者90名を,介入群45名,対照群45名に無作為に割付け,対照群には標準的な自転車エルゴメーター駆動,介入群には速度フィードバック療法を行った。介入前,介入終了直後,介入終了1ヵ月後のMini-Mental State Examination(MMSE),N式老年者用日常生活動作評価尺度(N-ADL),認知症高齢者QOLスケール(QOL-D)の各評価尺度得点における両群問の差を検討するため,各評価尺度の得点の変化量を従属変数とした二元配置分散分析を行った結果,MMSE, N-ADL, QOL-Dの各評価尺度得点の変化において両群間に有意な差が認められ,本研究で作成した速度フィードバック療法システムの有効性が示唆された。(2)高次脳機能評価システムの開発健常成人8名に対して,エルゴメーター運動の前後にストループテストを行い,その際の前頭葉脳酸素代謝動態を測定した。測定にあたっては,近赤外線分光装置を用い,脳神経活動に付随した局所酸素代謝を示すと考えられる酸化型ヘモグロビン濃度(Oxy-Hb),還元型ヘモグロビン濃度(Deoxy-Hb),総ヘモグロビン濃度(Total-Hb)を計測した。2組の光グローブは,ストループテスト中に機能するといわれる頭頂葉部位に照射させるよう前額部左右の眉上に装着し,リアルタイムで同時測定を行った。その結果,40%強度の運動中にOxy-Hbの有意な増加が認められ,その増加は持続した。ストループテスト所要時間は40%強度の運動後に短縮し誤答数は運動前後で変わらなかったことから,40%強度の動的運動により認知機能が向上すること,その認知機能の向上と前頭葉脳酸素動態は関連することが示唆された。
著者
桑原 恒夫 玉城 幹介 山田 光一 中村 喜宏 満永 豊 小西 納子 天野 和哉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.83, no.9, pp.1013-1024, 2000-09-25
被引用文献数
22

我々が提案しているCAIと教師がリアルタイムで協調しながら教育を行う個人進度別教育支援システム(MESIA)では, CAIと教師が行き詰まった生徒に対して様々な方法で支援を行っている.本論文では専門学校におけるMESIAを用いた教育実験において, これらの機能の有効性を生徒の主観評価, 利用率, テストの解答の正解化(誤答から正解への変化)への寄与で評価した結果を述べる.その結果, MESIAに実装した機能のうち, CAIから与えられた小テスト, 正解に近い誤答に対するヒント(以後, ヒントという), 解答の作成指針を与えるヒント(以後, HELP/MOREという), 教師から与えられるメッセージが特に有効であることを示す.また教師によるメッセージは同一テスト中に与えられる一連の支援の後半に利用率が高く, その正解化への寄与率が他の支援と比較して最も高いことと相まって, 行き詰まった生徒に対する切り札的な支援になっていることを示す.ただし正解化に寄与した支援数自体は, CAIによる支援数の合計がこの教師によるメッセージの支援数よりはるかに多く, CAIの支援機能によって教師の稼動が大幅に減少していることを述べる.
著者
鈴木 康夫
出版者
中部大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

現在、アジア、中近東、ヨーロッパ、アフリカにまで拡大と世界12力国においてヒトへ伝播した高病原性トリインフルエンザウイルスのヒトへの伝播機構の解明を目的とし、2年間で下記の結果を得た。1)中国およびベトナムでヒトから分離された高病原性トリインフルエンザウイルスは、ヒトの上気道に主に存在するウイルス受容体(シアル酸2-6ガラクトースを含む糖鎖)にも結合できる変異を遂げていることを初めて明らかにした。また、ベトナムの分離株はヒトーヒト感染が可能である臨床的成績を得た。2)抗インフルエンザ薬(タミフル:インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ阻害薬)を予防的に服用した患者から分離されたウイルスにはタミフル抵抗性株が含まれることを見いだした。3)ヒトインフルエンザウイルスの機能的レセプターであるシアリル2-6ガラクトースを生成する酵素、ヒトシアル酸転移酵素(ST6Gal)の大量発現系の構築に成功し、これを高発現させた細胞にはヒトウイルスがより効率良く感染増殖することを見いだした。4)高病原性トリインフルエンザウイルスがヒト世界でパンデミックを起こすウイルスに変異するための分子変異シグナルを同定した。すなわち、様々な分離高病原性トリインフルエンザウイルス、その変異ウイルスを用いて、高病原性トリインフルエンザウイルスヘマグルチニン分子内のわずか1〜2ヶ所のアミノ酸置換がヒト気道上に存在するシアロ糖鎖受容体認識に関わることを発見し、そのアミノ酸(182,192,139番目など)を同定した。これらの成果により、パンデミック発生を事前に予知出来ることが初めて可能となった。5)ヒト気道上皮培養細胞にはヒト間で流行しているインフルエンザウイルス(IFV)のシアロ糖鎖受容体(sialy1α2-6Ga1-)の他に、高病原性鳥IFVの受容体(sialylα2-3Ga1-)も存在することを見いだした。6)高病原性トリインフルエンザウイルスのヒトへの伝播を可能とする変異を監視する新しい技術を開発した。本方法は、高価な機器を用いないので、東南アジア諸国でも、現在流行している高病原性トリインフルエンザウイルスのヒトへの伝播を可能とする変異を監視できるものであり、今後の有効利用が期待される。
著者
大谷 徳樹 富永 昭
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.228-232, 2004

永久ゴマ加速装置の働きを理解するため,デジタルオシロスコープを用いて電圧の時間変化を測定し,解析を行なった。ベース-エミッタ間電圧においてトランジスタの電流増幅作用がOFFとなっている時間帯に-8V程度の定電圧が生じている。この定電圧は,トランジスタのベース-エミッタ間における電子なだれによるツェデー電圧のあらわれである。ベース-エミッタ間はツェナー電圧8Vのツェナーダイオードとして振舞う。
著者
久保 隆文 荻田 信二郎 笹本 浜子 川合 伸也 荻田 信仁郎
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本研究では、(1)アカマツ(Pinus densiflora)の不定胚形成細胞(ECs)誘導および不定胚形成、(2)スギ(Cryptomeria japonica)の不定胚形成とその制御要因、(3)プロトプラスト化、細胞融合による体細胞雑種作出と植物体再生系、(4)FLORICAULA/LEAFY遺伝子と相同性を持つスギ由来のCjNdly遺伝子の単離と解析、について検討し、多くの成果を得ることができた。(1)未成熟胚から誘導されたアカマツのECsの継代には、1250mg/l濃度のL-glutamine及び1000mg/lのPVPを添加したmDCR培地が、不定胚の形成には30μMのABA、6%のマルトース、及び10%のPEG8000を添加したmDCR培地が効果的であった。(2)カラマツ、エゾマツ、スギ培養細胞の組織形態観察と内生アミノ酸のHPLC定量により、各培養細胞特異性が分かった。この結果を受けて外生アミノ酸を適宜改変することにより、難培養スギにおいて不定胚からの植物体再生系が確立できた。すなわち、内生アミノ酸量をモニターすることで細胞の分化特性解析・評価および、高分化性細胞の早期選抜ができると結論した。(3)微小培養シャーレを用いたプロトプラストアッセイ手法によってカラマツ、スギのプロトプラストの単離・最適培養条件が早期に検索できた。また、プロトプラスト中の微量内生植物ホルモン量を定量することによって培養条件検索の効率化が可能になった。さらに、針葉樹プロトプラストの融合可能、カロース特殊繊維の形成条件を明らかになった。(4)花芽分化に関与する転写因子をコードする遺伝子族FLORICAULA/LEAFY familyと相同性を有するスギ(Cryptomeria japonica D, Don)の遺伝子CjNdlyの単離と解析を行い、CjNdlyは被子植物においてFLORICAULA/LEAFY familyが花芽分化に重要な役割を果たすのと同様な機能を裸子植物であるスギにおいても果たしていると推察した。
著者
金浜 耕基 金山 喜則 西山 学
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

シュッコンカスミソウの開花は遠赤色LED光によって促進され、LED光による開花促進効果はFLOWERING LOCUS T の発現においても認められた。また、遠赤色単独よりも、遠赤色光に、単独では開花促進効果を示さない赤色光や青色光を混合すると、著しい開花促進効果のあることが示された。シュッコンカスミソウのほかに、トルコギキョウや四季成性イチゴにおいても同様の傾向が示された。LED混合光の開花促進効果は電球型のLED光源(試作品)においても認められた。
著者
岡 茂
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.23-29, 1988-06-10

身体虚弱児の自己諸側面に関する認知を把握することは、虚弱児教育に際しての基礎条件である。本研究では、以下の視点から問題を設定した。健康の自己認知は固定したものではなく、他の自己認知や今後の人生をどう生きたいかという生活目標などと関連し合うものである。そこで、健康状態、体力、運動能力、性格の自己認知が生活目標に及ぼす影響を捉えた。同時に、虚弱児と健康児の比較から、虚弱児の自己認知および生活目標の特徴を明らかにした。一般校の児童を対象とし、質問紙調査を実施した。生活目標に影響を及ぼす自己認知の重要性の順位は、1.性格、運動能力、2.体格・体力、3.健康、であった。また、虚弱児の特徴として、体格・体力、運動能力の自己認知が低く、性格が内向的であることが健康児との比較から明らかになった。