著者
山中 俊夫
出版者
大阪大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1995

京都市内、大阪府吹田市千里ニュータウン、奈良市内の戸建て住宅、集合住宅の居住者に対するアンケート調査によって、夏期における通風の利用実態や冷房の使用状況、通風に期待する役割、居住している住宅の通風環境の評価の実態を明らかにしたうえで、通風環境が良かった住宅を一軒選定し、居室内の温度・湿度・風速の時間変化の実測調査を約六ケ月間(1995年9月〜1996年3月)実施した。また、風洞内において、通風時の温熱環境の評価実験を行なった。この研究で明らかになった知見は下記の通り。住宅の通風環境に関するアンケート調査・殆ど全ての人が住宅にとって通風は必要であると考えており、通風の目的は、第1位:汚れた空気の入れ替え、第2位:湿気の除去、第3位:寒暖の調節、第4位:爽快感を得ることであった。・気温が高いほど、また、居住者の活動性が高い時間帯ほど通風行為の頻度も多い。・「風通しの良い」という通風環境の評価と通風環境の満足度はほぼ対応している。・風通しの良い室数や住宅の室数に対する風通しの良い室数と満足度には正の相関が認められる。住宅の通風環境要素の実測・冷暖房中間期における通風による屋内風速は、10分間平均で最大1.5m/s以下であり、平均的には数10cm/sになるよう居住者によって調節がなされている。・通風が行われる時間の長さは、居住者の生活と室内気温によって大きく影響を受ける。・冬季においては通風が温熱環境の改善のために行われるものではないため、10分間平均の風速に通風による風速増加は殆ど現れない。・熱環境の改善を目的とした通風設計で対象とすべき季節・時間帯は、自然室温が29℃〜24℃で、かつ通風を行うことによる室温が20℃程度以上になる期間の起床時間帯である。通風時の温熱環境に関する主観評価実験・通風による快適感は、風速の変動時に顕著に表出する。
著者
八幡 雅彦
出版者
別府大学短期大学部
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

ジョージ・A・バーミンガム(1865-1950)を中心に北アイルランド小説の普遍的意義と価値を解明した。バーミンガムの初期のふたつの小説が巻き起こした論争がいかにアイルランドの歴史を揺り動かしたかを分析し、そしてこの騒動によってバーミンガムは、人々の融和のためにはユーモアが不可欠という普遍的真理を備えた小説を書くに至ったことを実証した。北アイルランド小説の新たな展開に関しては、グレン・パタソン(1961-)、シャロン・オウエンス(1968-)らの小説が、紛争に囚われぬ新しい姿の北アイルランドを描き、どのようなグローバル性を備えているかを提示した。
著者
山本 和弘
出版者
大阪市立大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

平成20年度に引き続き、作成した単結晶ダイヤモンド検出器の性能評価を行った。検出器の構造は、4mm×4mm×0.5mmの単結晶CVDダイヤモンドチップの両面に金でメタライズを施して電極としたシンプルなもので、500Vのバイアス電圧をかけて信号を読み出した。ビームテストとして、京都大学化学研究所の電子線型加速器のビームラインにこの検出器を設置して100MeVの電子を照射し、その応答のデータを収集した。主なビームパラメーターは、エネルギー:100MeV、パルス幅:~60ns、強度:10^8~10^9個/パルス、ビーム径:~6mm、繰り返し周波数:15Hzであった。データ収集システムには、COPPERとMIDASを用い、FADCによりダイヤモンド検出器からの波形データを記録した。信号の波形を見ると100ns弱のパルス幅が得られ、照射した電子ビームのパルス幅とほぼ同程度であった。これはT2K実験のビームバンチ間隔580nsよりも十分小さく、この検出器によってバンチごとのビーム測定が十分可能であることが分かった。次に、電子ビーム強度をJ-PARCメインリング(MR)40GeV, 0.6MW相当までスキャンして信号を取得し、同時に取ったシリコン検出器の応答との比を取ってビーム強度に対する応答の線型性を測定した。結果は、ビーム強度の全領域においてほぼ線型性を保っことが確認され、直線フィットからのずれは1~2%以内に納まった。ただし、ビーム強度の上昇に伴ってずれが大きくなる様子も見えたので、この効果を取り入れるために2次曲線でフィットを行うと、そこからのずれは±0.2%に納まった。次に、電子ビームの強度をJ-PARC MR40GeV, 0.6MW相当に設定して40分間にわたり連続照射し、その間の信号の安定性を見た。その結果、大きな信号の変動は見られず、そのずれは1%以内に納まることが確認された。
著者
佐藤 健治 溝渕 知司 西江 宏行 中塚 秀輝 佐藤 哲文 水原 啓暁
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

我々はバーチャルリアリティ応用・鏡療法(VR/MVF)を開発し、様々な鎮痛方法でも痛みが軽減しない幻肢痛やCRPS(複合性局所疼痛症候群)患者での鎮痛効果を確認・報告した。当該研究ではVR/MVFの鎮痛効果をより継続させるためVR/MVF治療を音情報に変換し音楽を作成するシステムを開発した。我々はVR/MVF治療では体内に備わる痛みを和らげる機構(内因性オピオイドシステム)が活発になると考えていて、VR/MVF治療中に作成した音楽を家に持ち帰り日常生活の場で聴くことで、体内に備わる痛みを和らげる機構が再び活発となり痛みが和らぐと期待している。
著者
佐藤 健次
出版者
北海道大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

昨年度に引き続き、出芽酵母Atg7単体およびAtg7CTD-Atg8複合体の立体構造の精密化を行なった。また、結晶構造からはAtg8とAtg7のadenylation domain間の相互作用の情報を得ることができたが、変異体解析によってAtg7はadenylation domainによる認識に先立って、C末端領域によってAtg8を捕まえていることが示唆された。しかし、この相互作用に関しては結晶構造からは十分な情報が得られなかったため、Atg7のC末端ペプチドを作成しAtg8との複合体構造をNMRを用いて明らかにした。これらの構造情報と各種変異体を用いたin vitroでの解析によって、Atg7はこれまで研究されてきたcanonical E1とはユビキチン様タンパク質の活性化の機構が大きく異なることを明らかにした。まず、Atg7はそのC末端領域によってAtg8を捕らえ、その後活性化の活性中心である自身のadenylation domainへと移行させるという二段階の認識機構を持つことを示した。また、活性化されたAtg8はE2分子であるAtg3へとtransの機構によって受け渡されていることを示した。これらのcanonical E1とは大きく異なったAtg7の特徴は今後オートファジーにおけるAtg8系とAtg12系の役割を明らかにするうえで重要であると考えられる。また、他のE1と大きく異なる立体構造および活性化の分子機構はAtg7特異的阻害剤を作成するうえで重要な情報といえる。本年度は上記の研究の結果をまとめ、学術誌Molecular Cellにて発表を行なった。
著者
塚原 重雄 細田 源浩
雑誌
あたらしい眼科 = Journal of the eye (ISSN:09101810)
巻号頁・発行日
vol.16, no.7, pp.893-898, 1999-07-30
被引用文献数
9
著者
石川 正司
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

電気二重層キャパシタの性能向上を目指し,電極ならびに電解質の大幅な改善を試み,大きな成果を得ることが出来た。以下にその概要を記す。電気二重層キャパシタの電解質として,PVdF-HFPタイプのゲル電解質を適用した。この電解質を極限まで薄膜化しつつ,さらにゲル電解質と電極との界面接合の最適化を行い,これまでに無い高い性能を引き出すことに成功した。すなわち,高速の充放電を行った場合,通常の有機電解液キャパシタではキャパシタンスが減少してしまう大電流領域においても,キャパシタンスが全く低下しないゲル電解質キャパシタを構成することに成功した。このキャパシタは電解質厚みがわずか10ミクロンであり,しかも通常の活性炭シート電極を用いているにもかかわらず,このような高性能が発現したことは驚くべきことである。キャパシタの高性能化のもう一つの主要要素技術である電極の改善についても試みた。これにはフッ化物やアルコキシシランガスから発生させたコールドプラズマを電極材料の活性炭表面に照射し,細孔制御と表面官能基制御を行うことでレート特性の改善に成功した。さらに,活性炭に換え,カーボンナノチューブを一方向に配向させてそれをそのままシート状の電極とした,カーボンナノシート電極を開発し,二重層キャパシタの電極としてのテストを行った。その結果,この電極は超高速充放電に適合することが判明した。すなわち,通常の活性炭では全く充放電が不可能,つまり放電キャパシタンスがゼロになってしまうような大電流でも充放電が可能であることが明らかとなった。以上述べた技術について,可能なものはリチウム二次電池系にも適用を試みた。
著者
津崎 兼彰 山口 隆司 増田 浩志 木村 勇次
出版者
独立行政法人物質・材料研究機構
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、超高力ボルト創製に関する基礎研究を材料・建築・土木分野の研究者が共同で行った。その結果、1800MPa級超高力ボルトを実現するための最適材料化学成分と金属組織ならびにボルト形状を提案した。
著者
澤田 まゆみ
出版者
新島学園短期大学
雑誌
新島学園短期大学紀要 (ISSN:18802141)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.101-112, 2006-03-31

本論は,2004年8月26日伊勢崎市文化会館小ホール(群馬県)での「五感を育てるコンサート」実施にいたるまでの研究過程および実践方法をもとに,クラシック・ピアノ演奏による幼児教育の可能性について書したものである。クラシック・ピアノ演奏を用いる意義,用いる際の環境構成(対象・場所・曲目)および五感と想像力を育てるための援助方法についての考察,実践の記録からなる。クラシック音楽は幼児にとって,これだけ情報社会,文化交流がすすんでいる現代においても決して馴染みのある音楽とは言い難く,幼稚園教育要領「表現」のねらい及び内容である「生活の中で美しいものや心を動かす出来事に触れ,イメージを豊かにする」の「生活」の中にはまだまだ入っていない。しかし,今までふれたことのない世界だからこそ,五感を刺激し,育てる力を内包している。また,具体的なストーリーや事物に限定されず,自由な発想やイメージを描くことができる音楽は,想像力を育てるのにも適していると思われる。ただし,クラシック音楽を幼児教育にとり入れるためには,適切な環境構成と援助が必須である。実施場所は,音響,演奏者と幼児の距離の両方を考慮しつつ,慎重に構成する必要があり,席も幼児一人一人の感受性や反応に対応できるセッティングが望ましい。選曲にあたっては,ねらい達成を目的としながら,楽曲と幼児を結ぶ何らかの橋渡し的素材を含むものが求められ,語りかけ(想像力を育てる素材・基準の提供やコミュニケーション)や,幼児自らが参加できるプログラムを導入することも大切である。クラシック音楽を生の演奏で奏でることは,ある意味,絵本のよみきかせと共通する部分も多い。質のよい音楽を,語りかけなどの援助を行ないながら直接幼児に聴かせてあげることによって,音楽は息づき,幼児の五感や想像力につよくはたらきかけるだろう。
著者
山本 力 塚本 千秋 西山 久子 赤澤 大史
出版者
岡山大学教育学部附属教育実践総合センター
雑誌
岡山大学教育実践総合センター紀要 (ISSN:13463705)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.155-166, 2003

以下の報告は、平成14年8月26日に開催された岡山大学教育学部附属教育実践総合センター研修講座の教育臨床部門の分科会「シンポジウム:教育臨床における評価・見立てについて」での報告内容をもとに、発表者がそれぞれに再構成して書き下ろしたものである。シンポジウムのコーディネーターは塚原千秋が行った。そして、まず心理臨床の視点から山本が教育臨床の見立てとは何かについて模索した見解を報告した。続いて専任スクールカウンセラーの立場から西山が米国のスクールカウンセリングをモデルにした評価の仕方を詳しい報告にした。最後に学校でのブリーフセラピーの可能性を探る教師の視点から赤沢が実践的な方法と認識を報告した。This paper is aimed at reporting the matter of symposium on the subject of clinical evaluation and assessment in school setting. The focus of discussion is especially on our needs to evaluate and assess students, personnel, parents, ourselves and "school guidance and counseling program". Each symposist expresses ones views and ideas, which are implemented through their work in school setting, and have to be elaborated in the future.
著者
小澤 俊幸
出版者
大阪市立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

表皮角化細胞が運動する際に、運動方向にassembleされるHemidesmosom構成タンパクは近位よりスライドしないことがわかった。また、新たに生成されたタンパクではないこともわかった。つまり、細胞が運動する際に、そのleadingedgeに、新たにassembleされるβ4integrinはendocytosisによってリサイクルされたタンパクであることがわかった。またリサイクルまでの時間を考慮すれば、shortloopのendocytosisである可能性が高く、今後Rab4などのタンパクとの関係を中心に研究を行っていく必要があると考えた。