- 著者
-
杉野 圭史
海老原 覚
本間 栄
- 出版者
- 一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
- 雑誌
- 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
- 巻号頁・発行日
- vol.26, no.2, pp.194-199, 2016-08-31 (Released:2016-09-15)
- 参考文献数
- 17
間質性肺炎患者では,労作時の呼吸困難による身体活動性の低下がdeconditioningをもたらし,運動耐容能の低下,QOLの悪化,不安やうつ状態に繋がると考えられる.これら運動耐容能の低下,QOLの悪化,不安やうつ状態に対して,呼吸リハビリテーション(特に運動療法)による改善効果が期待できる.間質性肺炎患者を対象とした5つの無作為化比較試験のシステマティックレビューにより,呼吸リハビリテーションは運動耐容能(6分間歩行距離の延長)の中等度改善,呼吸困難およびQOLの弱いながらの改善が示されており,推奨されている1).間質性肺炎(特に特発性肺線維症)および気腫合併肺線維症患者に対して,呼吸リハビリテーションを行うに当たり,呼吸器内科医は,豊富な経験と知識を有するリハビリテーション科医師および理学療法士の協力が必要であり,チームによる定期的なミーティングを行うことが重要である.さらに,患者選択基準や運動療法の頻度や強度など多面的な解析により,実施方法について詳細な検討を行い,重症度に合わせた最適な呼吸リハビリテーションプログラムを作成することも必要不可欠である.その結果,これらの患者に対して安全でより効果的な呼吸リハビリテーションを導入することが可能になると考える.