著者
川畑 明紀子 桃井 康行 村山 井上 美穂 岩崎 利郎
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.67, no.11, pp.1103-1107, 2005-11-25
参考文献数
35

イヌmdr1遺伝子における4塩基の欠失を日本で飼育されている8犬種, 193頭の犬で調べた.変異遺伝子はコリー, オーストラリアン・シェパード, シェットランドシープドッグで見つかり, 変異遺伝子頻度はそれぞれ58.3%, 33.3%, 1.2%だった.遺伝子型がMDR1/MDR1の犬の末梢血単核球ではMDR1蛋白は検出されたが, mdr1-1Δ/mdr1-1Δのコリーの末梢血単核球では検出されなかった.MDR1の基質であるローダミン123の排泄は遺伝子型がMDR1/MDR1のリンパ球では見られ, その排泄はMDR1阻害剤であるベラパミルによって阻害された.一方, 遺伝子型がmdr1-1Δ/mdr1-1Δのリンパ球ではローダミン123の排泄はわずかであった.これらの結果から, 変異mdr1遺伝子はコリー種の犬に高率に存在し, 遺伝子型がmdr1-1Δ/mdr1-1Δの犬は機能的なMDR1を持たないことが示唆された.
著者
土井 徹
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会年会論文集 (ISSN:21863628)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.235-236, 2018

日本の小学校生活科の教科書にある学習後のアメリカザリガニの扱いに関する記述について調査した。その結果,約 30 年の間に,記述なしあるいは野外への放逐を推奨する記述から,野外放逐と飼育継続を選択させる記述を経て,飼育継続を推奨する記述へと変遷していることが明らかとなった。
著者
青木 順子 Junko Aoki
出版者
安田女子大学
雑誌
安田女子大学紀要 = Journal of Yasuda Women's University (ISSN:02896494)
巻号頁・発行日
no.48, pp.125-136, 2020-02-28

2018年後半から2019年前半にかけてのアカデミー賞作品賞を受賞した映画、米国NBC局のキャスターの「ブラックフェース」発言等、社会で論争を引き起こした例を基にして、「拘り」の表明、「拘り」に対する反応、反論、言い訳に見えてくるものを検証し、「拘り」の持つ性質と意義について考察をしている。自らの「拘り」への参加、他者の「拘り」の行為の受容、そして異なる意見の表明によって互いに真摯な応答の過程がなされていく社会を尊重し、「拘り」の表明によって、さらに異なる意見が自由に意見交換されるような空間――これは、カントのいう公共圏でもあり、アーレントが、レッシングの考えた真理の存在、「真理は、言語を通して人間化されるところのみ存在する」について述べたような、多様性を持つ人間が「真理だと思っているもの」を表明し語ることでのみ作り得る「唯一の人間的な空間」でもある。他者のメディア表象への「拘り」を尊重し、真摯に応答する行為を通して、「一人ひとりが・拘り・今・自分に・出来ることを、丁寧に問い・声をあげ、かつ、耳を傾け・異なる他者とのコミュニケーションを続け・それを通して得た真理を・実現しようとする」という異文化コミュニケーション教育の目標は達せられるのである。
著者
初宿 成彦
出版者
一般社団法人 日本昆虫学会
雑誌
昆蟲.ニューシリーズ (ISSN:13438794)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.205-211, 2012-10-05 (Released:2018-09-21)

気象台が記録している初鳴日と日平均気温に基づき,大阪市内の36年間(1976〜2011年)のクマゼミ成虫発生量の年変動を推定した.クマゼミは1980年代初めに増加し,現在まで多い状態が続いている.発生量には明瞭な周期性は見られなかった.
著者
相馬 秀廣 山内 和也 山藤 正敏 安倍 雅史 バレンティナ サンコバ ヴァレリー コルチェンコ 窪田 順平 渡辺 三津子
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2012, 2012

<b>はじめに:</b>天山山脈西部北麓には,オアシスを連ね唐代には「天山北路」が通り,北方にはカザフ草原が広がる.ヌリアン(2009)によれば,アクベシム遺跡は,紀元5-6世紀にソグド人による建設後,交易の発達により繁栄し,7世紀には西突厥の中心地として玄奘も滞在し,657年以降は断続的に唐,西突厥,吐蕃の支配下に置かれ, 682年の唐の「杜懐寶石碑」が出土している.「タラス河畔の戦い」の後も、カルルク、カラハン朝の中心的な都城址として13世紀初頭まで居住されたとされ,仏教寺院,ネストリウス派キリスト教会などの遺跡も複数存在する. 考古発掘により,アクベシム遺跡の概要は大まかには判明しているものの,何故この場所に同遺跡が建設されたか,南東部のラバドの性格など,基本的な点で未解決な部分も少なくない.また,同遺跡からおおよそ25km圏(アクベッシム遺跡地区)内には,数多くの遺跡の存在が知られているものの,それらの立地条件については,必ずしも明らかではない.そこで,発表では,高解像度衛星画像・同写真の判読と現地調査結果により,各遺跡の立地条件などについて報告する.本研究は,1967年撮影のCorona衛星写真(地上解像度約3m. Corona)および2007年観測のQuickBird衛星画像(同約0.6m)などによる衛星考古地理学的手法を用いた.<b>アクベシム遺跡地区の囲郭遺跡の立地条件</b>:当地区の囲郭遺跡の立地条件は, a)段丘面上端,b)段丘面上(一辺が数10mの小規模囲郭),c)扇端(アクベシム遺跡),d)沖積低地(ブラナ遺跡)に区分される.aは一辺の長さが100mオーダーで囲郭の一部に段丘崖を利用し,幅数から10mの空堀を周囲に巡らせており,防御に重点がおかれた可能性が高い.同様な囲郭址がイシク湖南岸にも存在する.bは烽火台である. アクベシム遺跡は,東西両側を南からチュー川に延びる2つの大きな開析扇状地扇端付近のほぼ合流部に位置する.当地区の遺跡の中では地下水を最も得やすく,また,両側からの河川氾濫に対して最も被害を受けにくい立地にある.ブラナ遺跡は,アクベシム遺跡の後,当地区の中心だったとされる囲郭であるが,アクベシム遺跡両側の扇状地の間を流下する小河川の沖積低地に立地する.以上の点から,アクベシム遺跡は,当地区において,中心となるのに最も望ましい立地にあることが判明した.
著者
坂井 豊貴
出版者
横浜経済学会
雑誌
エコノミア (ISSN:00129712)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.1-9, 2018-02
著者
落合 陽一
出版者
文藝春秋
雑誌
文學界 (ISSN:05251877)
巻号頁・発行日
vol.73, no.11, pp.1-3,82-83, 2019-11
著者
西村 慎一
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

海綿に由来する抗真菌化合物theonellamideは細胞膜中のステロールと相互作用することで分裂酵母において細胞壁の異常合成を誘導する。本研究ではこの現象に着目して生体膜の恒常性を維持するメカニズムの解明を試みた。その結果、細胞骨格や細胞膜センサー等がtheonellamideの作用と密接な関連を持つことが明らかとなり、それらが細胞膜構造の維持に働いている可能性が示唆された。