著者
河本 正次
出版者
広島大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、米由来のα-グルカンが生体防御能の調節を介して日本人の健康増進に一役買っているのではないかとの仮説を検証することを目的とした。米由来のデンプン含有食をアレルギー性鼻炎モデルマウスに自由摂食させたところ、著明な鼻炎症状の進展抑制が認められた。一方、米デンプンの摂食は本モデルの獲得免疫応答には影響を及ぼしていないことが明らかとなった。この抗炎症作用はもち米由来デンプンよりもうるち米由来デンプンにおいてより顕著であり、同機能性を担う主要なα-グルカン構造単位がアミロースであることが示唆された。更に米デンプンの摂取量調節により当該機能性を必要に応じて発揮させうる可能性を見いだした。
著者
新井 俊希 安江 俊夫 北村 和也 島本 洋 小杉 智彦 ジュン スンウク 青山 聡 HSU Ming-Chieh 山下 雄一郎 角 博文 川人 祥二
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.40, no.12, pp.21-24, 2016-03-04

サイクリック系3段ADCを用いた画素サイズ1.1μmの3,300万画素240枚/秒3次元積層構造CMOSイメージセンサを開発した.裏面照射型で3次元積層構造を,ハイブリッドスタッキング技術を用いることで,画素部とアレイ状に配置したAD変換器を画素エリア内部で接続した.3段パイプラインのサイクリック-サイクリック-逐次比較AD変換器により,変換時間周期を0.92μsに高速化した.3段AD変換器の構成とハイブリッドスタッキング技術により,3,300万画素において240枚/秒の高フレームレートを初めて実現した.画素速度7.96ギガ画素/秒の高速読み出しを実現しつつ,ランダムノイズ3.6電子とセンサ消費電力3.0ワットを達成した.
著者
高橋 洋二 志水 茂
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.355-360, 1993-10-25 (Released:2019-09-01)
参考文献数
12

SHINJUKU SUB-CENTER HAS BEEN DEVELOPED AS ONE OF THE MOST IMPORTANT BUSINESS DISTRICTS IN TOKYO METROPOLITAN AREA. THE AIM OF THIS PAPER IS TO INVESTIGATE THE PROCESS OF ACCUMULATION OF BUSINESS FUNCTIONS IN SHINJUKU AND ANALYZE THE CHANGE OF BUSINESS TRIPS IN SHINJUKU AND OTHER CBDS USING DATA OF PERSON TRIP SURVEYS. IT IS MADE CLEAR THAT BUSINESS FUNCTIONS OF SHINJUKU HAS BEEN GROWING AND THAT THE RELATIONSHIP IN TERMS OF BUSINESS TRIPS BETWEEN SHINJUKU AND THE CENTRAL PART OF TOKYO HAS BECOME CLOSER AS THE TIME PASSED ON.
著者
衣笠 泰介 藤原 昌 和久 貴洋 Gulbin Jason
出版者
独立行政法人 日本スポーツ振興センター国立スポーツ科学センター
雑誌
Sports Science in Elite Athlete Support (ISSN:24322091)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.15-26, 2018 (Released:2019-02-15)
参考文献数
25
被引用文献数
3

Talent identification & development (TID) has been positioned as an important measure of sport policy from the viewpoint of high performance sport. TID at the national level has been evolving in various countries including United Kingdom (UK) and Australia. Japan Sport Council (JSC) currently supports three TID models throughout the entire country: multi-sports, target sports, and transfer sports. A local TID (LTID) project on the multi-sports model was first introduced in Fukuoka prefecture in 2004. After 13 years, the LTID project has been expanded to 26 prefectures. The Japanese National TID (NTID) programme was strategically implemented by JSC in 2012 as a new national project. NTID provides opportunities and choices toward talented local athletes to create various Olympic and Paralympic pathways for potential medallists. Many countries establishing sustainable athlete development pathways highlight the need to continue being innovative and evidence-based in the approach to ensure that Japan stays at the front of this rapidly evolving field in high performance sport.
著者
小池 高史
出版者
日本老年社会科学会
雑誌
老年社会科学 (ISSN:03882446)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.311-317, 2021-01-20 (Released:2022-01-20)
参考文献数
11
被引用文献数
1

就業中の高齢者の働く理由の違いによって今後の業種・職種についての希望に違いがみられるかを検証した.データは,福岡市在住の無作為抽出された60〜74歳の人3,000人を対象とした調査から得られた.有効回答数は1,922(回収率64.1%)であった.分析対象は,そのうち就業中で今後も働く意思をもっている人(905人)とした.今後の業種・職種についての希望を従属変数に,働く理由を独立変数に設定した多項ロジスティック回帰分析を行った. その結果,生きがいや社会貢献・社会とのつながりを働く理由にしている人ほど,同じ業種への希望をもっていた.生きがいは,同じ業種のみ希望と正の関連があり,社会貢献・社会とのつながりは同じ業種希望と同じ業種と違う業種の両方を希望した人に正の関連があった.また,生きがいを働く理由にしている人ほど,同じ職種のみを希望する割合が大きく,借金返済を働く理由にしている人ほど,同じ職種と違う職種の両方を希望する割合が大きかった.
著者
南 こうせつ 鈴木 亮
出版者
日経BP社
雑誌
日経マネー (ISSN:09119361)
巻号頁・発行日
no.326, pp.92-94, 2010-01

ギター1本持って歌い始めたのが1970年の初めですが、これで食べていけるとは思わなかった。同時期にデビューした全員がそうだったと思いますよ。(吉田)拓郎さんも、(井上)陽水さんも、(さだ)まさしさんもね。だから自分が60歳になってお客さんの前で歌ってるイメージはなかった。この世界、毎年1000人ぐらいがデビューする。その中から生き残るのはひとりかふたり。
著者
IWASA Masao
出版者
北海道帝國大學
雑誌
北海道帝國大學理學部紀要
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.255-296, 1939-04
著者
濵邉 昂平
出版者
首都大学東京小笠原研究委員会
雑誌
小笠原研究年報 (ISSN:03879844)
巻号頁・発行日
no.40, pp.59-72, 2016

本調査は小笠原諸島父島におけるヨコエビ類相の把握を目的に行った。調査は2015年7月から8月、2016年7月から8月、2016年12月から2017年1月にかけて、父島の各海岸および内陸(陸水域を含む)において行った。調査の結果、父島から4科8種のヨコエビ類の生息が確認された。ハマトビムシ科では4種が確認され、海岸型のPlatorchestia pacifica とP. sp.、内陸型のニホンオカトビムシP. japonica、そして海岸型と内陸型の中間型として、固有種であるオガサワラホソハマトビムシPyatakovestia boninensis が確認された。このうち、オガサワラホソハマトビムシは父島において初めての確認となった。
著者
玉木 一郎 畑中 竜輝
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.124, 2013

フモトミズナラは東海地方と関東地方の一部に生育するコナラ属の希少樹種である。本研究では,自生地が多く存在する岐阜県の14集団417個体を対象に,それらの遺伝的多様性の程度や遺伝的分化の程度を明らかにすることを目的とした。自生地を網羅する14地域から,集団あたり約30個体の葉サンプルを採取した。DNAを抽出し,EST-SSR7座の遺伝子型を決定した。各集団における<i>H</i><sub>E</sub>と対立遺伝子数は,それぞれ平均(SD)0.745(0.012)と8.8(0.5)の値を示し,集団間のばらつきは小さかった。<i>G</i><sub>ST</sub>とHedrickの<i>G'</i><sub>ST</sub>は,それぞれ0.009と0.049の値を示し,遺伝的分化は6/7座で有意であった。しかし,<i>D</i><sub>A</sub>遺伝距離に基づくNJ樹からは明瞭な地理的傾向は認められず,地理的距離とDA遺伝距離の相関も有意ではなかった(r = 0.062; P = 0.659)。STRUCTURE解析においても,単一の任意交配集団が支持されたことから,岐阜県のフモトミズナラの遺伝的分化の程度は弱いことが示唆された。今後は同じ地点から採取した近縁種かつ普遍種のコナラと遺伝的変異の程度を比較する予定である。<br>
著者
板谷 宏彬 Iguchi Masanori Koide Takuo Usami Michiyuki Mizutani Shutaro Kurita Takashi
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.p195-198, 1975-03

急性腎不全をきたす疾患のうち,両側性腎皮質壊死は,妊娠後期における胎盤早期剥離,敗血症,外傷,および術後などに発生するまれ,かっきわめて予後不良な疾患である. 1886年に最初の報告をみて以来,現在まで約400例の報告をみるが,生存しえたのは24例で,しかもそのほとんどが血液透析をうけたここ数年間の患者である。またその腎機能回復率は20%以下ときわめて不良である。急性両側腎皮質壊死の発生機序に関しては不明な点が多いが、 その腎組織学的検索で、はフィプリン折出による腎小葉間動脈の栓塞がおもにみられ,腎皮質の広範な壊死を認める反面,腎髄質はほとんど正常に保たれている。同時に臨床的には出血傾向と全身臓器の小動脈の栓塞を認め, DIC (disseminated intravascular coagulation) との関連性が重要視されている。今回,われわれは39歳の高齢初産婦にみられた胎盤早期剥離後,急性腎不全をきたし, 6カ月間の血液透析ののち,同種腎移植を施行され成功したが,その際えられた腎組織は両側性腎皮質壊死と診断された症例を経験したので、その臨床経過を報告するとともに,急性両側性腎皮質壊死の発生機序,診断,予後などにつき考察を加えた。
著者
岡田 崇 牧野 義樹 キム ジュンスー 中田 潤也 丹 康雄
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.365-378, 2012-01-15
被引用文献数
1

温室効果ガス排出量の削減や非常時,災害時におけるエネルギー確保を実現するため,エネルギーマネジメントはわが国の重要な課題である.近年,情報家電の普及にともない宅内にホームネットワーク(HN)が構築され,スマートハウス構想の実現に向け,HEMS(Home Energy Management System)やDSM(Demand Side Management)に対する期待が高まっている.新しいHEMS技術の有効性の検証には,実証実験かシミュレーションによる手法が用いられる.しかし,実証実験は時間やコストがかかり,実験規模,実験期間,網羅的な検証が困難であるという利便性に欠ける問題がある.一方シミュレーションは,HNの多様性,複雑性という性質からモデルの精度に関する問題がある.これらの問題に対し本論文では,実証的ホームシミュレータを提案し,その精度の評価およびHEMSアプリケーション例の効果を検証する.本シミュレータは,HNの要素を住宅,家電,環境,電力,人間の5要素に切り分け,要素間で相互作用する現象を再現可能とした.また実世界とのインタフェースを持ち実システムと同時に実時間で動作することで高い精度のシミュレーション結果を得ることができる.さらに統計情報やパターンを指定し異なるパラメータの実験を繰り返し実行することや,実世界と接続しない場合は複数の計算機を用い多数の世帯を高速にシミュレート可能である.評価として,本シミュレータの環境要素の精度を実験住宅iHouseで計測した実実験のデータとその再現実験のシミュレーション結果より検証した.検証のパターンとして,季節,天候,また窓閉め時,窓開け時,エアコン動作時の3シナリオについて検証を行い,結果から約5%の相対誤差内で環境の再現が可能であることを確認した.さらに実住宅の実消費電力量データとシミュレーション結果の比較を行い,その再現性を確認した.また住宅の効率的なカーテン開閉による消費電力量削減効果をシミュレータにより検証し,約8%の削減効果が見込めることを確認した.Energy management is an important issue for our country to fulfill reducing CO$_2$ emission or saving energy in emergency or disaster situation. Recently, due to the popularization of Home network (HN) comprised by smart home appliance, the need for HEMS (Home Energy Management System) or DSM (Demand Side Management) is stronger than ever. A field trial or a simulation method is adopted to evaluate the efficiency of new HEMS technology. But a field trial is associated with problems such as lack of convenience, time, cost, scaling difficulty, duration and exhaustive verification. On the other hand, a simulation has accuracy problems stemming from the diversity and complexity of HN. In this paper, we propose an experimental home simulator solving these problems. Furthermore, we evaluate the accuracy of the simulator and verify the effects of HEMS application. The simulator classifies elements of HN into categories such as house, appliance, environment, power consumption and human. It allows the reproduction of interactions between them. It can generate simulation results with high accuracy by having interfaces to real world and being executed in real-time. Moreover it has the functionality of a repetition of the experiment with statistics or parameters. If it does not connect to real world, it can simulate large-scale houses with high speed execution by using multiple computers. As the evaluations, we verify the accuracy of the environment simulation from the comparison between real experimental results and the simulation. The verification parameters are season, weather and user scenarios (window opening, window closing, air conditioner). We confirm that the simulator can accurately reproduce the environment with a five percent relative error. In addition, the reproducibility of power consumption simulation is confirmed by comparing the energy consumption measured in a real house with the simulation. Finally, as an example of HEMS application, we simulate an intelligent curtain control application and confirm eight percent reduction of energy consumption.