著者
松尾 圭三 中山 樹一郎 七隈ロラタジン研究会
出版者
Western Division of Japanese Dermatological Association
雑誌
西日本皮膚科 = The Nishinihon journal of dermatology (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.71, no.6, pp.616-623, 2009-12-01
被引用文献数
1 1

小児の皮膚そう痒性疾患患児(15歳以下)91例に対し, 第二世代抗ヒスタミン薬であるロラタジンドライシロップ1%による臨床効果および薬剤の使用感等の検討を行った。主要評価項目であるそう痒・皮疹の程度は, ロラタジン投与開始1週後から有意な改善がみられ, 投与2週後もその改善効果は維持された。また, VASによるそう痒のスコアも同様の臨床効果を示した。全般改善度(改善以上)は91.3%であった。また, 安全性の面においては, 1例に鼻出血が認められたのみであり, 良好な忍容性を示した。さらに, 薬剤投与後の使用感等に関する調査では, 回答が得られた患児の90%以上が嫌がらずに飲み, 飲み忘れが全くなかったかほとんどなかった割合は94%であった。服用後, 数時間以内に効果が現れたと回答した割合は81%であり, 72%の患児または保護者が, 今後もこの薬剤を希望すると回答し, 希望しないと回答したのは5%であった。これらの結果により, 本剤は小児の皮膚そう痒性疾患に対する治療において, 極めて有用な薬剤であることが示唆された。
著者
石倉 康次
出版者
全国障害者問題研究会
雑誌
障害者問題研究 (ISSN:03884155)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.114-121, 2008-08

就労促進に重点を置いた福祉政策には、強制をともなう狭義のワークフェア、強制をともなわないアクティベーションがある。後者の政策を取ってきたスウェーデンではその変質が起こり、就労以外の多様な支援ニーズへの対応が後退している。日本では2006年の障害者自立支援法により授産施設・作業所等で障害を持つ人の就労促進や就労移行に重点が置かれるようになったが、2004年の障害者対策基本法改定段階での自立支援の到達点からの後退を示す。知的障害者本人への調査では、(1)一般就労により経済的自立を実現できる事例はまれである、(2)作業所や授産施設は就労に向けた準備を行う施設として特化できるものではなく、それぞれの能力と価値観にあわせた就労を通した社会参加をすすめ「依存しながらの自立」(自律)を支援する場でもある、(3)一般就労に就いている人を含め、日常生活支援や相談・コミュニケーション支援も不可欠である、などが明らかとなった。
著者
小宮山 敦 樋口 司 小池 健一
出版者
信州大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1996

チェルノブイリ原発事故の放射線汚染による免疫異常と発がんとの関連性を明らかにする目的で、ベラル-シ共和国の高汚染地域住民について疫学的検査を行うとともに、がん発生の調査を実施した。1.免疫学的検査成績(1)白血球数(好中球、リンパ球)はほぼ正常であり、新たな数的変化はなかった。免疫グロブリンおよび補体にも明らかな低下傾向はみられず、一部の小児ではかえって高値を示した。(2)NK細胞上の接着因子(CD2、11a、18、69)の発現は正常であった。(3)NK細胞活性は、これまでと同様に、住民の約30%において低下または亢進を示していた。したがって、NK細胞機能異常が急速に進行してる兆候はなかった。2.染色体脆弱性やがん遺伝子検索のためにリンパ球を採取し保存できた。3.小児白血病発生の状況チェチェルスク地区の小児のなかで、1992年からNK細胞の異常が見いだされており、1997年に健康調査できた12名では、白血病などの小児がんの発生はなかった。ゴメリ州立病院小児血液部門における小児白血病発生頻度は、1997年度に明らかな変動はみられなかった。4.この研究調査と並行して、現地における小児白血病治療の一層の改善を目指して、末梢血幹細胞移植の実践指導を2例について行った。
著者
石井 吉春
出版者
北海道大学公共政策大学院 = Hokkaido University Public Policy School
雑誌
年報 公共政策学 (ISSN:18819818)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.39-57, 2009-03-31

In the municipality hospital, the deficit that reaches 200 billion yen a year is summed up. Therefore, the reform of management is requested, and the reform is advanced based on "Reform guideline of the public hospital". The population density of north Hokkaido is especially low. Therefore, the municipality hospital bears a basic medical treatment while suffering a deficit. And most hospitals according to "Guideline" are urged by the necessity the number of beds reduction, and the conversion to the clinic. In this research, the medical demand of north Hokkaido is examined, and it searches for the direction of management reforms in the municipality hospital.
著者
森松 慶子
出版者
日本電子キーボード音楽学会
雑誌
電子キーボード音楽研究 (ISSN:21899339)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.24-31, 2015 (Released:2017-04-10)
参考文献数
1

要旨 電子楽器から音を出すためにスピーカーは不可欠であるが、スピーカーから出る音は、アコースティック楽器の音とは出方、減衰の仕方が異なる。そのため、電子楽器と PA を使用しないアコースティック楽器でアンサンブルする際は、音量バランスをとるのに工夫が必要である。その場合、音響学的な基礎知識や機材のノウハウとともに、人間の音の聞き方や感じ方に対する想像力が大切である。また、そうしたことを電子楽器奏者が心得ておくだけでは不十分である。共演者に、機械的な話としてではなく、音楽的な事柄として理解してもらい、より良い結果を得るために積極的に関与してもらう努力も必要である。電子楽器が音楽の世界で一般的な市民権を得るためには、重要な過程の一つである。 本論では、基礎的な音響学の用語を整理しながらスピーカーからの音の出方を理解し、実際の演奏の場でどのような工夫が有効か、筆者自身が演奏の現場で経験してきたことと、理論的な知識を随時照らし合わせながら記述する。
著者
清水 寛一
出版者
筑波大学
雑誌
筑波フォーラム (ISSN:03851850)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.30-37, 1978-03

1 0 0 0 OA 新陸軍読本

著者
武田謙二 著
出版者
高山書院
巻号頁・発行日
1940
著者
阿部 利徳 氏家 隆光 笹原 健夫
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.172-176, 2004-03-15
被引用文献数
5 11

エダマメ9品種および普通大豆5品種を用いて,開花後35日の未熟子実の遊離アミノ酸含量および糖含量の品種間差異,およびこれらの成分がゆで操作により加熱した場合にどのように変化するかを調べた.未熟子実の全遊離アミノ酸含量には顕著な品種間差異が認められた.おいしいエダマメとして知られている白山ダダチャは全遊離アミノ酸は新鮮重1g当たり,11mg含有し,最も多く,含量の少ない品種の約3倍量含有していた.遊離アミノ酸の中で,特に呈味性アミノ酸のグルタミン酸,アスパラギンおよびアラニン含量が多く,この3種の遊離アミノ酸で全遊離アミノ酸の約50%を占めた.白山ダダチャの他,サッポロミドリ,青ばた,かほりが比較的高く,その他のエダマメ品種や普通大豆品種は低い含量であった.また,3分間煮沸水中でゆでた場合,多くのアミノ酸は含量がやや減少した.平均して全遊離アミノ酸は74%に減少した.全糖およびショ糖含量の品種間差異をみると,白山ダダチャが最も多く,新鮮重1g当たり全糖で約47mg,ショ糖では約30mg含有していた.白山ダダチャに次いで,青ばたと秘伝が多く含有していた.3分間煮沸水中でゆでた後のショ糖含量の増減は認められなかったが,全糖含量は平均して1.5倍に増加した.
著者
プロータス 著
出版者
金港堂
巻号頁・発行日
1888
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.906, 1997-09-08

今年5月、米ユナイテッド航空、独ルフトハンザ・ドイツ航空、タイ航空などの世界の有力な航空会社5社が、「スターアライアンス」という大がかりな「戦略的提携」を結んだ。 戦略的提携とは各地域の航空会社が手を結び、路線のネットワークの拡大をはじめ、コスト削減、営業力・顧客サービスの向上などを強力に推進するものだ。
著者
関井 祐介
出版者
電気通信大学
巻号頁・発行日
2017-03-24

声質変換は,入力音声を目的話者の声質に変換する技術である.声質変換手法として,従来はGaussian Mixture Model(GMM)を用いた手法がよく用いられていたが,近年のDeep Learning に関する技術の台頭により,Deep Neural Network(DNN)を用いた声質手法が注目されている.しかし,GMM やDNN を用いた手法の多くは一対一の声質変換手法を提案しており,任意話者の入力に対応した研究は少なく,従来の任意話者の声質変換手法は,一対一声質変換と比べ変換精度が劣ってしまうという問題がある.また,従来のDNN を用いた声質変換手法では,一対一変換および多対一変換において複雑なネットワークを用いるため,多くの訓練データが必要となり,かつ変換に要する時間が長くなるという問題がある. 本研究では,これらの問題を解決するため,オートエンコーダおよびスパースオートエンコーダを用いた声質変換手法を提案する.提案手法では,オートエンコーダで次元圧縮した高次特徴量を目的話者の高次特徴量へDNN で変換し,目的話者のオートエンコーダを用いて音響特徴量に復元する.評価実験では,提案手法と従来手法を比較し,オートエンコーダを用いた手法は従来手法よりも若干高い精度でスペクトル変換を行い,変換時間を短縮することができた.スパースオートエンコーダを用いた手法では,オートエンコーダを用いた提案手法と比べ,スペクトル変換精度の向上および変換した音声の自然性を改善し,任意話者の声質変換精度を向上させることができた.
著者
石村 多門
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.54, no.8, pp.636-644, 1999-08-05 (Released:2008-04-14)

いわゆる「構造主義」の思想的核心として, 「構造的因果性」なる概念を取り出すことができよう. それは, フランスの哲学者アルチュセールが提起した, 全く新しい因果概念である. 「因果性」という言葉で, 我々がまず真っ先に思いつくのは, 時間的先後関係によって因果性を捉える「継起的因果性」の観念であろうし, 少数の人は, 全体が部分を規定するという「全体的因果性」を思い浮かべるかもしれない. しかし, そうした因果観念は「非科学的」なものにすぎず, これらの観念に依拠して思索を進めている限り, 科学的認識を構築することはできない, というのがアルチュセールの主張であった. 本稿では, こうした挑戦的な企図に立った「構造的因果性」概念の意義について, これまで余り論じられてこなかった視角から敷延することに努めたい.
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.845, pp.96-99, 2007-03-26

東京郊外・青梅線中神駅近くに建つ「haramoS1」は、建て主の原茂順一氏と長坂常氏(スキーマ建築計画、東京都世田谷区)が組んでつくった、2棟目の賃貸住宅である 1棟目は「haramocuprum」と名付けた地上9階建ての複合ビル(2006年7月10日号Next-A掲載)。同じ中神でも駅の真ん前という好立地で、「事業の勝算が立ち、冒険しやすかった」と原茂氏は言う。
著者
篠川 賢 鈴木 正信
出版者
成城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

国造制と伴造制は七世紀以前における大和王権の地方支配の中核をなす制度であり、大和王権の権力構造および古代国家の成立過程を解明するために不可欠な研究テーマである。本研究では、「伴造関係史料集」および「伴造関係文献目録」の作成と、「国造・伴造研究支援データベース」構築のためのテキストデータの作成を行った。また、国造制と伴造制の関係性に関する研究を実施した。
著者
鈴木 秀樹 藤本 幸三
出版者
東北文化学園大学医療福祉学部看護学科
雑誌
東北文化学園大学看護学科紀要 = Archives of Tohoku Bunka Gakuen University Nursing (ISSN:21866546)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.41-50, 2017-03-31

看護学科2年次学生の「日常生活援助実習」の履修後において、看護の観かた、捉え方を明らかにすることを目的とし、Kohonenの自己組織化マップを用い分析を行った。その結果、36語8クラスターで構成され、[実習後の初期の看護観形成][看護ケアの熟考][看護に対する内省と新たな認識][看護の対象者への理解の深まり][看護に関する見識の広がり][看護の意味づけ]の6カテゴリーが抽出された。看護実践の経験の中で学生は、内省すると共に患者の背景を捉え、ケア提供の必要性への気付きが示唆され、患者との信頼関係を構築する上でのコミュニケーションスキルの重要性を十分に認識したと考えられた。実習後の看護観形成において、学生のレディネスと学生を支援する教員の力量が影響すると推測され、学内での学修と実践の場で体験したことを有機的に結びつける等、教育支援体制の構築にあたっての考慮すべき点について、いくつかの示唆が得られた。