著者
飯淵 康雄
出版者
日本民族衛生学会
雑誌
民族衛生 (ISSN:03689395)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.258-291, 1990-11-30 (Released:2011-02-25)
参考文献数
13

J.Grauntは17世紀に世界で初めて年齢別死亡・生残表の数字を提供した.これを初めてグラフ化した人が丸山博教授だった。又,同教授は第2次大戦前に,B・ピシャー氏の乳児死亡研究より早く,ほぼ同じ思考方法で,α-lndexや△-Curveを創造した.本研究では,これらの研究内容にひそめられた「累加死亡数」という累積的効果の実際的・学問的意味をC.Darwinの著作の中に求め,それらの学問的意味をJ.Grauntや丸山博氏の独創的研究に導入することにより,丸山教授の研究成果が今日でも有効に活用できることを実証した.
著者
三浦 順之助 内潟 安子 岩本 安彦
出版者
東京女子医科大学
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.81, no.2, pp.E78-E84, 2011-03-31

1型糖尿病は、膵β細胞が破壊されることによりインスリンの絶対的欠乏が生じて発症する病型であるが、自己免疫機序が関与する1A型と、発症機序の明らかでない特発性の1B型に亜分類される。1A型糖尿病の診断には、Islet cell antigen (ICA)をはじめとして、インスリン自己抗体(insulin autoantibody : IAA)、抗Glutamic acid decarboxylase (GAD)抗体、および抗Insulinoma-associated antigen- 2 (IA-2)抗体が主要抗体として知られており、病型診断に利用されている。また、これらは発症以前からの予知因子としても重要である。,IAAはインスリンの投与を受けていない人の血中に存在する抗インスリン抗体である。1型糖尿病の発症5年以上前から血中に出現し、若いほど抗体価が高値になる傾向がある。GADは、γ- aminobutyric acid (GABA)を合成する酵素であるが、発症早期の1型糖尿病患者の血清中に、GADに対する抗体の存在が確認されたのは1990年であった。65kDaと67kDaのisoformがあり、現在国内では、リコンビナントGAD65を抗原として使用したコスミック社のキットを用いて測定されている。日本人1型糖尿病患者での発症早期の抗GAD抗体陽性率は、約70%である。IA-2は1994年ヒトインスリノーマの外科切除組織からcloning された、979個のアミノ酸、約106kDaの膜貫通型タンパクであり、protein tyrosine phosphatase (PTP)ファミリーに属している。抗IA-2抗体の陽性率は、海外で55〜75%、本邦では急性発症の早期では60%程度、5年以上経過した症例では40%程度との報告がある。最近、zinc transporter-8に対する新規自己抗体が発見された。白人1型糖尿病患者の60%程度に陽性であり、本抗体単独陽性患者は4%であった。他に抗VAMP-2 (Vesicle associated membrane protein -2)抗体、抗NPY (Neuropeptide-Y) 抗体があり、我々はそれぞれ21%、9%程度存在することを確認している。新規膵特異的自己抗体の検出は、1型糖尿病のサブタイプの診断に有用な情報となりうる。
著者
三石 邦廣
出版者
飯田市美術博物館
雑誌
伊那谷自然史論集 (ISSN:13453483)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.51-56, 2014

筆者は2008年〜 2009年に,飯田市上郷野底山において巣箱を利用した調査を行った.今回は,飯田市上村において生息・生態的な調査を行い,その結果ヤマネおよびヒメネズミが生息していることを確認した.巣箱を利用したヤマネは,巣場所近辺から巣材を搬入していること,巣材はコケや樹皮といった単一材多いことが分かった.また,ヒメネズミは,巣材として枯葉を最もよく利用することが分かった.スギを主とする林地においてはヒメネズミは,スギの樹皮を枯葉と混ぜて巣を作ることが分かった.ヤマネおよびヒメネズミの繁殖期は,年に1回から2回あることが推察される.
著者
谷本 雅之
出版者
岩波書店
雑誌
経済研究 (ISSN:00229733)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.p89-91, 1995-01
著者
門脇 俊介
出版者
山形大学
雑誌
山形大學紀要. 人文科學 (ISSN:05134641)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.37-60, 1987-01-20

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出版者
内務省土木局
巻号頁・発行日
vol.明治43~大正3年度, 1915
著者
大山 勝郎 植原 俊夫 野原 稔弘 野村 茂 荒尾 龍喜
出版者
Japanese Dermatological Association
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.96, no.14, 1986

タバコによる皮膚障害については,タバコ原料工場従事者に皮膚炎が生じた報告例は多いが,タバコ耕作者の報告例は少ない.著者らは,タバコ耕作者にアンケート調査を実施し,150名より回答があった.その結果,タバコにかぶれることを知っている人は多く,タバコによる皮膚炎を起こしたことがあるのは36名で女性に23名と多い.芽がき期や収穫期のタバコに触れる作業が多い時期に多発する.次に,Nicotiana tabacum黄色腫の新鮮葉について,抽出,分離を行った.その結果,TN-1と仮称する化合物が得られ,各種スペクトルにより,化学構造はセンブラン骨格を有するジテルペノイドと判明した.TN-1を用いて,パッチテストを実施し,患者が陽性反応を示し,刺激性よりもアレルギー性皮膚炎が疑わしい.
著者
木下 登
出版者
日本イスパニヤ学会
雑誌
HISPANICA / HISPÁNICA (ISSN:09107789)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.40, pp.212-225, 1996

X. Zubiri, con Ortega, eminente filósofo español del siglo XX, produjo una extensa obra metafisica que sólo al final de su vida, y en parte con carácter póstumo, fue editada. Aqui se trata de algunos pasajes de sus dos primeros libros: "Naturaleza, Historia, Dios" y "Sobre la esencia" para poner de relieve cómo iba consolidándose su filosofia de la «realitas» a través de la polemica con Heidegger.<BR>Frente a la filosofia del ser de éste, la base de la conviccion zubiriana fue que las cosas se nos ofrecen como «realidad». Zubiri invirtió las relaciones ontológicas entre Luminaria y Claridad que habia establecido su antiguo maestro de Friburgo. Era una operación que afectaba al núcleo mismo de su filosofia. Heidegger, al enterarse de las objeciones de Zubiri, tomó posición frente a ellas.
著者
嘉目 克彦
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.204-216,280*-279, 1985-09-30

マックス・ヴェーバーの「マクロ社会学的研究計画」に対する問題関心の高まりとともに、近代西欧の「合理化」がヴェーバーの社会学と歴史研究の統一テーマであり、ヴェーバーの全作品を貫く「赤い糸」であること、したがってその作品理解の主要課題はいわゆる「合理化問題」の解明にあることが、最近改めて注目されはじめている。しかしその場合、「合理化」は「合理性」概念にかんする一定の解釈を前提にして論じられているのであって、この点では、早くから指摘されている「合理性」の「多義性」にかんする問題が従来と同様ほとんど考慮されていないといわざるを得ない。<BR>本稿は、「合理性」の論理的意味にかんして、「ものの属性としての合理性」という観点から従来の諸説を検討し、これまで多様に解釈されてきた「合理性」概念を一義的に理解するための道を模索した試論である。従来の解釈では結局のところ「合理性」が「体系性」、「経験的合法則性」および「首尾一貫性」として個別的に理解されているということ、これらの特殊的かつ要素的な「合理性」はしかし例えば「理解可能性」ないしは「伝達可能性」として一般化しうるということ、また「合理性」は結局「意味」の「理解」にかかわる概念であるということ、こうした点が本稿で指摘される。