著者
村山 篤子 川端 晶子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.265-271, 1980-05-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
8

卵, 牛乳, 砂糖を用いた攪拌カスタードについて, 卵として卵黄, 卵白, 全卵を使用し, 最終調理温度, 加熱時間の異なったカスタードを調製し, ハーケ社二重円筒形回転粘度計ロトビスコRV3型を用いて, とくに低ずり速度における流動特性について検討を行った.1) 卵黄, 卵白, 全卵を用い, 最終調理温度を78℃, 80℃, 82℃で調製したカスタードについておのおのの粘度を測定した. いずれも最終調理温度が高く, 加熱時間が長くなるにつれて粘度は高くなった. 3種間では, 卵黄, 全卵, 卵白カスタードの順に粘度は低くなっている. カスタードはいずれも非ニュートン流体で構造粘性を示した.2) 卵黄, 卵白, 全卵カスタードの流動履歴曲線は高ずり速度においてはずり速度流動化流動を示すが, 低ずり速度ではヒステレシスループを描く. 履歴面積からチキソトロピー特性値を求めたが, 卵黄, 全卵, 卵白カスタードの順に値は小さくなっている.3) 流動曲線から降伏値を求めた. 卵黄, 全卵, 卵白カスタードの順に降伏値は小さく, また最終調理温度が高いほど降伏値は大となっている.4) 一定ずり速度におけるずり応力-時間曲線から剛性率を求めた. いずれのカスタードもずり速度による大きな相違はない. 卵黄, 全卵, 卵白カスタードの順に値は小さくなっている. これは粘度, 降伏値と同様であった.また同種のカスタードでは最終調理温度が高くなるにつれて剛性率は増している.
著者
太田 純一 大竹 慎二 南村 和宏 澤田 卓人 藤川 敦 林 宏行 森山 正敏
出版者
日本泌尿器内視鏡学会
雑誌
Japanese Journal of Endourology (ISSN:21861889)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.289-293, 2013 (Released:2013-11-16)
参考文献数
10

経尿道的膀胱腫瘍一塊切除術(Transurethral resection of bladder tumor in one piece:TURBO)は,腫瘍を細切せず一塊に切除することで,より正確な病理診断が可能である.その治療成績と病理診断における有用性について報告する.膀胱腫瘍135例,173病変に対し経尿道膀胱腫瘍一塊切除(TURBO)を施行した.切除は1.marking,2.粘膜切開,3.水平切除,4.腫瘍摘出の順に施行した.腫瘍は膀胱内いずれの部位でも切除可能であり,合併症も許容される範囲であった.切除検体に筋層を含む症例は123例(91.1%)に認めた.pT1 23例中22例(95.7%)に粘膜筋板を認めた.粘膜筋板を超えない浸潤であったT1症例は進行例を認めないが,粘膜筋板を超える浸潤を認めた7例中4例に病期進展を認め,1例に上部尿路再発を認めた.TURBOにおける深達度診断は正確であり,粘膜筋板浸潤の有無は予後と相関する可能性が示唆された.
著者
生田 剛一 合澤 直喜 高松 冴有 猪又 憲治 鹿毛 裕史 鷲見 和彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.8, pp.31-35, 2010-04-15

広域侵入監視センサーとして漏洩同軸ケーブルを用いた侵入者検知アルゴリズムを検討した。このセンサーは監視エリアの周囲に設置した漏洩同軸ケーブルを用いて,ターゲットの移動に伴う変動電界を捉え侵入検知を行うものである。また,侵入者の有無のみならず侵入位置を測定することも可能である。しかし,電界変動により侵入者を検知するため、電界変動の強度変化のみでは、雨風などの現象によっても、侵入者と誤検知する類似パターンが出現する。このため、実用的な性能を得るためには、より詳細な特徴量を用い識別を行う必要がある。本研究では、人特有の電界変動パターン特徴に加え、誤検知の主要因である雨風により起こる電界変動パターンの特徴を捉えて識別を行うことにより高い検知率を達成することができた。本発表では、この識別アルゴリズムを紹介するとともに、実機によって得られた実際の計測結果データを用いて行ったアルゴリズム性能評価の結果を示す。
著者
高木 伸之 王 道洪
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

冬季雷雲下の風力発電設備において上向きに開始する落雷の前兆現象を3つ確認した。一つは落雷開始の数秒前から数アンペアの電流が流れる前兆電流である。二つ目は落雷前に発生する微弱な発光を伴う放電現象で風車先端から数メートル程度進展して停止する現象である。三つ目は落雷前に風力発電設備周辺での地上電界強度が正または負の極性に偏る現象である。前兆電流については2秒前には落雷の発生を予測できることを確認した。
著者
小川 佳世子
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 : 国際日本文化研究センター紀要
巻号頁・発行日
vol.25, pp.51-62, 2002-04-30

世阿弥(一三六三?~一四四三?)作の能や能楽論に連歌の影響が強いことについては、二条良基(一三二〇~八八)との関係を中心に多くの研究がなされている。しかし、世阿弥と連歌との関係は二条良基との間のみで完結しているとは思えない。
著者
並松 信久
出版者
京都産業大学
雑誌
京都産業大学論集. 人文科学系列 = Acta humanistica et scientifica Universitatis Sangio Kyotiensis (ISSN:02879727)
巻号頁・発行日
no.48, pp.255-280, 2015-03

本稿は昭和期に活躍した沖縄研究者である金城朝永を取り上げ,金城が唱えた「琉球学」の構想について考察した。これまで金城に焦点をあてた研究は数が少なく,その数少ない研究は「沖縄学」と金城の研究との関連を明らかにしたものである。しかも研究成果は主に1970 年代に出されているので,沖縄返還(1972 年)という歴史的背景に大きな影響を受けている。つまりこの歴史的背景によって金城の琉球学を見直そうとするものであったが,琉球学は消えてしまう。琉球学がなぜ消えてしまったのかは明らかではない。本稿は金城の研究業績の再評価をして,琉球学がなぜ消えてしまったのかいう問題について考察した。 金城は夭逝したこともあり,琉球学を体系化することはできなかった。体系的な研究成果も残していないので,琉球学は消えゆく運命にあったといえる。しかし言語,民俗,文学,歴史など広い分野にわたって多彩な研究活動をみせ,体系化の方向性はもっていた。これは今日における沖縄学がもっている排他的傾向とは異質のものであったといえる。もし琉球学という言葉に,積極的な意味を付与して考えるとすれば,伊波普猷に代表される沖縄学の系譜において,金城は言語学,歴史学,文学,民俗学など多様な分野にわたる研究を総合することを試みた唯一人の後継者であったといえる。
著者
並松 信久
出版者
京都産業大学
雑誌
京都産業大学論集. 人文科学系列 = Acta humanistica et scientifica Universitatis Sangio Kyotiensis (ISSN:02879727)
巻号頁・発行日
no.48, pp.255-280, 2015-03

本稿は昭和期に活躍した沖縄研究者である金城朝永を取り上げ,金城が唱えた「琉球学」の構想について考察した。これまで金城に焦点をあてた研究は数が少なく,その数少ない研究は「沖縄学」と金城の研究との関連を明らかにしたものである。しかも研究成果は主に1970年代に出されているので,沖縄返還(1972年)という歴史的背景に大きな影響を受けている。つまりこの歴史的背景によって金城の琉球学を見直そうとするものであったが,琉球学は消えてしまう。琉球学がなぜ消えてしまったのかは明らかではない。本稿は金城の研究業績の再評価をして,琉球学がなぜ消えてしまったのかいう問題について考察した。 金城は夭逝したこともあり,琉球学を体系化することはできなかった。体系的な研究成果も残していないので,琉球学は消えゆく運命にあったといえる。しかし言語,民俗,文学,歴史など広い分野にわたって多彩な研究活動をみせ,体系化の方向性はもっていた。これは今日における沖縄学がもっている排他的傾向とは異質のものであったといえる。もし琉球学という言葉に,積極的な意味を付与して考えるとすれば,伊波普猷に代表される沖縄学の系譜において,金城は言語学,歴史学,文学,民俗学など多様な分野にわたる研究を総合することを試みた唯一人の後継者であったといえる。1 はじめに2 伊波普猷の影響3 琉球語と民俗学4 沖縄学と琉球学5 結びにかえて―沖縄学の可能性
著者
飯田 卓
出版者
日本文化人類学会
雑誌
文化人類学 (ISSN:13490648)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.138-158, 2004-06-30

異文化表象に関するこれまでの議論では、完成した作品を取りあげることが多く、制作過程にまで考察が及ぼされることは少なかった。この結果、作家の意図と社会的制約の葛藤ないし妥協といった問題が軽視されたため、現実に即した実践論を提示しえていないという指摘がある。本稿では、マダガスカルの漁村生活に関する日本のテレビ・ドキュメンタリー番組を取りあげ、その制作状況までを含めて考察することで、現代日本の不特定多数者に向けた情報発信がいかなる現状にあるかを明らかにした。また、その現状をふまえつつ、メディア社会日本において人類学的実践に取り組むうえでの基本姿勢を再確認した。問題の番組は、取材でじゅうぶん確認できなかった情報を作品中で言及しただけでなく、それをことさら大きく取りあげて番組構成の柱とし、それに沿って登場人物の語りを操作的に翻訳していた。情報の鵜呑みは取材不足によるものだが、操作的翻訳は編集作業の問題である。編集段階でこうした誤りが生ずる背景としては、限られた経費と取材期間で不特定多数の視聴者の関心を喚起するという、テレビ番組制作における強い制約を指摘できる。テレビ制作者は「公益性の高い」作品づくりをめざした結果、現地の文脈に照らしつつ作品の妥当性を検証する作業を怠ったのである。メディアの受け手を意識した作品編集は、テレビ番組にかぎらず、民族誌の執筆においてもおこなわれている。人類学者もまた、メディアのもつ制約から自由ではないのである。しかし、調査地の文脈に意識的になれる点では、人類学者はテレビ制作者よりはるかに有利な立場にある。調査地と現代日本、両方の文化的脈絡をふまえ、質の高い情報発信をすれば、メディアが越境すると言われる時代においても、人類学者の役割が低下することはないだろう。

2 0 0 0 OA 音楽のはなし

著者
諸井三郎 著
出版者
三省堂出版
巻号頁・発行日
1949
著者
福田 智子 フクダ トモコ Fukuda Tomoko
出版者
同志社大学人文科学研究所
雑誌
社会科学 (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.35-56, 2015-02-18

研究ノート(Note)『古今和歌六帖』は、約四千五百首の歌を、二十五項目、五百十七題に分類した類題和歌集である。収載歌には、『万葉集』『古今集』『後撰集』など、出典の明らかな歌もある一方、現在では出典未詳と言わざるを得ない歌もある。本稿では、「朝顔」から「葵」までの題に配されている出典未詳歌、九首について注釈を施す。