著者
井上 智 谷川 力 川口 潤二 飯田 孝 森田 千春
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.461-463, 1992-06-15
被引用文献数
3

関東地区6か所において家ネズミの捕獲を行ないリステリアの分離を行った. 捕獲ネズミ245匹のうち池袋の110匹と横浜の9匹がクマネズミ(Rattus rattus)であり, 他の126匹はドブネズミ(Rattus norvegicus)であった. リステリア属は鹿島と池袋の各捕獲総ネズミから77.8%と24.5%という高い値で分離されたが, 千葉, 船橋, 横浜, 沼津では0.0-7.3%という低い値であった. このうち, リステリアモノサイトゲネス(Listeria monocutogenes)は, 池袋で1O.9%という高い値で分離されたが, その他の場所では殆ど分離されず, 鹿島と沼津でそれぞれ1匹のネズミから分離されたのみであった. 家ネズミからのリステリア分離は, 地区によって非常に異なる値を示し, 特に都心のビルに生息するネズミのみからL.monocytogenesが高い値で分離されたことは大変興味深い成績であった. 今後, この分離率の違いについて, ネズミの生息環境や捕獲ネズミの種差に関して検討が必要と考えられた.
著者
伊神 〓 一ノ瀬 洋一郎 原田 道昭 神沼 克伊
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.70, pp.158-182, 1980-09

日本の南極観測は,第20次隊から3年間地学部門の観測に重点がおかれ,人工地震観測も実施されることになった.これは,南極大陸の地下構造の解明と南極における資源探査の基礎技術開発を目的とした日本隊では初めての試みである.第20次隊では南極という特殊条件の下での爆破方法,観測方法,ボーリング方法の検討などを兼ねた予備観測が実施された.第21次隊で本観測が実施される.本報告は,第20次夏隊によって行われた人工地震観測の準備から実施までの報告である.測線は昭和基地付近のオングル海峡から東へ約70kmで,観測点は大陸内に約5km間隔で10点設けた.爆破はオングル海峡と側線東端の内陸の2点で行い,オングル海峡では110m下の海中で火薬1ton,内陸では氷雪ボーリングによる内径14cm,深さ62.8mの孔中に装てんされた火薬560kgの爆破が実施された.爆破および観測は成功し,所期の目的は達成された.
著者
楊 青山 張 永〓 李 万春 張 会均 朱 宝国 新家 憲 寺本 千名夫 張 志鋼
出版者
専修大学北海道短期大学
雑誌
地域総合科学研究センター報告 (ISSN:18815677)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.145-157, 2007

中国内蒙古に広がるカルシューム系アルカリ土壌[saline soil、solonchak(英語)、白干土、塩土(中国語)]の改良を目的とする。2004年〜2006年に行われたplot試験の結果を基に、2006年に大型試験圃場を4段式心土混層プラウを使って2ヶ所建設した。本年(2007年8月)、これらの圃場の土壌および生育調査を行った。主な結果は2007年は生育期(5〜6月)に降雨がなく、その後、雹が100 mm積もって、作物は大被害を受けた。したがって、どの作物も生育は悪かった。馬鈴薯は、一見して、施工区(No. 1)の草丈が対照区(No. 2)より高く、生育がより旺盛であった。えんどう豆は、一見して施工区(No. 3、堆肥供給区)の草丈が高く、他の区より生育旺盛であった。続いて施工区(No. 4、堆肥無供給区)、対照区(No. 5)の順であった。対照区(No. 5)では雑草が旺盛に生育していて、えんどう豆が雑草に埋没していた。No. 1の施工区では、馬鈴薯の平均草丈は375 mmであり、No. 2の対照区では271 mmであった。すなわち1.38倍に増加した。No. 3区のえんどう豆の草丈は230 mmであり、No. 4区では204 mmであり、対照区のNo. 5では155 mmであった。すなわち1.48倍に増加した。馬鈴薯の収量はNo. 1区で0.5 kg/本であり、No. 2の対照区では0.23 kg/本であった。すなわち2.17倍に増加した。No. 1区とNo. 2区では、馬鈴薯の根は両区とも約500 mmの深さまで伸長していた。No. 3区、No. 4区、No. 5区のえんどう豆の根は、それぞれ700、700、600 mmの深さまで伸長していた。No. 1の施工区では、約600 mm深さから土壌硬度が増加した。No. 2の対照区では400 mm深さから硬度が増加した。その間は約2 MPaであった。No. 3、No. 4、No. 5区では深さ600 mmまでは約1 MPaであり、深さ600 mmから硬度が増加した。No. 0区の裸地は耕起したことがないため、地表から硬く5 MPa以上となった。pH値はNo. 0の裸地とNo. 5の対照区で高かった。概して深耕によってpH値の減少が見られた。No. 0の裸地とNo. 5の対照区のEC値が高かった。EC値も、深耕によって減少が見られた。表層(Ap、0 mm)の土壌水分は、どの区も干ばつでほぼ0 %d.b.であった。No. 1、No. 3、No. 4の施工区とNo. 2、No. 5の対照区を比べると、どの層もNo. 1、No. 3、No. 4区の含水比が高かった。すなわち心土(Bca、C層)まで深耕することにより、透水性が増加し、雨水が心土に保持されたものと考えられる。
著者
田崎 博之
巻号頁・発行日
2012

科学研究費助成事業(科学研究費補助金)研究成果報告書:基盤研究(C)2009-2011
著者
山口 晃志
出版者
埼玉県警察科学捜査研究所
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2007

催眠薬の尿中代謝物をスクリーニングする簡便な方法としてイムノアッセイを利用した「トライエージ」がある。しかし、「トライエージ」で検出されない催眠薬もある。特に、ゾルピデム及びゾピクロンは広く普及している催眠薬であるにもかかわらず、これらの代謝物は「トライエージ」では検出できない。そこで本研究では、ゾルピデム及びゾピクロンの尿中代謝物の分析を目指した。ゾピクロン代謝物(デスメチルゾピクロン)は文献に従い本研究で合成し、ゾルピデム代謝物はサノフィアベンティス社からの譲渡品を用いた。代謝物を添加した尿を固相抽出カートリッジ(OASIS MCX)で固相抽出し、LC/MS/MS(SRMモード)分析したところ、濃度1ng/mlでも検出可能であることが分かった。本研究で確立した分析方法を用いて実際に起こった強姦事件の被害者の尿を分析し、ゾルピデム代謝物を検出した。催眠薬の多くは、体内で水酸化されグルクロン酸抱合体の形で尿中に排泄される。そのため、尿中催眠薬代謝物を微量分析するにはこれらグルクロン酸抱合体の性質を明らかにすることが重要である。そこで、代表的な催眠薬であるトリアゾラムの尿中主代謝物であるヒドロキシトリアゾラムのグルクロン酸抱合体の合成を目指した。文献に従いヒドロキシトリアゾラムを合成した後、水酸基をアセチル基で保護したグルクロン酸との反応を試みた。反応生成物のマススペクトル(ESI)を分析したところ、ヒドロキシトリアゾラムにグルクロン酸部分が導入された化合物と思われるm/z値を与えた。しかし、NMR分析をしたところ、複数の生成物の混合物であることを示唆する結果を得た。今後、合成条件を変え、収率の向上を目指す予定である。
著者
和嶋 雄一郎 鷲田 祐一 冨永 直基 植田 一博
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.409-419, 2013-09-01 (Released:2013-07-10)
参考文献数
26
被引用文献数
1

Previous studies of innovation have recognized that many innovations are developed by users. However, there is a risk of leaking new ideas by users who join a discussion to generate ideas. In order to avoid the risk, this study proposes a new workshop method to generate business ideas. In the workshop method, idea generators are required to discuss new business ideas based on information that is organized by users who do not join the discussion and thus never know new ideas that are created in this workshop. Idea generators who are given the user-organized information are considered to be able to create new ideas using the given information. We conducted an experiment to test this. In our experiment, participants were divided into two groups: the first group was asked to generate new business ideas based on the information with user perspective while the second group was asked to do so based on the information with engineer perspective. Performance of the first group was compared with that of the second group. Eight outside experts rated all ideas generated in terms of novelty, benefit and feasibility. The result showed that the ideas generated by the first group were rated significantly higher in terms of novelty as well as lower in terms of feasibility than the ideas generated by the second group. Furthermore, a questionnaire survey carried out to those who joined this workshop supported this finding. Our findings suggest that our workshop method is useful for bringing user perspective into actual business idea generation.
著者
松村 良之 村山 眞雄 白取 祐司 長谷川 晃 太田 勝造 城下 裕二 木下 麻奈子 林 美春
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

この研究では「コミュニティ」の存在が修復的司法の必須の要素であるという認識のもとに、仮想的な小話を利用した要因計画法に基づく一般人に対する調査を行った。一般的に言えば、内集団におけるスティグマ的恥づけが人々の評価が高い。しかし、この結果は再統合的恥づけの重視と矛盾するものと考えるべきではない。修復的司法の制度設計としては、課題解決型裁判所をモデルにシステムが構築されるべきであろう。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1145, pp.110-112, 2002-06-10

「やってみなはれ」。サントリーの起業家精神を象徴する言葉としてあまりにも有名だ。「ビール事業に参入する時、じいさんがオヤジに言った言葉。いい言葉だと思う」。こう語るのは、昨年3月、いとこの鳥井信一郎から経営のバトンを受け継いだサントリー4代目社長の佐治信忠(56歳)。「じいさん」とは創業者の故鳥井信治郎、「オヤジ」は1999年に亡くなった佐治敬三である。
著者
静岡市市史編纂課 編
出版者
静岡市
巻号頁・発行日
vol.第3卷, 1929
著者
田宮 昌子
出版者
宮崎公立大学
雑誌
宮崎公立大学人文学部紀要 (ISSN:13403613)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.323-342, 2009-03-06

本研究は、戦死した親族(筆者の父方の叔父)の遺品を日中戦争従軍時のものを中心に整理し、史料として保存・公開することを目指す。目下、遺品として21世紀初頭の今日まで残った、20世紀初頭から中葉までの記録を留める品々を、個人の私有物から社会に共有される史料とするために裏づけ作業を加えている。関連する文献に当たることは勿論であるが、現場に実際に足を運んで文献では得られない実感を得ること、今まさに世を去りつつある体験者の肉声を聞くことも合わせて行ってきた。今年度は個人終焉の地である沖縄を沖縄戦慰霊の日の6月23日を挟んで訪ねた。小稿では主にこの沖縄訪問・調査について報告する。
著者
桑本 暢子 菱沼 典子 中山 和弘 鈴木 和代 青池 慎一 佐々木 杏子 佐竹 澄子 品地 智子 中村 佳代 古川 優子
出版者
聖路加国際大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

脳卒中患者に対する背面開放座位ケアプログラムの定着を目指した看護師支援ツール開発のために、普及理論をもとに質的研究を行った。結果、促進因子は,認定/専門看護師がオピニオンリーダーとなり,コアナースの育成,多職種/家族の協力,病棟文化,電子チャートにケア項目として入れる,プログラムをアレンジする,相対優位性/試行可能性,/両立可能性が高いことであった.阻害因子は,看護師の異動,採用拒否者の存在,教材不足,複雑性/観察可能性の低さであった.促進/阻害因子の多さ,強さによって,導入/実施継続,中断が起こっていた.定着には,プログラムの重要要素は保持した上で内容を変化させることが重要であった.

2 0 0 0 OA 有美臭

著者
青柳猛 (有美) 著
出版者
文明堂
巻号頁・発行日
vol.正編, 1904