著者
高田 美一
出版者
跡見学園女子大学
雑誌
跡見学園女子大学紀要 (ISSN:03899543)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.99-128, 1983-03-15

明治十五年五月十四日、龍池会主催、上野公園、教育博物館、観書室におけるフェノロサ講演『美術真説』は明治文化史の展開に重要な影響をおよぼした。しかし、原英文遺稿を欠き、大森惟中の筆記としてのみ残存し、奇妙な片仮名まじりの簡潔・生硬な漢文調の文語体のため、フェノロサの真意を理解することが困難である。筆者はフェノロサが意図した深遠な「構造美学」はこれまで理解されていないと考える。「初編」、「本稿」における筆者の主題は『美術真説』を構造的に英文で再構成し、深遠ですばらしいフェノロサ芸術論を紹介するのが目的である。「初稿」とは、日本フェノロサ学会機関誌『ロウタス』第三号に寄稿した同名表題の拙論である。
著者
Takehisa SOMA Makoto WADA Satoshi TAHARAGUCHI Tomoko TAJIMA
出版者
公益社団法人 日本獣医学会
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
pp.13-0094, (Released:2013-05-29)
被引用文献数
2 27

Ascitic feline coronavirus (FCoV) RNA was examined in 854 feline infectious peritonitis (FIP)-suspected cats by RT-PCR. The positivity was significantly higher in purebreds (62.2%) than in crossbreds (34.8%) (P<0.0001). Among purebreds, the positivity in Norwegian Forest Cat (92.3%) and Scottish Fold (77.6%) were significantly higher than the average of purebreds (P=0.0274 and 0.0251, respectively). The positivity was significantly higher in males (51.5%) than in females (35.7%) (P<0.0001), whereas no gender difference has generally been noted in FCoV antibody-prevalence, indicating that FIP more frequently develops in males among FCoV-infected cats. Genotyping was performed for 377 gene-positive specimens. Type I (8.3%) was far more predominantly detected than type II (10.6%) (P<0.0001), similar to previous serological and genetic surveys.
著者
栗原 嘉一郎 冨江 伸治 植松 貞夫 土肥 博至 若林 時郎 高橋 義英
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
研究報告集. 計画系
巻号頁・発行日
vol.47, pp.429-432, 1976-07-05

筑波研究学園都市の主要構成機関の1つである筑波大学は、昭和49年度第1期生を受け入れ、昭和50年度1・2年生計1,930名の学生が教育を受けている。これら学生は、学園都市内の主要な人口集団を形成するものである。以下、都市及び大学創成期における「学生の生活と意識」に関する調査報告である。
著者
Junko Sato Kouji Kozaki Susumu Handa Takashi Ikeda Ryotaro Saka Kohei Tomizuka Yugo Nishiyama Toshiyuki Okumura Shinichi Hirai Tadashi Ohno Mamoru Ohta Susumu Date Haruki Nakamura
出版者
一般社団法人 情報処理学会
雑誌
IPSJ Transactions on Bioinformatics (ISSN:18826679)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.9-17, 2013 (Released:2013-05-28)
参考文献数
13

We developed a new information management system, Protein Experimental Information Management System (PREIMS), which has the ontology-based functions for quality control, validation, scalability, and information sharing. Its contents are mainly experimental protocols for the analyses of protein structures and functions, and their results. They are stored separately in the PREIMS database (DB), as the ontology based protocol data and the result data. The synchrotron experimental information was stored as the latter result data in Extensible Markup Language (XML). Furthermore we converted those protocols in the format of Resource Description Framework (RDF) for integration with other biological information resources.
著者
白澤 円 服部 政治 横田 美幸
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.550-555, 2012 (Released:2012-09-14)
参考文献数
11

がん性髄膜炎による頭痛を呈する患者に, 脊髄くも膜下腔カテーテル留置および皮下ポート設置術(以下, カテーテル留置)を行い, 抗がん剤とオピオイドの髄腔内投与ルートおよび髄液採取に用いた. 【症例】50歳代, 女性. 浸潤性乳管がんと診断され, 術前化学療法が行われたが, 頭痛の増悪と痙攣, 意識消失をきたし, 髄液細胞診でがん性髄膜炎と診断された. 抗がん剤の髄腔内注入のため, Ommaya reservoirの代替法としてカテーテル留置が緩和ケアチームに依頼され実施した. ポートより症状緩和目的のオピオイドを持続投与すると共に, 週2回髄注治療が行われ, 一時, がん細胞は陰性化, 症状治療不要となった. その後, 再発し, 全脳照射を必要としたが, 診断から5カ月生存した. カテーテル留置は, オピオイド投与だけでなく, 一般に腰椎穿刺かOmmaya reservoirを介して行われる髄腔内抗がん剤注入経路として有用な可能性が示唆された.
著者
Yanai Goichi Hayashi Takashi Zhi Qi Yang Kai-Chiang Shirouzu Yasumasa Shimabukuro Takashi Hiura Akihito Inoue Kazutomo Sumi Shoichiro
出版者
Public Library of Science
雑誌
PLoS ONE (ISSN:19326203)
巻号頁・発行日
vol.8, no.5, 2013-05-28
被引用文献数
31

膵島細胞と間葉系幹細胞の融合細胞を用いた糖尿病治療実験に成功 -新しい重症糖尿病治療法の開発に期待-. 京都大学プレスリリース. 2013-05-29.
著者
池田 理知子 鄭 偉
出版者
国際基督教大学
雑誌
社会科学研究所モノグラフシリーズ (ISSN:13481487)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.1-109, 2006-03

本研究は、日本と中国の時間意識を比較し、いかにその差が対人関係や具体的なコミュニケーション現象に反映しているのかを考察するものである。 J.リフキンが「時間の指紋」と呼んでいるように、それぞれの文化には固有の時間認識があり、われわれの価値観や行動にも反映されている。日本と中国にも固有の時間が流れているはずであり、それは生まれたときから変わることのない指紋のように、双方の歴史を貫いている。また、グローバル化による均質化の流れが個々の文化の多様性といかに折り合いをつけていくのかという問題も本研究の考察の対象である。グローバル化の流れの中で、時間に追われせわしない生活を強いられつつあるという状況は、日本と中国の現代人に共通する問題でもある。時計の時間だけでない重層的な「時・時間」を知ることで気づく新たな視点を、本研究は提示する。具体的には、記号論・解釈学的アプローチをとることによって、日本と中国の時間意識の差を通時的に検証していった。その際、二元論的枠組みを超える理論として注目を集めているJ.ゲブサーのプラス・ミューテーション理論を援用し、現在の日本と中国の時間意識の重層構造を、暦と機械時計の歴史を紐解くことによって明らかにした。最近の政治・経済情勢および民間レベルでの交流を考えると、緊密な関係を結ばざるを得ない日本と中国において、時間意識の差から浮かび上がる本質を知ることは、お互いの理解を深めるための一助となるであろう。
著者
上原 直人
出版者
東京大学大学院教育学研究科生涯教育計画講座社会教育学研究室紀要編集委員会
雑誌
生涯学習・社会教育学研究 (ISSN:1342193X)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.15-24, 2004-12-25

The purpose of this paper is to examine the definition of "Seiji Kyouiku". Generally, "Seiji Kyouiku" has been discussed mainly relation to the formation of Fundamental Law of Education Article VIII "Political Education". However, this paper discusses the process of formation of the idea of "Seiji Kyouiku" between the period of the 1920s and the Postwar Educational Reform, considering that the Post Educational Reform was related to the prewar Theory on Education and that the word "Seiji Kyoiku" could be seen in the document from the Prewar time. Through the analysis, I got four important finds. First, the idea of "Seiji Kyouiku", which had been spread over the universal suffrage in the 1920s, was mentioned mainly in relation to the election enlightenment in the 1930s. Second, after the latter half of the 1930s, the meaning of "Seiji Kyouiku" had been changed and the word had rarely been used because of the reconstruction of the notion of "Komin" and the broad extent of the criticism for the theory of the Emperor as an organ of government. Third, although the word "Seiji Kyouiku" could be used again after the Post Educational Reform, the meaning of the word had been argued from the point of the relationship with "Komin Kyouiku". Finally, the definition of "Seiji Kyouiku" is different between Pedagogy and Politics. That is, while cultivating people's political mind is valued in Pedagogy, maintaining the stable political system is made much of emphasized in Politics.
著者
土屋 誠司 佐竹 純二 近間 正樹 上田博唯 大倉計美 蚊野 浩 安田昌司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.3, pp.95-102, 2006-01-13
被引用文献数
6

我々は,ユーザが視聴するTV番組の履歴を基に,ユーザの好むTV番組を推薦するシステムの開発を行っている.本システムは,EPGから得られる言語情報(番組タイトル,出演者名,番組概要文章)を利用して,ユーザの嗜好を推定し,ユーザが好むと思われるTV番組を推薦する.本研究では,システムをNICTのユビキタスホームにおける実サービスとして実装し,生活実証実験の中でテスト運用した結果に基づいて,その有用性とシステムがユーザの嗜好に与える影響などについて検討を行う.We developed a TV program recommendation system based on user's TV watching history. This system estimates user's interests using data of EPG such as TV program's titles, performer names and summaries of TV program, and then recommends the suitable TV programs for the user's interests. We implemented the system as one of application services in the Ubiquitous Home of NICT. In this study, we show the experimental results on the Ubiquitous Home and discuss problems about the influence of the system upon user's interests and the effectiveness of the system.
著者
渡辺 和子
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.86, no.2, pp.447-472, 2012-09-30

「ノアの洪水」の記事はメソポタミアの洪水神話と同系であることが広く知られているが、多神教的背景をもつものとは内容も文脈もおのずと異なる。また「多神教的」、「一神教的」背景の具体的内容も検討を要する。『ギルガメシュ叙事詩』(標準版)第一一書板にある洪水神話は、ウータ・ナピシュティの口からギルガメシュに語られる。神々の会議で最高神エンリルが洪水を決定し、他の神々にはそれを人間に漏らさないことを誓わせる。しかし知恵の神エアはウータ。ナピシュティに暗に伝えて船を造らせて生命の種を救う。洪水後に最高神はその暴挙をエアに責められて悔い改め、ウータ・ナピシュティに永遠の命を与える。洪水の顛末を語り終えたウータ・ナピシュティは、「今」では永遠の命を与えるために神々の会議を招集するものはいないと宣言する。他方聖書では、神は人間を創造したことを後悔して洪水を起こすが、ノアに船を作らせて生命の種を救う。洪水後も責められることはなく、ノアと契約を結んで再び洪水を起こさないと誓い、ノアには長寿を与える。
著者
志賀 武彦
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.38, no.453, pp.308-310, 1931-06-20

大分驗大野郡小野市村木浦鑛山の通稱「だつがたを」より産する含水砒酸鐵鑛物については先に地質學雜誌上に報告され或は毒鐵鑛或は葱臭石等と論ぜられたが、其の分析結果並びに其の屈折率等より或は含水砒酸鐵の成分を有する新鑛物ならんと假定されて現在に至つた。今囘伊藤助教授の指示により目下編纂中の日本鑛物誌第三版のために、先年工學博士高壯吉氏より好意ある提供をうけ福地、牧野兩學士の手元に保管中であつた標本、並びに其後集められた當鑛物學教室所藏の標本について測角及び分析を行つて見た。測角は V., Goldschmidt の複圓式測角器を用ひρ及び〓を測定した。其の結果は第一表の如くなり、其の形態のみから見る時には斜方完面像に屬する。ρの基準面としては底面の(001)を、〓の其れとしては假定の(100)を〓=90°00' の面とした實測値並びに其の實測値よりの計算値を示した。尚表中のnの欄は實測に用ひた面の數を表はす。表中の計算値は先づ(011)及び(120)の面より軸率の 0.,865:1:0.,972 を知り之より公式により計算したものである。其形は第一圖に示す如く錐面式の晶癖を有し、錐面上には主に晶帯 [011] の方向に無數の條線を有する。時には (011), (201)等の面上にも上記の條線に相應せる條線を見得ることがある。之等條線は各個々の微斜面の堺を表はし測角の際に於ては之等が或は散點せる、或は連續せるリボン状の反射像を與へる。之等微斜面の分布は大體晶帯 [011] 上、(111) より (211)間に、又時には晶帯 [101] 上、(111) 附近になつてゐる。結晶に (100) の面の現はれてゐるものと之を有せざるものとの二種あつて、 (100) の面を有するものにあつては常に (211) の面を有し、且つ晶帯 [011] 上に分布する結晶面群が (100) の面の現はれざるものよりも著しい。以上を綜合して球面投影圖に示したのが第二圖である。又此の鑛物の分析結果は第二表に示した。表中の計算値は葱臭石の分子式FeAsO_4・2H_2Oより計算せるもので良い一致を與へた。尚この結晶水は山本理學士の好意により熱天秤を用ひて測定することが出來た。その實驗によれば水は約攝氏二百二十度より二百五十度の間に其の全部が放出される。其の結果は結晶水の量15.,84 となり分析結果と又よく一致した。試料の異れるため先の分析表のものゝ結晶水は差を取つてゐる。以上の結果及び其の他の一般性質即ち比重、硬度、劈開等より見て木浦鑛山産の含水砒酸鐵鑛物は葱臭石であると決定して差支へないと思ふ。尚この研究の結果は近く他に詳しく報告されるであらう。