著者
渡部卓雄
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告
巻号頁・発行日
pp.61-66, 1997
被引用文献数
1

分散・移動計算機環境における, 移動可能プログラムを記述するための一般的な言語機構を提案する. 基本的なアイデアは, 計算状態の一部を表現する部分接続(partial continuation)をプログラム中で一級オブジェクトとして明示的に扱うことにある. 並行計算系における継続(continuation)の扱いは一般に繁雑になるが, エクステントを限定した部分継続を得る言語機能を用いることにより, 遠隔コード実行の様々なパターンを記述できる. 本機構は手続きクロージャ, あるいはそれと等価な機構を持つ様々な逐次言語に導入可能であり, ユーザ向けのモバイルエージェント記述スクリプト言語だけでなく, システムプログラム記述言語にも適用可能である. 本稿では操作的意味について延べる.
著者
井上 武 朝倉 浩志 植松 幸生 佐藤 浩史 高橋 紀之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.411, pp.97-102, 2010-01-28

多くのWebサイトが,AjaxやマッシュアップのためにWeb APIを提供しているが,Webアプリケーションに適した再利用可能なデータべースコンポーネントがないために,そのようなコンポーネントはサービスごとに独立に開発されてきた.本稿ではWebアプリケーションの開発を迅速に行うためのデータべース管理システムWAPDBを提案する.WAPDBは,Web API標準技術のAtomをべースに設計され,Webアプリケーションに求められる機能を提供する.たとえば,効率的なデータ・アクセス制御や簡潔な拡張メカニズム,検索・統計の提供である.WAPDBの導入によって,開発者はこれらの機能を繰り返し開発することから解放される.さらに,RESTアーキテクチャスタイルに準拠しているため,アプ リケーションに統一性やスケーラビリティがもたらされる.我々はWAPDBを用いたサンプルアプリケーションを開発し,大きな性能低下なしに開発コストを削減できることを示す.我々の実験では,開発コストが半減した一方で,アクセス時間は数ミリ秒しか増加しなかった.
著者
上山 憲昭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICM, 情報通信マネジメント (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.275, pp.41-46, 2009-11-05

NWトポロジ設計時には,コストや信頼性等の様々な評価尺度を同時に考慮する必要がある.そこで筆者は,意思決定において関連する要素を階層構造で把握し合理的な意思決定を行う手法として知られるAHPをNWトポロジ評価に適用したが,NW規模の増加に伴い候補集合の生成に要する時間が爆発的に増大する.そこでリンクの設置可能な候補位置を少数に限定することで,大規模NWに対しても現実的な時間で候補トポロジ集合を生成することを検討した.しかし特定の位置には常にリンクが設置され,また大部分の候補位置には常にリンクが設置されないため,生成されるトポロジが特定の形状に偏り,得られる候補トポロジ集合の多様性が低い.そこで本稿では,トポロジの各評価尺度の最大化を目的に自律的に行動するエージェントから構成されるマルチエージェントシステムを考え,エージェントの相互作用を利用することで,多様なトポロジ候補を短時間に生成することを提案する.
著者
岡 伸一
出版者
法研
雑誌
週刊社会保障 (ISSN:13435736)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2339, pp.50-53, 2005-07-04
著者
斎藤 みちよ
出版者
日本幼稚園協会
雑誌
幼児の教育
巻号頁・発行日
vol.74, no.8, pp.34-36, 1975-08-01
著者
OHTA Manabu TAKASU Atsuhiro ADACHI Jun
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
IEICE transactions on information and systems (ISSN:09168532)
巻号頁・発行日
vol.86, no.9, pp.1835-1844, 2003-09-01

Optical Character Reader (OCR) incorrect recognition is a serious problem when searching for OCR-scanned documents in databases such as digital librarics. In order to reduce costs, this paper proposes fuzzy retrieval methods for English text containing errors in the recognized text without correcting the errors manually. The proposed methods generate multiple search terms for each input query term based on probabilistic automata which reflect both error-occurrence probabilities and character-connection probabilities. Experimental results of test-set retrieval indicate that one of the proposed methods improves the recall rate from 95.96% to 98.15% at the cost of a decrease in precision from 100.0% to 96.01% with 20 expanded search terms.
著者
荒木 祐一 島田 伸敬 白井 良明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.569, pp.87-94, 2002-01-11
被引用文献数
24

本論文では複雑背景下において大きさや位置, 方向が未知な顔を検出し, その顔の方向を推定する手法を提案する.まず, 目や口といった顔要素の候補を抽出し, 各顔要素らしさを計算する.次に, 顔としての幾何学的位置関係を満たしている顔要素の候補の組合せを顔として検出する.しかし, さまざま顔の大きさや方向を考慮する必要があるのでその組合せの数は膨大になる.そこで, その組合せの数を減らすために, 一般化ハフ変換により顔の候補領域の位置と大きさを限定する.その後, 確率の更新方法と効率的な顔検出を行なうために顔要素の候補間の影響の計算を修正した弛緩法を顔の各候補領域に適用する.顔を検出した後, 顔の輪郭に対する両目の位置によりその顔の方向を推定する.
著者
吉田 宣夫 高橋 哲二 永尾 哲男 陳 継富
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.177-182, 1993-09-20
被引用文献数
2

ヒラタケ(Pleurotus ostreatus)を利用して麦稈の栄養価を改善する場合に,子実体生産と両立するか否かの検討を麦稈,麦稈+ふすま20%,オガクズおよびオガクズ+添加物45%の4区を設けて検討した。培養期間は20〜22℃で8週間,子実体発生の誘導は培養4週間後に菌かき・注水して実施し,6週間後に収穫した。菌糸伸張は,オガクズ添加物区,麦稈ふすま区,麦稈区の順に4週目までにほぼ完了し,ビン当り子実体収量(DM・g)は同じ順で12.8,3.6および0.3であった。培地の飼料特性は,乾物が4.3〜22.1%減少し,子実体を収穫するとさらに減少率は大きかった。加温培養中のセルロース変化は,いずれの区も小さかったが,ヘミセルロースの減少傾向は2つの麦稈区で著しく,8週間で40%以上が消失した。また,2つの麦稈区では,子実体収穫後のセルロース減少量が大きくなることがわかった。酸性デタージェントリグニン(ADL)減少率は,オガクズ培地より麦稈のほうが大きく,また,栄養源を添加すると低下した。セルラーゼによる乾物分解率(Ce-DMD)は,2つの麦稈区で4週目まで直線的に減少し,その後回復して開始時より12〜26ポイント改善された。しかし,オガクズ添加物区は8週間減少を続け,子実体を収穫した場合はさらに低下した。培養した麦稈培地を可消化乾物量(DDM)でみると,無添加では11ポイント向上したが,子実体収穫後,ふすま添加のいずれも開始時を下回った。
著者
高橋 健
出版者
東京大学
雑誌
東京大学考古学研究室研究紀要 (ISSN:02873850)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.49-81, 2005-03-31

日本列島の先史時代の銛頭については,日本列島全体を視野に入れた伝播系統論の枠組みが提示されている。しかし,遠く隔たった地域間の系統関係が論じられる一方で,資料的な制約もあり地域的な編年研究はあまり行われてこなかった。本稿では,比較的多くの資料が得られている福島県いわき地方と神奈川県三浦半島を対象として閉窩式銛頭の編年的研究を行った。いわき地方の資料を寺脇型・真石型・薄磯型に分類し,寺脇型を真石型の大部分よりも古く位置づけ,真石型内部での変遷過程を示した。薄磯型の出現過程については,技術的共通性を有しながらも独自性を保っていた仙台湾・三陸地方との関係が変化し,その影響を受けて成立したと考えた。三浦半島の資料を三浦型と呼称し,弥生時代中期後半に尖頭で単距・双拒の銛頭が現れ,後期に入ると刃溝をもつ銛頭や三距の銛頭が出現するという編年案を示した。弥生文化と続縄文文化における横方向索孔をもつ銛頭についてほ,その出現過程が各地域で多様であることから,必ずしも一つの中心地から広域への強力な,あるいは玉突き状の伝播によるものと解釈する必要はないと考えられる。
著者
神沼 靖子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告情報システムと社会環境(IS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.25, pp.63-69, 2005-03-15
被引用文献数
3

情報処理学会論文誌として「情報システム論文」特集号(3月号)を企画し,12件の多彩な論文を掲載することができた.このような情報システムの特集企画は今回が始めてであるが,これにより情報システムの見方を広く関係者に示すことができたと考える.これを機に,本特集号が生れるまでの経緯を述べ,情報システム論文に必要な事柄について考える.よい情報システム論文を関係者が共有するために,情報システム特有の論文採択基準を再認識することも必要であると考える.そこで,本報告では,本特集号への投稿論文について分析し,その編集活動を総括することによって,これからの情報システム関連論文の更なる発展の一助としたい.)The IPSJ Journal `Special Issues on Information Systems` was planned, and 12 various papers were reported. Though it was the planning which started such special issue, it was possible to show the viewpoint of the wide information systems. In this opportunity, the history until it produces this special issue is described, and the matter necessary for the information systems paper is considered. It is also necessary to understand the information systems peculiar adoption level in order to share the good result. In this report, result of analysis of various papers contributed to this special Issue is described.)
著者
得丸 定子 佐藤 英恵 郷堀 ヨゼフ
出版者
上越教育大学
雑誌
上越教育大学研究紀要 (ISSN:09158162)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.257-268, 2010-02-28

核家族化, 個人化の進んでいる現代では, ペットは単なる飼育動物の域を超え「コンパニオン・アニマル」と呼ばれ, その親密な存在の死に伴う「ペットロス」という用語は, 学校教育現場でも用いられつつある。ペットの死に伴う感情やその死への関わりは, ティーチヤブル・モーメントとして「いのち教育」の好機である。しかし, それらの言葉の背後にある心情やその理解については, 十分に認識されていない現状である。ゆえに, いのち教育の一環としてのペットロスについての基礎的知見を得るために, 本調査を行った。結果として, 心理尺度では"協同努力型人生観""多彩型人生観""信仰型人生観""金銭重視型人生観"の4因子が抽出された。"協同努力型人生観"は最もペットロスに陥りやすく, "金銭重視型人生観"はペット葬に反対であり, 女性の方が男性よりもペットロスに陥りやすい結果が示された。自由記述では, 「ペット葬賛成」派が約6割を占めた。「ペット葬反対」派も回答としては反対ではあるが, その記述を考察すると「賛成」派であった。ペット喪失悲嘆から立ち直った契機としては「時間の経過」が最多であり, 先行研究で見られない記述として, 「ペットについての知識, ペットロスについてあらかじめ勉強しておく, 心の準備をしておく」が得られた。本調査により, 人生観や性別とペットロスとの関係性や, ペット葬の必要性への認識, ペット飼育の知識やペットロスについて事前学習の重要性が示され, 「いのち教育」の一環としてのペットロス学習の意義が得られた。